セントラルキッチンは、複数の店舗や施設で提供する食事(惣菜などを含む)を一カ所で調理し、業務効率化やコスト・人員削減などを実現するシステムです。近年は特に注目度が高まっており、市場も拡大しています。今回の記事は自社運営によるセントラルキッチン(以下、自社セントラルキッチン)に焦点を当て、成功につながるポイントを解説します。ぜひ、導入検討の参考になさってください。
目次
自社セントラルキッチンが注目される背景
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済が行った調査(2024年)によると、チェーンスーパーにおけるデリカ国内市場は2兆3,926億円。市場の40%程度は有力ローカルチェーンスーパー60社が占めていますが、そのうちの約80%がセントラルキッチンを導入しているようです。
冒頭でもお伝えしましたが、セントラルキッチンは業務効率化やコスト・人員削減に効果的です。近年は特にコスト高騰、人手不足などが社会問題として取り上げられるほど深刻化しているため、自社セントラルキッチンが注目されるのも必然といえます。では、コスト高騰と人手不足の現状について詳しくみていきましょう。
さまざまな要因からくるコスト高騰の波
昨今におけるコスト高騰の主な要因は、世界情勢にあります。ロシアによるウクライナ侵攻が勃発した2022年以降、世界情勢は大きく変化してきました。2023年10月7日には長期的に続くイスラエル・パレスチナ問題が再燃し、2026年2月28日にはアメリカとイスラエルがイランに対する軍事攻撃を開始。ロシアによるウクライナ侵攻も解決に至らないまま、中東地域の情勢も悪化の一途をたどっています。
現時点で紛争・戦争が起こっている国や地域は、原油、天然ガスなどのエネルギー資源を多く保有しているため、不安定な情勢がエネルギー資源価格の上昇に直結します。エネルギー自給率が低い日本は、供給の90%近くを輸入に頼っており、価格上昇は非常に大きな打撃となっているのです。
参考:日本のエネルギー自給率は1割ってホント?|資源エネルギー庁 (2025年1月8日更新)
エネルギー資源価格の上昇は、多種多様なコストに影響を与えます。特に原材料費や物流費などは急激に上昇しており、企業努力だけでは商品やサービスの価格維持が厳しい状況になっています。一般的な消費者目線でみても、「食料品、日用品、電気、ガス、水道、住宅(家賃)など、身近なものが一気に値上がりした」という印象は否めないでしょう。
さらに、近年は賃金引き上げも積極的に行われており、2025年度における最低賃金額の全国加重平均がはじめて1,000円を超えたことが話題となりました。しかし、雇用主となる企業等にとって、最低賃金額の上昇は人件費の増大と同義であり、コスト調整が難しい部分なのです。
少子高齢化が引き起こす人手不足問題
日本は少子高齢化が急速に進んでいます。令和6年10月1日現在の高齢化率が29.3%と過去最高に達した一方で、同年の合計特殊出生率は1.15となり過去最低を更新しました。このような少子高齢化は、さらに加速するといわれています。少子化が改善されなければ、社会を支える主な労働者である若年〜中年層は減少する一方です。当然、人手不足も深刻化してしまうでしょう。だからこそ、限られた人員で業務が進められるよう、今から体制を整えておくべきなのです。
自社セントラルキッチンの導入失敗・廃止事例紹介

医療・介護・福祉分野において複数の事業を手がける辰元グループ(敬称略)では、2006年に自社セントラルキッチンを開設。当時は事業拡大を進めていたため、業務効率化を目的に導入を決断したそうです。食材費の削減、徹底した衛生管理体制の構築、味の均一化などにはつながりましたが、運用を続ける中でさまざまな問題が発生。15年継続した末、廃止に至ったといいます。
では、この事例における主な問題点をみていきましょう。
【問題点①】個別対応は施設厨房で行っていた
食形態や禁食などの個別対応が複雑化していたため、施設厨房はそのまま残し、クックサーブによる提供も継続。結果的に人員削減は叶わず、人件費が増大しました。このような食事提供体制だったことから、施設厨房では早朝・夜間シフトを含む厳しい労働環境も改善されなかったようです。
【問題点②】介護食の研究開発が必要だった
自社セントラルキッチンでは普通食とソフト食のみ対応。ミキサー食やゼリー食など、そのほかの介護食については研究開発が必要で、人件費などが増大しました。
【問題点③】利益が出るため抜本的な改革が遅れた
セントラルキッチンの運営は独立した株式会社が担当しており、食事提供の価格決定権を持っていたため利益が確保しやすい状況にありました。問題点が露呈してもなかなか閉鎖に至らなかった背景には、こうした運営体制の影響もあるようです。
自社セントラルキッチンを成功させるには

続いて、自社セントラルキッチンを成功させるために重要なポイントをまとめてみました。
セントラルキッチンの役割を明確にする
まず、セントラルキッチンの役割を明確にしなければなりません。対応する範囲を決め、採用する調理方式(主にクックチル、ニュークックチル、クックフリーズ、真空調理)を検討します。調理方式にあわせ、施設側で対応する業務内容もリスト化しましょう。先にご紹介した事例からもわかるように、食形態や禁食などの対応について細かく決めておくことも重要です。
設備・人員・勤務体制・教育研修などの計画を立てる
規模の大小にかかわらず、成功のためには綿密な計画が欠かせません。人材の定着や配送ルートの確保も考慮した立地をリストアップし、十分な設備が整えられる建物を設計。業務フローや勤務体制についてはもちろん、今後の展望まで見据えた計画を立てる必要があるのです。
近年では、業務効率化に有効なDX化が推奨されています。必要に応じて、AIやIoTの活用も計画に盛り込むといいかもしれません。また、事前の教育研修は運用開始直後のトラブル防止につながるため、セントラルキッチンの開設にあわせた実施スケジュールを組みましょう。
費用対効果のシミュレーションを行う
セントラルキッチンの導入には莫大なコストがかかります。費用対効果が期待できるかどうかは、最大のポイントといえるでしょう。前述した事例の中では特に人件費の増大が問題となっていましたが、そうした細部にわたるまでシミュレーションを行い、採算ラインを把握しておくべきです。
自社セントラルキッチン以外に考えられる食事提供の選択肢

最後に、自社セントラルキッチン以外で食事提供を支える方法をみておきましょう。
厨房業務の一部を外注化
食材の仕込みや献立作成など、厨房業務の一部を外注して現場の負担を抑える方法があります。セントラルキッチンを持つ企業であれば、完全調理済み食品(クックチルやクックフリーズなど)の配送を行っていることも多いでしょう。サービス内容は企業によって異なるため精査が必要ですが、最適な外注先が見つかればメリットは大きいといえます。
厨房業務を完全委託化
運営も含め、厨房運営をまるごと委託する方法もあります。業務の一部を外注するよりコストはかかりますが、人材確保なども委託先が行うため、現場の効率化や負担軽減には効果的です。ただし、病院や介護福祉施設などの場合、治療食・介護食にも柔軟に対応してくれる委託先を探す必要があるでしょう。
配食(弁当・惣菜など)サービスの活用
配食サービスは、小ロットでも利用しやすい弁当や惣菜などを取り扱っています。完全委託化のケースと同様、治療食・介護食などが必要な場合は、丁寧に比較検討したほうがいいでしょう。
ナリコマは高品質の完全調理済み食品をお届けします

ナリコマでは、弊社セントラルキッチンより完全調理済み食品をお届けする献立サービスを展開しております。患者さまや施設利用者さまに安心してお召し上がりいただけるよう、ミキサー食・ゼリー食・ソフト食もご用意。クックチル方式のため、お届け後は再加熱や盛り付けを行うだけで提供することができます。自社セントラルキッチンとは異なる食事提供体制の一つとして、ご興味がありましたらぜひ一度お問い合わせください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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