セントラルキッチンは、複数の店舗・施設で行う厨房業務を一カ所に集約するシステムです。主に飲食店、スーパーマーケット、病院、介護福祉施設、学校などで活用されています。本記事では、医療・介護福祉分野における自社セントラルキッチンのメリットや運営コストについて解説。近年、社会問題として注目される人件費などのコスト高騰化や人手不足などに触れ、自社セントラルキッチンがどのような役割を持つのか詳しくみていきます。ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。

厨房のコスト管理や人材確保が厳しい現状

厨房運営は、かねてからコスト管理や人材確保が難しいといわれてきました。しかし、その状況はさらに厳しさを増しています。

厨房に必要な各種コストの高騰化

コスト高騰化は、今や一般家庭にも打撃を与える社会問題となっています。特に急激な価格上昇がみられるのは、エネルギー資源(原油、天然ガス、石炭など)や食料品。エネルギー自給率が低い日本は資源の多くを輸入に頼っているため、価格上昇が直接的に影響します。エネルギー資源価格が上昇した主な要因は、立て続けに起こっている世界情勢の緊迫化です。一例として、2022年に勃発したロシアのウクライナ侵攻、2023年に再燃したイスラエル・パレスチナ問題、2026年2月からはじまったアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃などが挙げられます。

 

参考:日本のエネルギー自給率は1割ってホント?|資源エネルギー庁 (2025/01/08更新)

こうした状況はガソリン、電気、ガス、水道などの値上げにつながり、食料品の生産コストや輸送コストを増大させています。また、この数年は政府主導による賃上げの動きも活発になり、人件費が高騰。つまり、厨房業務に必要なコストのほとんどが上昇しており、運営を圧迫しているのです。

少子高齢化による人手不足の深刻化

令和6年10月1日現在における日本の高齢化率は過去最高の29.3%、同年の合計特殊出生率は過去最低の1.15を記録しています。少子高齢化の傾向は今後も変わらず、高齢者人口は令和22年ごろにピークを迎える見込み。高齢化率は34.8%に達し、社会全体を支える現役世代が激減するとみられています。このようなデータをみると、厨房においては人材確保がさらに難しくなることが予想されます。

 

参考:令和7年版高齢社会白書|内閣府

令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況

自社セントラルキッチンを導入するメリット

前述したコスト高騰化、人手不足などの対策として注目されているのが自社セントラルキッチンの導入です。病院や介護福祉施設の食事提供は、非常に重要な業務の一つ。病院では治療の一環として、介護福祉施設では利用者の健康維持・向上としての役割を担っています。仮に食事提供が止まった場合、患者の状態が急激に悪化したり、利用者が低栄養や体調不良に陥ったりする可能性もあります。だからこそ、食事提供体制を安定させなくてはならないのです。では、自社セントラルキッチンを導入するメリットを詳しくみていきましょう。

食材費・水道光熱費・人件費の削減

セントラルキッチンでは、食材をまとめて仕入れて安価に抑えたり、大量調理によって水道・電気・ガスを節約したりすることができます。採用する調理方式(クックチル、クックフリーズなど)にもよりますが、セントラルキッチンでほとんどの工程を終える場合、各施設の厨房では業務負担が軽くなります。省人化が実現できれば、人件費の削減につながるでしょう。

厨房における人手不足・職員高齢化への対策

少子高齢化の進行は、人材確保が難しくなるだけでなく、高齢の職員が増える要因にもなります。厨房は長時間の立ち仕事、暑さ・寒さの厳しい環境などによって職員の負担が大きくなりがちです。高齢の職員が多ければ、体調を崩す人が増えたり、業務効率が落ちたりすることも考えられます。自社セントラルキッチンの導入は、各施設の人手不足を解消し、職員の負担を抑える効果が期待できます。

HACCPに沿った衛生管理体制の構築

食品を扱う事業には、HACCPに沿った衛生管理が義務付けられています。自社セントラルキッチンに厨房業務を集約すれば、衛生管理体制が構築しやすくなり、食事に関する事故やトラブル防止に効果的です。病院や介護福祉施設は食中毒などの発生時に被害が大きくなりやすいため、この点は特に重要なメリットといえるでしょう。

 

参考:HACCP(ハサップ)|厚生労働省

食事の品質安定と満足度向上

衛生管理と同様、品質管理がしやすいのも自社セントラルキッチンのメリットです。安定したおいしさは患者や利用者の食事満足度向上につながるため、喫食率も高くなります。また、嚥下調整食(介護食)やアレルギーなどの個別対応をする場合も、自社運営であれば連携体制が整えやすく、事故防止に効果的でしょう。

BCP対策としての有効性

緊急状況下(自然災害やテロの発生時)にも業務を続けるためのBCP対策として、セントラルキッチンが役立つこともあります。クックチルやクックフリーズなどは、安全に保存されていれば通常通り提供できるでしょう。また、セントラルキッチンの被害が少なかった場合、食事提供が継続できる可能性もあります。

自社セントラルキッチンの運営コスト

自社セントラルキッチンにおける最大のデメリットは、高額の初期費用がかかること。規模によりますが、最低でも500万〜2,000万円ほどはかかるといわれています。一から設立することを想定した場合、①土地や建物、②厨房設備、③管理業務などに使う内部システム、④配送車などの費用が必要です。

 

また、開設後は人件費、食材費、水道光熱費、設備メンテナンス費、配送費などが継続的にかかります。このような運営コスト全体を考慮し、費用対効果が出るのであれば、自社セントラルキッチン導入のメリットがあるといえるでしょう。

運営コストを削減するには?

自社セントラルキッチンの初期費用・継続費用を削減するには、以下のような方法があります。必要に応じ、検討してみてください。

  • 居抜き物件やスケルトン物件を活用する
  • 厨房設備をリース契約や中古購入にする
  • DX化により業務効率や生産性を上げる
  • 国・自治体による補助金制度や税制優遇制度を活用する

厨房業務の外注化もコスト削減策の一つ

国が定めた診療報酬や介護報酬を受け取る病院・介護福祉施設は、一般企業と比べて利益を出しにくい運営状況にあります。コスト高騰の波を受けても、一般的な商品・サービスのように価格転嫁することができません。つまり、食費も決められた金額内に収めなければ、赤字になってしまうのです。

 

ここまでお伝えしてきたように、自社セントラルキッチンにはメリットがありますが、相応の運営コストがかかります。事前のシミュレーションや計画立案において、費用対効果があまり期待できないということもあるでしょう。その場合は、厨房業務の外注化を検討するのもおすすめ。基本的なサービス内容、個別対応などの詳細は業者によって大きく異なるため、事前に十分なリサーチをしておくと安心です。

外注化の選択肢①委託サービス

全面委託のコストは高めですが、厨房業務をまるごと任せるため、コスト管理や人材確保などにかかる労力・時間の節約にもつながります。部分委託は外注化する業務を限定できるため、全面委託よりも低コストです。どちらも業者との信頼関係やスムーズな連携が欠かせません。

外注化の選択肢②配食サービス

配食サービスで取り扱う商品は、温めるだけで提供できる冷凍・チルドタイプの弁当や惣菜などが主流。嚥下調整食(介護食)に対応可能な業者もあります。ただし、配送エリアが限られていることもあるため、注意が必要です。

導入実績多数!ナリコマの直営支援型厨房運営

ナリコマでは、人件費などのコスト削減実績多数の直営支援型厨房運営をご提案しております。お食事にはクックチルやニュークックチルを採用。弊社セントラルキッチンから毎日配送可能です。医療機関の院内基準にあわせた治療食に対応できるほか、ミキサー食・ゼリー食・ソフト食のご用意もあります。自社セントラルキッチン以外の厨房運営をご検討の際には、ぜひ一度ナリコマにもご相談ください。

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