食事は自立支援介護の基本ケアの一つで、自立支援と食事は深く関わっています。この記事では、自立支援と食事のつくり方に注目し、自立的食行動を促すための食事のポイントをまとめました。自立支援介護の基礎や、摂食意欲を高める工夫、フレイル予防と朝食の重要性についても解説します。介護施設で食事内容を組み立てる際にもぜひご参考ください。

自立支援介護と食事の重要性

介護が必要な状態であっても、本人の希望に沿って少しでも自立した生活を送ることは大切です。自立には以下の3つの側面があり、いずれも欠かせないもので相互に影響し合っています。

  • 身体的自立
  • 精神的自立
  • 社会的自立

高齢者の場合、加齢とともに身体的自立を失っていくケースが多くありますが、自立支援介護によってできる限り自立した生活を支えることが可能です。できないことを全てやってしまう介護ではなく、自分でできるように支援することが自立支援介護のポイントです。また、本人の意思や希望を尊重した“自律”支援の意識を持つことで、精神的自立を支えることにもつながります。

 

ここでは、自立支援介護の基本ケアに加えて、ADLや食事との関係性を解説します。

自立支援介護の4つの柱

自立支援介護では、以下の4つの基本ケアを意識することが大切です。これらは、人が生活するうえで基本となる事柄ですが、高齢者のケアでは注意点にも特徴があります。

 

ケアの種類

高齢者のケアで気を付けたいこと・特徴

水分ケア

高齢者は若年層よりも体内の水分量が少なく、老廃物の排出に水分が使われるため、水分不足になりやすい。

のどの渇きに対する感覚も低下しており、体内に熱がこもりやすいため熱中症の時期にはとくに注意が必要。

食事ケア

加齢に伴い咀嚼力や嚥下力が低下することで、食欲の低下や低栄養をまねきやすい。

低栄養状態は身体機能のさまざまな低下につながり、身体的自立の妨げにもなるため予防が大切。

排便ケア

高齢になると身体機能の低下により便秘になりやすいことがあるが、なるべく下剤等を使わずに自然排便を促すことが大切。

排泄介助においては、プライバシーに配慮しながら、手を出し過ぎずに自分でできることを本人に行ってもらうこともポイント。

運動ケア

高齢者の身体機能の維持や向上に、適切な運動が役立つ。

それぞれの人に最適な運動の強度や量を調整し、できる動きから促し、少しでも身体を動かしてもらう。

 

参考:厚生労働省 高齢者のための熱中症対策 2023年

厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 高齢者版

ADL向上にも役立つ

自立支援介護によって、ADL(日常生活動作)の向上が期待できます。高齢者を対象としたADLの評価指標「Barthel Index」には、食事・トイレ動作・排便コントロール・歩行・階段昇降など、自立支援介護に関わる項目がさまざまにあり、介助が必要であっても全介助でなければ点数につながります。

 

例えば、歩行が困難であっても、車椅子を操作し45mほどでも移動できればADLの維持につながります。ADLの維持・向上は、寝たきりの予防にも効果的です。

 

参考:厚生労働省 介護予防マニュアル 第4版 別添資料2-2 ADL:Barthel Index 

食事の重要性と低栄養リスク

先述したように、食事は自立支援介護の基本ケアであり、低栄養予防においても重要です。食事量の低下をきっかけに低栄養状態になると、活力や筋力の低下をまねき、身体機能の低下や活動量の減少、褥瘡が治りにくい・疾患にかかりやすいなどの健康障害につながり、自立の妨げにもなります。

 

食べやすく必要な栄養素を摂れる食事で低栄養を予防することで、ADLの向上や高齢者の自立を支えることができます。また、適切な栄養改善や自立を感じられる生活は、QOL(生活の質)の向上にも効果的です。介護施設で有意義な生活を送ってもらううえでも、食事は重要な役割を担っています。

 

参考:厚生労働省 介護予防マニュアル第4版 第3章 栄養改善マニュアル

摂食意欲を高めるには環境づくりも大切

高齢者はさまざまな原因により食欲が低下しやすいため、自立支援の観点からも摂食意欲を高める工夫が求められます。ここでは、高齢者の食欲低下の原因と調理の工夫、食事の環境づくりのコツを解説します。

高齢者の食欲低下の原因

高齢者の食欲低下の原因は多岐に渡り、身体機能の低下や疾患の影響、気持ちの落ち込みなどさまざまです。例えば、次のような原因が挙げられます。

  • 咀嚼力や嚥下力の低下
  • 消化吸収に関わる臓器の機能低下や疾患
  • 全身疾患や薬による負担
  • 自律神経の乱れ
  • 口が渇く・義歯の不具合などの口腔環境のトラブル
  • 気分の落ち込み・不安・ストレスがある
  • 食事の環境が合わない
  • 食器が使いづらい
  • 献立のマンネリ化

味付けや盛り付けを工夫する

献立のマンネリ化を防ぐことは大切ですが、ちょっとした味付けや盛り付けを工夫するだけでも食欲を促すことができます。味が薄く感じられやすい減塩食の場合は、うま味成分の多い素材を使うと味が比較的はっきりします。また、香辛料や梅干しなどは、胃液の分泌を促すのに効果的で食欲増進につながりやすいです。高齢者の場合はとくに、口の中の渇きなどが食べる際の妨げになることがあるため、献立では水分の摂取も意識すると良いでしょう。

 

美味しそうに見える盛り付けも大切なポイントです。季節を感じられる食材の使用も意識しながら、料理の彩りも工夫しましょう。箸やフォークなどを使うのが難しい方には、手で食べられる形状にするのも自立を支援する一つの方法です。

食事が楽しくなる環境を意識する

楽しい雰囲気での食事は、食欲を促すうえでも欠かせない要素です。利用者さまどうしで会話が弾むことが難しい場合でも、スタッフが声をかけることで楽しい雰囲気が生まれることがあります。和やかで落ち着いた雰囲気を意識しながら、利用者さまへの声かけを積極的に行い食事に興味を持ってもらうようにすると良いでしょう。

 

また、テーブルクロスやランチョンマットなどで食事環境を演出することも役立ちます。明るく楽しい雰囲気になる色や、食欲を促す暖色系を取り入れるなど、色合いやデザイン選びも工夫してみてください。

フレイル予防に役立つ!朝食の重要性も意識

加齢とともに体力や気力が低下し、元気な状態から介護が必要な状態に移行する段階を「フレイル」と呼びます。介護施設の利用者さまであっても、フレイル予防の意識は引き続き大切です。ここでは、フレイル予防に役立つ食事のポイントと、朝食が果たす役割を解説します。

フレイル予防にも食事は大切

食事で栄養を摂ることは、フレイル対策の重要な要素の一つです。中でも、筋力の維持に欠かせないたんぱく質は意識して摂りたい栄養素です。低栄養を防ぐためにも、主菜・副菜・主食・汁物でバランス良く栄養素を摂取できるように、1日3食の献立を工夫しましょう。

 

食事を残してしまうと十分な栄養素を摂取できないため、食べる機能の維持を促すことも大切です。嚙む力や飲み込む力を保てるように口腔ケアや口の体操なども取り入れながら、よく噛んで食べてもらえるようにサポートしましょう。

朝食で得られるメリット

一般的に、朝食は一日を元気に過ごすために役立ちます。朝食でしっかりとエネルギー源を摂取することで身体が目覚め、午前中の集中力も高まりやすくなります。また、朝食をとる習慣は、生活リズムを整えるうえでも効果的です。

 

高齢期の身体的フレイルと過去の欠食習慣に関する調査研究では、中年期に欠食習慣(1日2食以下)がある人は、その後に欠食をやめても身体的フレイルを発症するリスクが高い可能性が示されています。一方で、中年期に欠食をしていても、その後に多様な食品をとる食生活を送っていれば、身体的フレイル発症のリスクを抑えられる可能性も示されています。

 

そのため、朝食をとることを含め、バランスの良い食生活を意識することはフレイル予防にも役立つと考えられます。

 

参考:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 高齢期の身体的フレイルと過去の欠食習慣(1日2食以下)との関連についての調査研究 ~中年期(45から64歳)に欠食習慣のある人は、高齢期に身体的フレイルになりやすいことなどが示唆された~ 2025年

自立的食行動を促す食事にするために

自立的食行動を促すためには、低栄養を予防しながら、利用者さま一人ひとりに合った食べやすい食事を提供することが大切です。そのためには、栄養状態や口腔機能など、利用者さまの状態を丁寧に把握する必要があります。栄養スクリーニングや口腔スクリーニングなどを行うと課題を見つけやすくなり、データとして情報整理が可能で、最適な支援方法を検討しやすくなります。

 

低栄養リスクのある方を抽出する栄養スクリーニングや、リスクのある方の栄養状態をより詳しく評価する栄養アセスメントなどを丁寧に行いましょう。モニタリングや評価を重ねながら、繰り返しケア計画を改善していくことで、より個別性の高い食事提供につなげることができます。

美味しい食事と低栄養予防はナリコマにおまかせください!

ナリコマには、低栄養予防も意識した365日サイクルの献立があります。365日日替わりで行事食や歳時食も登場するため、毎日飽きずにお召し上がりいただけます。味わいの基本となる出汁は鰹・昆布・いりこなどの素材から取り、料理に合わせて配合を調整することでより美味しさを引き出しております。

 

また、咀嚼力や嚥下力に合わせた、普通食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食の4形態のご用意があるため、身体機能が低下している方でも安心してお召し上がりいただけます。形態に関わらず横並びの献立となっておりますので、味わいが変わることなくお食事をお楽しみいただけます。

 

ナリコマでは試食会も実施しておりますので、実際に食事の味わいを確認したうえでご契約いただけます。まずは一度、お気軽にお問い合わせください。

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