ナリコマの取り組み

ITと効率化で磨かれるセントラルキッチン

製造本部 生産管理部 業務改善課 田中文知

生産管理

新6工場を統一化する前例のない挑戦 「SCMプロジェクト」が目指すもの

私が所属する構内SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)プロジェクトチームで行っているのは、セントラルキッチンの製造効率化。セントラルキッチンに物が入ってから出るまでの工程をスムーズに改善するためのプロジェクトで、2018年6月にスタートしました。
現在4セントラルキッチンが稼働していますが、2022年には神戸に新たなセントラルキッチンが完成して6セントラルキッチン体制に変わります。これまでは各セントラルキッチンが独自にノウハウを築き、進化してきましたが、需要が高まりを見せている今の状況においては、人やお金、スペースなどの資源を最大限に活用し、効率的に製造しなければ対応できません。人手不足と叫ばれる昨今、それはなおさらのこと。各セントラルキッチンの改善はもちろん、よい部分を6セントラルキッチンに横展開しながら、生産性が高く統一化されたセントラルキッチンを目指しています。多拠点で違う商品を製造する企業は多くありますが、ナリコマのように多拠点で同一の商品を製造する企業は他にありません。加えて、「すこやか」は365日献立を採用しているため、製造品目だけでなく、製造に使用する機器や器具、食材、そして必要とする人員や作業時間まで日毎に変化します。その環境の元、多拠点で同品質の商品を製造し続けることは至難の業となります。前例のない取り組みですが、そこにやりがいを感じています。

IT技術を取り入れ、さらなる高みへ 最先端のキッチンを作り上げる

現在は具体的な施策をほどこす前の下準備段階。各セントラルキッチンの稼働状況を詳細に計測するために、工程フロー図を作って作業の「見える化」を行うほか、最も効率の高い製造プロセス「ベストプラクティス」を目指して、作業工程を繋げて短縮化する「工程連結」を検討するなど、さまざまな取り組みを行っています。
ITを駆使した取り組みもナリコマの特長で、現在稼働しているものには「月間予測システム」があります。今までの受注歴をビックデータとして統計的に処理し、いつ・どれだけの注文が入るかを高精度で予測するシステムです。このおかげで、前もって製造計画を立てられるだけではなく、無駄のない最適な量の食材調達が可能になりました。また、各食材の年間使用量を割り出すことで、より確実に、より安価に食材を調達できるメリットも生まれています。今後のIT化へ向けた取り組みとして、「マスターデータ」の作成を行っています。延べ約3万点に及ぶ品目に対して、作業工程や調理時間などのデータを詳細に調査。人員配置や機械利用といった製造計画に活用できるほか、このデータを組み合わせれば、工場の負荷を自動計算して献立作りをアシストしてくれる、新しいシステム開発も可能ではないかと考えています。

自動ソーターによる仕分け(大阪セントラルキッチン)

欠かすことなくお食事を届けることが 効率化を目指すたった一つの理由

効率化といえば、数字を重視した機械的な作業と思われがちですが、机上の計算だけでは実現しません。重要なのは、いかにセントラルキッチンのスタッフに共感して貰うかということ。”何のためにこの作業をやるのか”という意味を自分の中に落とし込まないと、人に伝え、共感してもらうことはできません。やはり最後は人の心の部分。一緒に作り上げよう、良くしていこうと、共通意識を持って進めることの大切さを痛感しました。
ナリコマのお食事は、冷凍品ではなく冷蔵品。長期保存が効かないため、製造から配送までに猶予がありません。さらに、欠品することなく、決まった日に、決まったお食事をお届けすることがナリコマの使命。だからこそ、効率化が不可欠です。現状をよりよくすることはもちろん、将来のナリコマを支える”種”をまくことも私の役割。ITなどの新技術も積極的に導入しながら、構内SCMプロジェクトを推進していきたいと思っています。

プロフィール

2009年7月にナリコマに中途入社し、購買で調達の業務に従事。その後、製造本部・調理課で食材の加工、製造管理課で荷受けや検品などを歴任したあと、関東セントラルキッチン・物流課へ。2018年6月から生産管理部業務改善課で「構内SCMプロジェクト」を担当する。
※ 所属は取材当時のものです。

関連取り組み