【神戸工場・製造管理課】『どんな経験も、決して無駄にはならない。』元ゲームセンター店長が食品工場で発揮した意外なスキル

長年築き上げてきたキャリアや慣れ親しんだ仕事が、ある日突然失われたら…。
今回ご紹介するのは、40代で勤務先が突然倒産し、転職活動でも挫折を経験した篠原さんです。現在は神戸セントラルキッチン(以下、神戸CK)で荷受けの正社員として工場のスタート地点を担っています。
ゲームセンターの店長から、全くの未経験である食品工場の荷受けへ。年齢やキャリアの壁を乗り越え、どのように再スタートを果たし、仕事のやりがいと理想のライフスタイルを手に入れたのか。その軌跡を語っていただきました。
この記事でわかること
- 40代・未経験からの再スタートの実際
- 「荷受け」の仕事内容と面白さ
- 朝5時出勤・14時退勤の暮らし方
プロフィール
篠原 裕:製造本部 神戸工場 製造管理課 入出庫管理グループ /2022年入社
ゲームセンターで店舗運営・店長・エリアマネージャー・バックオフィスと13年にわたりキャリアを積み上げたものの、会社が倒産。2022年、派遣社員としてナリコマでの勤務をスタートし、業界未経験ながら神戸CKの立ち上げメンバーに。2025年3月にはナリコマの直接雇用でパートスタッフとなり、同年10月より正社員として活躍。食べることが好きで、平日の「昼飲み」が楽しみ。
42歳、勤務先が突然倒産した
――ナリコマに入る前は、どんな仕事をされていたんですか。
20代前半から約18年間、ずっとゲームセンターの業界です。最初はアルバイトで、当時の店長から「一緒に正社員として働かないか」と声をかけてもらい、入社5年目から正社員になりました。
12年ほどは店舗の現場で、一番下の社員から店長、複数店舗を見るエリアマネージャーまで経験させてもらいました。最後の1年は本社に異動して、経理・総務・労務の担当です。専門知識はまったくなかったので、本当に手探りでした。ただ、現場でスタッフを動かすマネジメントと、本社から会社を支える裏方、その二つの立場を経験できたのは大きな学びでした。
――転職のきっかけは何だったのでしょう。
42歳のときに、勤めていたゲームセンターが突然倒産したんです。
すでに上司が退職していて、社内で経理や労務、破産手続きの実務が分かるのは私一人でした。残された同僚の退職金や未払金を計算して、手続きを説明して回って、弁護士の先生と一緒に破産手続きに奔走しました。
不器用な性格なので、「この残務処理を全部終わらせるまでは次を探せない」と思い込んでしまって。同僚が次の仕事を決めていく中でも、転職活動は一切していませんでした。その姿を見ていた弁護士さんが「私の顧問先の工場で総務の仕事を紹介するよ」と言ってくださって、倒産から1ヶ月半ほど経って面接に臨みました。
ところが、不採用でした。冷静に考えれば、42歳で専門資格もなく、小規模な組織での総務経験しかない人間を採るのは難しい。今ならそう理解できます。でも当時は落ち込んで、しばらく働く気力を失いました。
食堂に集まった入居者の「笑顔」を見て
――そこから、どうやってナリコマと出会ったんですか。
残務処理を終えて、当時住んでいた愛知から実家のある神戸に戻りました。しばらく休んでいたのですが、父の紹介で介護施設のキッチンにヘルプで入る機会があったんです。
それまで介護施設には「病室と同じで、お年寄りが部屋にこもっている場所」というイメージを持っていました。でも、食事の時間に食堂へ集まってくる皆さんの姿を見て、先入観が一変しました。本当に素晴らしい笑顔で食事を楽しまれていたんです。
一方で、部屋に戻られるときに少し元気がなくなる様子も見て、「食を通じて、高齢者の方を笑顔にするお手伝いができないだろうか」と感じていました。
そんなときに、たまたまナリコマの神戸CKが立ち上げメンバー(オープニングスタッフ)を募集しているのを見つけました。工場勤務はアルバイトも含めて一度も経験がありませんでしたが、「全員がゼロからスタートする環境なら、未経験の自分にもできるかもしれない」と応募を決めました。
――荷受けは、最初から希望した部署だったのでしょうか。
いいえ。面接で「調理の資格や経験はありませんが、車があるので朝5時からの出勤なら可能です」と伝えたところ、紹介されたのが荷受けのポジションでした。
正直に言うと、勤務が始まるまで荷受けが何をする部署なのかも分かっていませんでした。そういう意味では、不思議なご縁だったと思います。
派遣スタッフの提案が、そのままレイアウトになった
――派遣スタッフから直接雇用のパート、そして正社員へ進んだ理由を教えてください。
入社当初は、正社員の皆さんと一緒に保管庫のレイアウト選定や部材の置き方といった立ち上げ作業をしていました。そのとき、ゲームセンターでの新店立ち上げを思い出して、「このレイアウトにした方が作業効率や使い勝手が良いのではないでしょうか」と提案してみたんです。
すると社員の皆さんが、「未経験の派遣スタッフの言うことだから」と流さずに真面目に耳を傾けて、そのアイデアを実際のレイアウトに採用してくれました。
自信を失っていた自分にとって、「まったくの異業種のキャリアでも、新しい場所で役に立てる」という実感は本当に嬉しかった。こうした積み重ねで「この人たちと一緒にずっと働きたい」と思うようになりました。
そこで派遣から直接雇用のパートに切り替えていただき、「次は正社員になる」と目標を決めました。仕事内容自体は派遣・パート・正社員でほぼ変わりません。だから「どうすればもっと効率的に現場が回るか」「どうすれば皆が協力して動きやすくなるか」を、常に正社員のマインドで考えて動きました。結果として、直接雇用のパートになってから7か月で正社員登用していただけました。
荷受けは「動線のパズルゲーム」
――篠原さんが感じる荷受けの面白さは、どんなところですか。
立ち上げ期は、真っさらな工場を自分たちの手で作っていくクリエイティブな楽しさがありました。稼働が本格化してからは、荷受けの仕事を一種の「パズルゲーム」として捉えるのが面白くなってきました。
荷受けの現場には、毎日全国から何トンもの食材が届きます。どこにパレット(荷物を載せて運搬・保管する台)を置き、どこに通路を確保し、どこにパックした食材を配置するか。スタッフ同士の作業動線を考えてパレットの間隔を絶妙に開けたり、自分が一番重い荷降ろしの近くに立って他のスタッフの負担を減らしたり、といった工夫をしています。
これは店長時代に、「お客様が入口から入って、どう店内を動くか」という客動線を意識してゲーム機の配置を決めていた経験がそのまま活きているんです。自分が考えた動線のパズルがはまって現場がスムーズに回ったときは、本当に楽しいですね。
――工場のスタート地点としての使命感もあるとお聞きしました。
荷受けは工場のスタートダッシュを決めるポジションです。ここで納品数量のミスや食材の品質の不具合を見逃すと、その後の加工や調理、すべての工程で大きなトラブルになります。少しでも不備のあるお食事を届けるわけにはいきません。ナリコマの評判はもちろん、何より「ご利用者様のお食事の安全(=笑顔)は自分たちが守る」という気持ちで取り組んでいます。
重いものを運ぶ作業も多い現場ですが、会社として「20kg以上の重量物を一人で連続して持たせない」という安全ルールが徹底されています。1ケース20kgの玉ねぎは、多い日で1日4トン近く届きます。こうした重量物は男性スタッフや正社員が率先して持ち、チームで分散して運びます。
私自身がパートスタッフとして働いていたので、約10名いるパートスタッフの皆さんと近い目線でコミュニケーションが取れて、現場の意見や要望をすくい上げやすいのも強みだと思っています。
3時半起床、5時始業、14時退勤
――「朝5時出勤」への抵抗はありませんでしたか。
最初は「本当にその時間に起きられるだろうか」という不安はありました。早起き自体は平気でしたが、40代になってその生活リズムで体がもつのか、という不安です。
でも始めてみると、神戸CKの荷受けはほとんど残業がなく、14時には完璧に仕事が終わります。帰る時間がとにかく早いので、今はこの時間帯がものすごく気に入っています。
――1日の流れを教えてください。
毎日3時半頃に起きて、5時から業務開始。まずその日のスケジュール確認をして、検品やリパック、棚入れを終わらせます。1時間の休憩を挟んで、午後は製造管理への報告やシフト作成などの事務作業。14時に定時退勤です。
退勤後はまるまる自由時間です。食べることが大好きなので、平日の空いている時間を狙って、普段は予約の取れない名店へ「昼飲み」に行くのが何よりの楽しみですね(笑)。平日の昼間は混んでいないので、飛び込みでもスムーズに入れます。高齢の両親と同居しているので、明るい時間に買い物を済ませて、ゆっくり夕食を作ってあげられるのもこの働き方のおかげです。
翌日が休みなら、14時に上がれば「ほぼ1日半、丸々遊べる」感覚になります。子どものいる同僚は、14時に退勤して保育園のお迎えに行ったり、すぐに面倒を見られたりするので、子育てと仕事を両立させる働き方として気に入っているようです。
――早朝勤務を検討している方へ、リアルな苦労も教えてください。
やはり、生活リズムが整うまでは大変です。私も入社してすぐの頃、お昼を食べた後の休憩時間にうっかり寝過ごしそうになった失敗がありました(笑)。夜中の3時半に起きるので、同居する家族を起こさないよう気を配る必要も出てきます。
それでも、体は不思議と1ヶ月もしないうちにリズムに順応します。何よりシフトが「朝5時固定」なので先々の予定が立てやすく、生活設計がしやすいのが良いところです。
――今後の目標を教えてください。
私が採用されたときの先輩方がそうだったように、私も仲間の意見に真摯に耳を傾けて、現場を一緒に盛り上げていける存在になりたいです。転職活動で「専門資格がないこと」の厳しさを味わったからこそ、学び続けたい思いも強くて。会社の資格取得支援制度を使って、衛生管理や生産管理、メンタルケアなどの勉強を重ね、確かな「手に職」をつけるレベルアップに励んでいます。
性格的には、組織のトップに立って先頭をガンガン引っ張る「1番手」のタイプではありません。強いリーダーシップを持つ責任者を、2番手として全力で支える「右腕」のポジションが自分に向いていると感じています。
将来的には、体力的に現場が難しくなったときのことも見据えて、製造管理などのオフィスワークも勉強していきたい。プレイヤーとしての楽しさと、マネジメントの視点を、両方バランスよく育てていきたいですね。
「どんな異業種の経歴でも、活かせる瞬間は必ずある」
――再スタートを考えている方へメッセージをお願いします。
私のように会社の倒産や不採用といった挫折を経験した人でも、もう一度やり直せる。ナリコマはそういう会社です。
そして、未経験だからと諦める必要はまったくありません。私自身まったくの未経験でしたが、接客業での「お客様と笑顔で会話する」経験が今のコミュニケーションに活きていますし、店舗動線の視点も荷受けのレイアウトに役立っています。どんな異業種の経歴でも、意外なところで活かせる瞬間が必ずあります。
未経験でも、一歩踏み出す少しの勇気さえあれば、その先には思っているより自由で充実したライフスタイルが開けていきます。ぜひ、私たちと一緒にチャレンジしてほしいです。
編集後記(近畿エリア採用担当より)
篠原さんの話で印象に残ったのは、「未経験の派遣スタッフの提案を、社員が真面目に聞いてレイアウトに採用した」という場面でした。経験年数ではなく、現場を良くする意見かどうかで判断される。だから異業種のキャリアがそのまま武器になります。40代・未経験で工場を検討している方には、まずここを見てほしいと思っています。







