ナリコマの現状と「Incunation」

ナリコマの現状:変化の激しい時代にどう立ち向かうのか

竹内 克成が話をする様子

竹内

ナリコマは、成長期の中でトップダウンでスピード感ある意思決定がなされ成長してきました。しかし、変化の激しい時代だからこそ、もっともっと皆さんが主体的になりボトムアップで多様な意見や考えを取り入れられる組織文化にしたいですね。

北窓

そこで、さまざまなボトムアップのアイデアを形にするために本座談会のコミュニティー「Incunation」が立ち上がりました。読者の皆さんには耳慣れない言葉かもしれませんが、ナリコマ発の「新たなアイデアを形にする場所」と思っていただけたら。

砂本

ボトムアップは、内発的にブレイクスルーが起きないといけませんよね。そのためには、今までのナリコマから変化して攻撃型にシフトする必要があります。私の場合は、DXで業務のスピードを加速させるブースター的な役割を担っていて、これからのナリコマに期待されていることだと思っています。

由利

ボトムからもっとアイデアが流れてくる環境にしたいですよね。経験から出るアイデアももちろんありますし、一方で若い世代が良いアイデアを持っていることもあるんですよね。それを吸い上げるポンプのような組織が必要だなと感じています。若い世代は、一緒にランチへ行くとアイデアを話してくれたりするんですけど、会議の場で問いかけると緊張してアイデアが出ないこともあって、もったいないなあと。

北窓

アイデアを出した人が全てを担わなければいけないと思うから、アイデアがあっても言わないのかもしれませんよね。ほかにも言ったところで上がどう思うかとか、きっと気にするのでしょう。

由利

自分が言ったアイデアが花開いていく感じを楽しいなって思える風土にしたいんですよね。

竹森

現状に甘んじず、現在のサービス+α新しいものを作らないといけない危機感はずっとありますよね。私が所属する課は、お客様のニーズや要望をリアルに伺える部門でもあるので、会社全体で共有したい。そして生産・管理・販売のチームが揃って課題を共有することで、新しいアイデアが形にできるといいなと思っています。

個々が一体感を意識することで、現状が変わっていく

北窓 佐和子が話をする様子

竹内

現状を変えナリコマが業界でナンバーワンになるために、今は土台固めを行ないつつ攻めも必要な時期です。活気が満ち溢れるベンチャー気質は常にあってほしい。凝り固まった組織ではなく、働く皆さんが将来ナリコマで働いていて良かったと思えるような組織にしたい。そのためには、一人ひとり自分ごとにすることが重要なのかなと思います。

北窓

この業界は成長産業でありますし、企業が大きくなってきますと「言われたことをやる」ことが仕事になりがちですよね。そんな中で自分ごと、当事者意識を持つのは案外難しいことな気がしています。

竹内

組織構造の凝り固まりも一つの要因かもしれませんね。会社の規模が小さいときは、自分で色んなことをしないといけなかったので横の連携や一体感を重視したのですが、規模が大きくなると役割分担が明確になり「自分はここまで」となるんですよね。私の中で、そこは問題だなと感じています。

竹森

以前、製造・管理・販売がワンフロアにあったとき、コミュニケーションに困ることはなかったように思います。本社移転によって環境が変わり、さらにコロナ禍になり、顔と名前が一致しないまま仕事をする機会も増えました。お互いの仕事やお互いの苦労が距離的な部分で見えにくくなって、お互いの主張だけを言い合うといった、風通しのつまずきのようなものを感じています。

砂本

旧知の人同士の情報交換、同じ悩みを抱えている仲間がいるはずという発想にならないというか。解決のために、私の部署ではお互いの工場を見学したり、自分たちで体験してモチベーションにつなげていく取り組みを行なっています。相互理解から提案につながってきているのですが、以前はもっとリアルな交流が活発だったんだろうなと思います。

北窓

規模感が近い多くの会社が、同じ悩みを抱えていると思います。規模が大きくなるにつれ、一体感が薄れていくんですよね。本部横断型の研修をすると「他本部の人と話ができて刺激になる」と議論もはずみ、満足度も高いのですが大抵その場で終わってしまって、当事者意識を維持するのが大変難しいと感じています。一体感を失わずにやっていくためには、上がもっと変わって一体感の重要性を意識しないといけないんですよね。このIncunationの場で一体感を醸成してさらに下の層に広げていくことは、活動の大きなテーマでもあると思います。

壁への立ち向かい方を一緒に考えるのが、「Incunation」

由利 知也が話をする様子

由利

組織が大きくなり、役割分担が固まると効率を求めるあまりコミュニケーションが無駄なものという空気になりますよね。でも私は、心の余裕がコミュニケーションを生むと思っていて。無駄だけどあたたかみのあるコミュニケーションが新しいアイデアを生み出すきっかけになるし。一人ひとりの余裕がないと相手に配慮もできないですしね。そのためにはワークライフバランスの見直しや、会社の施策を変える必要があると感じています。

竹内

くつろげる場所や雑談できる空間は今後作っていきたいですね。サークル活動なんかも良いのではないでしょうか。

砂本

フリーアドレスもいいですよね。効率で言うと席は固定のほうがよいのかもしれませんが、固定はコミュニケーションの観点から言えばメリットが少ないですよね。

北窓

フリーアドレスはうちの部署で行なっていまして、スペースの効率化の一方で自然と会話が生まれるメリットを実感しています。ぜひ他の部署でも。

由利

サークルやフリーアドレスで「なんかわちゃわちゃしているけど仕事は回るな」と、皆が思い出す必要がありますよね。「この人こういう生活スタイルなんだ」とか、「こんなことやってる人なんだ」というのを知ることも含めて。

北窓

新規事業を一つ立ち上げ、形にしていくプロセスの中で若手登用であったり組織の連携を強めていくということが、コミュニケーションの課題を解決する一つの手立てとなるかもしれません。Incunationのコミュニティーがアイデアを形にする際の余裕につながればいいなと考えてます。

由利

思っているだけよりも行動に移すことが重要だと改めて感じています。たとえば、営業システムを作ったときもアイデアレベルだったんですけど形になりましたし。トライして一個一個ハードルを消していく作業を行なうことは大切ですね。こんな顔で言うのも何ですが、一人でやるのって心細いんですよ。だから壁への立ち向かい方を一緒に考えるチームがどの世代でも必要だと思います。

Incunationで企業価値は上がるのか?

竹森 宏昌が話をする様子

竹内

会社を成長させていきたい気持ちと同じくらい「お客様にもっと喜んでいただきたい」「ナリコマの価値を上げていきたい」という気持ちがあります。ただ、現場の仕組みをどう変えていくか、キャパをどう高めていくかなどの課題があります。

砂本

キャパの点で言いますと、私はナリコマでDXを広げるときに「誰のためにやっているのか」を意識しています。会社の経営のためにやっているわけじゃなくて、自分事に落とし込むというか。IT化でよく起こるのが「ITを使って効率化して仕事が早く終わったんで、違う仕事やります」っていう。そうじゃないんですよね。早く仕事が終わってキャパができたら、新しいことをつくりだすための時間にしないといけないんです。

竹内

そこが余剰の使い方ですよね。

砂本

たとえば、8時間の仕事を7.5時間で終わるように効率化しました、そこから何を生み出しますかということなんです。まず、負荷の軽減を自分で経験しないと、お客様の喜ぶ顔をイメージできませんよね。自分たちの負担を軽減できるアイデアを実行して、お客様も同じように負担軽減を求めているはずなので、それを実現していく。ここが余剰から生まれるアイデアの使い方なのだと思います。

竹森

現場で、もっと便利にできるはず、何とかしたいと思ってもその術がわからないんですよね。ナリコマの中にある、アナログな部分のDX化を進めて時短ができると生産性も上がりますし省人化もできます。コンサルティングの付加価値にもつながるのではないかと考えます。

竹内

競合との競争が激化している中で、DXのコンサルティングというのは企業価値を上げることにつながりますね。

竹森

ナリコマはこれまでもニーズの一歩先のものをつくって、後々認められて広がっていくという構図がありました。クックチルはまさにそうでしたよね。ニーズとかウォンツとかになる前の段階でアイデアを見出して、行動に起こす力がナリコマにはあります。もちろん、ニーズに応えるというのも付加価値ではあるんですけれど、このIncunationの場でお客様がまだ気づいていないものをつくっていけたら、企業価値はもう上がるしかないと思っています。

ナリコマが持つ新規事業の可能性

砂本 吉隆が話をする様子

由利

培ってきた製造技術やサービスの多様性、人材、セントラルキッチンのハード面などナリコマは強みとなるものをたくさん持っています。すべて自社保有していることは、トライもしやすいんですよね。たとえば神戸セントラルキッチンのDX化も、自社だからこそできたことなんです。自社の工場をDX化した前歴があるから厨房のDX化もきっとトライしやすい。

竹内

保有している資産の使い方を多様に考えると、活かす余剰がまだまだありますね。

由利

大手飲食チェーンの厨房もどんどんDX化されています。注意して見てみると「この人数で回しているの!?」という驚きもあったりして。これは現場のDX化だけではなく、ハード面で機械の投資も必要だと思います。同じように、医療福祉の現場で取り入れられないかと考えたりもします。

北窓

DX化に意識を持つ企業同士でコラボレーションするなど、そういう情報の枠があるとタッグを組みやすいと思います。

竹内

企業や業界との接点を活かしての新規事業は何か考えられないでしょうか。

砂本

最近、製造部では物流業界の取り組みを採用したり工業の分野を取り入れたりして、人の手でやる作業を削減できた実績があります。他業界からナリコマの中へアイデア輸入を進める一方、ナリコマから外へ向けては「ナリコマで農業」もおもしろいのではないでしょうか。

北窓

国外での仕入れになりますと、為替や気候の変動に左右されることは考えられますので自社で農業というのも視野に入れなければならないことかもしれませんね。

由利

仕入れ先を開示できる企業は信頼に当たりますよね。ナリコマが契約している「●●さんのキャベツ」とか、そういうのがあると結構刺さるなと。

砂本

物流のリードタイムを削減できることに加え、地域のおいしいものを地域の人に食べていただくこともできます。出てきた生ゴミを肥料にして次の作物を育てるために使用するなど、セントラルキッチンと農業は地域の雇用や中途産業に直接還元できる事業だと思います。事業化して偏りなく運用するためには、DX変革していかないといけないなと、そういうことを考えていました。

竹内

おもしろいですね。こういった新規事業の可能性も、Incunationでは探ってみたいですね。

砂本

仕入れ先を日本国内、契約農家でやる。単なる契約だけではなく、機械も土地も全部ナリコマがやりますよとか。開拓段階からナリコマが農場をつくりますとか、アイデア次第で新規事業の可能性は広がると思います。

これからのナリコマ:チャレンジの領域を広げ価値を創造する

竹内

ナリコマは自分たちで何でもやっていくという文化があって、すごく良いことだなと思っています。しかし、自分たち「だけ」でやるには成長スピードが遅くなるとか、どこか限界が生じることもあって。お客様への価値創造に必要なのは、お食事や厨房のことを越えてソリューションを提供することだと考えます。

砂本

成功例や失敗例といった実例を見せないと人は動いてくれませんよね。自由すぎると遠慮したりするので、ある程度率先してやらないといけない部分も出てきます。これまで醸成されてきた企業風土を一旦フラットにして、失敗してもいいから誰でも意見が言える形にすると、ボトムアップで上がってくる企画の質がよくなるはずです。

由利

営業視点で言いますと、会社の新しい商品やサービスにアンテナを張る最前線に立っているのできっと皆さんいろんなアイデアを持っていると思います。これから、そういうのを臆せずに出せるアウトプットの間口をつくっていきたいなと思います。

竹森

他業界からの知識の吸収という意味で、今後の働き方も変わってくると思います。専門的な知識を持っている方が少しの時間ナリコマにいるだけでも、アイデアを形にするスピードが上がることもあるわけです。今ナリコマは副業禁止ですけれど、将来的には柔軟な働き方ができる会社になっていくのではないでしょうか。

北窓

このIncunationのコミュニティーでは、さまざまなアイデアが生まれ、失敗することも含めて皆さんにしっかり見せていくことが大事ですよね。特に若手の人たちには、ナリコマが変わりつつあることに希望を持っていただけると思います。社外の人に向けてもナリコマの動きを見せることで企業の成長を感じていただけますよね。

竹内

今の事業と親和性が高いことへのチャレンジとともに、別の市場にチャレンジしていくことも必要ですね。まずはこのIncunationのコミュニティーから、さまざまな可能性を排除せず上の層も下の層もいろんな意見をぶつけ合いながらより良いものをかたちにしていける文化を育てていきましょう。
皆さん、本日はありがとうございました。

参加者が和やかに談笑する様子

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