ナリコマグループ

なぜ、自社CKは15年で幕を閉じたのか。辰元グループが辿り着いた、ニュークックチルによる厨房改革の全貌なぜ、自社CKは15年で幕を閉じたのか。辰元グループが辿り着いた、ニュークックチルによる厨房改革の全貌

「自社セントラルキッチン(CK)さえあれば、給食赤字から脱却できる」

歯止めの利かない人件費や物価の高騰…。今も給食運営に苦しんでいる病院・施設様の多くは、一度は自社CKという選択肢が頭に浮かんだことがあるかもしれません。

今回インタビューにご協力いただいた辰元グループ様も、2006年に自社CKの開設に踏み出した、業界のパイオニアとも言える医療法人でした。品質の安定化、コストの削減……、将来を見据えての直営化でしたが、開設から15年後、法人の期待を背負った自社CKはあえなく廃止を迎えます。

「自社CKを有効活用するには、幾重にも重なる条件を達成しなければいけない。そして私たちはその認識が甘いまま動き出してしまった。」辰元グループの代表理事・宮内様は当時を振り返り、そう語ります。

起死回生の一手は存在しないのか。成功するためには何をどうすれば良かったのか。本記事では全てお届けしますので、今一度冷静な目で、ご自身の病院・施設に本当に必要な給食運営とは何かを見定めていただければ幸いです。

辰元グループ 宮内さま

一般社団法人辰元会
代表理事 宮内 俊和さま

個別対応から抜け出せず、膨らみ続ける人件費。
自社CK運営のギャップに苦戦し続けた15年間。

自社CK8年目での参画。経営課題はオンパレード

宮内様は、どのような経緯で辰元グループに入職されたのでしょうか?

私が辰元グループに参画したのは、CK開始から8年目の時期でした。元々前職では複数の飲食企業を経営しており、海外に出店するタイミングでちょうど、親族であった医師の理事長に「うちの経営を見て欲しい」と誘われた形です。

経営理事としていざ状況を見ると、目を疑うものでした。利益や減価償却などの売上管理は全くされておらず、職員への利益配分が行き届いていない。経営を行うにあたっての最終目標は真っ白で、内部留保の使い道も考えられていない。

利益が上がっている今は良いものの、これでは経営状況が悪化した時に対策ができないと、抜本的な改革に着手したわけです。とりわけ見過ごせない障壁になっていたのが、当時開設から8年目を迎えた自社CKの存在でした。

利益はある。未来はない。自社CKが抱えた構造的矛盾

具体的にはどのような課題があったのでしょうか?

そもそも、辰元グループが自社CKを開設した一番の目的は「効率化」でした。当時グループは事業拡大の真っただ中にあり、その効率化の一環として厨房改革、つまりCKをスタートしたわけです。具体的には、統一献立・大量仕入れ・大量調理によるスケールメリットを出し、人件費・食材費のコストを削減しようとしていました。

ところが実際の運用は上手くいかず、例えば統一献立に適さないメニューを続けていたり、食形態の個別対応を厨房で行う必要があったりと、現場依存の状態から抜け出せないままでした。食材費で多少コストダウンできたものの、厨房職員は減らないままCKの職員だけが増える悪循環に陥っており、人件費は削減どころか想像以上に膨れ上がってしまったのです。

そうした問題を抱えていたにも関わらず、なぜ15年もの長い間、CK運営を維持できたのですか?

その理由は、運営すれば必ず利益が出る構図になっていたからです。CKを運営していたのは独立した株式会社。つまり食材提供の価格提供権を持っており、逆算して価格設定をすることで表面上の利益は確保できるわけです。そしてこの仕組みこそが抜本的な改革を遅らせ、組織の未来を蝕んでいたのです。

不相応な価格での食事提供は、施設経営の弱体化につながります。さらに言えば職員の待遇改善も見込めず、早朝・夜間のシフトでは常に人員不足の状態が続き、もはや食事提供すら危ぶまれる状態が続いていました。「このままでは辰元グループに未来はない」この決意のもと、私は自社CK廃止という決断に踏み切ったのです。

厨房改革の“最適解”は、ナリコマにあった

給食運営を直営から委託に切り替えられる病院様も多い中、あえて直営でニュークックチル運営を選ばれた理由は?

私たちも当初は委託運営を考えていましたが、大手でさえ人員を埋めるために苦戦しているというお話も耳にしますし、委託撤退のリスクもゼロではない。そんな中で、あるご縁からナリコマの営業・梶原さんとお話をする機会があったのです。そこで知ったのがニュークックチル運営の可能性。ここに私たちが抱える問題の多くを解決できることに気付き、ナリコマを頼ることに決めたわけです。

最も惹かれた「省人化」の効果は、私たちの想像を遥かに超えるものでした。例えば、当グループの80床の施設では、厨房職員5~6名で運営していた人員が3~4名に減少。コストでは年間約800万円の人件費を削減できました。

さらに厨房職員の人件費や食材費、光熱費等を含め、ナリコマに切り替えてから食事の製造原価は1名当たり1日約150円減少しました。もちろんCKの設備修繕費なども不要になり、1施設年間約400万円、全12施設で年間約3000万円の経費削減を実現した形です。

一方で、課題とされていた人員不足の悩みは改善できたのでしょうか?

はい、前述の通り必要な運営人員を半減できたことはもちろんですが、ニュークックチルによって職員の勤務時間も5:30~19:30から7:30~18:30と短縮できました。早朝・夜間のシフトは特に採用に苦労していましたので、長年の課題が解消されたことは本当に助かりました。

また、今までのような個別調理の必要もなくなり、栄養士が土日に休みを取れるようになった点も大きな改善点です。こうした労働環境の改善から職員の定着率は格段に上がり、新規採用にかかる負担も大きく軽減できました。

自社CK運用時の業務シフト

ニュークックチル切替後の業務シフト

特定技能人材とのシナジーが未来を拓く

今後の人員不足課題において、さらなる打ち手はありますか?

調理が簡素化されたニュークックチルは、良い意味で「誰でもできる業務」であり、働き手が減っていく少子高齢社会には最適な給食運営の手法になると感じています。

そこで私が着目しているのが、介護・外食分野などの特定産業分野で活躍する「特定技能外国人」です。ニュークックチルは1ヶ月もあれば作業を覚えることができ、“日本の味”を知らない外国人でも高品質の食事を安定して提供できる。特定技能外国人との親和性は非常に高いと言えるでしょう。

実際に辰元グループでも登録支援機関「一般社団法人CODONA」を構え、現在10名の特定技能外国人を厨房で受け入れています。その働きぶりは現場の評価も上々で「もっと採用して欲しい!」という要望までいただくほど。2026年度からはフィリピンから大勢の新社会人を迎え入れる予定が立っており、給食運営はまさに盤石の状態を迎えています。

自社CK運営を成功させるためには、何が必要だったのか

給食運営が軌道に乗られた今、当時を振り返って、CK開設を検討されている法人様に向けてアドバイスはありますか?

私たちが辿り着いた結論は、自社CKの成功には「圧倒的なスケール」「現場の納得」「人材の安定確保」という、極めて高いハードルがあるということです。そして、その全てにおいての打開策が、ナリコマのニュークックチル運営でした。

採算ラインは1日6,000食。その壁をどう越えるか。

自社CKでコストメリットを出すには、私の試算では最低でも1日6,000食のロット確保が必要です。中途半端な規模では、CKの運営費がスケールメリットを上回り、かえってコストが増えてしまう。かつ提供施設から30分以内に配送できる立地にCKを構える、といった立地的な条件も挙げられます。

その点、ナリコマは全国にCKを持ち一日53万食を製造、2,800以上の病院・福祉施設へサービスを提供している企業です(※2025年5月末)。一法人では決して到達できないスケールメリットが価格に反映されており、高品質な食事を安価で利用できる。これは当然のようで、実現困難なことです。

統一献立の壁と、個別対応の両立は可能か。

CKの基本は「統一献立」ですが、現場からはご利用者様一人ひとりに合わせた個別対応を求められます。この板挟みが最も苦しい点で、私たちは対応するルールを設定することができませんでした。かといってCKで多様な食形態に対応するには、莫大な設備投資と衛生管理のコストがかかってしまいます。

ナリコマはCK製造でありながら、常食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食の4形態を標準提供してくれます。これにより現場の個別調理はほぼ不要になり、かつ利用者様の状態に合わせた食事を提供できる。このバランス感覚が絶妙でした。

人材を確保できるか。長く定着してくれるか。

厨房職員の採用と定着は永遠の課題であり、特に早朝・夜間シフトは常に人員不足に陥りがちです。自分たちのパフォーマンスで、どの程度の職員を確保できるのかを改めて考えなくてはいけません。

ニュークックチルは、この課題も解決してくれました。調理の簡素化で必要な人員を抑えながらも、職員の定着率が格段に上がったのです。さらに重要なのは、ナリコマが厨房運営だけでなく「人材」までフォローしてくれる点です。食事提供だけに終わらず、給食運営という観点でここまで考えてくれる給食会社は、なかなか他には見つかりません。

編集後記

成功事例ばかりが語られがちな自社CK。しかしその裏には、辰元グループ様のように、理想と現実の狭間で悩み、挫折した法人も数多く存在します。本記事の内容は、給食運営のあり方を考える全ての病院・施設にとって、貴重な道標となるはずです。

あなたの法人は、自社CKの成功条件を満たしていますか?もし少しでも不安があるのなら、あるいは委託会社任せの運営に悩んでいるのなら、ぜひ一度ナリコマに相談をお寄せください。厨房の未来を照らす「最適解」の創出、そして持続可能な給食運営に、どこまでも伴走いたします。

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