ジャーナルJOURNAL

日常に「ハレ」はつくれるのか。本質的な豊かさに目を向けて

日常に「ハレ」はつくれるのか。本質的な豊かさに目を向けて

――商い創造研究所・松本大地さんと語る、豊かさの変化と「ハレ」の工夫

今回、お話を伺ったのは、商い創造研究所代表・松本大地さん。
街づくりの現場に長く関わってきた松本さんの言葉から見えてきたのは、
これからの時代に必要なのは、単なる利便性ではなく、
日常の中に小さな「ハレ」をつくることだという視点でした。

そしてその考え方は、街だけでなく、食にも深くつながっています。

「日常のハレ」を、どうつくるか

松本さんが語ったキーワードの一つが、「日常のハレ」でした。

日本には古くから、日常を「ケ」、
特別な日を「ハレ」と分けて捉える感覚があります。

けれど今、私たちに必要なのは、非日常をたまに味わうことだけではなく、
むしろ、日々の暮らしの中に、
小さなハレを散りばめていくことではないかと、松本さんは言います。

その象徴的な例として挙げられたのが、ユニクロの花でした。

服を売る会社が、なぜ花を売るのか。
それは商品を増やすためではなく、
暮らしに一輪の花を添えるような生活そのものまで提案しようとしているからです。
そんな発想が、現代の「豊かさ」の再定義につながっていきます。

北窓も、この話に強くうなずきました。
食事もまた、ただ空腹を満たすものではなく、
日常に彩りをもたらす「日常のハレ」になりうると感じたからです。

食には「敗者復活戦がない」

対談の中でもとりわけ印象的だったのは、松本さんのこの言葉でした。

「食って、敗者復活戦がないんですよ」

もしお客さまが一度でも期待外れを感じたり、不快な体験をしたりすれば、
その印象は良い評判以上の速さで広がってしまう。
つまり、食の世界では「一度きり」の重みがとても大きいということです。

この言葉は、ナリコマが日々向き合っているテーマとも重なりました。
日常の一食に、ひとさじに、どれだけ心を込められるか。
その積み重ねが、信頼になっていくのだと改めて感じさせられました。

「アンチエイジング」ではなく、「ビューティフルエイジング」へ

また、松本さんは、シニア像の変化についても鋭い視点を投げかけました。

『サザエさん』の波平さんは54歳。
かつては“おじいちゃん”の象徴のように描かれていた年齢も、
今ではまったく違って見えます。

現代のシニアは、より活動的で、意欲的で、美意識も高い。
だからこそ、シニアマーケットも「安さ」だけでは動かないのです。

健康でありたい、長く自分らしくありたい、生活の質を高めたい。
そうした思いに応える「本質的な価値」が、これからますます求められていきます。

松本さんが描く未来は、老いに抗う社会ではありません。
むしろ、美しく年齢を重ねていくことを肯定する社会です。

ナリコマが大切にしてきた「その人らしく食べ続けられること」と、
松本さんの話が自然にシンクロした瞬間でした。

食から、未来の社会は変えられる

対談を通して見えてきたのは、豊かさの基準が大きく変わってきているということでした。

効率、安さ、便利さ。
もちろんそれらも大切です。
けれど、それだけでは人は満たされません。

食卓の一輪の花、慣れ親しんだ土地の味、会話が生まれる居場所。

特別な日だけではなく、
普段の暮らしの中に、小さな「ハレ」をつくっていくこと。
その視点が、これからの社会には必要なのかもしれません。

今回の対話は、ナリコマが考える「食の価値」を、
より広い視野の中で捉え直す機会になりました。

今日を少しだけ良い日にするために。
あなたのまわりには、どんな「ハレ」が散りばめられているでしょうか。

動画はこちらから

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