食材の価値は、どこで決まるのでしょうか。
まっすぐで、形がそろっていて、袋にきれいに収まること。
市場や流通の中では、そうした基準が価値を決めることがあります。
けれど、少し大きく育った小松菜も、少し曲がったにんじんも、本来は食べられるものです。
そこには、土地や季節とともに歩んだ生産者の手間があり、
私たちが見過ごしてきた価値があります。
「卸」から「食のプラットフォーム」へ
今回、ナリコマの北窓佐和子が対話したのは、株式会社ミナト代表取締役の湊浩さん。
京都で業務用食料品を扱ってきた同社は、かつての「卸」という枠を越え、
生産者、料理人、ホテルやレストランをつなぐ
「食のプラットフォーム」へと事業を変えてきました。
価格だけで比べられる世界から、食材の背景や可能性を見立て、
新しい価値として届ける会社へ。
その変化の根底には、湊さんの経営判断がありました。

フードロスの先に、生産者の未来を見る
湊さんの言葉から見えてきたのは、
見過ごされてきた食材に向き合うことの先に、生産者が続けていける未来を見ている姿勢でした。
食材を加工し、冷凍やピューレにしてその価値を理解してくださる料理人へ届ける。
そうした取り組みは、結果としてフードロスの削減につながります。
けれど、湊さんは、生産者の収入が増え、
次の世代が「やってみたい」と思える仕事になることを見つめていました。
食の未来を守るには、畑に立つ人たちが続いていくことが欠かせないのだと、
対話の中で何度も感じられました。
リスクを恐れず、想いを形にする
売れるかわからないから……採算が合わないから……手間がかかるから……前例がないから……。
「やらない理由」は、とめどなく並べることができます。
そのようななか、湊さんは、リスクを見極めながら、
「まずやってみる」ことを選んできました。
元銀行員として多くの企業を見てきた経験が、冷静なリスク感覚を支えています。
一方で、その判断は決して数字だけではありません。
おいしいものを届けたい。生産者を支えたい。食べる人に喜んでもらいたい。
その想いが、事業を動かす力になっています。

後編で語られた「4×WIN(フォー・ウィン)」という考え方も、湊さんらしい言葉でした。
食べる人、料理人やお店、生産者、
そしてミナトもその循環の中で喜びを実現していく。
誰か一人が得をするのではなく、
関わる人たちがそれぞれに豊かになっていく状態をつくること。
それは、「おいしい」を続けるための必須条件に近いもののように聞こえました。

食の未来を支える「目利き」と「覚悟」
ナリコマも、医療・福祉の現場に、365日食事を届け続けています。
そこには、安定供給の責任があり、
食べる力に合わせる工夫があり、厨房運営を支える仕組みがあります。
一方で、毎日たくさんの食材を扱うからこそ、
食材の選び方や使い方が、食の未来に与える影響も小さくありません。
食は、効率だけでは続きません。
けれど、想いだけでも続きません。
おいしさと、持続可能性。
生産者の暮らしと、食べる人の喜び。
現場の負担と、食事を届け続ける責任。
それぞれのあいだには、いくつもの選択肢と、試行錯誤があります。
湊さんとの対話は、食に関わる企業が持つべき「目利き」と「覚悟」を
どれだけかたちにできるかを問われているようでもありました。
食の見えない価値を信じ、まずやってみること。
その小さな一歩の積み重ねが、
まだ見えていない食の価値を、未来へつないでいくのかもしれません。
動画はこちらから
▼美食×サステナブル 食のプラットフォーム革命
▼全員が豊かになる経営哲学「4Win」
