事業を続けていくために、会社は働く人の人生をどこまで引き受けるのでしょうか。
社員のために制度を整えることや、場所をつくること。
技術を磨き、お客さまに価値を届け続けること。
そのどれもが大切です。
今回、ナリコマの北窓佐和子が対話したのは、プライミクス プラス株式会社代表取締役社長の永井康子さん。
プライミクス社は、化粧品や医薬品、食品などの製造や研究で使われる攪拌機を手がけるメーカーです。大阪から淡路島へ本社・工場を移転するとき、同社が最初から大切にしていたのは、社員が健康のことを考えながら、楽しく働ける環境をつくることでした。
その環境を支えるために、社員食堂の運営や清掃、施設管理などをグループ内で担っているのが、プライミクス プラス社です。
過ごす時間・訪れる時間がブランドになっていく
プライミクス社の淡路島への移転は、大きな経営判断でした。
通勤のことはもちろん、社員がついてきてくれるのかという不安や、お客さまが遠くまで来てくださるのかという心配など、決して簡単な選択ではなかったはずです。
けれど今では、地域の方が見学に訪れ、家族から「あの会社」と聞いた若い人が応募することもあるといいます。
お客さまも、「せっかく来たのだから」と来社テストや立ち会い検査だけで帰るのではなく、食堂で食事をし、ミュージアムや工場を見て、そこで働く人たちの姿に触れて帰っていく。
会社を訪れる時間そのものが、ファンをはぐくむ体験になっているのです。

さらに印象的だったのは、「声を聴くこと」には責任が伴う、という話でした。
社員の困りごとに耳を傾ければ、会社として向き合わなければならないことが生まれます。
すべてを受け入れるのではなく、できること、できないことを一つひとつ伝えていく。
その手間を惜しまない姿勢もまた、働く人を大切にするということなのだと思います。
社員の声を、みんなでおもしろがりながら形にしていくことも、その文化の一つです。
たとえば、会社のロゴを入れたポロシャツがほしいという提案を、実際につくってみる。自分の声が形になり、社内で使われていく。その小さな経験が、会社のことを自分ごととして考えるきっかけになります。
やってみて初めてわかることを、一緒におもしろがる。そんな積み重ねの中で、組織が大切にしているものが、日々の風景として見えるようになっていくのです。
「大切にされている」実感を日々の中に
淡路島の食材を使った、毎日変わる献立。今日の献立は何だろう、これはどんな食材だろう。日々の食事には、小さな気づきが散りばめられています。その積み重ねが、仕事の中でも気づき、考える習慣につながっていくと、永井さんは言います。
一方で、食堂や寮のスタッフも、社員一人ひとりの好みや食べる量を知っています。食と住が近接する環境は、社員の小さな変化に気づき、支えるきっかけにもなっています。

会社のまんなかに何を置くのか。
それは、働く人の今日を支え、会社の明日をつくることでもあるのかもしれません。
ナリコマもまた、同じ問いと向き合っています。
医療・福祉の現場に365日、食事を届け続けるためには、召し上がる方々への想いとともに、その一食を支える人たちへのまなざしも欠かせません。働く人が、日々の中で「大切にされている」と感じられる環境を整えていくこと。それも、食を届け続けるための大切な土台です。
だからこそ、働く人のことを考えることは、経営の周辺にある話ではなく、事業を続けていくための中心部分にあるものなのだと思います。

守りたいものを守り続けるために、会社は変わっていく。
その変化の中で、何を自分たちで引き受けるのか。
社員の声に一つひとつ向き合うこと。日々の食事を通じて、小さな変化に気づくこと。
プライミクス プラス社の取り組みからは、働く人を大切にするという想いを、日常の中で形にし続ける姿勢が伝わってきました。
会社のまんなかに何を置くのか。
その問いへの答えは、日々の小さな選択に表れるのかもしれません。
私たちナリコマもまた、食べる人と、その一食を支える人を見つめながら、人を中心に置く選択を続けていきます。
動画はこちらから
▼淡路島移転から紐解く 経営の覚悟
前編
▼効率を超えて ブランドを育てる組織づくり
後編
