代表

嗜好に合わせたおいしさの工夫

ナリコマホールディングス代表取締役社長 竹内です。
今回は、「嗜好に合わせたおいしさの工夫」についてお伝えしてまいります。

クックチル食品を開発し始めた当初は、さまざまな試行錯誤を繰り返しました。お客さまからもご意見を多くいただき、工場、従業員とともにクックチルを開発してまいりました。煮物一つとってみても、焼いてみたり煮てみたり、煮方が足りなくて味が染みていなかったりなど、商品開発には苦労の連続でございました。時には厨房スタッフから「社長、いい加減にしてください」と叱られることもありながら邁進し、本日の品質にたどり着きました。

現在もおいしさにはこだわり続けており、私自身商品開発に一から関わることはなくなりましたが、毎日検食を行っています。地域によって味の好みはさまざまで、例えばおいしいと言われる副菜が、一方で関西では「すっぱすぎる」など、好みが分かれることもございます。そのようなお客さまの声を参考にすることもありますが、大量調理のため基準がないと全体的な味の揺らぎにつながります。ですから、社長である私が食べておいしい食事を一つの基準としております。

地域によって味の好みが違うことに気づいたのは、九州出身の長男の配偶者が持ってきてくれたお醤油の味が、私が知っている味と全然違うことでした。まったりと濃くて、少し甘い。「これは同じお料理でも出来上がる味が違うな」と認識しました。ましてや、その味で育ったご高齢者の方からすれば、九州以外の醤油で作ったお食事に対し「なんでこんな味なんだ」ということになりますよね。

調味料に限らず、地域のニーズを反映することは避けて通れません。全国すべての献立が同じというのはメリットもある一方で、お客さまに寄りそった本当のサービスと言えるのだろうかと考えることがございます。毎日のお食事は、各々の地域によって食べ慣れた味であって口に入れるとほっとする味わいが広がる、そのようなお料理でなければいけません。

ナリコマでは地域に合わせた調味料を使用していますが、将来的にはもっと地域らしい行事や地域独特のお料理を取り入れることが理想です。セントラルキッチンは大量調理であるがゆえに、クックチル製造で個別化に特化するとなれば、設備・コストなど越えなければならないハードルはいくつもあるでしょう。今後どこまでお客さまのニーズ、そして季節感を大切にする我々の思いを実現していけるか。これは難しいですがチャレンジし甲斐がある課題だと感じております。

また、素材の仕入れ段階から味にこだわらなければ、本当のおいしさにはたどり着きません。先日も検食の際にさつまいもを食べましたが、味が生きていない。「これではお客さまにお出しできません」と指摘しました。そろそろ社長として黙るべきところは黙って、現場の判断に任せようと思っているのですがつい言ってしまい、少々反省しております。しかしその後、国産でおいしいさつまいもに変更されることになり「これならいける」と判断しました。

大量調理のためコストを抑えて、よい食材を調達できる強みがナリコマにはあります。しかし、現状に満足せずどうしたらもっとお客さまに納得いただけるおいしさをお届けできるかは、永遠のテーマでもあります。地域の嗜好をもっと理解しお客さまのご意見を受け入れながら、おいしさに工夫を重ねてまいりたいと存じます。

今回は「嗜好に合わせたおいしさの工夫」についてお伝えしました。次回は「新しい社員に期待すること」についてお伝えします。

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