高齢者の食事で危険視されているのが「むせ」です。食事でむせることを防ぐには、ソフト食やミキサー食のように、適した介護食を用意することが大切です。この記事では、高齢者がむせやすくなる原因や、むせない誤嚥として注意が必要な不顕性誤嚥について解説するとともに、誤嚥を防ぐための食事のポイントとナリコマの介護食の特長についてお伝えします。
ちょっとした拍子に咳き込んでしまう「むせ」は、飲食物が本来食道に入るべきところを、誤った気管に入りそうになることで起こります。飲み物や食べ物が気管や肺に入ると、呼吸困難や肺炎などのトラブルにつながります。それを防ぐために、のどの奥が検知して空気を押し出し、入ったものを吐き出すように体に働きかけるのが「むせ」です。
目次
高齢者の誤嚥の原因とは?
高齢者の誤嚥の原因には、加齢に伴う筋力低下や入れ歯が合わないといった口腔環境の問題などがあります。厚生労働省による2024年の人口動態統計による「死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)」で、誤嚥性肺炎で亡くなった人は63,667人でした。
特に高齢者の肺炎では誤嚥性肺炎の割合が高いことが知られています。肺炎で入院した患者の誤嚥性および非誤嚥性肺炎の年齢別割合を示した研究では、50歳頃から誤嚥性肺炎の割合が増加し始め、80歳以降ではほとんどが誤嚥性肺炎という結果も見られました。誤嚥の原因はさまざまですが、主な原因を理解して対策を行いながらケアにあたることが重要です。

加齢に伴い筋力が衰えてむせる
高齢者がむせる原因としてよく挙げられるのが、加齢に伴う筋力の低下です。人は年齢を重ねると、噛む力や飲み込む力が衰えてきます。よく噛んで飲み込む動作がスムーズに行われないことで、食べ物や飲み物が気管に入りやすくなるのです。筋力の衰えなどで飲み込む反応が遅くなると、水のようにさらさらとしたものは流れるスピードが早いため、むせやすくなります。また、加齢によって唾液の分泌量が減少することも、むせやすくなる要因の一つです。
入れ歯が体に合わなくてむせる
高齢者の場合は、入れ歯が原因でむせやすくなることがあります。入れ歯が口の中に合っていないと、舌が上手く動かなかったり、噛みづらくなったりしますが、これによって誤嚥しやすくなります。歯が欠けている、歯がないといった状態では、食べ物をよく噛めないため、入れ歯選びはとても重要です。むせるのを防ぐためには、まず上あごから入れ歯を使ってみる、嚥下機能の改善が期待できる入れ歯を使う、などの方法があります。
むせない誤嚥「不顕性誤嚥」のリスク
高齢者の誤嚥で注意したいのが、むせていないのに誤嚥が起きる「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」です。高齢者は誤嚥しても必ずむせるとは限りません。むせは、のどの奥の感覚によって引き起こされますが、この感覚が低下していると、気管に食べ物や唾液などが入りそうになっても咳を起こして吐き出すことができません。その結果、誤嚥したものが肺に入り込み、炎症が起きると誤嚥性肺炎の発症や重症化につながります。
不顕性誤嚥は、身体機能が低下すると起きやすくなるため、年齢を重ねるほどリスクも高まります。きっかけは食事に限らず、睡眠中に唾液などが気管に入る場合もあるため注意しましょう。不顕性誤嚥では、通常の誤嚥を防ぐための食事の工夫などに加えて、肺炎予防にも力を入れることが大切です。筋肉のトレーニングや寝ているときの姿勢の工夫、肺に細菌がなるべく入らないようにするための口腔ケアなどを行い、さまざまな方法で予防することが求められています。
誤嚥を防ぐポイントは食事のかたち

誤嚥を防ぐポイントは、食事のかたちや食べ方の工夫です。まずは、むせやすい食事の特徴を知り、食材や調理方法をむせにくいかたちに調整する必要があります。さらに、食べるときに誤嚥しにくい姿勢をとる、少しずつゆっくり食べる、などのように、姿勢や食べ方も工夫して、食事全体を誤嚥しにくいスタイルに整えていくことが大切です。
むせやすい食事の特徴
むせやすい食べ物には、形状が食べづらい、酸味や湯気のようにのどを刺激しやすい、といった特徴があります。以下は、むせやすい食べ物の一例です。
- さらさらした液体:水、お茶、味噌汁、ジュースなど口の中でばらばらになるもの:ひき肉、硬い野菜、かまぼこ、イカなど
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水分の少ないぱさつきのあるもの:パン、ゆで卵、カステラ、いも類など
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口の中に付きやすいもの:海苔、薄切りの生野菜、きな粉、ワカメなど
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粘りのあるもの:餅、団子など
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酸味の強いもの:酢の物、柑橘類など
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湯気の出る熱いもの:淹れ立てのお茶、出来たての味噌汁など
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小さく硬いもの:ごま、豆類など
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食べる際に滑りやすいもの:ところてん、こんにゃくなど
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液体と個体が一緒に口に入るもの:麺類、味噌汁、すいかなど
むせにくい食べ物の形に変える
むせやすい食べ物でも、食材そのものを厳密に避ける必要はありません。形状や調理方法を工夫して、むせにくい食べ物に変えることで栄養を偏らせずに安全に食べることができます。ポイントは、噛みやすいもの、飲み込みやすいものにすることです。例えば、以下のように変化させることができます。
- さらさらした液体・口の中でばらばらになるもの→とろみをつける、ゼリー状にしてまとまりやすくする
- 水分の少ないぱさつきのあるもの→よく加熱してペースト状にする、適度な水分や油分を含ませる
- 口の中に付きやすいもの→切り方を工夫する、適度な水分を含ませる
酸味の強いものは酸味を控える、湯気の出る熱いものは冷ましてから食べるなど、ちょっとした工夫で誤嚥防止に役立ちます。麺類も、汁の部分にとろみを付けて、麺をやわらかく茹でて適度なサイズにカットする、などの工夫で食べやすくなるでしょう。
ナリコマの介護食の特長
ナリコマでは、食べる方の身体機能に合わせて、選べる介護食を含めた下記の4形態のお食事を展開しています。365日サイクルの献立では、いずれの形態も献立は同一で、食材の形状は異なっても変わらない味わいです。

普通食
普通食は、お食事に制限なく食べられる方向けです。普通食ではありますが、一般的なお食事よりもやわらかく調理しているため、高齢の方におすすめできる形態です。また、味わいにも工夫があり、個々の食材に最適な調理方法によって、素材本来の風味を生かしています。病院や福祉施設で長期間過ごされる場合でも飽きがこない、家庭的なお食事をお楽しみいただけます。
ソフト食
ソフト食は、噛む力が低下しているものの、食材がやわらかければ食べられる方向けの形態です。歯茎や舌でつぶせるやわらかさに仕上げているため、簡単に咀嚼することができます。魚はほぐして、野菜は粒状にしているため、食べやすい形です。やわらかく調理してありますが、食材の食感は残っているため、食事の楽しみをキープできます。
ミキサー食
ミキサー食は、噛む力とともに飲み込む力も低下している方向けの形態です。ミキサー食は水分を加えることで味や栄養価が薄まってしまう難点がありますが、ナリコマのミキサー食はすりつぶす製法のため、水や出汁で薄めることなく、おいしく十分な栄養をとることができます。また、献立も普通食と横並びで盛り付けも同じように行っているため、見た目にもおいしいお食事です。
ゼリー食
ゼリー食は、噛む力とともに飲み込む力も低下している方で、ミキサー食でも誤嚥の危険を感じられる方向けの形態です。ミキサー食をゼリー状に加工しているため、おいしさも栄養価もそのまま引き継いでいます。つるんとした状態に仕上がっているため、食感も楽しめて食道への滑りも良いお食事です。
工夫された介護食はナリコマにおまかせ
噛む力や飲み込む力が、年齢とともに衰えていくのは仕方のないことでもあります。年齢を重ねても変わらない食事を楽しむには、さまざまな工夫が詰まったおいしい介護食が必要です。ナリコマでは、おいしく食べられる食事形態だけでなく、365日サイクルで飽きのこない献立もご用意しております。導入をお考えの施設さまは、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせくださいませ。現状のお悩みを詳しくお伺いしたのち、最適なプランをご提案させていただきます。
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