高齢者の食事では「むせ」が起こりやすく、気を配りたいポイントです。食事でむせることを防ぐには、ソフト食やミキサー食など、身体の状態に合った介護食を選ぶことが役立ちます。高齢者がむせやすくなる主な原因には、以下のような点が挙げられます。
●高齢化による筋力の低下
●歯の状態や入れ歯の不具合
●食べる姿勢が安定していない
●食事の形状が身体の状態に合っていない
また、むせが起きていない状態でも誤嚥を起こすことがあるため、日頃から様子を確認することが大切です。必要に応じて専門職へ相談しながらケアを進めましょう。
食べづらい形状やのどを刺激しやすい状態の食事はむせやすいため、特徴に合わせて調理方法を工夫してみてください。以下のような工夫で、むせにくい食事に調整できます。
●とろみをつける
●ゼリー状やペースト状にする
●よく加熱する
●水分や油分を含ませる
●切り方を調整する
●酸味を抑える
●湯気を避ける
目次
高齢者がむせる理由とは?誤嚥リスクの背景

高齢者がむせやすくなる背景には、噛む力(咀嚼力)や飲み込む力(嚥下力)の変化が関係することがあります。また、歯の状態が影響する場合や、むせていないときにも誤嚥が起こることがあるため注意が必要です。
厚生労働省による2024年の人口動態統計による「死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)」で、誤嚥性肺炎で亡くなった人は63,667人でした。高齢者の肺炎では、とくに誤嚥性肺炎の割合が高い傾向が見られます。肺炎で入院した患者の誤嚥性および非誤嚥性肺炎の年齢別割合を示した研究では、50歳頃から誤嚥性肺炎の割合が増加し始め、80歳以降ではほとんどが誤嚥性肺炎という結果も示されました。
高齢者はなぜむせやすくなるの?
高齢になると、筋力の低下に伴い噛む力や飲み込む力が弱くなることがあり、食べ物や飲み物が気管に入りやすくなることがあります。また、加齢によって唾液の分泌量が減少することも、口の中で食べ物を飲み込みやすい形に整える際の妨げとなり、むせやすくなる要因の一つです。
入れ歯が合わないとむせる?
入れ歯が合っていないと、舌が上手く動かない、噛みづらいといったトラブルにつながりやすく、誤嚥しやすいことがあります。また、歯が欠けている場合も同様です。
むせない誤嚥「不顕性誤嚥」とは?
「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」は、むせていないのに誤嚥が起きることです。気管に食べ物や唾液などが入りそうになると「むせ」が起きますが、むせるための機能が弱っているとそのまま気管に入ってしまうことがあり、誤嚥につながります。不顕性誤嚥は、気が付かないうちに誤嚥性肺炎を引き起こすケースがあるため、注意が促されています。
誤嚥リスクを見守るポイント

誤嚥の原因はさまざまですが、主な原因を理解して対策を行いながらケアにあたることが重要です。常食だから安全などのようにケースを限定せず、誤嚥リスクには常に警戒しましょう。
食事の内容と姿勢をチェック
むせやすい食品が含まれていないか、食事内容を確認しましょう。また、飲み物でも水のようにさらさらとしたものは流れるスピードが早いため、気管への入口を閉じるタイミングが遅れるとむせやすくなります。食事の際には、椅子の高さや首の角度などに気を付けて、嚥下しやすい安定した姿勢をキープできるように工夫してみてください。
歯の状態を適宜確認する
歯が欠けていないか、入れ歯が合っているかを適宜確認しましょう。入れ歯選びでは、まず上あごだけに使ってみる、嚥下機能の改善が期待できる入れ歯を使う、などの方法もあります。また、肺炎予防では、細菌の増殖を防ぐため適切な口腔ケアを行うことも大切です。
不顕性誤嚥は睡眠中も注意
不顕性誤嚥のきっかけは食事中に限らず、睡眠中に唾液などが気管に入ることで引き起こされる場合もあるため注意しましょう。嚥下力に関わる筋肉トレーニングや、横向きで寝るなどの就寝中の姿勢の工夫も予防に役立ちます。
専門職への相談で早めの対処
誤嚥リスクには、日頃の予防とともに些細な変化を見逃さないようにしましょう。口の動きや表情など、普段と違うことがあるまたは問題を感じたときには、専門職に相談することも大切なポイントです。
誤嚥を防ぐポイントは食事のかたち

誤嚥を防ぐポイントは、食事の形状や食べ方の工夫です。まずは、むせやすい食事の特徴を知り、食材や調理方法を調整することが大切です。さらに、少しずつゆっくり食べるなど、食べ方にも工夫を取り入れてみてください。
むせやすい食事の特徴は?
むせやすい食べ物には、形状が食べづらい、酸味や湯気のようにのどを刺激しやすい、といった特徴があります。以下は、むせやすい食べ物の一例です。
- さらさらした液体:水、お茶、味噌汁、ジュースなど口の中でばらばらになるもの:ひき肉、硬い野菜、かまぼこ、イカなど
-
水分の少ないぱさつきのあるもの:パン、ゆで卵、カステラ、いも類など
-
口の中に付きやすいもの:海苔、薄切りの生野菜、きな粉、ワカメなど
-
粘りのあるもの:餅、団子など
-
酸味の強いもの:酢の物、柑橘類など
-
湯気の出る熱いもの:淹れ立てのお茶、出来たての味噌汁など
-
小さく硬いもの:ごま、豆類など
-
食べる際に滑りやすいもの:ところてん、こんにゃくなど
-
液体と個体が一緒に口に入るもの:麺類、味噌汁、すいかなど
むせにくい食べ物の形とは?
むせやすい食べ物でも、食材そのものを厳密に避ける必要はありません。形状や調理方法を工夫して、むせにくい食べ物に調整することで、栄養を偏らせずに安全に食べやすくなります。ポイントは、噛みやすいもの、飲み込みやすいものにすることです。例えば、以下のように変化させることができます。
|
むせやすい状態 |
改善例 |
|
さらさらした液体 口の中でばらばらになるもの |
・とろみをつける ・ゼリー状にしてまとまりやすくする |
|
水分の少ないぱさつきのあるもの |
・よく加熱してペースト状にする ・適度な水分や油分を含ませる |
|
口の中に付きやすいもの |
・切り方を工夫する ・適度な水分を含ませる |
|
酸味の強いもの |
・酸味を控えた味付けに調整する |
|
湯気の出る熱いもの |
・提供前に冷ます |
|
麺類 |
・汁の部分にとろみを付ける ・麺をやわらかく茹でる ・麺を適度なサイズにカットする |
ナリコマの介護食の特長

ナリコマでは、食べる方の身体機能に合わせて、選べる介護食を含めた下記の4形態のお食事を展開しています。365日サイクルの献立では、いずれの形態も献立は同一で、食材の形状は異なっても変わらない味わいです。
普通食
普通食は、お食事に制限なく食べられる方向けです。普通食ではありますが、一般的なお食事よりもやわらかく調理しているため、高齢の方におすすめできる形態です。また、味わいにも工夫があり、個々の食材に最適な調理方法によって、素材本来の風味を生かしています。病院や福祉施設で長期間過ごされる場合でも飽きがこない、家庭的なお食事をお楽しみいただけます。
ソフト食
ソフト食は、噛む力が弱くなっているものの、食材がやわらかければ食べられる方向けの形態です。歯茎や舌でつぶせるやわらかさに仕上げているため、簡単に咀嚼することができます。魚はほぐして、野菜は粒状にしているため、食べやすい形です。やわらかく調理してありますが、食材の食感は残っているため、食事の楽しみをキープできます。
ミキサー食
ミキサー食は、噛む力とともに飲み込む力も弱くなっている方向けの形態です。ミキサー食は水分を加えることで味や栄養価が薄まってしまう難点がありますが、ナリコマのミキサー食はすりつぶす製法のため、水や出汁で薄めることなく、おいしく十分な栄養を確保しやすいです。また、献立も普通食と横並びで盛り付けも同じように行っているため、見た目にもおいしいお食事です。
ゼリー食
ゼリー食は、噛む力とともに飲み込む力も弱くなっている方で、ミキサー食でも誤嚥の心配がある方向けの形態です。ミキサー食をゼリー状に加工しているため、おいしさも栄養価もそのまま引き継いでいます。つるんとした状態に仕上がっているため、食感も楽しめて食道への滑りも良いお食事です。
工夫された介護食はナリコマにおまかせ

噛む力や飲み込む力が、年齢とともに衰えていくのは仕方のないことでもあります。年齢を重ねても変わらない食事を楽しむには、さまざまな工夫が詰まったおいしい介護食が必要です。ナリコマでは、おいしく食べられる食事形態だけでなく、365日サイクルで飽きのこない献立もご用意しております。導入をお考えの施設さまは、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。現状のお悩みを詳しくお伺いしたのち、最適なプランをご提案させていただきます。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
完調品に関する記事一覧
-
食形態の変更はQOLに影響あり!工夫を凝らして高齢者の「食べる楽しみ」を支えよう
咀嚼機能や嚥下機能が低下した高齢者は誤嚥などの危険性があるため、食形態を調整した食事にする必要があります。主な種類としてきざみ食・ソフト食・ムース食・ミキサー食・ペースト食・流動食などが挙げられますが、安全性の確保と引き換えに、食欲が低下してしまうケースもよくみられます。
食欲低下は食事量の減少につながり、低体重・低栄養のリスクも高まってしまうのです。低体重・低栄養はフレイルなどを発症するきっかけとなり、QOLを著しく低下させます。高齢者のQOL向上を重視する介護施設では、単に食形態を変更するだけではなく、「食べる楽しみ」を維持する工夫も必要です。次のような点を心がけ、高齢者の豊かな食生活、QOLの維持・向上を目指しましょう。
・五感を刺激する
・本人の嗜好や希望に応える
・季節や行事にあわせた演出をする
・共食の機会を設ける -
医療・介護における高栄養食の重要性|特別食加算の対象となる嚥下調整食の課題とは
医療機関や介護施設で提供される食事は、「治療と健康維持のサポート」「日常的な楽しみの一つ」「自宅療養や在宅介護における食生活の向上」といった役割を担っています。近年では、咀嚼機能(かむ力)や嚥下機能(飲み込む力)が低下した患者や利用者に提供する嚥下調整食の重要性が再認識され、診療報酬における特別食加算の対象項目に追加されました。
嚥下調整食は食べやすさや飲み込みやすさを実現する一方、見た目の違和感などから食欲不振を招きやすく、低栄養になる可能性もあります。食事量が少ない患者や利用者には、高栄養食がおすすめです。
・カロリーや栄養価の高い食材を使う
・筋肉のもとになるたんぱく質を積極的にとる
・栄養価が下がりにくい調理方法にする
・栄養補助食品や医薬部外品を取り入れる
・一日の食事回数を増やし、必要な栄養を確保する
特に、高齢者は低栄養から体重が減少し、フレイル、ロコモティブシンドローム、サルコペニアなどを発症するリスクが大きくなります。日頃から、低栄養にならないような食生活をサポートしましょう。 -
低体重・低栄養のリスクと対策を解説!食事量が少ない高齢者のケアには嚥下調整食を活用しよう
高齢者の食事量・体重の減少は、フレイルや要介護への移行サインである可能性が高く、早期ケアが重要です。健康維持のためには、低栄養予防につながる以下のような対策が求められます。
◆生活習慣:「一日三食」「一汁三菜」を基本とし、一度に食べられない場合は分食による食事量の確保を行う。
◆栄養補給:毎日の食事における“ちょい足し”アレンジ、効率よく栄養がとれる食材の選定を心がける。
◆健康管理:歯科健診による口腔ケアを行い、ウォーキングなどの軽い運動を取り入れる。
◆嚥下調整食(介護食)の活用:摂食機能のレベルにあわせた食形態に変更し、安全な食事環境を整える。
こうした日常的な取り組みによって栄養状態を改善し、自分らしくイキイキとした生活の基盤をつくりましょう。
ナリコマのサービスに関する記事一覧
-
チーム医療における食支援は厨房連携が必須!安心・安全な病院給食を提供するための体制づくりを解説
チーム医療は、多職種連携によって患者一人ひとりの治療を行う体制のことです。連携は幅広い業務において必要ですが、今回の記事では食支援として重要な病院給食に注目。チーム医療の栄養管理に欠かせない厨房連携のポイントを解説します。ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。
-
災害時に役立つBCP!病院や介護施設が備えておくべきことは?
BCPは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った用語で、事業継続計画を意味しています。危機的な状況下でも重要な事業を中断させない、または早期復旧させるための計画です。この記事では、さまざまな災害が起こり得る中で、BCPが病院や介護施設に必要とされる理由とその役割を、高齢者が災害時に受ける影響と共に解説します。
-
クックチルがおいしくない理由を解説!おいしい食事の秘密とは?
医療施設や介護施設の給食現場などで重宝されている調理システム、クックチル。さまざまなメニューや食形態に対応していますが、「まずい」「おいしくない」といったイメージをお持ちの方も多くいらっしゃるかもしれません。なぜ、そのようなマイナスイメージが先行してしまうのでしょうか?
本記事では、クックチルが「まずい」「おいしくない」と思われてしまう理由に注目。人が食事をしたときに「おいしい」と感じる仕組みを解説しながら、ナリコマグループの進化したクックチルの魅力についても詳しくお伝えします。クックチルに興味のある方はもちろん、システムの導入をご検討されている施設の方も、ぜひ最後までお読みください。

