最低賃金の引き上げが続く中、厨房業務を抱える現場では人件費の上昇が避けられない課題となっています。とくに調理師不足が慢性化する医療・介護・給食の現場では、「人を確保したいが、人件費が合わない」という悩みを抱える施設も少なくありません。
今回は、厨房業務と最低賃金の関係を整理しながら、最低賃金の上昇が続く中での課題と、食事提供体制の見直し、そしてナリコマのクックチルを含めた外注という方法について解説します。
目次
厨房業務と最低賃金|なぜ影響を受けるのか
最低賃金の引き上げは、あらゆる業種に影響を与えますが、その中でも厨房業務は、とくに影響を受けやすい分野の一つです。背景には、厨房業務ならではの仕事の性質や、人員体制の特徴があります。なぜ厨房業務が最低賃金の変化を受けやすいのでしょうか?理由を整理してみます。

厨房業務は人手作業が多いため
厨房業務は、仕込みや調理、盛り付け、配膳準備など、人の手による作業が中心です。安全性や衛生管理の観点からも省略できない工程が多いため、他の業務にくらべても機械化や自動化が進みにくいという特徴があります。そのため、施設運営におけるコストの中では人件費の比率が高くなりやすく、最低賃金が上がるとその影響が直接的に現れやすいのです。
最低賃金の引き上げは厨房業務のコストに直結する
厨房業務では、調理や盛り付けなど、ほとんどの業務を現場スタッフの判断や手作業によって進めることが多いです。最低賃金が引き上げられると、人件費が一斉に上昇してしまうため、厨房全体のコスト増につながります。さらに、人員不足の中で欠員が出た場合には、残業や兼務で対応せざるを得ない状況の施設も少なくないでしょう。その結果、残業代が増加するなど、想定以上に人件費の負担が発生してしまいます。
時給上昇が小さくても年間では大きな負担増に
最低賃金の引き上げ額が数十円程度であっても、年間を通してみると大きな負担になってしまいます。複数のスタッフがシフト制で稼働する厨房業務では、時給の上昇がそのまま運営コストに反映されます。最低賃金の上昇によって影響を受けやすく、短期間ではわかりにくい負担増がじわじわとゆっくり施設運営に影響を与えていくのです。
最低賃金の引き上げが調理師不足を加速させる理由
最低賃金の引き上げは、人件費の負担を増やすだけでなく、調理師不足という課題にも影響を与えています。厨房業務はもともと人材確保が難しく、最低賃金が上昇することでさらに採用や定着を難しくさせてしまうのです。最低賃金の引き上げが調理師不足を加速させやすくしてしまうのはなぜなのでしょうか。

調理師はもともと人材不足なうえに採用環境が厳しい
調理師は、以前から人材不足が続いている職種の一つです。調理師免許の交付数は年々減少しており、平成20年度の交付数が41,958人であったのに対して、令和5年は23,790人でした。調理師が減少している背景には、長時間労働になりやすい働き方や、責任の重さに対して給与水準が低いという点があります。
給食の現場では、決められた時間までに一定の品質で食事を提供する必要があり、業務の緊張感も高くなりがちです。最低賃金が引き上げられても、調理師として働く魅力がすぐに高まるとは限らず、採用環境の厳しさは続いています。
他業種と賃金差が縮まり人材が流出しやすくなる
最低賃金が引き上げられると、正規・非正規を問わず、賃金水準が全体的に底上げされます。職業別賃金構造基本統計調査でもわかるように、最低賃金付近で働く人が多い給食業務などの飲食サービス業では、他業種との賃金差が縮まりやすくなります。
最低賃金の上昇によって、「調理の仕事」と職種で選ぶのではなく、労働条件や働きやすさを重視した選び方になり、別の業種へ人材が流れてしまうケースも出てくる可能性があります。大企業を中心に賃上げの動きが進む中で、中小規模の施設ほど人材確保の難しさを感じやすくなっています。賃金だけで人を引き留めることが難しくなり、調理師不足はさらに深刻化しやすいでしょう。
人手不足が離職を招き調理師不足が連鎖する
人手不足の状態が続くと、現場の業務負担はどうしても増えてしまいます。一人あたりの作業量が多くなり、残業や兼務が増えることで、疲労やストレスが蓄積しやすくなります。その結果、「続けたくても続けられない」と感じる人が増え、離職につながるケースも少なくありません。こうした離職がさらに人手不足を招き、現場の負担が増すという悪循環に陥ってしまうこともあります。
最低賃金の引き上げは、本来働く人を守るための制度ですが、厨房業務の現場では、人手不足という課題をより目立たせるきっかけになっている側面もあるのです。
最低賃金の上昇で従来の食事提供体制は限界に
最低賃金の引き上げや人手不足が続く中で、これまで当たり前だった食事提供体制が、少しずつ現場に合わなくなってきていると感じる施設も増えています。人を確保できることを前提とした運営は、いまの環境では維持が難しくなりつつあります。従来の食事提供体制が抱えやすい課題や、なぜ今、食事提供体制の見直しが必要とされているのかを考えます。

施設内で調理を行う体制は人員確保を前提としている
病院や介護施設の厨房では、毎日決められた食数を、決められた時間までに提供する必要があります。食材管理から仕込み、調理、盛り付けまでを施設内で行う体制では、常に一定数のスタッフがそろっていることが前提になります。
しかし、今は調理師不足や最低賃金の上昇によって、人を確保し続けること自体が難しくなっている状況です。医療・介護の2025年問題に象徴されるように、サービスを受ける側と提供する側のバランスが変化する中で、従来どおりの人員体制を維持することは、現場にとって大きな負担になりやすくなっています。
人に依存した調理配膳体制は欠員リスクに弱い
厨房業務は工程が多いため、複数の作業を同時進行していく必要があります。一人でも欠員が出ると、作業が回らなくなってしまったり、残業や兼務などで対応をせざるを得ない状況になってしまいます。
このような状況が続いていくと、現場での負担はさらに大きくなってしまい、疲弊や不安を感じるスタッフも増えてしまうでしょう。そんな状況が続けば離職につながり、ただでさえ人手不足の状態がさらにひどくなってしまう、悪循環に陥る可能性もあるのです。人の手による作業を前提としている体制は、欠員がでてしまった際に、このように影響を受けやすい傾向にあります。

生産性向上だけでは人件費上昇を吸収しきれない
厨房では、これまでも業務の改善や効率化の工夫が行われて来ていましたが、最低賃金の引き上げや物価高が続いていく今の状況では、努力だけでは人件費上昇に対応することは難しいでしょう。業務の改善を重ねていっても、コスト上昇のスピードに追いつかなくなっていき、どこかで限界を迎える時が来てしまうかもしれません。現場の工夫だけで人件費の上昇に対応するのではなく、調理工程そのものの配置を見直すという考え方も、選択肢の一つになってきています。
ナリコマのクックチルという選択肢|厨房外注を含めた厨房業務の見直し
最低賃金の上昇や調理師不足が続いている今、これまでと同じような厨房業務の進め方を見直す必要性が高まっています。厨房業務のあり方そのものを見直す選択肢として、ナリコマのクックチルを活用した食事提供体制が注目されています。

クックチルは調理工程を現場から切り離せるしくみ
ナリコマのクックチルはセントラルキッチンで調理した食事をチルド状態にして、施設へ届け、提供前に再加熱を行うしくみです。厨房では、再加熱や盛り付けが作業の中心となるため、従来の施設給食のように食材の管理、仕込みから調理まで、給食に関わるすべてを担う必要がありません。厨房では調理は行わないことから、厨房内での作業はシンプルになり、業務全体を整理しやすくなります。つまり、クックチルによって業務効率化や省人化につながりやすい体制を整えることができるのです。
厨房外注を取り入れることで必要な人員を抑えやすくなる
ナリコマのクックチルでは、厨房内で調理業務そのものを行わないため、従来の給食業務にくらべて、必要な人員の数も抑えやすくなります。急な欠員が出た場合にも、他のスタッフに負担がかかりにくく、人手が足らずに業務が回らなくなるリスクを減らしやすくなります。また、シフトの調整や残業対応に追われるような状況も少なくなるでしょう。必要な人員を抑えつつ、安定して厨房業務を回せるため、最低賃金上昇による人件費増加への備えとしても心強いポイントです。
調理師不足が続く中でも食事提供体制を維持しやすい
クックチルを導入した厨房では、調理業務の経験が少なくても対応しやすくなります。調理師の確保が難しくても食事提供の体制を維持しやすいため、厨房にとっても現場にとっても心強いしくみと言えるでしょう。無理のない体制づくりにつながり、調理師不足の状況でも、食事提供体制を維持しやすくなるのです。
厨房業務と最低賃金を見据えた食事提供体制をナリコマがお手伝いします
最低賃金の引き上げが続く中で、厨房業務は人件費や人手不足の影響を受けやすくなっています。調理師不足など、人手の確保が簡単ではない状況もあり、これまでと同じ運営を続けることに負担を感じている施設も少なくありません。日々の工夫や効率化だけで対応するのではなく、食事提供体制のしくみそのものを見直してみることも必要かもしれません。厨房業務の流れを整理して、人手作業に頼りすぎない形にしていくことで、最低賃金の上昇にも無理のない形で対応できるでしょう。

ナリコマでは、クックチルを通して厨房業務や食事提供の方法をサポートしていますので、お気軽にご相談ください。人件費や業務負担のバランスを整えるために、ナリコマが精一杯サポートいたします。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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