完調品(完全調理済み食品)の活用やクックチル方式の導入は、介護施設や病院の給食運営で注目される方法です。いずれも厨房の人手不足対策などの課題解決に役立つ一方、目指す方針によって適する運営モデルは異なります。
この記事では、それぞれの特徴を解説しながら、完調品とクックチル方式を活用した給食運営モデルを比較します。また、完調品とニュークックチル方式を組み合わせることで、さらなる業務効率化も可能です。自施設に最適な給食運営を検討する際にぜひご参考ください。
目次
完調品とクックチルの特徴
完調品は食品のカテゴリ、クックチルは調理方式の一種ですが、介護施設や病院の給食現場では、どちらも給食運営モデルの比較対象として扱われやすい選択肢です。
病院給食の調理作業の合理化や効率化に関する実態調査においても、完調品を活用することは、調理作業の合理化や効率化を図るための重要な工夫の一つとして考えられています。また、同調査では、調査対象施設の約10%が給食の生産方式でクックチル・クックフリーズシステムを利用していました。
ここではまず、完調品とクックチルの特徴を解説します。

簡易作業で提供できる完調品(完全調理済み食品)
完調品(完全調理済み食品)は、食材の下ごしらえや味付けなどの調理が全て完了しており、温めてからまたはそのまま盛り付けるだけで提供できる食品です。完調品は、製造方法によって保存方法や取り扱い方などが異なります。代表的な製造方法には、クックチルやクックフリーズ、真空調理などがあり、冷凍またはチルド状態で配送されます。
完調品を導入すると施設の厨房で食事提供前の作業を簡素化できることから、人手不足対策に有効で、調理時間の短縮や人件費の削減、食材ロスの削減、衛生管理がしやすいなどのメリットがあります。一方で、品質や味わいなどは利用する完調品の質に左右され、食べる方の好みに合わない場合や個別調整が多い場合には活用しづらいケースもあります。そのため、完調品を選ぶ際には自施設との相性もポイントです。
厨房業務を効率化するクックチル方式
クックチルは、加熱調理した食品を急速冷却させてチルド保存し、食事の提供前に再加熱と盛り付けを行う新調理方式の一種です。あらかじめ調理した食品を保存できるため、従来の食事の度に調理を行うクックサーブ方式と比較して業務効率化が期待できます。また、加熱した食品を急速冷却し温度管理を行うため、衛生管理がしやすいこともメリットです。厨房の人手不足対策などにおいて、クックサーブ方式からの移行でクックチル方式が注目されることがあります。
一方で、自施設にクックチル方式の環境を整備する場合は、専用機器等の導入が必要です。また、クックチル方式で製造された他社の食品を活用する場合でも、食品の保管場所は自施設内に必要です。導入方法によってコストは異なり、クックチルに不向きのメニューもあることから献立がマンネリ化する可能性もあります。こうしたデメリットも踏まえたうえで、運営面での工夫が求められます。
完調品とクックチルの給食運営モデル比較
ここでは、完調品とクックチル方式の導入における給食運営モデルを比較します。代表的な運営モデルを比較表にまとめましたので、あわせてご参考ください。

完調品を導入する運営モデル
完調品を導入する場合、大きく分けると以下のような運営モデルがあります。
- 他社製造の完調品を購入し自施設で提供する
- 自社セントラルキッチンで完調品を製造し各施設へ供給する
他社製造の完調品を購入するスタイルは一般的で、自社の運営規模を問わず導入しやすいサービスです。近年では、介護施設や病院向けのサービスもさまざまに展開されているため、サービスを選ぶだけで導入しやすいのが魅力です。一方で、基本的な部分は他社のサービスに委ねられるため、自由に調整するのが難しいデメリットもあります。
自社運営のセントラルキッチンで完調品を製造し各施設に供給する方法は、複数施設を運営する場合の選択肢です。高額な初期コストや運営コストが発生する一方で、各施設での現地調理と比較した場合、大量調理によるコスト削減や食事品質の安定化につながるといったセントラルキッチンならではのメリットを得られます。大量調理による自由度の制限はあるものの、他社サービスを利用する場合と比較すると希望に沿った内容に変更しやすいでしょう。
クックチル方式を導入する運営モデル
クックチル方式を導入する場合は、例えば以下のような運営モデルがあります。
- 自施設の厨房の調理方式をクックチル方式に変更し現地調理を行う
- 自社セントラルキッチンでクックチル方式を採用し、各施設に完調品(クックチル食品)を供給する
- 他社がクックチル方式で製造した完調品(クックチル食品)を購入して提供する
クックチル方式そのものに注目した運営モデルでは、従来の調理方式であるクックサーブ方式からの切り替えの視点が一般的です。自施設の厨房にクックチル方式を導入すると、空き時間に調理を行い料理を保存しておくことが可能となります。また、自社でセントラルキッチンを運営するなら、セントラルキッチンでクックチル方式を採用する方法もあります。
自社での運営が難しい場合には、完調品を導入する運営モデルとも重なりますが、さらに調理方式に注目し、他社製造のクックチル食品を導入する方法があります。いずれの方法も、クックチル食品を自施設に導入したいというニーズに応える運営モデルです。

完調品の導入と自施設厨房でのクックチル方式導入の比較表
以下は、自施設に完調品を購入して導入する場合と、自施設の厨房の調理方式をクックサーブ方式からクックチル方式に変更した場合の比較表です。
|
項目 |
完調品の導入 |
厨房にクックチル方式を導入 |
|
必要設備 |
・再加熱に使用する機器や設備(湯煎やスチームコンベクションオーブンなど) ・完調品の保管場所 |
・一般的な調理環境 ・スチームコンベクションオーブンなどの加熱調理機器や再加熱機器 ・ブラストチラーなどの急速冷却機器 ・調理した食品の保管場所 |
|
コスト |
完調品やサービスの導入費用、初期設備にかかるコストが必要。 個々のサービス内容や運営状況によってコストは異なるが、固定価格で検討しやすい。 |
初期設備のコストとランニングコストが必要。 個々の専用機器が比較的高額になることが多い。 人件費の削減等により長期目線でのコスト削減は期待できる。 |
|
衛生管理 |
他社の衛生管理に影響されるが、一般的に徹底した衛生管理が行われている。 |
自施設での徹底した衛生管理が必要。 加熱や冷却の温度や時間が細かく定められているため、衛生管理をしやすい。 |
|
導入スピード |
申し込みや契約の流れに沿って比較的スムーズに導入可能。 |
運営計画、設備計画、厨房工事、スタッフ教育など、運営スタートまでにある程度の時間が必要。 |
|
調理の作業負担 |
温めや盛り付けなどの簡易作業となり、調理作業が大幅に削減される。 |
一連の調理作業は必要だが、あらかじめ調理を行うことができ、作業の効率化が可能。 食事提供前の作業を簡素化できる。 |
|
スタッフ体制 |
調理経験を問わず業務を行いやすい。 少人数で業務を行うことも可能。 |
調理スキルのあるスタッフが必要。 クックサーブ方式のピーク時や早朝の業務量を調整できるため、人員の調整が可能。 |
完調品×ニュークックチルの給食運営モデル

人手不足対策に役立つ給食運営モデルでは、完調品とニュークックチル方式を組み合わせたスタイルも注目されつつあります。ニュークックチルはクックチルを応用した調理方式で、加熱や急速冷却、チルド保存といった調理手順は同じですが、チルド状態で盛り付けまで行ってから保存できるのが特徴です。再加熱カートなどの専用機器に保存しておき、提供前に自動で再加熱後すぐに配膳できます。
完調品でニュークックチル対応のものを導入し、自施設の厨房をニュークックチルに適した環境に整えることで、調理の手間もなく盛り付けも事前に行っておくことができるため、さらなる業務効率化が期待できます。一方で、ニュークックチルに対応するには再加熱カートなどの環境設備に初期コストがかかり、再加熱カートでの利用に適した専用食器も必要になります。こうしたコスト面などのデメリットもあるため、総合的に検討しながら運用計画を立てましょう。
介護施設・病院に最適な給食運営方法を見つけよう

完調品やクックチル方式を活用した給食運営モデルは、施設の規模や現在の設備環境、重要視する条件などにより最適な方法が異なるため、自社と相性の良い方法を探ることが大切です。完調品を活用する際には、コストや設備だけでなく、献立の種類、介護食・治療食・禁止食への対応範囲など、サービス内容を詳しく把握してから検討しましょう。
完調品の保存状態や注文可能な食数、配送や注文の頻度なども運営の効率性に影響します。また、自社の要望に対する柔軟性も検討時に押さえておきたい点です。「できること」と「できないこと」を明確にしたうえで、よりメリットの多いサービスを選びましょう。
ナリコマには介護施設や病院向けの完調品があります!

ナリコマでは、介護施設や病院に特化した完調品をご提供しております。クックチルとニュークックチルに対応した献立で、介護食・治療食・禁止食への対応も可能です。以下の2種類の献立があり、行事食や歳時食の展開も可能なため献立のマンネリ化を防ぎやすいです。
- 28日サイクル献立:入院期間が短い急性期・回復期病院におすすめ
- 365日サイクル献立:入院生活が長い患者さまのいる病院・介護施設におすすめ
ナリコマでは、最初に現在の課題等を詳しくお伺いし、個々の施設さまに最適なサービスをご提案いたします。また、運用開始後も立ち上げの際からご一緒するアドバイザーが継続的に運営をサポートいたします。無料相談から承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
クックチルに関する記事一覧
-
厨房業務と最低賃金の関係とは?調理師不足時代に求められる食事提供体制の見直しと外注化
最低賃金の引き上げが続く中、厨房業務を抱える現場では人件費の上昇が避けられない課題となっています。とくに調理師不足が慢性化する医療・介護・給食の現場では、「人を確保したいが、人件費が合わない」という悩みを抱える施設も少なくありません。
今回は、厨房業務と最低賃金の関係を整理しながら、最低賃金の上昇が続く中での課題と、食事提供体制の見直し、そしてナリコマのクックチルを含めた外注という方法について解説します。 -
2025年最低賃金 引き上げ率の最新動向|2025年の地域別・年次比較を厚労省データから読み解く
2025年の最低賃金の引き上げ率は、医療・介護・給食をはじめとする施設運営にも影響が出やすい水準となりました。とくに地域別の違いは人件費の見通しに直結するため、年次比較も含めて、どれくらい上がってきたのかを押さえておくことが大切です。
今回は、厚労省のデータをもとに2025年の最低賃金動向を整理し、業界ごとの影響を踏まえつつ、厨房運営の見直しといった視点も交えながら、自施設に合ったコスト対策を解説します。
-
AIの栄養管理サポート!献立提案AI・栄養価計算AIによる業務効率化と厨房省人化に向けた解決策
高齢者の低栄養状態は以前から課題であり、介護施設でも低栄養予防が日頃から意識されています。それに伴い、管理栄養士の役割も重要視され、需要の増加とともに能力を十分に発揮できる環境が望まれています。しかし、介護施設の人手不足により、管理栄養士の確保も容易ではありません。また、病院や介護施設では厨房の人手不足が深刻化しており、厨房業務の増加などにより管理栄養士の重要な業務である栄養管理に十分な時間を割けないケースも見られます。
近年では、このような人手不足の課題解決にAIを活かす取り組みが見られるようになってきました。管理栄養士の業務に役立つAI搭載のシステムもさまざまに開発されています。そこでこの記事では、AIによる栄養管理サポートに注目し、献立提案AIや栄養価計算AIの機能、AI機能が個別最適化メニューに役立つ可能性について解説します。AI機能の導入事例や未来像、AI機能を活用する際の注意点も踏まえながら、その他の解決策として実現しやすい厨房省人化と外注活用についてもまとめました。
コストに関する記事一覧
-
ニュークックチルの導入事例!ナリコマの病院事例や介護施設事例と共に導入効果を解説
近年の給食現場で注目される新調理システムのニュークックチル。良いと耳にしたけれど実際の導入事例が気になる、ということもあるのではないでしょうか。そこでこの記事では、ニュークックチルの概要や期待できる導入効果を解説しながら、ナリコマの病院事例や介護施設事例について具体的にご紹介します。成功事例につなげるための課題解決のポイントも解説しますので、ニュークックチルの導入をお考えの施設さまはぜひご参考ください。
-
外国人労働者の離職率低下に向けた社内整備!定着支援やサポート制度について解説
外国人労働者の離職率低下のためには、職場環境を見直して改善することも必要です。この記事では、外国人労働者に関する課題や離職の原因を探りながら、定着支援や日本語教育などの社内整備のポイントとあわせて、事業所が受けられるサポート制度などを解説します。給食業務の人手不足の課題解決に役立つ厨房改革のコツもまとめましたので、あわせてご参考ください。
-
賃金上昇&物価上昇で運営が難しい!病院や介護福祉施設でコストを下げるには?
近年では急速に物価上昇が進んでいますが、同時に、各業界では賃上げの動きもみられるようになっています。病院や介護福祉施設はかねてから運営が難しく、赤字になりやすいといわれてきました。しかし、賃金上昇や物価上昇の影響は大きく、依然として厳しい状況は続いているようです。
本記事では、賃金上昇と物価上昇が進む現状を解説し、病院や介護福祉施設が直面している赤字問題やコスト削減のポイントなどについてお伝えします。ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。




