BCPは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った用語で、事業継続計画を意味する言葉です。近年に起こった大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症の影響を受け、より必要性が認識されるようになりました。この記事では、BCPを策定する必要性や作成によるメリット、作成手順などを解説します。
目次
緊急事態に必要となるBCP
BCP(事業継続計画)は、不測の事態が発生しても重要な事業を中断させない、または早期復旧させるための計画です。BCPはは通常の事業計画とは異なり、感染症や自然災害が起きた際などの緊急事態に備えるための計画であることが特徴です。近年に起きた大規模な自然災害や、新型コロナウイルスの感染症などにより、社会全体が大きな影響を受け、BCP策定の重要度が高まるようになりました。また、介護事業所ではBCPの策定が2025年に完全義務化されており、未策定の場合は基本報酬の減算となるため、策定は必須です。

BCPは業種を問わず多くの事業者で策定が推奨されており、内閣府からも全ての企業や組織を対象とした「事業継続ガイドライン」が提供されています。不測の事態の原因には、自然災害や感染症のほかにも、テロやシステム障害、大事故など多様なリスクが含まれます。こうした危機的状況が発生した時でも、可能な限り通常に近い業務環境を維持できれば、損害を最小限に抑えることが可能です。
BCP策定の目的とは
BCPの大きな目的は、事業を「継続」することにあります。たとえ中断したとしても、可能な限り短い時間で事業を復旧させることが求められています。そのため、一時の備えではなく、いかなる状況でも通常行っている事業を継続できる計画が大切です。一般的な防災対策とはまた違い、継続のための具体的な計画が必要となります。
病院や介護施設、障害福祉サービス事業所のように、事業内容によっては、大規模な災害が直接利用者の生命に危険を及ぼす可能性もあります。そのため、これらの施設においては、いかなる状況でも事業を継続することが重要で、第一に業務を中断させないようにし、中断したとしても優先業務をすぐに実施すること、可能な限り早急に復旧させることが望まれます。
自然災害や感染症などの危機が発生すると、社会全体の流れが滞り大きな影響につながります。各事業者がこのような緊急事態でも事業を継続できる力を備えていれば、こうした状況でも通常に近い生活を維持しやすくなるでしょう。BCPの策定には、こうした非常事態のダメージを防ぐ目的があり重要な役割を担っています。
BCPの策定で得られるメリット
BCPでは災害時の対応や行動を詳細に決めていくため、ある場合とない場合では災害後の状態が大きく異なることがあります。対応策がないと生命の危機や廃業に追い込まれる可能性もあるため、BCP策定のメリットは大きいでしょう。

一般的な事業全般に対してのBCPのメリットには、下記のようなポイントがあります。
- 緊急事態が起きたときに予測された速やかな行動をとることができる
- 被害を最小限に抑えて最短での復旧が期待できる
- 自社の事業を見直すきっかけとなり通常業務の改善につながる
- BCP策定が強みとなるため顧客からの信用度がアップする
病院や介護施設、障害福祉サービス事業所においては、患者さまや利用者さまの安全を確保できるだけでなく、業務を行う職員および組織自体の安全を守れる点もメリットです。
BCP策定の手順をチェック

BCPには多くの要素を盛り込む必要があるため、一から作成するのは負担が大きくなりがちです。病院や介護施設、障害福祉サービス事業所向けのBCPについては、厚生労働省が施設種別ごとにガイドラインや手引きを提供しているため、これらを活用すると効率よく策定できます。
また、各自治体からもBCP策定に役立つ資料が公開されており、地震や水害などの被害想定に関する情報も提供されています。まずはこうした公的機関の情報を収集するところから取り組むのも良いでしょう。厚生労働省の資料も含めて事業者全般のBCPについては、内閣府の防災情報のページにガイドラインがまとめられています。
以下では、BCPの具体的な策定手順のポイントを解説します。
1.目的を決める・体制を作る
BCPの策定では、特定の災害が起きた場合にどのような行動をとり対処していくかを考えることがポイントです。BCPには、突発的な事態に備えるため、どのような事態になっても業務を継続するという大きな目的があります。また、早期復旧をさせることも重要なため、いつまでに復旧させるかなどの時間経過ごとの目的なども定めていきましょう。緊急時には目的意識を強く持ち続けることが必要なことから、職員がイメージしやすい具体的な目的があると役立ちます。
また、BCP策定では、体制の構築も重要です。全体の意思決定者や業務の担当者など、緊急時に「誰がいつ何をするか」をあらかじめ決めておきましょう。緊急時に対処するためには組織体制が欠かせません。
あらかじめBCPを策定していても、緊急時には決められた対応策に固執せず臨機応変な対応が求められることもあります。重要視する根本の目的を明確にしておくと進むべき道がわかり、組織体制ができていればリーダーに従い行動するなどのチームワークを持って取り組むことができるでしょう。
2.緊急時のリスクを考える
緊急事態にどのような行動をとるかがBCPの要となるため、策定では考えられるリスクを全て挙げることが必要です。目的や体制などの基本方針が決まったら、次はリスクの分析や対処方法を検討していきましょう。自然災害と感染症のように、災害の種類によって行動も変わるため、リスクは状況に合わせて検討していくとわかりやすいです。介護施設用のBCPでは、自然災害と感染症でガイドラインも分かれています。
例えば自然災害の場合、事業所のある立地も大きく影響するため、ハザードマップなどを活用し想定される被害を検討することもポイントです。身のまわりの災害リスクを調べられるハザードマップポータルサイトでは、住所を入力するだけで、洪水や土砂災害など災害のリスク情報を調べることができます。その上で、電気や水が止まった場合の対処など、細かい部分の影響と対策を洗い出していきましょう。

3.実施する対応策の優先順位を決める
緊急事態ではパニックが発生しやすく、複数のリスクが同時発生することも考えられます。限られた人員で一度に複数のリスクに対処することは難しく、時間も限られているため、何を優先して対応するかが重要です。そのため、BCP策定の段階で、リスクに対する対応策の優先順位を決めておきましょう。優先順位は、時系列や達成までの目標時間なども交えて検討しておくと役立ちます。
例えば介護事業の場合、入所・通所・訪問などの業務のうち、どれを優先するかなども決めておく必要があります。中核になっている事業や24時間365日のサービスが必要な事業は、事業をストップさせないためにも優先度が高くなります。感染症の場合でも、職員の出勤率が低い場合は、通常の頻度によるシーツ交換などよりも、利用者さまの生命を守るための業務が最優先です。
4.訓練・見直しを行う
BCPは作って終わりではなく、策定そのものがゴールではありません。策定したBCPが有効かどうかを確認するためにも、定期的に緊急事態に備えた研修や訓練を行いましょう。環境は日々変化するため、訓練の結果も踏まえ、BCPの見直しをすることも大切です。
最初から完璧なBCPを目指して一度で仕上げるのではなく、随時見直しと内容の改善を行いながら、より実効性の高い計画に更新していく必要があります。こうした研修や訓練、見直しのプロセスもBCP策定に欠かせない手順の一つです。
BCP策定に役立つ支援事業
BCPには複雑な内容が盛り込まれるため、策定はある程度大変な作業になります。そのため、BCP策定に役立つさまざまな支援サービスもあります。自社で一から作るのが難しい場合は、こうした外部の支援サービスも参考にしてみてください。支援サービスでは、さまざまな事業に対応しているものもあれば、介護施設に特化しているサービスもあります。

BCP策定について学べる研修やセミナーなどもあるため、これらに参加してノウハウを学ぶのも良いでしょう。
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ナリコマでも、これからBCPを作る施設さまに向けたBCPセミナーなどを開催しています。BCP対策に役立つ資料の配布も行っておりますので、BCP策定にお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
また、ナリコマでは、災害の発生時も食事を提供するための体制が整っております。非常時にも普段と変わらず安心してお食事をとっていただけるよう、食べ合わせや色のバランスにも配慮したおいしい非常食をご用意しておりますので、非常食の備えもおまかせください。
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