人手不足が深刻化する介護施設の給食業務の効率化に、完全調理済み食品の導入が役立ちます。施設内の厨房に調理済みの食品を導入することで、調理作業を大幅に削減でき、再加熱や盛り付けなどの簡単な作業だけで食事提供が可能です。この記事では、完全調理済み食品の導入が求められる背景や活用するメリット・デメリット、サービス選びのポイントを解説します。
目次
完全調理済み食品とは?介護施設で役立つ特徴

完全調理済み食品は、加熱調理や味付けなどの調理工程が完了しており、そのままの状態または再加熱して提供できる食品です。レトルト食品や冷凍食品、お惣菜など、身近な生活の中で日常的に広く活用されています。
介護施設でも完全調理済み食品の導入が注目されていますが、業務用ならではの特徴もあります。ここでは、介護施設で完全調理済み食品が注目される理由と製造方法について解説します。
介護施設で完全調理済み食品が注目される理由
介護施設で完全調理済み食品が注目されるようになった大きな理由は、近年の深刻な課題となっている施設の厨房や給食業界の人手不足です。介護施設の給食現場では以前から人手不足が深刻化しており、給食委託会社も同様に人手不足の課題を抱えるケースが多くあります。
厚生労働省の2026年2月の「労働経済動向調査」では、介護施設の給食業務に影響しやすい「宿泊業、飲食サービス業」と「医療、福祉」の項目において以下のような結果が出ており、人手不足の状況が目立っています。とくにパートタイム労働者の調査では、これらの産業が人手不足の高まりが目立つ産業として挙げられています。
|
雇用形態 |
分類 |
不足 |
過剰 |
|
正社員等労働者 |
宿泊業、飲食サービス業 |
40% |
2% |
|
医療、福祉 |
59% |
3% |
|
|
パートタイム労働者 |
宿泊業、飲食サービス業 |
44% |
3% |
|
医療、福祉 |
38% |
4% |
このような人手不足の影響で、従来の食事の度に調理を行うクックサーブ方式での提供が難しいケースが増えています。クックサーブ方式の負担が大きい場合は、完全調理済み食品の製造方式であるクックチルやクックフリーズなどを取り入れたり、他社製造の完全調理済み食品を利用したりすることで、限られた人員でも業務を行いやすくなります。

完全調理済み食品の製造・調理方式
完全調理済み食品の製造方法は複数あります。調理方式によってメリットや施設での対応などが異なるため、あらかじめ特徴を把握しておくと導入時にサービスを選びやすいでしょう。よく見られる調理方式の特徴は以下の通りです。
|
調理方式の種類 |
特徴 |
メリット |
施設での主な対応 |
|
クックチル |
加熱調理した食品を急速冷却しチルド状態で保存する。 |
計画的な大量調理が可能で、調理作業の効率化につながる。 冷菜は冷蔵庫から出してそのまま盛り付け可能。 |
温かい状態で提供する料理は湯煎やスチームコンベクションオーブンなどで温めてから、冷たい状態で提供する料理はそのままで、それぞれ盛り付ける。 |
|
ニュークックチル |
クックチルを応用した方式で、チルド状態で盛り付けまで行い、再加熱カートで提供直前に自動で温めて提供する。 |
盛り付けまで行ったうえで保存でき、自動的に再加熱されるため、料理の温度が変わる前に効率良く提供しやすい。 |
チルド状態で盛り付けてから専用機器に入れ、再加熱のタイマーをセットする。 |
|
クックフリーズ |
加熱調理した食品を急速凍結し冷凍状態で保存する。 |
クックチル同様の調理作業の効率化に加え、長期保存しやすい。 |
温かい状態で提供する料理は湯煎やスチームコンベクションオーブンなどで温めてから、冷たい状態で提供する料理は解凍してから、それぞれ盛り付ける。 |
|
真空調理 |
食材と調味料を真空包装したうえで加熱調理し、急速冷却または急速凍結し、チルド状態または冷凍状態で保存する。 |
調味料が素材に染み込みやすい。 加熱調理後も真空包装のまま保存するため、細菌やウイルスの付着を防ぎやすい。 |
保存状態と提供する食品の温度に合わせて、解凍や温めなどを行い、盛り付ける。 |
介護施設向けの完全調理済み食品
個々の会社によってサービスの特徴は異なりますが、介護施設向けの完全調理済み食品サービスには、一般向けと比較して以下のような特徴が見られます。
- 咀嚼力・嚥下力の低下に対応した介護食がある
- 治療食や禁止食に対応している
- 栄養バランスや塩分調整、食べやすい量、やわらかい食感が意識されている
- 盛り付けや色味など食欲増進が意識されている
- 行事食も含めた献立のバリエーションが豊富
- 発注しやすいシステムがある
介護施設で完全調理済み食品を活用するメリット

介護施設の給食に完全調理済み食品を導入する最大の利点は、従来のクックサーブ方式のように、施設内の厨房で食事の度に一から調理をせずに済むことです。さらに次のようなメリットも期待できます。
- 調理時間の削減につながる
- 食事提供前には、温めや盛り付けなどの簡単な作業で配膳できる
- 食事の品質の安定化につながる
- 衛生管理をしやすくなる
- 食材ロス削減につながる
- 省人化が可能となり、人件費の削減につながる
食事ごとの準備作業が簡素化され、早朝勤務も削減しやすいため、スタッフの業務負担軽減に役立ちます。省人化や人件費削減も含めて、人手不足対策にも効果的です。
完全調理済み食品の導入前にはデメリットもチェック

完全調理済み食品の導入によって解決できる課題は多くありますが、新たな課題に直面する可能性もあるため慎重な導入が求められます。例えば、以下のようなデメリットもあるため注意しましょう。
- 完全調理済み食品の保管スペースが必要
- 専用設備の導入コストや専用機器のランニングコストなどがかかる
- その時々でメニュー内容を調整するのが難しい
- 手作り感の喪失につながるケースがある
- メニューの固定化がマンネリ化を招く可能性がある
- 他社サービスの利用により、食事提供の柔軟性が低下する場合がある
これらのデメリットは、完全調理済み食品の導入方法や、他社のサービス内容に左右される部分も大きいです。施設の規模や厨房環境、求める食事内容など、さまざまな視点で自施設との相性を意識して選びましょう。
完全調理済み食品サービスの選び方&導入事例

他社の完全調理済み食品を導入する場合は、まずサービスの特徴を把握し、自施設での今までの食事の質を落とさず、より向上できる内容を目指して選びましょう。例えば、以下のようなポイントを参考に検討してみてください。
- 食事の献立内容
- 介護食の形態の種類
- 禁止食や治療食への対応の有無
- 配送方法
- 注文可能な食数
- 会社の実績
- サポート体制
- 非常食の有無や緊急時への備え
さらに試食サービスがあると、実際に味わいを確かめられるため、導入前に検討しやすくなります。試食の可否も確認してみましょう。
ナリコマの完全調理済み食品サービスと導入事例
ナリコマでは介護・福祉施設向けの完全調理済み食品をご提供しており、クックチルまたはニュークックチルシステムでご利用できます。行事食や郷土料理も登場する365日の日替わり献立があり、ソフト食・ミキサー食・ゼリー食の介護食や禁止食にも対応しています。ここでは、ナリコマを導入していただいた介護施設さまの事例をご紹介します。
【事例①】給食業務時間を216時間短縮&年間560万円の人件費削減に成功
厨房作業や発注、検品、献立作成といった一連の給食業務にかかる時間を、ナリコマの導入後は216時間短縮できたとのことです。とくに厨房作業時間の削減効果が大きかったとお伺いしています。この削減した時間を人件費に換算すると、年間で560万円の削減につながり、コスト削減の面でもメリットが生まれました。さらに、調理作業の削減で厨房内の衛生環境が向上し、食品数の削減により保存場所の整理整頓もしやすくなったとのことです。
【事例②】4食形態が魅力!スムーズな直営運営へ
他社の完全調理済み食品からの切り替えで、以前は介護食への二次加工などが必要だったため、ナリコマの4食形態が選定時の決め手の一つになりました。同じく4食形態の非常食もご利用いただいており、防災訓練にも活用されているそうです。また、ナリコマの直営での厨房運営サポートや専用システムも運営に貢献しました。専用システムには講習に使う資料のひな型がそろっているため、資料作成の時間削減につながったようです。
人手不足の厨房には完全調理済み食品の導入が効果的

近年深刻化している介護施設の厨房の人手不足対策として、完全調理済み食品の導入は効果的な方法の一つです。自施設に合ったサービスを導入できれば、業務負担を軽減しながら、より効率的でメリットの多い厨房運営につながるでしょう。
ナリコマでは、直営での厨房運営サポートを行っており、導入後もアドバイザーによる継続的なサポートが可能です。食品のご提供にとどまらず、運営課題をご一緒に解決いたします。まずはぜひ一度、お気軽にご相談ください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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