病院給食は、患者の治療において欠かせない要素の一つです。食事を提供する厨房は主に委託(全面もしくは一部)と直営のどちらかで運営されており、全面委託が多くを占めています。
委託は「厨房業務の負担が大幅に軽減されること」「人材採用・育成が代行できること」などが大きなメリットとして挙げられますが、「コストが増大する」「運営体制が不安定になる」「患者とのコミュニケーションが不足する」といったデメリットもあります。
一方、直営のメリットは「直接雇用のスタッフが長期で活躍しやすい」「患者の食事満足度が上がる」などがあります。デメリットとしては、「業務量が減らないため負担が大きい」「人手不足になると回らなくなる可能性が高い」などが挙げられます。
このほか、委託と直営のメリットを取り入れたハイブリッドな運営方法もあります。完全調理済み食品を活用し、人手不足をカバーしながら、スムーズに食事を提供できることがポイントです。最適な運営方法を探すには、まず病院の状況を把握し、解決すべき課題をはっきりさせておきましょう。
目次
病院給食は委託と直営どちらの割合が多いか?

まず、病院給食の現状について詳しくみておきましょう。病院給食の運営方法は委託と直営が主流です。どちらか一方だけでなく、併用しているケースもあります。調理に使用する厨房は、院内もしくは院外となります。
日本医労連(正式名称:日本医療労働組合連合会)が2023年10月〜2024年1月に実施した「病院給食実態調調査(回収123病院・施設)」によると、最も多い食事提供方法は全体の74.8%を占めたクックサーブ。厨房運営方法については直営が29.3%、一部もしくは全面委託があわせて69.9%となっています。委託業務では仕込み・調理・盛り付け・配膳・下膳・食器洗浄を行うことが多く、その背景には慢性的な人手不足があるようです。
給食委託が抱える問題

給食委託は文字通り、外部業者に給食業務を委ねる運営方法です。病院側が得られる最大のメリットは、調理師や管理栄養士など、給食関連の専門スタッフを確保する必要がないことでしょう。委託費が値上がりしても、慢性的な人材不足やスタッフの育成・管理などで悩まされることはありません。
つまり、病院のスタッフは自分たちの専門職に特化したまま、業務を円滑に進められるのです。また、委託先の専門的なノウハウによって食の安全性が維持しやすくなるほか、幅広い食事が提供でき、有事の際にも対応しやすくなるメリットがあります。患者の安心感に大きく貢献することになるので、病院としてのホスピタリティも向上するでしょう。
ところが、委託による運営方法にはデメリットが三つあります。
委託の問題①委託先との連携が難しいこともある
外部業者に委託するということは、本来であれば密なコミュニケーションが必要です。とはいえ、双方が無限に時間を費やせるわけではありません。打ち合わせのためにスケジュールを無理に調整しなくてはならない、担当者とすぐ連絡が取れないといった問題が生じることも考えられます。スムーズに連携できなければ、委託先との信頼関係が希薄になってしまうかもしれません。
委託の問題②委託先の状況次第によるところがある
給食業務を主に担当するのは、委託先のスタッフです。人材の採用から育成まで委託先で行ってもらえる反面、入れ替わりが激しかったり、人員確保が不十分だったりすると、給食の品質維持にも影響を与えます。コストをかけても、委託先の状況によっては味や品質が不安定になったり、献立がマンネリ化したりする可能性は否めません。
委託の問題③患者の健康状態が把握しにくくなる
給食業務をすべて委託すれば、病院のスタッフと患者がコミュニケーションをとる機会が少なくなります。しかし、食事の様子や健康状態によっては個別で対応すべき場合もあるのです。委託にすることで細かい変化などの発見が遅れたり、必要に応じた献立の変更ができなくなったりする可能性があります。
給食直営が抱える問題

給食直営は、病院内ですべて完結させる運営方法です。調理師や栄養管理士などのスタッフを直接雇用するため、就業環境を整えれば長期で働いてもらえる可能性が高く、コストに見合った業務が行えるようになります。
また、患者とコミュニケーションをとる機会が多くなり、ちょっとした変化や要望に気づきやすくなるのも大きなメリット。給食の品質が安定するだけでなく、個人の健康状態に合わせた献立を用意することも可能です。その結果として、患者の食事満足度も上がるでしょう。
しかし、委託と同様、直営による運営方法にも次のようなデメリットがあります。
直営の問題①病院内の業務量が増える
病院のスタッフが給食を提供するのであれば、やはり業務量の増加は避けられません。スタッフの採用や育成、管理も必要になるため、コア業務が滞ってしまう可能性は高くなります。その場合、病院としての評価が下がるかもしれません。
直営の問題②人材不足になると品質維持が難しい
調理師や栄養管理士など、業務に必要な人材が足りなくなると、給食の品質が落ちてしまう可能性も出てきます。また、余裕がないまま業務を行うと、配膳が大幅に遅れたり、個別での対応ができなくなったりするかもしれません。
病院給食の効率化のために必要なポイント

では、病院給食の運営について効率アップするためのポイントをまとめてみましょう。
効率化のポイント①調理時間と工程、動線の見直し
提供している献立の調理時間と工程を細かく見直し、コストとのバランスがとれているか確認します。また、調理場や配膳ルートの動線がスムーズであることも大事なポイントです。献立の見直し、厨房機器の入れ替えなどが必要になるケースもあるでしょう。
効率化のポイント②個包装や常温保存の食材を活用
パンやチーズ、ヨーグルトなど、個包装になっている食材を取り入れると、調理時間と工程が大幅に削減でき、食後の片付けも少なくなります。常温保存が可能であれば、提供しやすさにもつながります。
効率化のポイント③AIシステムやIoTを導入
献立作成や食材発注管理、事務作業などにAIシステムを導入するのもおすすめです。管理栄養士や事務スタッフの負担が減り、ほかの業務に注力できるようになります。ます。さらにIoTを導入すると、調理場などの動きをまとめて把握できるようになり、業務全体を見直すきっかけが生まれます。
効率化のポイント④調理・提供方法の見直し
現状で調理方法はクックサーブが多くみられますが、それ以外の調理・提供方法を採用するのも効果的です。完全調理済み食品(クックチル、ニュークックチル、クックフリーズ、真空調理)は、再加熱や盛り付けを行うのみで提供することができます。施設の規模や業務の流れにあわせ、最適な方法を選ぶといいでしょう。
委託×直営のハイブリッド!直営支援型厨房運営

ナリコマでは、委託と直営のいいとこ取りをしたハイブリッドな「直営支援型厨房運営」をおすすめしています。ここまでお伝えした委託と直営もあわせて、主なポイントを比較してみましょう。
|
比較ポイント |
委託 (全面委託の場合) |
直営 |
ナリコマの 直営支援型 |
|
主な調理方法 |
クックサーブ |
クックサーブ |
完全調理済み食品 (クックチル、ニュークックチル) |
|
栄養管理と献立作成 |
委託先に一任 |
栄養価の計算、献立バリエーションの工夫などが必要 |
管理栄養士が栄養価を計算した日替わりの献立がある |
|
個別対応 |
委託先に一任 ※嚥下調整食や治療食などは、十分に対応できないケースもある |
患者ごとに細やかな対応ができる |
・普通食と同じ献立内容のミキサー食、ソフト食、ゼリー食を展開 ・院内基準の治療食やアレルゲン除去に対応可能 |
|
人材の採用と育成 |
委託先に一任 |
採用・育成が必要 |
クックサーブよりも人員は減らせるが、採用・育成は必要 |
|
品質・衛生安全管理 |
委託先に一任 |
全面的に管理が必要 |
一部では管理が必要 |
|
運営コスト |
全面委託では、直営より割高になる傾向あり |
現場の状況をみて、適切な対策を講じることでコスト削減は可能 |
人件費、食材費、水道光熱費などの削減が期待できる |
クックチル、ニュークックチルとは
クックチルは加熱調理後に急速冷却を行い、食中毒などの原因菌が繁殖しにくいよう、チルド状態で保存します。提供直前に再加熱して盛り付けるため、温かい料理を提供することができます。食材ロスが出にくく、衛生面の安全性向上、調理時間・作業工程の削減にも有効です。
ニュークックチルは、基本工程がクックチルと同じです。大きく違う点は、急速冷却後に盛り付けまで行うこと。器やトレイごとチルド状態で保存し、再加熱後はそのまま配膳できるため、料理が冷めにくいメリットもあります。

運営方法を検討する際のチェックリスト
それぞれの運営方法がどのような病院に向いているのか、基本的なチェックリストをまとめてみました。
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委託 |
・大規模で、食数が多い ・人手不足が慢性化している ・事務や人材採用・育成の負担を削減したい ・コスト面ではまだ余裕がある |
|
直営 |
・小規模で、食数が少ない ・人材採用・育成面では問題がない ・献立内容や個別対応などにこだわりがある ・大幅なコスト増は避けたい |
|
ナリコマの直営支援型厨房運営 |
・人手不足が慢性化している ・誰でも対応できる、負担が少ない方法を探している ・献立作成や栄養管理などの負担を減らしたい ・食の楽しみは維持したい |
病院給食では安定した厨房運営が重要

病院給食は治療の一環として大事な役割があるため、突然提供できなくなったり、品質が落ちたりすることで、医療体制にも影響が出てしまいます。少子高齢化が進む日本では、さらに深刻化する人手不足の問題、高齢者増加による医療・介護ニーズの上昇など、従来の体制では対応が難しくなる状況も考えられます。
厨房運営についても、将来的に持続可能な、安定した体制を整えなくてはなりません。ナリコマの直営支援型厨房運営は、専属アドバイザーによるサポートも充実。現場のお悩みに寄り添い、最適な解決策をご提案します。導入に関するご相談も承っておりますので、少しでもご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
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急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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