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ニュークックチルの活用で悩みの種になるのが初期投資です。この記事では、ニュークックチルの初期設備の課題について掘り下げながら、ランニングコストなども含めたニュークックチルのコスト分析、長期的視点でのコスト比較例、給食委託費用の削減等のニュークックチルのコスト削減効果について解説します。

ニュークックチルは初期設備が課題

ニュークックチルの導入では、初期設備がコストの課題となるケースが多くあります。まずは、ニュークックチルの特徴を理解し、メリットとデメリットを比較してみましょう。そのうえで費用対効果を検討しながら、設備にどのような費用が必要かを整理してみてください。

 

ニュークックチルとは?

ニュークックチルは、クックチルを応用した調理方式で、調理した食品をチルド状態で盛り付けまで行っておくことで、再加熱後にすぐ提供できるのが特長です。具体的には、加熱調理した食品を急速冷却してチルド保存し、チルド状態で盛り付けを行い再加熱カートなどに保存しておき、食事の提供時に再加熱カートで温めて配膳する手順です。盛り付けまで事前に行っておくことで、温かい料理をすぐに提供できるのが、クックチルと比較した魅力です。

ニュークックチルのメリット&デメリットを比較

ニュークックチルには便利な特徴がさまざまにありますが、同時にデメリットも併せ持っています。初期投資などのコストがかかることもデメリットの一つですが、専用機器の配置スペースなど課題につながる特徴が複数あります。上手な活用方法を見い出すためには、メリットとデメリットを比較して費用対効果を検討することが必要です。下記にまとめたニュークックチルのメリットとデメリットも参考にしてみてください。

 

ニュークックチルのメリット

  • 事前の調理によって作業の効率化につながる
  • 作業のマニュアル化に役立ち、スキルを問わず作業が可能
  • 急速冷却や保存環境に伴い衛生管理がしやすい
  • 温かい食事・冷たい食事を個々に適温ですぐに提供できる
  • スタッフの省人化が可能となる

 

ニュークックチルのデメリット

  • 新規導入の初期コストがかかる
  • 専用機器の配置や食品のチルド保存のスペースが必要
  • 厨房動線等の環境の調整とスタッフへの周知・教育が必要
  • 揚げ物や炒め物などの不向きなメニューがある

ニュークックチルに必要な設備

ニュークックチルの初期投資は主に、最初の設備を整えるところにあります。例えばニュークックチルシステムを活用した直営厨房には、下記のような専用機器が必要です。

 

  • スチームコンベクションオーブン:加熱調理を行う
  • ブラストチラー:加熱調理後に急速冷却する
  • 再加熱カート:盛り付け後の食事をチルド保存し、配膳前に再加熱する

 

ニュークックチル導入の設備環境によって必要機器は異なりますが、再加熱カートは多くの場合必要になるでしょう。必要な専用機器は、初期投資の中でも比較的高額になりやすいです。その他、厨房設備自体の変更が必要な場合は工事や備品の費用も必要になります。

ニュークックチルのコスト分析

ニュークックチルは初期投資が主に負担になりますが、環境によって異なる場合があるほか、見落としがちなコストもあります。全体的なコスト分析を行い、隅々まで把握することが大切です。

初期投資は環境の違いも影響する

ニュークックチルシステムは、自社施設の厨房で調理する現地調理の場合とセントラルキッチンで調理した食品を配送してもらう場合によって、設備環境やコストが変わります。その他に、他社で製造したクックチル食品を取り入れる方法もあります。そのため、ニュークックチルをどのように利用するかも踏まえてコストを検討しましょう。下記は、自社施設の厨房とセントラルキッチンにおける全体の手順です。専用設備が必要な手順には(専用設備)と付けています。

 

自社施設の厨房で調理する場合

 

1.食材の下処理と加熱調理(専用設備)
2.調理した食品の急速冷却とチルド保存(専用設備)
3.チルド状態での盛り付けと保存
4.食事の再加熱(専用設備)
5.食事の配膳

 

セントラルキッチンからの配送の場合

 

1.セントラルキッチンからニュークックチル対応食品を受け取る
2.チルド状態での盛り付けと保存
3.食事の再加熱(専用設備)
4.食事の配膳

 

上記のように、セントラルキッチンで製造した食品を利用する場合は、自社施設の設備が簡易的でもニュークックチルを導入できます。

ランニングコストは電気代に注意

ニュークックチルシステムに切り替えると、クックサーブ方式と比較して、効率の良い調理作業による光熱費や人件費の削減、食材のロス削減による食費の削減、などが期待できます。その代わり、使用する専用機器にランニングコストがかかる場合があるでしょう。例えば、専用機器が常に稼働することにより電気代のコストが目立つケースがあります。また、専用機器のメンテナンス費用も必要です。

見落としがちな食器のコスト

初期投資の中で見落としがちなコストの一つに、食器にかかる費用があります。ニュークックチルでは再加熱カートなどの専用機器を使用しますが、通常の食器を使うと食器が劣化しやすいため、使用する専用機器に適した食器を同時に用意しなければなりません。提供する食事の人数分のニュークックチル対応食器をそろえると、ある程度まとまった費用となるため、忘れずに予算に組み込む必要があります。

ニュークックチルのコスト比較例

ニュークックチルのコスト比較では、どれだけ人件費を削減できるかがポイントです。初期投資が高額でも、導入以降の年間コストが抑えられていれば、数年後には大幅なコスト削減につながることが期待できるでしょう。

労働時間の削減がそのままコスト削減へ

わかりやすい比較例として、ニュークックチルを導入した場合にどれくらい労働時間が削減できるかをシミュレーションする方法があります。例えば、ニュークックチルの導入で早朝や遅番のシフトがなくなり、各作業の効率化により1日に14時間の労働時間削減に成功したとします。時給1,000円の人件費として考えてみると、1日に14,000円の削減となるでしょう。1日あたりではわずかな金額ですが、下記のように長期で計算すると大きな削減が期待できます。

  • 1日:14,000円
  • 1ヶ月(30日):42万円
  • 1年間:511万円

人件費削減と機器導入費用の比較例

ニュークックチルの導入では、最初の機器導入費用が大きなコストとなります。そのため、長期目線でどれくらいのコスト削減につながるのかを把握すると、将来的な計画を立てやすいでしょう。わかりやすい比較例として、人件費を交えた比較があります。

 

下記は、従来の調理方式であるクックサーブの機器導入費用を1,000万円・人件費年間1,168万円(1日32時間・時給1,000円)、ニュークックチルの機器導入費用を3,000万円・人件費年間657万円(1日18時間・時給1,000円)として、5年間の機器導入費用+人件費を比較し、ニュークックチルを基準としてコストの差額を計算した表です。

 

 

機器導入費用

1年目

2年目

3年目

4年目

5年目

クックサーブ

1,000万円

2,168万円

3,336万円

4,504万円

5,672万円

6,840万円

ニュークックチル

3,000万円

3,657万円

4,314万円

4,971万円

5,628万円

6,285万円

コストの差額

-2,000万円

-1,489万円

-978万円

-467万円

44万円

555万円

 

上記のように、ニュークックチルの機器導入費用がクックサーブの3倍だとしても、人件費を半分程度まで抑えることができれば、4年目からはニュークックチルの方がコスト削減につながっていくことがわかります。

ニュークックチルに期待できるコスト削減効果

ニュークックチルの導入では、人件費のほかにも、例えば下記のようなコスト削減が期待できます。

  • 水道光熱費
  • 採用費
  • 給食委託費

ニュークックチルシステムに加えて、調理済みのニュークックチル対応食品を導入すると、自社施設の厨房で調理する際の水道光熱費が削減できます。また、調理スキルを問わない作業が可能となるため、人材の定着に伴い採用費削減が期待できるでしょう。近年では、給食委託費の高騰も課題となっていますが、ニュークックチルへの変更や自社施設の厨房設備改革などにより、給食委託費の削減につながる可能性もあります。

ナリコマでは直営のニュークックチル導入をサポートしています

ナリコマには、自社セントラルキッチンで調理した完全調理済みのクックチル・ニュークックチル食品があり、病院や介護施設に特化した直営型厨房運営をサポートしています。ニュークックチルの導入についても、コスト面の試算から詳しくご説明いたします。ニュークックチルのコストが気になる際は、お気軽にコストシミュレーションからお問い合わせください。

 

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