病院や介護施設などでは、厨房の人手不足の悩みが深刻化しています。問題が解決しない背景には、募集をかけても調理員の応募がない、という実態もあるようです。未経験でも勤務可能な調理員は一見応募のハードルが低いように思えますが、なぜ応募が少ないのでしょうか?
この記事では、調理員が集まらない理由から、未経験者にとって厨房業務がつらく感じる理由、未経験者が活躍できる厨房にするための解決策とクックチルの特長について解説します。
目次
調理員を募集してもこない理由
調理員は調理師の資格がなくても働くことができ、未経験でも仕事に就くことが可能です。しかし、病院や介護施設だけでなく、飲食店においても、厨房の人手不足が深刻化しています。調理員は、無資格や未経験でも応募可能で、最初のハードルがそれほど高くないのにも関わらず、募集しても応募がないのはなぜなのでしょうか。まずは、その理由を探ってみましょう。
賃金が安い
求人案件を検討する際に、大きなポイントとなるのが給与の部分です。飲食業界は、他の職種と比較して賃金が安い傾向がありますが、病院や介護施設などはさらに低賃金であることもめずらしくありません。近年では、生活費が高騰し生活苦を感じている人々が多くいるため、給与の条件だけで応募を断念している可能性もあるでしょう。
勤務時間が長い・不規則
調理員の勤務時間は、長時間だったり、シフト制でも早番や遅番が混同するなどで不規則になることがあります。一般的な勤務時間を9時〜17時としたときに、調理員は6時〜15時というケースがあり、この場合、休憩を1時間挟んでも一般の勤務時間よりは少し長くなるでしょう。また、早番のシフトは朝の4時台から開始、遅番のシフトは夜の20時まで、ということもあるため、シフトに対応できないことも応募を断念する理由につながります。
仕事内容がきついという概念
例えば、「調理員 介護施設」「調理員 病院」などと検索すると、あわせて「きつい」というワードが表示されることがあります。介護施設や病院などで調理員として働きたい気持ちがあり検索をして情報を集めたときに、仕事内容がきついという情報が入ってくると応募の妨げになることもあるでしょう。実際に調理員の仕事は大変な内容が多いため、応募を増やすためには業務自体の改善も課題の一つです。
求職者に情報が届いていない
調理員の応募がこない根本的な理由の一つには、求人情報が求職者に届いていない、という可能性もあります。求人情報が更新されず募集した当時のままの状態が続いていると、ウェブの検索で上位に上がらず目に留まらないことがあるでしょう。また、新聞の折り込み広告だけに求人を載せているなど、募集する媒体が限られている状態も応募がこない原因につながります。例えば、体力のある若い世代を募集したいと考えている場合は、若い世代がよく見るところに求人募集を載せることが必要です。
未経験者に厨房業務がつらい理由
調理員の人手不足に陥る原因には、応募がこないだけでなく、採用してもすぐに辞めてしまうケースも影響しています。そのため、人手不足の解消には離職者をどれだけ少なくするかもポイントです。調理員が辞めてしまう理由には、厨房の業務自体がつらいことも関係しているため、業務改善のためにも、未経験者にとって厨房業務がつらい理由を改めておさえておきましょう。
覚えることがたくさんある
病院や介護施設の食事の調理はとくに、患者さまや利用者さまの体調に合わせた食事作りが必要なため、覚えることがたくさんあります。また、これらの調理は命に関わる部分もあるため、ミスが許されず慎重に行わなければなりません。覚えることが山ほどあるなかで、さらに慎重さを求められることは、未経験者にとって大きな負担につながることがあります。
体力がついていかない
調理員は、立ちっぱなしで長時間作業をしたり、重い物を運んだりと、仕事内容自体がある程度過酷な面があります。さらに、早番や遅番のシフトをこなす上では、一般的な規則正しい生活を送るのが難しいこともあるでしょう。そのため、体力的なつらさを感じることがあります。
人間関係がつらい
人手不足が影響し、厨房の人間関係があまり良好ではなくなってしまうケースもあります。離職率が高い職場では、一生懸命教えてもすぐに辞められてしまうため、仕事を教える側もストレスになってしまうことがあるでしょう。また、人手が足りないことで個人の業務負担が増えていることも重なり、新しく来た人に対して余裕を持った接し方が難しいこともあるようです。こういった環境に未経験で入ることで、プレッシャーも重なりつらいと感じることがあります。
厨房改革で未経験者が活躍できる職場に
厨房の人手不足の解消には、より多くの人に応募してもらうことのほかに、採用した人に長く働いてもらうことも大切です。しかし、先述したように、厨房業務は未経験者にとってつらいと感じられる事柄がさまざまあります。未経験でも調理員に興味があり、意欲をもって応募してくれた人に楽しく働いてもらうためには、厨房業務自体の改革が必要です。
未経験者に長く働いてもらうための厨房改革のポイント
厨房の改革では、働く人の側に立って、できるだけ負担が減るような環境に整えることを意識してみましょう。例えば、覚えることが多過ぎる負担については、人を選ばず簡単にできるような調理工程にすれば、問題の解決につながります。機能性の高い調理器具や調理ロボットを導入する、などの方法があるでしょう。調理工程が少なく素早く料理が完成すれば、調理時間の短縮にもつながり、業務やシフトの過酷な状態も緩和できます。
未経験でも即戦力になる「クックチル」とは
厨房業務の人手不足の解決策として、注目されている方法の一つが「クックチル」の利用です。クックチルは、加熱調理した食品を急速に冷却して保存しておき、食べるタイミングで再加熱して提供するシステムです。
安全な食品を作るため、クックチルには厳しい温度管理のできる調理環境が必要になりますが、セントラルキッチンとして調理専用の設備を設ければ、施設内では食品の温めと盛り付けを行うだけで提供できます。
厨房改革に役立つクックチル
クックチルシステムを導入すれば、厨房での調理作業はごく簡単な作業で、短時間で行うことが可能になります。未経験の調理員でも負担なく仕事を行えるでしょう。早番や遅番のシフトを負担の少ない時間帯に調整できる可能性もあります。誰でも簡単に行える調理作業のため、未経験であっても厨房の即戦力になれるのです。
ナリコマのクックチルは介護食にも対応!
ナリコマのクックチルは、身体機能に合わせた4食形態のご用意があるため、普通食と介護食をお選びいただけます。介護食は、ソフト食・ミキサー食・ゼリー食があり、病院の患者さまや介護施設の利用者さまの個々の嚥下力や咀嚼力に合わせて、適する状態のお食事のご用意が可能です。食事の状態が個別に異なっていても、クックチルなら施設内の厨房ですり潰したりとろみをつけたりする必要がないため、未経験の方でも簡単に用意することができるでしょう。
病院/介護福祉施設の厨房の人手不足はナリコマに相談を!
未経験者でも働きやすい厨房環境に整えることで、未経験者の応募を増やすことや長く働いてもらえる環境にもつながります。クックチルの導入によって業務内容が簡潔になることを、募集要項に詳しく記載するのも一つの方法です。
ナリコマでは、未経験の方でも内容を覚えやすい、盛り付け方法の調理動画などをご用意しております。実際に厨房に足を運びご説明いたしますので、ご不明点にもその場でお答えが可能です。まずは無料相談からお気軽にご連絡ください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
人材不足に関する記事一覧
-
BCPマニュアルの作成・活用 実践的な手順と注意点を徹底解説
BCPとは「Business」「 Continuity」「Plan」の頭文字を取ったもので、災害や緊急事態が発生した際に事業の中断を最小限に抑え、迅速な復旧を目指す「事業継続計画」を指します。介護施設に関しては2024年4月よりBCPの作成が義務化となり、すべての介護施設でBCPマニュアル策定が必須になりました。
医療・介護事業者にとっては、利用者の命や生活を守るためにBCPの策定が欠かせません。非常事態が起きた時でもBCPマニュアルを作成しておけば、短期間での業務復旧や多くの人々の命を守ることができます。BCPマニュアルの作成から運用、さらに病院・介護施設特有の対策について詳しく解説します。 -
給食業界の現状!早期改善が求められる課題3つ
給食は保育所や学校、病院、介護・福祉施設、社員食堂など、いろいろな場所で人々のお腹を満たし、健康を支えています。しかし、その給食を提供する側に目を向けると、いくつかの課題が浮き彫りに。近年、給食業界は厳しい状況にあると指摘されており、早めの対策が必要といわれているのです。
本記事では、給食業界が抱える複数の課題から、特に重視すべき3つをピックアップ。課題の内容とともに、その要因や改善のポイントも詳しくお伝えします。
-
今後どうなる?給食業界の課題と将来性を詳しく解説
給食は、保育所や学校、病院、老人ホームといったさまざまな施設で提供されています。施設を利用する人々にとって、給食は健やかな生活を送るために欠かせないものでしょう。ところが、その一方で、現在の給食業界は大きな課題をいくつも抱えています。
今回の記事で取り上げるテーマは、給食業界の将来性。近年における業界の動向や解決すべき課題を挙げ、今後の展望について解説します。ぜひ、最後までお読みになってください。
コストに関する記事一覧
-
介護施設の給食委託。選び方のポイントと成功するコツを紹介!
介護施設の給食委託をテーマにお届けする記事です。給食委託会社の選び方で重視すべきポイントのほか、介護施設における食事の重要性や委託以外の給食提供方法などもまとめて詳しくお伝えしています。
-
老人ホームの食事はまずい?管理栄養士を悩ませる、高齢者が食事を食べない理由
利用者さまに「食事がまずい」と不満や文句を言われ、悩みを抱える老人ホームは少なくありません。食事がまずいと感じられる原因は複数あるため、問題点を見つけて改善していくことが必要です。
今回は、高齢者が食事を食べない理由から、ナリコマのクックチル導入事例、365日食事メニューが変わる献立例や、利用における便利なポイントをご紹介します。 -
病院給食は委託と直営どちらがおすすめ?
医療施設や介護施設などで絶対に必要なものといえば、毎日の食事。今回は、病院給食にスポットを当てた記事をお届けします。現在は調理師や管理栄養士などの人材不足、食材をはじめとするさまざまなコスト高騰に伴い、委託費の値上がりも懸念されています。そんな問題が浮上してきている中で、病院給食はどのように運営されているのでしょうか?
本記事では病院給食の現状について触れ、委託と直営それぞれのメリットやデメリットを解説。さらに、病院給食を効率よく運営するためのポイントやおすすめの調理・提供方法などをお伝えします。