BCPは英語で「Business Continuity Plan」と表し、事業継続計画を意味する用語です。一般的な事業計画とは異なり、自然災害や感染症、大規模な火災、システム障害、テロ攻撃などの、危機的状況下でも重要な事業を中断させない、または早期復旧させるための計画のことです。
BCPは、策定するのはもちろんのこと、策定後の研修や訓練も重要な役割を担っています。また、研修にはBCP策定のための研修もあります。この記事では、BCP研修の必要性や内容、BCPの理解を深めるのに役立つ研修サービスの選び方などを解説します。
目次
BCP研修が必要な理由
これから起こり得る災害に備えて、BCPの策定は大いに役立ちます。ただし、BCPは策定した関係者だけが内容を知っているだけでは効果的ではありません。危機的状況下でそれぞれの職員が適切な行動をとれるように、BCPの内容をあらかじめ理解しておく必要があります。そのため、BCPでは、普段の周知や研修、訓練なども重要なポイントなのです。介護事業所ではBCPの策定等が義務化されましたが、定期的に研修や訓練を行うことも義務の範囲に含まれています。
BCPは、策定後も見直しをしてより効果的な内容に改善していくことが望まれます。BCP研修は、こうした見直しにつながる課題を発見するためにも必要なプロセスです。定期的に研修を行うことで、常にBCPの内容改善に働きかけることができるでしょう。
また、BCP研修には、策定のための研修もあります。2024年3月に発表された内閣府の「令和5年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」では、BCPの策定状況について大企業では約7割以上が策定済みでしたが、中堅企業では策定済みが5割に届きませんでした。また、BCP自体を知らないといった回答も一定数あり、BCP策定の重要度の高い医療・福祉の分野でも約3%がBCPが何かを知らなかったと回答しています。
医療・福祉の分野をはじめ、事業者全体のBCPの認知度を高めるためにも、研修は大切です。策定および職員への周知などを効率良く行えるように、適切なBCP研修を活用しましょう。
参照:内閣府 令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査 2024年
BCP研修でわかること
一般的なBCP研修の内容はさまざまにあり、個々の研修によって学べることが異なります。BCPについて理解を深められることは共通していますが、BCPを策定しなければいけない人と、策定されたBCPに基づき行動する人では、研修のプランや方向性が変わります。ここでは、BCPに関わる立場の違いによる研修内容や研修のメリットを解説します。
BCP策定のための研修内容とメリット
BCPの策定では、まず目的の設定や体制の構築を検討し、災害時のリスクを想定し、業務の優先順位を決めるといった手順があります。BCP策定のための研修は、BCPをこれから策定する人に向けた内容で、BCPの基礎知識から解説してくれるなど、作り方を根本から学べるのが特徴です。
BCPの必要性など根本的な理解を深められることで、自社に必要なBCPを策定しやすくなるでしょう。BCP策定に取り組んだうえで行き詰ってしまったときにも、研修によって解決策が見えてくることがあります。研修を受けることで、策定内容に悩んだり失敗したりする時間や手間を削減できるのもメリットです。
BCP周知のための研修内容とメリット
BCP研修にはもう一つ、BCPを策定した後に職員に周知するための研修があります。BCPは策定しただけでは不十分で、実際に緊急の事態が起こったときに上手く活用できることが重要です。そのためには、職員全員の理解と協力体制も必要になるでしょう。先述した実態調査からもわかるように、BCPについての認知はまだ完璧ではありません。「BCPとは何か?」について深く理解を深めてもらうことが大切で、そのために研修が役立ちます。
職員向けの研修では、策定したBCPの内容を座学やディスカッション、ロールプレイングなどのさまざまな方法を通して理解してもらうのが特徴です。BCP研修を通して、職員全員の防災への意識を高められるメリットがあり、個々の安全を守ることにもつながります。職員それぞれがBCPについて理解することで、緊急時のパニックを防ぐことにも役立ち、個々が担う役割をスムーズに行えることで早期復旧の可能性も高まるでしょう。
また、BCPでは緊急時に備えた訓練も必要で、実際に起きた場合を想定して行動する練習を行います。BCP研修はこの訓練の前段階としても必要なステップです。
BCPの理解を深める研修サービスの選び方
BCPに役立つ研修を提供しているサービスはさまざまにあります。効率良く学ぶためには、研修の内容が現状の目的に見合っていて、受ける人のスキルに合うレベルの内容を選ぶことがポイントです。また、会場開催やオンライン開催など実施環境も個々に異なるため、受けやすい実施スタイルを選ぶとなお良いでしょう。
例えば、厚生労働省のホームページでは、介護施設に向けたBCP策定の研修動画などが提供されており、好きな時間に見ることができます。
対象者や目的をチェックする
BCP研修を選ぶときは、受講対象者や研修の内容をよく確認しましょう。BCPの基礎がわかる、策定手順の解説があるなど、講師によって内容の詳細は異なります。BCPをこれから策定する人向けや、BCP策定にある程度取り掛かった段階でブラッシュアップを行いたい人向け、BCP自体の理解を深めたい場合などがあるため、受講の目的に合わせて選ぶことがポイントです。
スキルに見合う研修のレベルを選ぶ
BCPについて全く知識がない場合と、ある程度の知識があり策定のポイントを知りたい場合ではマッチする研修もやや異なるため、内容を見てレベルを意識しながら選ぶことも役立ちます。
また、職員向けにBCP研修を行う場合も、受講者のスキルに見合う研修内容を工夫しましょう。事前に研修の概要を伝えたり、資料を提供したりすることで、研修前の理解度を深め効果的に実施しやすくなります。
受けやすい研修のスタイル
研修は、会場に実際に足を運んで受ける、オンラインで受ける、動画を視聴するなど、いくつかのスタイルがあります。研修時間も個々に違い、1時間、半日、1日などさまざまです。職員に提供する際には、環境に合わせて受けやすいスタイルを選ぶとなお良いでしょう。
研修はどれか一つのスタイルに絞るよりは、さまざまなスタイルを組み合わせることでより効果的に理解を深められることがあります。動画を視聴するだけでなく、講義の後に質疑応答を行う研修や一部演習のある研修を適宜組み合わせるなど、構成も意識して選びましょう。
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