【障がい者雇用本格始動!】関東セントラルキッチン
ダイバーシティ推進室の松尾です。
ナリコマでは、本社などの限られた場所だけではなく、各CK(セントラルキッチン)や支店などのさまざまな拠点でひろく障害のある方を受け入れ、活躍していただける体制を目指しています。
今回は、神奈川県伊勢原市にある関東CKでの取り組みをご紹介します。
障がい者雇用が本格始動
関東CKは、2016年より稼働している、ナリコマでは4番目にできたセントラルキッチンです。
各CKで障がい者雇用を推進していこう、という全社的な方針のもと、関東CKでも本格的な取り組みがスタートしました。
経験が少ない中で手探りながらも丁寧に準備を重ね、晴れてこの4月から新しい仲間を迎えました。
入社してくれたのは、平塚支援学校出身のIさん。
在学中の2度の実習を経て、ナリコマへの就職を決めてくれました。
入社3年目、新任推進担当者の挑戦
関東CKの障がい者雇用立ち上げのメイン担当として頑張ってくれたのは、入社3年目のYさんです。
新卒として入社して、仕分課で活躍していましたが、ナリコマの障がい者雇用の取り組みに興味を持ち、自ら手を挙げて関東CKの推進担当者になりました。
障がい者雇用に携わるために総務課に異動し、まずは、社内ですでに多くの障がい者雇用の実績を持っている大阪CKで、1か月間の研修を受けました。
「実際に(障がい者雇用で入社して)働いている方がたくさんいらっしゃいました。
障がいのある方の仕事ぶりを見て、ここまでできるんだ、自分が想像していたよりずっと活躍できるんだなと感じました。
関東CKでも、働いて活躍してもらうということが具体的にイメージできるようになりました」
とYさん。
一方で、経験が少ないゆえに、関東CKに戻ったあと自分に同じことができるか不安だったともいいます。
「障がい者雇用はまだまだ手探りだけど、現場を知っていることは私の強みだと思います」
と語ってくれたYさん。
関東CKを案内してくれながら、「この業務は実習の候補に挙がったんです」「この仕事も障がい者の方にお願いできるんじゃないかと思ってるんです」と、いろんな場所で教えてくれました。
実習受け入れ~環境づくりとチームプレイ~
障がい者雇用の取り組みは、まず支援学校からの実習(※)を受け入れるところから始まりました。
※実習:支援学校や支援機関を通して、企業での仕事を体験する機会を設けること。雇用を見据えてきていただくものもあれば、必ずしも雇用を前提としておらず、まずは「働く」ということを知るためのものもあります。
その方の仕事に対する適性や、職場で必要なフォローについて事前に確認できるというメリットがあります。
実習を通じて入社していただくことで、会社もご本人もお互いをよく知ったうえで働いて頂くことができ、入社後のミスマッチを避けることができます。
ナリコマでは、多くの障がい者の方がこの実習を通して入社してくださっています。
実習を受け入れることも初めてだったため、近隣の支援学校様や就労支援団体様にアプローチするところからのスタートだったそうです。
支援学校の先生や他拠点で障がい者の受け入れを担当している経験者からアドバイスをもらいながら、慎重に準備を進めました。
「実習を受け入れます」ということを掲示するなど、全体にしっかりアピールして、「いつ、だれが、どの部署に実習に来ています」ということを、実習には直接関わらない部署のパートスタッフに至るまで、みんなに知ってもらえるように工夫したそうです。
実習中も腕章を作って実習中であることが一目でわかるようにし、実習生と実習に関わっている人がどんなことをしているか、周りにも伝わりやすい環境を作りました。
また、受入部署の作業担当者には、事前に実習生の特性、得意なこと苦手なこと、配慮すること、指示の出し方などをしっかり説明し、「どうしたらいいのかわからない」という不安を解消した状態で実習に臨んでもらえるようにもしたそうです。
△ △ △
実習は、CK内の清掃の仕事をメインに計画しました。
推進担当であるYさんもしっかりフォローしますが、実際に作業を担当しているのは2名のパートスタッフです。
「2人の協力がなかったら、受け入れは上手くいかなかったと思う」とYさんは言います。
2人の同僚のあたたかなフォローもあり、
1度目の実習では、緊張のためか「おっかなびっくり」に見えたというIさんも、
実習が終わるころには「次もまたナリコマに実習に来たい」と言ってくれたそうです。
実習中、まじめに教えられたことに取り組み、元気にあいさつをしていたというIさん。
同僚のお2人も、気持ちのいい方だな、ナリコマに来てくれたらいいな、と思っていたそうで、実際に入社が決まったと聞いたときはとても嬉しかったとのことです。
△ △ △
Iさんは、ナリコマでの仕事について、
「初めての道具(ワイパーなど)も丁寧にやりかたを教えてもらいました。
緊張しちゃうんだけど、優しく教えてくれたり、ゆっくり少しずつ教えてくれるのでありがたいです」
と語ってくれました。
同僚のお2人や、フォローしてくれるYさんについて、
「困ったとき、最初はなかなか自分からは聞けなかったけど、いまは気兼ねなく聞ける」関係とのこと。
「自分は汚れとかを綺麗にしたい(家でも学校でも)という気持ちがあるんです。
食堂とか、CKの中とか、きれいにすることにやりがいを感じます。
スピードがまだまだだけど、すこしずつでももっと早く、正確にできるようになっていきたい」
と、少しはにかみながら話してくれました。
入社後の成長と、これから目指したいこと
実習を経て、4月から正式にナリコマの仲間になったIさん。
入社して約1か月たった現在の様子について伺いました。
同僚スタッフは、
「Iさんの苦手なこと、苦手なんだけどこういうふうに伝えてあげたらできるんだな、ということがわかってきた」
と言います。
ざっくり、だいたい、というような曖昧な表現は伝わりにくいということで、指示をシンプルに、具体的にするように心がけているそうです。
「たとえば、ここは〇回ぐらいこすって、とかここから〇センチぐらい拭いて、とか」
「Iさんは、最初はこの作業はちょっと苦手なのかなとおもっても、この指をこういうふうにつかうよ、とか伝えてあげると『ああ、わかりました』と素直に吸収してくれる」
事前にIさんの特性について説明があったので、「じゃあこんなふうにやったらいいのかな」とご自身で工夫されたことや、Yさんのアドバイスで工夫したことなどもあるそう。
チームで協力してIさんの成長をサポートしている様子が伝わってきました。
実習からずっとIさんを見守ってきたYさんも、Iさんの成長を実感しています。
「配慮をちゃんとすればしっかり仕事できるんだな、と。
実習も含めて、最初は全然できなかったのに、2週間後はしっかりできるようになってる。
最初は作業着をきるのも時間がかかってたのに、いまでは食堂の清掃を一人で(時間通りに)できるまでになってくれました。
入社してからの1か月で確実に成長している!と感じます」
そう語るYさんの表情は、とてもうれしそうです。
チームのメンバーに、Iさんってどんな人?とお聞きしました。
「とっても素直で、真面目で、お話しするとおもしろい。
お話しするのが思いのほか上手で、好きなものの話とかきくと、ああこういうふうに感じてるんだなと思うことも多いです。こういう考え方なんだな、こういうふうに思うんだな、みたいな。
そういう部分がわかると、どういう風に伝えたらいいのかなということが想像しやすいんです」
頑張っているIさんの姿が、自分のやりがいにもつながっている、とも話してくれました。
Iさんについて話すお2人の笑顔はとても明るく、Iさんがチームに受け入れられているのがわかりました。
食堂を清掃中のIさん。とても丁寧に作業していました。
Iさん自身も、少しずつ成長している自分を感じているようです。
実習の時には経験しなかった仕事にも挑戦しているそう。
「はじめてのツールを使ったり、最初は難しくてうまくできないことも多いです。
でも、ちょっとずつだけど、できるようになってきたと感じます。
時間とかも気にしながら、何時までに終わったらリラックスルームもやるとか、ペース配分も考えて・・・」
「シューズラックを清掃してるんですけど、ひとりでもくもくとやってたら、途中で休憩に行く人たちが挨拶をかえしてくれたり、いつもありがとうねと言ってくれるんです。
とっても嬉しくて、もっと頑張ろうと思います」
「数字のための障がい者雇用」ではない、全員活躍が目指す未来
和やかな雰囲気のIさん(左)とYさん(右)
関東CKを取材して感じたことは、「挑戦したい」と声をあげたことを、組織ぐるみで応援する文化があるということです。
障がい者雇用の取り組みも、会社としての方針はもちろんありますが、Yさんの「関東CKを、障がいのある方が能力を発揮して、活躍できる場所にしたい」という真摯な思いを、上司や同僚、チームのメンバーが応援し、サポートしたことで実現したのだと思います。
今回、さまざまな部署でお話を伺いましたが、みなさん口をそろえて、
「Yさんのがんばりに応えたい、応援したい」と話してくださいました。
そして、入社してくださったIさんの頑張りと誠実さ。
それが周りにもいい影響を与えていると、短いあいだでもまざまざと感じることができました。
障がいのある方の活躍にとどまらず、さまざまな事情を抱える多様なメンバーが、多様な才能を発揮することができる、そんな未来への一歩を垣間見た時間でした。