AIは、今や世界中で活用の幅が広がっているツールの一つです。日本の介護分野においても注目度が高く、政府が運用するLIFE(科学的介護情報システム)との併用が期待されています。今回の記事では、AIとLIFEデータ活用の関連性を詳しく解説。LIFEの概要と共に、AIツールを併用するメリットや具体的な事例、導入時の留意点などをまとめてお伝えします。
目次
介護分野の改革に役立つ情報システム「LIFE」
はじめに、介護分野における現状の課題とLIFEの概要について確認しておきましょう。
課題が尽きない介護分野の現状
介護分野はかねてから課題が多いといわれてきましたが、いまだにすべての解決には至っていません。現状、特に注目すべき課題として次のようなことが挙げられます。
課題①高齢者人口の急激な増加
日本は超高齢化社会が進み、令和6(2024)年には高齢化率が29.3%に上昇しました。これは、第一次ベビーブーム期の昭和22(1947)年〜昭和24(1949)年に誕生した団塊世代が75歳以上になった結果です。高齢者人口が増えると、介護系サービスの需要増加につながります。しかし、介護系サービスが充実していない地域では「介護を必要としているのに受けられない」という状況も生まれてしまうのです。
また、医療費・介護費の増大によって従来の社会保障制度が破綻するかもしれないという懸念も生まれています。社会保障制度が正常に機能しなくなれば、医療・介護体制にも打撃を与えてしまうでしょう。さらに、高齢者人口増加がピークを迎える令和22(2040)年には高齢化率が34.8%に達すると推測されており、今後も各方面で大きな影響があると考えられます。
参考:高齢社会白書|厚生労働省 (令和7年版)
課題②介護系サービスにおける人材不足
前述した高齢者人口の増加と同時に問題視されているのが、出生数と総人口の減少です。かつて100万人を超えていた出生数は減少し続け、令和6(2024)年にはついに約68万人となってしまいました。また、令和6年10月1日時点の総人口は1億2,380万人でしたが、令和13(2031)年には1億2,000万人を下回り、令和38(2056)年には1億人を割ると推測されています。
つまり、高齢者が増えていく中、社会を支える労働者は少なくなってしまうのです。令和7(2025)年3月の有効求人倍率(全国平均)をみると、職業計の1.16倍に対して、介護関係職種は3.97倍と非常に高い数値が出ています。このような人材不足の状況は、よりいっそう深刻化するといえるでしょう。
参考:人口動態調査|厚生労働省(令和6年)

科学的介護の推進
厚生労働省は、介護分野の課題解決やサービス提供体制の安定化に向けて「科学的介護」を推進しています。これまでは介護サービスによって得られる効果が曖昧で、利用者にとっての良し悪しがわからないケースもありました。科学的介護は、介護施設・事業所のさまざまなデータを収集・活用することで介護サービスの効果を明確にする目的があります。
そうした科学的介護の推進にあわせて運用がスタートしたLIFEは、介護データの収集・活用に特化しています。LIFEを利用する際、その基本となるのがPDCAサイクルです。下記の①〜④を繰り返すことで介護施設・事業所はサービスの品質向上を図り、利用者が最適な介護を受けられるように体制を整えます。
①Plan(計画)
利用者ごとに目標を設定し、達成するためにどのようなケアを行うか計画します。
②Do(実行)
計画内容に沿ってケアを実施。毎日のデータをLIFEに提出します。
③Check(評価)
LIFEのフィードバック内容を複数の職員で確認し、気付いた点を共有します。
④Action(改善)
改善点について検討し、計画の修正・継続・終了などを決定。利用者の意向も汲みながら、次のサイクルにおける目標を設定します。
LIFEとAIツールを併用するメリット
AI(=Artificial Intelligence/人工知能)は、コンピューターに知能を持たせる科学技術です。人間と同じような学習や判断ができるため、介護分野ではLIFEとAIツールの併用が注目されています。併用の主なメリットとして、次のようなことが挙げられます。
メリット①現場の負担が軽減する
AIが得意とするデータ関連の作業を任せることで、現場の負担軽減につながります。AIツールの種類にもよりますが、LIFEに提出するデータ作成の時間が短縮されたり、各利用者の情報が閲覧しやすくなったりすることも期待できるでしょう。
メリット②データ分析の精度が上がる
LIFEには「データを分析・フィードバックし、介護サービスの品質を改善・向上させる」という大きな役割があります。つまり、介護施設・事業所から提出されるデータの正確性が非常に重要なのです。データに不備があった場合、分析の精度も落ちてしまいます。介護施設・事業所がデータの正確性を高めるには、AIツールの導入が効果的です。データ分析の精度が上がると、結果的に利用者がより良い介護サービスを受けられるというメリットも生まれます。

メリット③科学的介護推進体制加算が取りやすくなる
科学的介護推進体制加算(LIFE加算)は、項目によって詳細は異なりますが、基本となる算定要件にLIFEデータ活用が含まれています。AIツールでデータを効率よくまとめることができれば、LIFEへの提出がスムーズになるのはもちろん、科学的介護推進体制加算も取得しやすくなるでしょう。加算を取得すれば、介護施設・事業所の収益性が上がることになります。
LIFEデータ活用を支援するAIツールの事例
では、現場で使われているAIツールをみてみましょう。本記事のテーマにあわせ、LIFEとの連携が可能なツールをピックアップしました。
リハビリテーションのデータ収集に強いAIツール
「リハケア」や「CareWiz トルト」では、スマートフォンやタブレットの撮影・録音機能を使用します。動画や音声のデータをもとに、AIが運動解析や口腔機能評価をスピーディーに実施。分析結果からプランの提案も行います。リハビリテーションの流れがスムーズになるのはもちろん、専門的かつ高精度な分析により、データの質が上がります。機能訓練計画書をはじめ、介護業務に関するさまざまな書類作成もAIがサポート。評価や提案の標準化、作業時間の短縮、データの一元管理化などのメリットがあります。
日々の介護記録を分析・活用できるAIツール
「記録NAVI&けあらぽ」は、科学的介護をトータル的にサポートするツールです。AIの自然言語処理によって、介護記録の文章を統一化。簡単な操作で記録できるため、現場の負担軽減にも役立ちます。また、文章による介護記録を数値(グラフなど)に変換することで、データ活用がスムーズになります。
参考:記録NAVI&けあらぽ

音声入力による記録・データ確認を可能にしたAIツール
介護記録業務全体の効率化に適したソフトウェア「ほのぼのNEXT」では、AIによる音声アシスタント「ほのぼのVoice」が提供されています。利用者をケアしながら、リアルタイムの音声入力で介護記録の作成が可能。入力内容を反復して正しいかどうか判断できるため、正確なデータが蓄積されます。音声で呼びかけ、入力済みのデータを確認することもできます。
介護施設にAIツールを導入する時の留意点
最後に、介護施設・事業所におけるAIツール導入時の留意点をまとめました。
現場に最適なAIツールの選定
誰もが使いやすく、現場のサポートになるAIツールでなければ、導入する意味がありません。最適なツールを選ぶには、開発・販売元やコンサルタントに相談する方法もあります。
プライバシー保護やセキュリティ対策
AIツールでは個人的なデータを扱うため、プライバシー保護やセキュリティ対策を万全に整えておく必要があります。

AI人材確保と職員のITリテラシー向上
AIツールを正しく活用するには、専門的な人材が必要です。施設・事業所内での育成・確保が難しければ、外部を頼るのもいいでしょう。また、職員のITリテラシーを向上させるため、研修を十分に行わなければなりません。
費用対効果のシミュレーション実施
AIツールには初期費用や維持費がかかります。費用対効果をシミュレーションし、本当に導入する価値があるかどうか見極めることも大切です。
高品質の介護食はおまかせ!ナリコマの献立サービス
ナリコマでは、365日日替わりで高品質の介護食をお届けしています。味・見た目・栄養バランスの良い食事は、介護施設・事業所の利用者満足度向上にも貢献。AIツールの導入やLIFEデータ活用に加え、ぜひナリコマの献立サービスもご検討ください。

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