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近年の日本は高齢者の数が急増していますが、その一方でこどもの数は減少している状況です。この少子高齢化は深刻な社会問題として取り上げられており、今後も進行し続けるといわれています。働き手となる若者が少なくなる中、社会をどのように構築していくべきかという点は非常に重要です。

本記事は、そんな少子高齢化社会を支える取り組みの一つ「地域医療構想」に焦点を当てます。地域医療構想の概要だけでなく、相互関係にある地域包括ケアシステムについても詳しく解説。高齢者のケアに欠かせない、食事における課題と見直しポイントもまとめてお伝えします。ぜひ最後までお読みください。

医療と介護の連携が重要!地域医療構想とは

少子高齢化社会に向けた地域医療構想

冒頭でお伝えした通り、日本は少子高齢化が進行中。「令和7年版高齢者会白書」によると、2024(令和6)年10月1日時点の総人口1億2,380万人に対し、高齢化率(65歳以上人口の割合)は29.3%と高水準です。第一次ベビーブームに生まれた団塊世代が75歳以上になる2025(令和7)年以降は、高齢化がさらに進むことから、特に医療・介護の現場が逼迫すると考えられています。

 

地域医療構想は、こうした2025年問題への対策となる取り組みの一つです。具体的な目的は、少子高齢化が進んだ状況でも、すべての人が良質かつ適切な医療・介護を受けられるようにすること。同時に、医療従事者が無理なく長期的に働ける医療提供体制の構築も重視されています。

これまでの経緯と今後の方向性

地域医療構想は、2014(平成26)年6月成立の「医療介護総合確保推進法(正式名称:地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)」によって制度化されました。本項目では、これまでの経緯と今後の方向性について確認しておきます。

 

地域医療構想の初期段階では、まず都道府県によって構想区域が設定されました。その後、各構想区域における2025(令和7)年の医療ニーズを踏まえた上で、4つの医療機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)ごとに必要な病床数を推計。医療機関から現状と先々の方向性について報告を受けた都道府県が、集まった情報などをもとに協議を行い、病床の機能分化や連携を促しました。

 

2018(平成30)年の医療法改正では、地域医療構想の推進を図るため、医療機関の開設や増床などに関する都道府県知事の権限が追加されました。新型コロナウイルス感染症が蔓延し始めた2020(令和2)年の翌年には、各医療機関における対応方針の策定や検証・見直しを実施。感染症への対応も含め、より効率的で良質な医療提供体制の構築を目指すようになりました。

 

2024(令和6)年には、厚生労働省が新たな地域医療構想を公表。85歳以上の高齢者が増え、人口減少がより深刻になる2040(令和22)年に向け、ニーズが高まる外来・在宅医療提供体制の最適化を図り、医療と介護の連携も強化する必要があるとしています。つまり、新たな地域医療構想では医療と介護、双方で施設機能の再編が実施されるということ。対象範囲が広がるため、現場では、これまで以上に多角的な視点や臨機応変な対応が求められるでしょう。

地域医療構想と密接な関係にある地域包括ケア

地域医療構想における医療と介護の連携に欠かせないのが、地域包括ケアシステムです。少子高齢化社会に向けて医療・介護の提供体制を整えるという点では、地域医療構想と変わりません。大きく異なるのは、個人にフォーカスしていること。地域包括ケアシステムは「介護が必要な高齢者も、住み慣れた地域で自分らしく暮らせること」を目指しています。

地域包括ケアシステムを構成する5つの要素

①医療

日常的なケアをする「かかりつけ医」や「連携病院」、突発的な外傷や急性の疾患などをケアする「急性期病院」によって幅広く対応。地域の各医療機関が連携することで、急性期→在宅支援という退院後の流れも整いやすくなります。

②介護

在宅系介護サービスと施設・居住系介護サービスがあり、高齢者の状況にあわせて利用することができます。状況を見直し、変化に応じた切り替えも可能。医療機関との連携によって、さらに支援体制が強化されます。

③予防

健やかな在宅生活を続けていくために、要介護状態になることを防ぐ取り組みです。自治体が提供する介護予防サービスや、ボランティア団体による見守り活動があります。要介護者の支援活動に高齢者が参加するなど、地域社会とのつながりも重視されています。

④生活支援

要介護状態の高齢者が安全に在宅生活を続けるための取り組みです。具体的には買い物サポート、配食、見守り、安否確認などがあります。専門知識なしでも取り組めるため、自治体、老人会、NPO法人のほか、ボランティアや地域住民による支援も期待されています。

⑤住まい

高齢者の希望や経済力を考慮した上で、生活する場を整えます。自宅はもちろん、介護施設なども対象です。賃貸契約がある場合は、保証人の手配や手続きのサポートも行います。

地域包括ケアシステムを機能させる4つの「助」

地域包括ケアシステムをスムーズに機能させるには、下記のような自助・公助・互助・共助も重要といわれています。さまざまな形の助け合いが、高齢者の安心かつ安全な暮らしを支えることになるのです。

 

自助:高齢者が自発的に介護予防を心がけ、生活の課題を自分自身で解決すること

公助:生活困難者を支援する公的な制度や福祉事業

互助:家族、知人、ボランティアなどが自発的に協力し支え合うこと

共助:医療・年金・介護保険など、被保険者が費用を分担する社会保障制度

 

地域包括ケアにおける食の課題と見直しポイント

地域医療構想に欠かせない地域包括ケアシステムでは、食に関する課題も解決しなくてはなりません。高齢者をケアする上では、管理栄養士や保健師などによる食生活の指導をはじめ、周囲の人々による支援が必要なこともあります。本項目では、高齢者が口にする食事の見直しポイントをまとめました。

①低栄養リスクの回避

食事の内容が偏ったり量が少なかったりすると、低栄養状態になり、体力低下や疾患を引き起こすかもしれません。一日三食の献立を見直し、栄養バランスのいい主食・主菜・副菜をそろえてもらうことが大切です。

②咀嚼・嚥下機能にあわせた食形態

咀嚼・嚥下機能が低下している高齢者は少なくありません。かみやすさや飲み込みやすさに配慮した食事が必要なケースもあります。高齢者の状態にあわせ、細やかな対応が必要でしょう。食べやすくすることで、食欲増進にもつながります。

③孤食の防止

自分一人だけで食べる孤食は、食事内容を気にしなくなることから栄養が偏りやすくなるといいます。特に、一人暮らしの高齢者はそのリスクが高いかもしれません。共食の機会をつくるほか、配食サービスの活用や見守り活動などによるサポートも大切といえるでしょう。

医療・介護現場に特化したナリコマの食支援

ここまでお伝えしてきたように、地域医療構想と地域包括ケアシステムにおいて、医療機関や介護施設は非常に重要な役割を担っています。ナリコマでは、そんな医療・介護の現場に適した日替わりの献立サービスをご用意しております。自社セントラルキッチンから完全調理済み食品をお届け。再加熱と盛り付けのみで提供でき、厨房業務の負担軽減にもなります。

 

すでにご利用いただいている施設さまでは、「少量高栄養」にこだわったバリエーション豊かな介護食が大好評。献立は、治療食への展開も可能です。食事内容や提供方法の見直しを実施される際には、ぜひ一度ナリコマのサービスをご検討ください。

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