介護施設の給食委託をテーマにお届けする記事です。給食委託会社の選び方で重視すべきポイントのほか、介護施設における食事の重要性や委託以外の給食提供方法などもまとめて詳しくお伝えしています。
目次
介護施設の給食では何が求められるか
一般的に「介護施設」というと、要介護認定された高齢者が利用する施設のことを指します。公的介護保険内で利用可能な施設は、主に社会福祉法人や地方公共団体、医療法人などが運営を任されています。はじめに、介護施設の種類と特徴を確認しておきましょう。
①介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム/通称:特養)
原則では要介護3以上と認定されており、在宅での生活・介護が難しい高齢者を対象としています。日常的な介護、リハビリなどが受けられます。
②介護老人保健施設
要介護と認定されているものの、状態が安定しており、在宅復帰も望める高齢者を対象としています。健やかな在宅生活を目指し、医学的な管理下でリハビリなどが受けられます。
③介護医療院
要介護と認定されており、長期療養が必要な高齢者を対象としています。日常的な介護やリハビリだけでなく、医療も受けられます。

上記の説明からもわかるように、高齢者の日常生活に寄り添うことは介護施設の大きな役割といえるでしょう。すなわち、そこで提供される給食も高齢者に配慮しなくてはならないのです。要介護認定を受けた高齢者なら、自分で食事をするのが大変、あるいは難しいという方も少なくありません。また、療養中であれば栄養面の調整が必要な場合も。そのため、介護施設の給食業務では臨機応変な対応が求められます。
株式会社矢野研究所が315カ所の介護施設を対象に行ったアンケート調査によると、喫食率は最も低い介護医療院でも63.2%となっており、そのほかも78%を超える高水準です。また、同社はメディカル給食・在宅配食サービスの市場調査も実施。2024年度は前年度比102.4%の2兆4,096億円で、介護施設の給食と在宅配食サービスについては今後も増加していくと予測されています。こうした需要の高まりも視野に入れると、給食委託会社は慎重に選ぶべきといえるでしょう。
給食委託会社を選ぶためのポイントとコツ

介護施設にとって、給食の提供は日課の一つ。だからこそ、長期的にお付き合いしていけそうな給食委託会社を選ぶべきでしょう。本項目では、成功事例の一部も取り入れながら、選び方のポイントをお伝えします。
①衛生・品質管理を徹底している
厚生労働省は、すべての食品等事業者に対し、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理を義務付けています。万一のことがあっては困るので、衛生管理を徹底しているかどうかは、しっかりと確認しておきましょう。また、品質管理も重視すべきポイント。ある施設では、給食委託によって給食の品質が安定したことをメリットとして挙げています。高齢者の方々に食事を楽しんでもらうためにも、検討の際は品質管理の方法なども聞いてみるといいかもしれません。
②コミュニケーションがとりやすい
介護施設と給食委託会社の関係が良好であれば、相談や要望も伝えやすくなります。つまり、業務を円滑に進めていくには、コミュニケーションのとりやすさも重要。実際、「意見交換をしながら対応してもらえて良かった」という施設の声もあるようです。担当者の人柄、企業の雰囲気などは、きちんと見極めておきましょう。
③臨機応変な対応力がある
前述したように、高齢者の中には自分で食事ができない方や栄養価の調整が必要な方もいます。給食委託という形式であっても、個別の事情まで考慮できる対応力はとても重要です。ある施設では、「独自に実践してきた献立の方向性を、委託にしてもそのまま生かすことができた」という事例がありました。ほかに、嚥下機能が弱っている高齢者向けの食形態(ミキサー食など)も、どの程度まで対応してもらえるのか確認しておくといいでしょう。

④給食がおいしくてバリエーションも豊富
療養を必要としなくても、介護施設を長期で利用する高齢者は決して少なくありません。給食のおいしさは楽しみや食欲増進につながるため、自ずと健康への道も開けるでしょう。また、ある施設では「毎日同じ食事では飽きるので、変化をもたらすイベント食はありがたい」という声が上がっています。献立のバリエーションも、決め手の一つになるといえそうです。
⑤各種コストが削減できる
経営的な視点では、給食委託がコスト削減になるかどうかも見極めなればなりません。本来、施設内で給食を作るには設備費や水道光熱費、人件費だけでなく、時間的なコストもかかります。委託費を支払ってもメリットが多いと思えるような企業であれば、比較検討の余地はあるといえるでしょう。
介護施設における食事の重要性

続いて、介護施設における食事の重要性について考察します。最初にお伝えした通り、介護施設に集まるのは要介護認定を受けた高齢者の方々。そもそも、高齢者にとっての食事は日常生活での「楽しみや生きがい」になったり、「健康維持のため」に必要だったりするものです。本項目では、この二点に注目します。
「楽しみや生きがい」になる食事
介護施設の高齢者は要介護認定を受けているため、現役で仕事をしている方はほとんどいないと考えていいでしょう。ところが、そのような状況では、日常生活で受ける刺激が減ってしまいます。給食委託会社の選び方で少しお伝えしたように、おいしい食事を口にすることは毎日の楽しみになります。もし旬の食材を使った料理があれば、季節を感じる楽しみもプラスされるでしょう。
また、食事中は介護士や看護師、他の高齢者とコミュニケーションをとる機会もあります。そうやって誰かと過ごす時間が生きがいに感じられる人もいるでしょう。介護施設における食事は、高齢者が社会に参加するためのきっかけであり、楽しく健やかな日々を送るために欠かせない要素でもあるのです。
「健康維持のため」に必要な食事
高齢者の多くは食べる量が減ったり、食材や食品の選び方が偏ったりします。そのため、健康維持のためのエネルギーや栄養が不足しがちになるのです。多くの介護施設では、そんな高齢者の傾向を踏まえた食事を提供しています。
栄養バランスを整えるのはもちろん、彩りや食感などを工夫して食べやすくするのも大事な気遣いです。高齢者にとっては、しっかり食べて栄養をとることが、イキイキとした毎日を続けられる秘訣といえるのではないでしょうか。
給食委託以外の選択肢はある?

給食提供方法の選び方は、介護施設によってさまざま。ここまでお伝えしてきた給食委託以外では、主に二通りの方法があります。
選択肢①直営給食
施設内に給食設備を置いて栄養士や調理師などを直接雇用し、給食運営を行います。献立作成や食材の仕入れ、調理、提供などをすべて施設内で完結。実際に食事を口にする高齢者の声は届きやすくなりますが、給食業務を担当するスタッフの負担は増加します。食材などは少しずつ仕入れることになるため、必要コストが高くなってしまうこともあるでしょう。
選択肢②配食サービス
調理済みのお弁当やお惣菜を冷蔵・冷凍、レトルトパックなどで配達してもらえるサービスです。場合によってはコストが割高になってしまうこともありますが、「朝食と夕食のみ」「今回は10食のみ」など、給食委託より融通がききやすい一面もあります。上手に利用すれば、介護施設は給食運営費を大幅に削減できるでしょう。
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