ニュークックチルは、調理作業を効率化させ、食事の温めから配膳までをスピーディーに行える新調理システムです。従来のクックサーブによる調理方法の課題解決に役立ち、人手不足の課題解決についてもメリットが期待できます。しかし、従来の調理方法との違いにより、取り入れる際には新たに厨房設計を行うことも必要になるでしょう。この記事では、ニュークックチルの活用スタイルを改めて押さえながら、厨房レイアウトに必要な要素や動線設計のコツ、省スペース化に役立つ機器配置の工夫などを解説します。
目次
厨房設計に影響するニュークックチルの活用スタイル

ニュークックチルは、加熱調理した食品を急速冷却してチルド保存を行い、チルド状態で盛り付けをして再加熱カートなどの専用機器にセットしておき、食事のタイミングで再加熱して配膳するシステムです。毎食ごとに調理する従来のクックサーブシステムのように、食材の調理後に盛り付けをして配膳するシンプルな流れと比較すると作業工程自体は増えますが、全体の調理作業や毎食の準備作業は効率化されます。
ニュークックチルシステムでは、あらかじめ食材の下ごしらえや調理を行って保存しておくことができ、食前の準備では専用機器による自動の再加熱をして提供するだけで良いため、シフトを調整して早朝や遅番の勤務を減らすことも可能です。また、他社のニュークックチル食品を活用すれば、自社施設での作業はさらに簡素化されるでしょう。
ニュークックチルの導入方法によって必要な環境は異なるため、あわせて厨房設計も変わります。まずは、ニュークックチルの導入スタイルを明確にするところから始めましょう。例えば、ニュークックチルシステムには、下記のような活用スタイルがあります。
- 自社施設の厨房にニュークックチルの設備を全て配置する
- ニュークックチルとクックサーブを組み合わせる
- ニュークックチルの主な調理を自社運営のセントラルキッチンで行う
- ニュークックチルの主な調理を外部委託のセントラルキッチンで行う
- ニュークックチルの厨房作業を全て外部のセントラルキッチンで行う
ニュークックチルとクックサーブを組み合わせる方法では、例えば、夕食のみ、ご飯や汁物のみをクックサーブで提供するといった方法があります。自社で調理するだけでなく、他社のニュークックチル食品を活用すれば、自社施設の厨房では、食品の保存・盛り付け・再加熱・配膳・洗浄などができる設備があれば導入可能です。
ニュークックチルシステムは、使用する専用機器が比較的高額で初期コストがかかりやすいデメリットがあります。厨房設計では、コストを総合的に検討し、無理のない範囲で自社に合うニュークックチルシステムの導入方法を同時に見い出していきましょう。
ニュークックチルの厨房レイアウトに必要な要素とは?

ニュークックチルの厨房レイアウトを考える際にも、一般的な厨房環境に必要な要素から押さえていくと考えやすいでしょう。厚生労働省の提示する大量調理施設衛生管理マニュアルでは、外部に開放される部分に自動ドア等を設置することや、各作業区域の入口手前に手洗い設備等を設置することなど、施設設備の構造についても詳しく書かれています。
こうした衛生面などの基本的要素を取り入れたうえで、ニュークックチルの活用スタイルに合わせて、必要な作業場所を組み込んでいきましょう。例えば、一般的な厨房作業に必要なスペースの要素とニュークックチルの特徴を交えて比較すると下記のようになります。
|
一般的な厨房作業に必要なスペースの要素 |
ニュークックチルの場合(調理工程含む) |
|
食材や食品の保存 |
食数に応じたチルド保存のスペースも必要 |
|
下処理 |
必要 |
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調理 |
スチームコンベクションオーブンなどの加熱調理機器や、ブラストチラーなどの急速冷却機器を置くスペースが必要 |
|
盛り付け |
必要 |
|
配膳 |
自動で再加熱する再加熱カート等を置くスペースが必要 |
|
下膳 |
必要 |
|
洗浄 |
必要 |
上記のほかに、厨房事務室や更衣室なども必要となります。ただし、ニュークックチルシステムで外部委託を取り入れる場合は、これらの要素も変化するでしょう。調理自体を外部に任せる場合は、スチームコンベクションオーブンやブラストチラーは不要になるケースもあります。
厨房作業の効率化には動線設計も重要
厨房作業の効率を上げるためには、動線を意識した厨房設計も大きなポイントです。スタッフが通る動線はもちろん、効率良く調理できる動線や、配膳や下膳など全工程を視野にいれた動線など、さまざまな工夫が必要になります。限られたスペースで動線を確保するためには、一度に何人のスタッフが入るかも考えておくと役立つでしょう。動線設計では、魚や肉、野菜など食材ごとの動線や、ゴミの動線のように、人や作業に限らず細かく分けて考えることもポイントです。
ニュークックチルの場合は、調理後に急速冷却して、盛り付けを行い、再加熱カートに入れるといった作業工程に沿って動線を考えていきます。平面図に厨房のレイアウトを書き起こし、それぞれの動線を矢印などで記入していくとイメージしやすいでしょう。
省スペース化には機器配置の工夫もカギ

病院や介護施設に必要な厨房面積は、調理システムによって異なります。従来の方法であるクックサーブで提供する場合、1回に提供する食事数×1平方メートル程度の厨房面積があれば設計できることもありますが、ニュークックチルの場合はその2倍程度のスペースが必要になる場合があります。そのため、ニュークックチルシステムでは、まず厨房面積の確保が最初のハードルになることがあるでしょう。
ニュークックチルの厨房設備が場所をとる主な理由は、加熱調理や急速冷却、再加熱に使用する専用機器のサイズが比較的大きいことです。加えて、あらかじめ食品を作りチルド保存しておく工程のため、調理した食品の保存スペースが必要になることも影響します。そのため、ニュークックチルシステムの導入で自社施設の厨房スペースが足りない場合は、1日の一部の食事のみニュークックチルで対応したり、外部のセントラルキッチンを活用したり、といった工夫が必要です。
省スペース化を意識する際には、自社施設の厨房での作業工程を削減するほかに、省スペース化に役立つ機器を選び、配置を工夫することもポイントです。厨房面積の場所をとる再加熱カートは、メーカーによって仕様もさまざまにあるため、省スペース設計の再加熱カートを選ぶことで厨房環境の改善に役立つでしょう。
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