近年、介護施設や病院の厨房で深刻化する人手不足の課題解決に、ニュークックチルシステムが注目されています。この記事では、ニュークックチルが厨房の課題解決に役立つ理由と共に、ナリコマのニュークックチル導入事例と成功ポイントをご紹介します。ニュークックチルに必要な再加熱機器の選び方や、導入効果を踏まえた導入費用の検討方法も解説しますので、ニュークックチルの導入をお考えの担当者さまはぜひご参考ください。
目次
なぜ今、ニュークックチルが必要なのか?
介護施設や病院の厨房では人手不足が深刻化しています。その解決策の一つがニュークックチルシステムの導入です。まずは、ニュークックチルが必要とされる背景と、ニュークックチルの特徴や解決策に役立つ理由から見ていきましょう。
介護施設や病院が抱える厨房業務の課題
介護施設や病院の厨房を悩ませる人手不足の背景には、単に募集に人が集まらないというだけでなく、早朝勤務から遅番勤務までの長時間業務による過酷な労働環境、スタッフの高齢化、人件費の高騰などの課題も関係しており複雑です。
人手不足が慢性化すると、毎日の業務をこなすために一人あたりの業務量が増加し、より過酷な状況を生み出してしまいます。業務全体に余裕がなくなると新人を育てる時間もなくなり、新人が入っても戦力化が遅れる悪循環が続く可能性があるでしょう。こうした環境では、根本的な業務環境自体を見直すことも必要です。その方法として注目を集めるのが、厨房の調理システム自体の変更とニュークックチルの導入です。
新調理システム「ニュークックチル」の特徴
早朝から遅番までの勤務体制で毎食ごとに調理する従来の方法は、クックサーブと呼ばれるシステムです。新調理システムのクックチルやニュークックチルは、あらかじめ調理した料理を保存することで、食事の準備の際の業務負担を軽減できるのが大きな特徴です。いずれの方法も保存した料理を再加熱して提供しますが、クックチルでは再加熱後に盛り付けを行います。この盛り付けの手順も事前に準備できるのが、ニュークックチルシステムです。

ニュークックチルでは、加熱調理した食品を急速冷却後にチルド保存し、チルド状態で盛り付けをしてから再加熱カートなどの専用機器に入れてチルド保存します。再加熱カートはタイマーによる自動加熱ができるため、配膳時間に合わせた温めが可能です。この方法によって、食数が多い施設でも料理が冷めることなくスムーズに食事を提供しやすくなります。また、食事の衛生管理の面でも、より高度な管理につながります。
ニュークックチルが厨房現場の課題を解決できる理由
ニュークックチルシステムを導入すると、調理と食事提供を毎食ごとにセットで行う必要がなくなるため、早朝や遅番のシフトの削減が可能です。前日に翌日の朝食の準備をしておけば、翌日の朝には再加熱カートが自動で食事を温めてくれるため、早番勤務は配膳をするだけで食事を提供できます。人手の多い時間帯に数日後の食事を調理し、保存しておくことも可能です。また、ニュークックチル食品自体を導入すれば、自社施設の厨房の業務はさらに簡素化できるでしょう。このように調理環境そのものを変革することで、過酷な労働環境の改善に役立ちます。
ニュークックチルシステムでは、衛生管理を整えやすく、適温での食事提供、非常時の食事提供といったその他の課題の解決にもつながることから、複数の課題解決を視野に入れて導入する場合も見られます。
ナリコマのニュークックチル導入事例と成功ポイント
ここでは、ナリコマのニュークックチルを導入していただいた介護施設さまや病院さまの事例と成功ポイントをご紹介します。
導入事例1:特別養護老人ホームさま
こちらは、給食会社への委託による現地調理の環境から、ナリコマのニュークックチルへの切り替え事例です。
導入前の課題
調理員のスキルや現場でのモチベーションにより、食事のクオリティーに大きなムラが出ており、衛生面でも不安を抱えていました。
導入後の効果
自社施設の厨房で一からの調理が不要となり、食事の安定性や質が上がり、衛生面での不安も減少したようです。簡単な調理作業になったことで、現場調理と比較して新人さんが厨房の戦力になってくれるスピードが速いともお伺いしております。シフトを含め働き方の自由度の向上に伴い、人材の確保率や定着率も向上したようです。
成功ポイント
- デメリットの削減でコストパフォーマンスが向上
- 厨房スタッフのモチベーションが向上
- 厨房スタッフの早期戦力化を実現
- 温かい食事による利用者さまからのクレームが減少

導入事例2:慢性期・精神科病院さま
こちらは、直営の二ヵ所の厨房で朝食・夕食を約160食、昼食400食を調理していた環境で、まずは一ヵ所の厨房からナリコマのニュークックチルへの切り替え事例です。
導入前の課題
求人への応募がなく慢性的な人手不足に陥り、休日出勤や通し勤務が常態化しており、職員の高齢化も含め職員の疲弊が目立っていました。委託の検討についても、コスト面が負担になっていたようです。
導入後の効果
安定的な食事提供が可能となり、シフトやコストに悩む現場の声も減り、全体的なストレスの削減につながったようです。人手が足りないという声もなくなったとお伺いしております。200食の調理補助の仕事内容が簡素化されたことで、求人への応募者が増え、職員の若齢化にもつながったようです。
成功ポイント
- 厨房の省人化を実現
- シフト時間の削減により人件費の削減に成功
- 調理補助業務のハードルが下がり、職員の若齢化につながった
- 味のばらつきが減少
導入事例3:特別養護老人ホームさま
こちらは、自社施設での現地調理の環境から、ナリコマのニュークックチルへの切り替え事例です。
導入前の課題
自社施設で原材料から調理する安心面はあったものの、介護食の調理では技術やノウハウが必要になる課題がありました。また、早朝から遅番のシフトで厨房スタッフが定着せず、慢性的な人手不足で体調を崩すスタッフも出ていました。
導入後の効果
介護食の調理を含めて、原材料からの調理が不要になり、厨房運営が大変楽になったとお伺いしております。食材費は上がったものの、人件費が削減できたことでコスト面でも負担なく導入できたようです。また、現場の疲弊を解決できたことで、厨房スタッフが定着し、厨房業務を希望する人が増えたことも効果の一つとして挙げられていました。
成功ポイント
- 厨房運営の負担が大幅に減少
- 日勤帯のみのシフトが可能となった
- 厨房スタッフの定着率が向上
- 現場の疲弊感がなくなり厨房業務希望者が増加
再加熱機器の種類とは?導入前に役立つ選び方
ニュークックチルの再加熱には、再加熱カートまたはリヒートウォーマーを使います。クックチル方式ではスチームコンベクションオーブンを使って再加熱することもできますが、ニュークックチルでは、盛り付けをした状態で保冷しておき、そのまま自動で再加熱できる専門機器が必要です。

再加熱カートとリヒートウォーマーの主な違いは下記をご参考ください。
|
種類 |
再加熱 |
トレイメイク |
配膳 |
|
再加熱カート |
温食側のみの温めが可能。 (温食と冷食を同時に温度調整できる。) |
再加熱前に行う。 (トレイメイク後に機器にセットする。) |
そのまま配膳が可能。 |
|
リヒートウォーマー |
温食対応のみのため、冷食と分けて温めることが必要。 |
再加熱後に行う。 |
配膳車に入れて配膳する。 |
再加熱機器は、上記の違いに加えて、設置スペースやお手入れのしやすさなどをシミュレーションし、自社施設で使いやすい機器を選びましょう。個々の機器によって特徴が異なるため、機器の説明をよく読んで把握することが大切です。また、再加熱カートでは温め方の方式に、熱風式・過熱蒸気循環式・IH/EH加熱式・マイクロ派式などの種類があるため、あわせて参考にしてみてください。
また、食器もニュークックチルに対応したものを選ぶ必要があります。それぞれ耐熱温度や耐冷温度が違うため、再加熱機器とセットで検討すると役立ちます。
ニュークックチル導入費用は導入効果とセットで検討!
ニュークックチルのデメリットでまず気になるのが、高額になりやすい初期コストです。コストの多くは、ニュークックチルの設備を整えるための専用機器の購入費用が多くを占めます。例えば、再加熱カートは安いものでも400万円程度かかる場合があります。また、これらの専用機器を使用するうえでは、電気代などのランニングコストやメンテナンス費用がかかるため、導入費用を検討する際には、運用する際のコストを明確にすることが大切です。

ただし、高額な専用機器の導入コストは、ニュークックチルの運用を継続する中で償却できる可能性が高いでしょう。クックサーブ方式と比較して、ニュークックチルの運用開始から約3年目には人件費の差額によるコストダウンが始まり、コストダウンから約5年で初期コストを償却できるケースもあります。そのため、ニュークックチルの導入費用は長期運用に視点を当てて検討することもポイントです。
ニュークックチルで長期運用を目指すためには、自社施設の需要をできるだけ多く満たす環境作りが初期の段階で必要です。ニュークックチルのデメリットも把握し、希望のメニューを提供できるか、個別対応ができるか、急な食事変更に対応できるかなど、細かい部分までシミュレーションし、導入効果を想定しながら検討してみてください。
厨房運営改善に役立つナリコマのシミュレーションをお試しください!
ナリコマでは、コストや人員配置のシミュレーションサービスがあり、個々の施設さまに合わせた最適な計画をご提案いたします。細かいシミュレーションを行うことで、導入後の流れをより詳細にイメージできるでしょう。また、ニュークックチルの導入時にも、現場シミュレーションなどの無料サポートが充実しております。まずはお気軽にお問い合わせください。

クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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