地震や台風などの自然災害は、いつどこで発生するかわかりません。特に、医療や介護を支える病院や施設においては、災害が発生してもその役割を止めることなく継続する必要があります。
そのために欠かせないのが、BCP(事業継続計画)の策定です。停電や断水、物流の停止などといった事態が起きた場合にも業務を継続するためには、電力や人員の確保だけでなく「災害時の食事提供」を具体的に想定しておく必要があります。
今回は、医療・介護施設が災害時に直面する課題を整理したうえで、BCP策定のポイントや非常食備蓄の重要性、ナリコマの非常食サービスを活用した食事提供体制づくりについて詳しく解説します。いざという時に慌てないために、今からできる備えを確認していきましょう。
目次
医療・介護施設においてBCP策定が求められる背景とは
医療・介護施設では、災害時にも医療や介護サービスを止めない体制づくりが求められており、その基盤となるのがBCPの策定です。

医療・介護施設の災害対策が注目される理由
なぜ、医療・介護施設では念入りな災害対策を行わなければならないのでしょうか?
地震や台風、大雨など、日本はさまざまな災害に見舞われる国です。2019年に起こった「令和元年東日本対風雨(台風19号)」では亡くなった方の7割が65歳以上といった統計が出ており、高齢者は災害時の被害を受けやすい状況にあることがわかりました。高齢者には避難が難しい方や、医療・介護のサポートが必要な方が多いことを考えると、病院や介護施設では、高齢者の災害対策を担う役割も求められています。
病院や介護施設は入院患者や施設の利用者がいる以上、安全を確保しながらも、できる限り通常どおりに運営を続けなければなりません。さらに、発災後はケガをした人や体調を崩した人が増えるために、通常とは違った対応が求められ、通常よりも業務の負担が増すケースがほとんどです。
こうした状況に対応するためにも、医療・介護施設は「非常時にどう動くか」つまりBCP(事業継続計画)の策定が必要です。万が一の事態にもスムーズに対応できる体制を整えることで、患者や利用者の安全を守ります。
災害リスクが高まる日本の現状
日本の国土面積は世界の0.29%しかないものの、2011年から2020年の間に全世界で起こったマグニチュード6以上の地震の約2割は、日本で起こっているものです。さらに、活火山の数も多かったり、全世界の災害で受けた被害金額の約2割が日本のものだったりと、世界規模でみても日本は災害の多い国ということがわかります。
また、「国土交通白書 2020」では約30年以内に、南海トラフでのマグニチュード8~9クラスの地震の30年以内の発生確率が70~80%とされており、首都直下地震で想定される地震において、マグニチュード7程度のものの30年以内の発生確率は70%程度と想定されています。
さらに、令和6年1月に起こった能登半島地震では、大規模な土砂崩壊によって道路が寸断され、ライフラインや交通インフラへ大きな被害をもたらしました。厳冬期だったこと、高齢化の著しい地域であったことなどから、防災対策の課題が浮き彫りになりました。
大きな災害が起こると、病院にはたくさんの傷病者が押し寄せます。こうした負担を少しでも減らすためには、災害拠点病院ではない医療・介護施設でも、できる範囲で受け入れ体制を整えておくことが求められます。地域全体で地域医療・介護の体制を守るためにも、各施設がBCPを策定し、災害時にしっかり対応できる準備を進めることが大切です。
医療・介護施設が災害時に直面する課題とBCPが果たす役割とは
災害時には電力や水道の停止、食料や医薬品の不足など、さまざまな課題が発生します。特に、入院患者や高齢者の安全を確保するためには、これらの影響を最小限に抑える対策が求められます。

電力や水道の停止が与える影響
特に深刻な影響を受けてしまうのは、電力や水道が停止した場合です。医療機関では、人工呼吸器や透析装置など、生命維持に欠かせない医療機器が多く使用されていますが、電力供給なしに機能することができません。非常用発電機を備えていても、燃料の供給がなくなると稼働できなくなるため、燃料の備蓄や定期的な点検も必要です。
水道の停止においては、飲料水の確保だけでなく、手洗いや医療機器の洗浄、トイレの使用など、感染症対策のためにも衛生環境を維持するには大量の水が必要です。
こうした状況を踏まえ、災害発生時に備えて、最低でも3日分の水や食料、医薬品を備蓄し、電力確保のためのBCP対策を取っておく必要があります。これらの備蓄量や管理方法をBCPに明記しておくことで、非常時にも現場判断に迷わず対応できるようになります。
これらのライフライン途絶への備えは、BCPにおいて最も重要な要素のひとつです。平時から非常用電源の稼働計画や燃料備蓄量の基準、水の備蓄や供給ルートの確保を定めておくことで、災害時の医療提供を継続しやすくなります。
非常時のスタッフ不足への対応策
災害発生時、災害拠点病院の場合には通常の何倍もの患者が病院に押し寄せることがあり、現場の業務負担が一気に増大します。さらに、医療スタッフ自身が負傷したり、周辺道路の損傷などから出勤できないこともあるでしょう。こういった状況から人手が不足し、通常通りの運営でさえ困難になるケースも少なくありません。
BCP策定する際、まずは指揮命令系統を明確にし、あらかじめ誰がどの業務を担当するのか細かく決めておくことで、混乱を最小限に抑えられます。また、役職者が不在の場合に備えて、複数のスタッフに決定権を持たせることも重要です。非常時にも混乱を抑えながら、医療・介護サービスを継続できるでしょう。
義務化時代のBCP策定―医療・介護施設が今すぐ始めるべきこと
医療・介護施設におけるBCP策定の重要性は年々高まっています。ここでは、BCP策定に向けて、医療・介護施設が今すぐ取り組むべき具体的な対策について解説します。

まず取り組むべきはBCP策定と体制づくり
災害拠点病院では2017年3月から策定が義務化されています。これは、2011年の東日本大震災をきっかけに医療機関の防災対策が見直されることとなり、2012年に努力義務化、2017年に義務化へと進んだ背景があります。「病院の業務継続計画(BCP)策定状況調査|厚生労働省」によると、2019年にはほぼ全ての災害拠点病院でBCP策定が完了となりました。しかし、全医療機関を対象とした場合に、BCPを策定していたのは全体の2割程度にとどまっており、厚生労働省はすべての病院でのBCP策定を目指しています。2025年に民間企業が独自に行った調査において、BCP策定をしている医療機関は3割と、徐々に増えては来ているようです。
介護施設においては2024年4月からBCP策定が義務化。医療・介護施設では、自然災害や感染症流行時においても、患者や入居者の安全を守り、継続的な医療・介護の提供が求められます。災害や感染症発生時にも入居者の安全を守るため、早期の体制整備が求められています。災害時には義務化対象外の医療機関にも患者が流入することを踏まえると、医療・介護の両現場で迅速なBCP整備が必須といえるでしょう。
また、災害時に誰がどの役割を担うのか、指揮命令系統や連絡体制を平時から整えておくことも重要です。BCPは策定するだけでなく、職員全体で共有し、実行できる体制をつくることが求められます。
BCPと災害対策マニュアルの併用で混乱を防ぐ
BCPと似た役割を持つものに災害対策マニュアルがあります。災害対策マニュアルは発災直後の具体的な対応手順をまとめ、安全確保など被害へのスムーズな初動対応を行うための物です。まずは災害対策マニュアルで初動対応し、BCPに沿って優先する業務の対応をするといった形で、両者を併用することで、災害発生時の混乱を最小限に抑えられます。
非常食や防災物資のストックの見直し
医療・介護施設では、災害時に備えて非常食や防災物資を適切に備蓄することも重要です。特に高齢者や重症患者のいる施設では、ライフラインの停止は命に関わります。備蓄品は施設内で分散保管し、最低でも3日分を目安に準備するなど、賞味期限の管理と定期的な見直しが必要です。
無駄なく備蓄するためには、農林水産省も推奨している「ローリングストック法」で、消費した分だけ補充する方法も効果的です。
ナリコマの非常食サービスで災害時の食事提供を万全に
非常食の備えは、BCPにおける「優先業務の継続」や「利用者の安全確保」を支える重要な要素です。ナリコマの非常食は誰でも簡単に食事提供を行えるように開発されているほか、栄養バランスも考慮されており、災害時でも簡単に提供できます。
非常食が災害時の業務継続を支える理由
「食べることは生きること」といった言葉があります。災害時でも食事の提供は欠かせません。災害時には調理スタッフの出勤ができなくなったり、食材の供給不足が生じ、食事提供が困難になる場合もあるでしょう。
非常食をストックしておけば、いざ災害が起こった際も栄養不足に陥る心配がありません。調理済み食品なら、断水や停電などの調理が難しい環境でも、迅速に食事の提供が可能に。災害時には何が起こるかわからないため、専門スタッフがいない状況でも対応できる仕組みが求められます。
非常食は医療・介護施設にとって命を守るために不可欠な要素となり、利用者や患者へのケアやサポートの継続のために重要な役割を果たしているのです。

ナリコマの非常食とは?
見落とされてしまいがちな厨房のBCP対策。まずはナリコマの非常食を活用して対策を始めてみませんか? ナリコマが提供する非常食のポイントについてご紹介します。
簡単に準備できる
ナリコマが提供する非常食サービスは、誰でも簡単に準備できるという特徴があります。温めずにそのまま食べられるため、災害時や非常時においても手間をかけずに迅速に食事を提供可能です。
4つの食事形態を用意
さらに、ナリコマの非常食は、栄養不足や誤嚥を防ぐため、4つの異なる食事形態を用意しています。常食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食の4形態で、さまざまな利用者の健康状態や身体機能にも対応することができます。個々のニーズに応じた食事を提供でき、非常時にも利用者へ食事を通して安心感を与えられるでしょう。
長期保存可能
また、ナリコマの非常食は常温でも長期保存が可能であり、保存方法にも工夫がされています。通常よりも強度の高い段ボールを使用し、縦に長期間積んでも問題ないように設計されています。
契約施設はナリコマポイントで購入可能
契約施設においては、完全調理済み食品(クックチル)の購入で溜まったポイントを利用して非常食購入も可能です。購入負担を削減することもできますので、ぜひご検討ください。
ナリコマ未契約でも購入可能(諸条件あり)
普段のお食事はナリコマを利用されていない場合でも、災害発生時に非常食のみのご購入も諸条件はありますがご購入いただけます。
🔎ナリコマの非常食について詳しい情報はこちらからチェック
安心・安全な施設運営のためにナリコマのサービスを活用しよう

医療・介護施設だからこそ、BCP対策はしっかりしておきたいもの。医療・介護施設において、災害や非常時に備えることはただの準備ではなく、利用者の命と安心を守るための、最も重要な対策です。ナリコマの非常食サービスは、災害時における食事提供を途切れさせず、利用者に変わらぬ栄養と安心を提供する強力な支援となります。
さらに、ナリコマは非常食だけでなく、厨房のBCP対策マニュアルや無料セミナーなど、BCPの作成をサポートするための情報提供も行っていますので、ぜひご活用ください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
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