病院食というと、「おいしくない」「量が足りない」といったネガティブなイメージを持たれてしまいがち。もう「物足りない」なんて言わせない!病院食の満足度向上へ導くために、今私たちができることを考えましょう。
今回は、病院食が物足りないと言われてしまう理由や、入院患者さんに喜んでもらうためのポイント、病院食の満足度向上の強い味方となる、ナリコマのクックチルについて詳しくご紹介します。
目次
病院食の「物足りなさ」の原因とは?
病院食の「物足りなさ」の原因とは一体何なのでしょうか。味、それとも量?病院食が物足りないと感じられてしまう理由を一緒にみていきましょう。
量が足りない?病院食の基準と現実
病院食は、治療の一環として患者さんに提供されるものです。病態や嚥下機能などに合わせた食事を提供するため、エネルギー量や栄養バランスはしっかり計算されています。また、治療内容に応じて食事量を調整することもあるため、量が足りないと感じる方もいるのです。
2017年度に厚生労働省が行った「入院時食事療養の収支等に関する実態調査」では、多くの病院の給食部門が赤字経営であることが明らかにされました。病院食は限られた予算内での工夫が求められるうえ、食材費をはじめとする物価や光熱費、人件費の高騰は留まるところを知りません。病院給食における予算は、以前よりさらに厳しい状況に置かれています。
そのため、提供量や食べ応えのあるものを提供したくても、なかなか対応できないのが実情なのです。2025年度より、入院時の食事療養費基準額が1食あたり670円から690円へ引き上げられましたが、昨今の物価高騰を鑑みると、それでも十分な改善とはいえず、現場では引き続き工夫と節約のバランスが求められています。
「味が薄い」「メニューが少ない」などの不満点
病院食の献立は栄養管理を重視し「食事摂取基準」に基づいて作られています。食事摂取基準の2025年度版において、塩分の基準量は1日あたり男性は7.5g、女性は6.5gと決められており、病院食も減塩食でない限り、十分な塩分量で提供されています。一般的な食事の味付けよりも控えめに感じるのは、もしかしたら普段の食事の味付けが濃いのかもしれません。一方、病態によっては塩分や脂質の制限がされている場合もあり、一般的な食事の味付けよりも控えめに感じてしまう方もいるかもしれません。
また、「量が足りない?病院食の基準と現実」でも解説したように、多くの病院給食部門は赤字に苦しんでいる状況です。コスト面の制約から似たような食材や、同じようなメニューが続いてしまうことも。食事満足度を下げる要因となってしまうのです。
患者満足度向上のために独自にアンケートを実施している病院もあり、そこで寄せられた声を参考に対策を講じているようです。
病院食の満足度を上げる方法
限られた予算や制限の中でも、工夫次第で患者さんの満足度は大きく向上させることができます。主に挙げられる「量」「味」「メニューのバリエーション」に関する不満に対し、実際に取り入れられている解決策をご紹介します。
「量が足りない」を解消するための工夫
病院食では、エネルギーや栄養バランスの管理が優先されるため、ボリュームアップには限界があります。しかし、患者さんに“満腹感”や“満足感”を得てもらうために、以下のような工夫を取り入れている病院もあります。
代替品で増量
こんにゃくの粉を米粒状にしたものを導入し、同じカロリーでご飯の量を通常の白米の1.3倍から1.5倍へ増やすことが可能です。食事量が物足りない、増やしたいという要望がある場合、このような低カロリーで増量できる食材の活用は非常に有効です。
食べ応えのある物を追加する
副菜に使う野菜の量を増やしたり、サラダの小鉢や果物、低カロリーゼリーなどを追加することで、見た目にも満足感のある食事を提供できます。こうした工夫は、食べる楽しみや満腹感にもつながり、食事に対する満足度向上を叶えます。
味や見た目の工夫で食欲を引き出す
食事は「五感」で楽しむもの。なかでも見た目は重要な要素と言われています。病院食でも、色味や盛り付けを工夫することで、患者さんの食欲を引き出すことができます。
たとえば、赤・緑・黄などの色鮮やかな野菜を組み合わせれば、華やかな印象になり、食材の切り方や盛り付け方をひと工夫するだけでも、印象はぐっと良くなります。季節感を取り入れた彩りや、器の演出、行事食なども視覚的な満足感につながり、見た目から食欲を引き出します。
また、味付けも出汁のうま味を活かすことで塩分を控えながら、おいしさを出すことができます。減塩食については、物足りなさを感じる患者さんも少なくありませんが、出汁を最大限に活用すれば、減塩でも満足できる病院食の提供ができるでしょう。
さらに、嗅覚を刺激することも大事で、だしや香味野菜、柑橘など、香りを活かす献立は食欲を増進し、食事のおいしさを底上げします。
見た目や味の工夫を重ねることで「病院食=味気ない」というネガティブなイメージを払拭し、患者さんの「食べたい」という気持ちを自然に引き出します。
しかし、病院給食の現場が抱える課題である人手不足やコストの問題を考えると、これらを継続するのは、なかなか難しいもの。
「もっと患者さんの病院食に対する満足度を上げたい」
「人手不足、コスト問題を改善したい」
そんなお悩みを解決するのが、「クックチル」という調理方式なのです。
ナリコマのクックチルが病院食の課題解決へ導く
ナリコマのクックチルとは?
クックチルとは、安心安全かつ、病院食調理の手間を軽減できる完全調理済み食品です。厨房業務の負担を抑えながらも、おいしさや見た目、さまざまな患者さんのニーズに対応できます。
クックチルとは?安心・安全な調理方式
クックチルとは、加熱調理した料理を急速に冷却・チルド保存したのち、食事のタイミングで再加熱・盛り付けを行う調理方式のこと。
ナリコマでは、食材を中心温度75℃以上で1分以上、ノロウイルスの恐れがある食材は85〜90℃で90秒以上加熱し、加熱後30分以内に冷却を開始、90分以内に中心温度3℃まで下げるという厳格な衛生管理のもと、食の安全とおいしさを両立しています。
患者の状態に応じた4形態の食事に対応
ナリコマのクックチルは、患者さんの嚥下機能などの身体機能に合わせた、普通食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食の4形態に対応しています。一人ひとりに最適な形態の食事を選ぶことができ、食形態が変わっても同じ献立を提供します。
選べる2種類の献立サイクル
ナリコマのクックチルは、毎日異なる献立を提供する「すこやか(365日サイクル)」と、28日間で繰り返し使用できる「やすらぎ(28日サイクル)」の2種類の献立をご用意しています。病院の運営状況や患者層に応じて柔軟に選択可能です。
人手不足にも対応する「ニュークックチル」
ナリコマでは、病院給食部門の抱える課題の一つ、人手不足を解決する「ニュークックチル」という方式にも対応しています。ニュークックチルは、クックチルよりもさらに業務量の削減を叶えることができるのです。
ニュークックチルは、あらかじめチルド状態で盛り付けたお料理を、再加熱カートなどの専用機器で提供時間に併せて自動再加熱します。人手不足に陥りやすい早朝や遅番では、ニュークックチルの活用でスタッフの無人化も叶えられるほか、提供のタイミングに合わせて温かい食事を手間なく配膳できるため、スタッフの数が限られている病院でも効率的に給食業務を行えるのです。
量・栄養・味のバランスを考えたメニュー提供
ナリコマのクックチルは、病院食に求められる「栄養バランス」と「おいしさ」の両立を日々追求し、患者さんが満足できる病院食の提供を目指しています。素材選びから調理法、味付けに至るまで細やかな工夫を行っています。
やさしい味付けとこだわりの出汁
ナリコマのクックチルのおいしさの秘訣は、こだわりぬいた出汁。お料理の味の基本となる出汁は、鰹・昆布・いりこの3種類を使用し、料理の種類に応じて最適な配合に調整しています。料理の塩分を控えめにしながらも、やさしい味わいに仕上げ、家庭で食べる食事を思いださせるようなあたたかみのある食事作りをしています。毎日の食事が楽しみになるよう、ナリコマは日々研究を重ねているのです。
食材や調味料の品質にもこだわり
主菜・副菜ともに、旬の食材や彩りの良い野菜を取り入れ、見た目にも食欲をそそる工夫がされています。さらに、調味料にも吟味を重ね、地域性も考慮しながら決めており、健康面への配慮も大切に、家庭的なやさしさを感じられる味わいに仕上げています。
行事食などメニューの幅も広い
入院中の生活はどうしても単調になってしまいがち。ナリコマのクックチルは、入院中の患者さんにとって毎日の食事が楽しみになるよう、豊富なメニューをご用意しています。物足りなさを感じさせない食の楽しみを提供するべく、病院食のネガティブな印象をも覆す、満足感のある献立を提供します。
行事や季節感を大切にしたメニュー展開
お正月、節分、ひな祭り、七夕、敬老の日、クリスマスなど、日本の四季折々の行事に合わせた行事食も提供します。見た目も華やかで、食事から季節を感じられる工夫がなされています。見た目からも楽しく、おいしく感じられるように工夫しています。
郷土料理や人気の洋食も
地域の味を大切にした郷土料理や、ハンバーグやシチューなど人気の洋食メニューも充実。パンや麺類など、さまざまな年代や好みにも対応できる献立作りをしています。食事制限のある方でも満足度の高いメニューが選べます。
見た目・味・香り・バリエーションのすべてに配慮されたナリコマのクックチルは、患者さまの食べることへの意欲を引き出し、回復をサポートします。
ナリコマのクックチルで病院食の「物足りなさ」を解消!
「味が物足りない…」
「量が足りない…」
「見た目も味も楽しめない…」
そんな患者さまや現場の声を、私たちナリコマは決して見過ごしません。食材本来の味を引き出す調理や、栄養・味・量の絶妙なバランス、そして四季を感じられる多彩なメニュー展開。普通食からゼリー食まで、入院中のすべての方へ「おいしい」を届けることに、ナリコマは全力を注いでいます。
ナリコマのクックチルで、病院食の「物足りなさ」を変えてみませんか?毎日の食事がただの栄養補給ではなく、毎日の楽しみになるように、病院食でもっと笑顔を。もっと満足を。
ナリコマのクックチルが、病院食の満足度向上の強い味方になります。もう病院食を「物足りない」とは言わせません。
病院食の物足りなさにお悩みの場合には、ぜひ一度ナリコマにご相談ください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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