介護福祉教育研修制度の充実は、個々のスタッフのスキルアップを促し、より高度なサービスを提供できる施設運営にも役立ちます。この記事では、介護福祉士になるために必要な研修や、実務者研修の資格講座内容などを改めて振り返りながら、介護資格取得支援制度への取り組みや認知症ケア研修等の法定研修のサポートや実施のコツを解説します。
目次
介護福祉士になるために必要な研修
介護福祉士になるためには、いくつかのステップやルートがあります。自社施設の従業員のスキルアップに向けて、今一度、資格取得の条件から、働きながらでも取り組みやすい実務経験ルートのポイントを確認してみましょう。
介護福祉士の資格を取得するルート
介護福祉士の資格を取得する方法は4つあり、どのルートを選ぶかで学び方も変わります。下記は4つのルートの介護福祉士国家試験までのステップの概要です。
◆養成施設ルート
高等学校等卒業後に、都道府県知事指定の介護福祉士養成施設等で学ぶ。
◆実務経験ルート
実務経験からスタートして3年以上経験を積んだのち、指定の研修を受ける。
◆福祉系高校ルート
文部科学大臣や厚生労働大臣指定の福祉系高校で学ぶ。場合によってその後実務経験を積み、筆記試験後に「介護過程Ⅲ」を履修する。
◆EPAルート
経済連携協定(Economic Partnership Agreement)に基づく外国人のためのルートで、実務経験や「介護過程Ⅲ」相当の実習が必要。
これらのルートによって介護福祉士になるための学習を終え、筆記試験に合格すると、介護福祉士資格を取得できます。養成施設ルートは、以前は卒業すれば介護福祉士資格を取得できましたが、2017年度から国家試験の合格が必要となりました。2026年度までの卒業者には経過措置が設けられており、卒業後5年以内に国家試験に合格するか、5年間連続で介護現場での実務に従事すれば介護福祉士資格を保持できます。

2通りの研修がある実務経験ルート
実務経験ルートは、介護現場で働きながら資格取得を目指せるルートで、資格取得までの費用がリーズナブルなメリットもあります。実務経験は3年(1095日)以上で、なお実際に介護等の業務に従事した日数が540日以上必要ですが、在職期間には産休や育休、病休などの休職期間も含まれるほか、1日の勤務時間は問われていません。そのため、1日に短時間の勤務を続けた場合でも、従事期間と従事日数を満たせば受験資格につながります。
実務経験ルートでは、指定の実務経験の条件を満たしたのち、下記のいずれかの研修を受ける必要があります。
- 介護福祉士実務者研修
- 介護職員基礎研修(2012年度末で廃止)+喀痰吸引等研修
介護福祉士実務者研修の研修期間は原則6か月以上ですが、介護職員初任者研修や訪問介護員養成研修などを修了している場合は、既定よりも早く修了できることがあります。また、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を修了していれば、実務者研修の修了と同様に扱われ、受験資格を得ることができます。
実務者研修の資格講座内容とその後のキャリアアップ
自社施設で従業員のスキルアップサポートを検討する際には、改めて介護職のキャリアアップの流れや環境を押さえておくと参考になります。ここでは、最初のステップとして取得しやすい介護職員初任者研修や、次のステップとなる介護福祉士実務者研修の資格講座内容、介護福祉士の資格を取得した後のキャリアアップの流れについて解説します。
介護職員初任者研修は最初のステップ
介護関連の職を志すうえで最初のステップとなる資格に「介護職員初任者研修」があります。介護の基礎から応用までを学べるため、介護業界で働く場合に限らず、高齢者と関わる仕事や家族の介護にも役立つ資格です。また、初任者研修の資格があると、無資格で働き始めるよりも給与アップが期待できます。初任者研修の内容は主に通学講習と自宅学習で構成され、修了試験に合格すると修了証明書を得られます。

専門性を高める介護福祉士実務者研修の資格講座内容
介護福祉士実務者研修は、介護業務において必要となる専門的・実践的な知識や技術、医療的ケアの基礎などを学ぶ研修です。資格取得の流れとしては介護職員初任者研修の次のステップに位置していますが、初任者研修を修了していなくても受講でき、実務経験がなくても問題ありません。
実務者研修も初任者研修と同じように、主に通学講習と自宅学習で構成されています。ただし、初任者研修よりも大幅に学習時間が必要になるため、長期でスケジュールを組むことも必要です。実務者研修を行っているスクールでは、働きながらでも学びやすい環境として自宅学習をメインとした内容が多く見られます。自宅学習がメインでも通学講習は必要ですが、1週間から2週間程度の通学で良い場合があるため、自身に合った環境を選ぶことでより学習しやすくなるでしょう。通学講習で学ぶのは「介護過程Ⅲ」や、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアが主です。
初任者研修は修了試験が必須ですが、実務者研修の修了試験はスクールによって異なり、全ての課題を修了すれば修了証明書を得られる場合もあります。実務者研修の資格を得ると、先述したように介護福祉士国家試験の受験資格につながるほか、サービス提供責任者になることができ、給与アップも期待できます。
介護福祉士のキャリアアップの流れ
介護業界で働くうえでは、介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修、介護福祉士の流れで資格を取得しキャリアアップにつなげるのが大きな流れとなりますが、介護福祉士資格を取得した後もさらなるキャリアアップが望めます。例えば、介護の知識や経験をさらに身に付けてケアマネジャーや認定介護福祉士の資格を取得する、介護施設を作るノウハウを身に付けて管理職や施設長を務める、独立して開業するなどがあり、キャリアアップと共にさまざまな道が開かれます。
自社で行える介護資格取得支援の取り組み
自社の組織体制にもよりますが、介護資格取得支援では、介護の資格取得のための養成施設を設置したり、従業員に向けた資格取得支援制度を設けたりする方法があります。自社で行える支援を検討することで、より働きやすい職場作りにもつながるでしょう。
養成施設を設置するには
介護福祉士養成施設や、実務者研修を実施するための介護福祉士実務者養成施設を設置するには、都道府県知事の指定を受けることが必要です。設置にあたっては、設置計画書や指定申請書などの指定された書類を、授業を開始する日から計算して既定の期日までに提出します。設置計画書は、授業を開始する日の9ヶ月〜1年前などに提出するため、自治体サイトなどを参考に、準備期間に余裕を持って取り組みましょう。

資格取得支援制度を設けて従業員をサポート
自社施設の従業員のスキルアップを支援するには、資格を取得しやすい職場の整備も重要です。例えば、短時間勤務や土日のみの勤務など、自宅での勉強時間を確保しやすい柔軟なシフト環境を提供するのも方法の一つです。
また、資格取得支援制度や研修制度、資格手当などを充実させることも、従業員のスキルアップサポートにつながります。資格取得によって給与がアップすることをわかりやすく伝えるなど、目標を提供することで学習のモチベーションも上がりやすいでしょう。資格取得支援制度には、研修費用や受験費用を自社で負担したり、社内で試験対策講座を設けたりといった支援方法があります。
こうした資格取得支援制度は待遇の良さにもつながり、求人を出す際にもメリットとなるため、求人内容に支援する資格の種類や内容を詳しく書くこともおすすめです。未経験者も含めて募集する際には、未経験者に向けた自社での研修制度を設けるとなお役立つでしょう。
認知症ケア研修等の法定研修を忘れずに!
介護事業所では、介護サービスの種別によって行うべき必須研修項目が定められています。これらの法定研修を忘れずにスケジュールに組み込むようにしましょう。法定研修の未実施は、介護報酬が減算される場合もあるほか、施設の信頼性を損なうことにもつながるため注意が必要です。

例えば、介護老人福祉施設の場合、下記のような法定研修が必要です。
- 認知症、認知症ケアに関する研修
- プライバシー保護に関する研修
- 倫理・法令遵守に関する研修
- 事故の発生、予防、再発防止に関する研修
- 緊急時の対応に関する研修
- 感染症及び食中毒の発生の予防及び蔓延の防止に関する研修
- 身体拘束の排除の取り組みに関する研修
- 非常災害時の対応に関する研修
- 医療に関する研修
- ターミナルケア(終末医療)に関する研修
- 精神的ケアに関する研修
- 高齢者虐待防止、関連法含む虐待防止に関する研修
法定研修の実施は、まず年間計画をしっかり立てることがポイントです。研修内容の理解を促すためには、食中毒が起きやすい季節に関連する研修を行うなど、よりイメージしやすい環境での実施も役立つでしょう。また、外部講師による研修やオンライン研修、eラーニングなど、研修のスタイルを工夫することで自社の負担を軽減しやすくなります。
介護福祉教育研修制度を充実させてスタッフのキャリアアップを応援しよう!
介護事業所には、スタッフのキャリアアップに向けて、資格取得を応援する研修やサポートを行うことが求められています。介護業界のキャリアアップを長期的な視点で見据えながら、個々のスタッフに適した方法でサポートできるように、自社の体制を充実させていきましょう。

クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
委託に関する記事一覧
-
災害と介護研修の取り組み方とは?BCP研修や防災訓練など災害対応教育を強化しよう
災害と介護研修について日頃から考え、対策を練っておくことはとても重要です。この記事では、災害対応教育の重要性を法定研修と共に振り返りながら、介護施設や事業所が行うべきBCP研修や、防災訓練に取り組む際のポイント、給食提供に関する厨房のBCP対策について解説します。
-
介護施設に適した食事の提供体制とは?外部委託の選定ポイントも紹介
日本は65歳以上の高齢者人口が年々増加しており、2043年には3,953万人でピークを迎えるといわれています。一方、2024年10月1日時点で1億2380万人余の総人口は減少していく見込み。今後は高齢化率が上昇し、2070年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になると推測されています。
こうした背景から、近年では介護福祉サービスの需要が高まっています。今回お届けする記事のテーマは、そんな高齢者ケアの拠点となる介護施設の食事。食事の重要性や提供体制について解説し、外部委託業者の選定ポイントなどもあわせてお伝えします。ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。 -
地域包括ケアの仕組みとは?多職種連携や課題についても詳しく解説
日本は将来的に高齢者が激増するといわれています。そんな高齢化社会を支える医療・介護・福祉のあり方として推進されているのが「地域包括ケア」というシステムです。本記事では、地域包括ケアの基本的な仕組みについて詳しくお伝えします。また、その中で重要視される多職種連携や、今後の課題や対策についても解説。ぜひ最後までお読みください。
人材不足に関する記事一覧
-
2025年問題を徹底解説!今後の医療・介護業界にもたらす影響とは
2025年問題は日本の将来を大きく左右することから、これまでに何度もニュースなどで取り上げられてきました。さまざまな業界への影響が懸念されていますが、医療・介護業界も例外ではありません。今回の記事は、そんな2025年問題について徹底解説。医療・介護業界にもたらす影響と今後求められる対策について、詳しくお伝えします。
-
BCP訓練の基本!介護・福祉・医療事業における重要性とは
リスクマネジメントの一つであるBCP(事業継続計画)は、自然災害や感染症拡大などの緊急事態が発生しても事業を続けられるようにするための取り組み。近年はさまざまな業界で策定が進んでいますが、その際に必ずついて回るものが「訓練」です。
今回の記事は、そんなBCP訓練について詳しくお届けします。BCP訓練の目的や介護・福祉・医療事業における重要性をお伝えすると共に、主な種類や内容、手順なども解説。ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。 -
病院給食でクックチル・ニュークックチル導入が増えている!メリットとデメリット
近年の日本では、さまざまなコスト上昇と人手不足が大きな問題となっています。実に多くの企業がその影響を受けているところですが、病院も例外ではありません。なかでも、入院患者に毎日の食事を提供する給食現場では、食材や光熱費などのコスト上昇と深刻な人手不足に関して的確な対策が求められています。
クックチルとニュークックチルは、そんな病院の給食現場で導入が増えている調理システムです。本記事では、この二つの調理システムについて詳しく取り上げます。クックチルとニュークックチルの違い、給食現場で導入が進んでいる背景などを詳しく解説。導入にあたってのメリットやデメリットもまとめてお伝えします。
クックチルとニュークックチルに興味のある方、導入をお考えの方はぜひ最後までお読みいただき、ご参考になさってください。




