NST(栄養サポートチーム)は、多職種で構成される医療現場の専門チームです。近年では医療機関だけでなく、高齢者施設でもNSTの導入が見られるようになりました。この記事では、チーム医療の考え方を参考に、NSTの役割や高齢者施設でのNST導入事例などを紹介します。NSTの視点を取り入れた食事支援や栄養ケア計画のコツをつかんで、利用者さまの栄養改善やケアの質向上につなげていきましょう。
目次
NST(栄養サポートチーム)の活躍現場

NST(nutrition support team)は、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士などの多職種で構成された、患者さまの栄養サポートを行う医療チームです。適切な栄養補給方法や、個々の患者さまに合わせた栄養管理方法の提案などを行い、栄養状態の改善を通して合併症の予防や治療効果の向上につなげます。NSTの需要の背景には、栄養管理が多くの疾患において治療の基盤と捉えられていることがあります。例えば、NSTの活動によって以下のようなメリットが得られます。
- 栄養状態の向上によって薬物治療の効果がより期待できる
- 合併症の予防や早期発見につながる
- 患者さまの早期退院を促す
- 退院後の患者さまの食生活改善や社会復帰に役立つ
- 患者さまのQOL(生活の質)向上に役立つ
NSTを配置している病院であっても、チーム構成や役割、活動等は個々の病院によって異なり特徴はさまざまです。NSTによる回診だけでなく、院内勉強会や学会発表など積極的な活動が見られます。
また近年では、病院にとどまらず、高齢者施設でもNSTの活躍が広がっています。低栄養状態の利用者さまの栄養状態改善や、褥瘡の改善、疾患の予防、ケアの質向上など、施設の課題に応じたさまざまな働きかけが見られます。
チーム医療とNSTの役割

医療の現場では、NSTに限らず、多職種が連携してより良い効果をもたらすチーム医療の働きが求められています。ここでは、チーム医療の概要や、NSTの役割と現場での食事支援について解説します。
チーム医療に求められること
チーム医療では、患者さまをはじめ医療を必要とする人のために、医療職以外の職種も含めてさまざまな専門職が協力して治療やケアを行います。こうした多職種連携の働き方によって、医療の質の向上や、より効率的な医療サービスの提供につながっています。チーム医療では例えば次のような専門職が活躍しています。
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
- 管理栄養士
- 理学療法士
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
- 歯科衛生士
- 作業療法士
- 臨床検査技師
- 言語聴覚士
- 医療ソーシャルワーカー
これらの職種は一例で、業務や診療の分野によってチーム構成は異なります。

NSTに関わる専門職と役割
NSTにも、先述のようにさまざまな専門職が関わり、それぞれが専門性を生かして役割を担っています。以下は、NSTの構成メンバーとその役割の一例です。
- 医師:栄養療法の方向性の提示、栄養状態の判断、栄養管理方法の提案・決定
- 看護師:患者さまの状態把握、栄養管理が必要な患者さまの抽出
- 薬剤師:栄養療法で使用する薬剤や栄養剤の提案、薬剤に関する情報提供
- 管理栄養士:栄養状態の評価、食事内容の調整や提案
- 臨床検査技師:検査データの管理、データに基づく栄養状態の評価
- 言語聴覚士:食事形態の提案、咀嚼・嚥下など口腔機能のリハビリテーション
- 歯科衛生士:口腔環境のケアや指導
NSTでは、こうした多職種がそれぞれの専門性を生かしながら連携し、ミーティングで改善策を検討しながら、患者さまの栄養管理に取り組んでいます。
NSTによる現場での食事支援
栄養状態が良くない患者さまの場合、食事の栄養価を見直すだけでなく「食べる」という行動全体に視野を広げて支援することが大切です。咀嚼や嚥下機能の状態、消化器の状態、嗜好の把握など、さまざまな視点からの取り組みが必要です。NSTでは、こうした食行動や食事内容に関する情報を集め、検討しながら、例えば次のような支援を行っています。
- 嗜好に対応した食べやすい形状の食事の提案
- 食材や調理法の工夫
- 栄養の投与ルートの提案
- 食べる姿勢の調節
- 口腔ケアや歯科治療
高齢者施設でのNST導入方法とは

高齢者施設におけるNSTの需要は、施設が抱えている課題も大きく影響します。例えば、利用者さまのカロリー不足や食事介助が不十分であるといった課題解決に向けて、NSTのような組織を立ち上げた例もあります。このケースでは、課題解決に向けて多職種を集めて栄養会議を行うといった活動が、徐々にNST活動としての活性化につながっていきました。
自施設にNSTの導入を検討する際は、現状の利用者さまの栄養状態における課題を見いだし、必要な環境を整えていくことが第一歩です。以下では、高齢者施設のNST導入事例と効果をまとめました。
高齢者施設のNST導入事例と効果
高齢者施設へのNST導入事例では、単に栄養面の改善だけでなく、利用者さまのQOL向上やケアの質の向上につながった様子が見られます。以下は、養護老人ホームや特別養護老人ホームにおけるNST導入の取り組みとその効果の一例です。
|
課題 |
NST活動も含めた取り組み |
効果 |
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・自立高齢者が重度化高齢化により、徐々に要介護生活に移行するケースが増加した。 ・疾患のリスクを未然に防ぐことが必要。 |
・毎月ごとに利用者さま全員の体重計測を実施し、体重減少や食欲減退の方の食事摂取量の記録を行う。 ・食事の形態や量の調整、補助栄養食品や好みの間食の提供などを行い経過を観察する。 ・NSTによる意見交換や対応方法の検討を重ね改善策に取り組む。 |
・摂食が急激に低下した方が、体重増加や歩行の安定、会話の明るさなどを取り戻した。 ・欠食や生活全般の意欲低下が目立つ方が、徐々に活動性を取り戻し生活のリズムが整った。 |
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・多職種が働く環境でありながらも情報共有の機会が少なく、全体像の把握に時間がかかる。 ・介護現場と医師の間で連携の遅延が起きる。 |
・常勤医を中心に週1回の頻度で多職種でのラウンドを行う。 ・ラウンドは全利用者さまを対象に、新しく入所した方や食欲低下などのリスクがある方を中心に行う。 ・利用者さまの生活空間で実際に様子を確認しながら、NST会議を行う。 |
・栄養状態や病態が改善したケースが多く見られた。 ・体重以外に、褥瘡の経過や精神状態への効果が見られた。 ・QOLの維持や向上への効果を感じられた。 ・看取りにもチームで取り組むことができた。 |
高齢者施設の栄養ケア計画のコツ

高齢者施設では、栄養ケア・マネジメントが必須で、未実施の場合は介護報酬における減算の対象となります。栄養ケア・マネジメントは、主に以下の流れで行われます。
1.栄養スクリーニング:低栄養リスクのある方を把握する
2.栄養アセスメント:対象者の栄養状態を詳しく評価する
3.栄養ケア計画:栄養改善の計画を立てる
4.計画を実施:栄養補給や多職種による栄養ケアを行う
5.モニタリング:計画実施の効果を確認する
6.評価:計画の評価を定期的に行い改善策につなげる
ケアの質の改善のために、モニタリングは重要なステップです。ミールラウンドも丁寧に行い、課題や改善策を見いだしていきましょう。食事では、単に食べられるというだけでなく、食べる楽しみを得られているかどうかに目を向けることも大切です。
栄養ケア・マネジメントは、システムを利用することで一連の作業を整理して行いやすく、より効率的に行える場合があります。栄養ケア・マネジメントに特化したシステムでは、栄養スクリーニングツールの搭載や、個々のステップの進捗管理ができる、帳票の印刷ができるといったさまざまな機能があります。自施設と相性の良いシステムを導入するのも役立つ方法です。
栄養ケアに取り入れやすいナリコマのクックチル食品

ナリコマでは、病院や介護施設に特化したクックチル食品を取り扱っております。塩分調整をはじめ栄養価に配慮し、低栄養を予防した食事作りに取り組んでいます。また、ナリコマでは、毎日のお食事をより楽しんでいただくための、さまざまな献立の工夫を行っております。
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