高齢者は低栄養になりやすく、転倒やADLの低下などにつながるため、日頃からの予防や改善が重要です。この記事では、栄養スクリーニングの役割やGLIM基準の概要、GLIM診断基準を活用した低栄養評価の流れなど、低栄養リスクを防ぐための栄養ケア・マネジメントのポイントを解説します。低栄養を防ぐための給食改革にも触れていますので、あわせてご参考ください。
目次
介護施設で気を付けたい高齢者の低栄養リスク

高齢者の低栄養は、体重減少や筋力低下などの原因となり、転倒やADL(日常生活動作)の低下などにつながるため注意が必要です。高齢者は、咀嚼力の低下や味覚の変化、薬の副作用、精神的ストレスなどさまざまな要因から食欲が落ち、低栄養になるケースが少なくありません。2024年に実施された厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では、高齢者(65歳以上)の19.5%が、BMI20kg/m2以下の低栄養傾向であることがわかっています。
厚生労働省の「介護予防マニュアル第4版」内の栄養改善マニュアルにおいても、地域で生活している高齢者の約4割が、低栄養や低栄養リスクがあるという報告に触れ、低栄養の予防や改善を心掛けることが重要視されています。
低栄養の予防では、食べる楽しみに注目することもポイントです。食を楽しむことは生活の質であるQOLを高めることにもつながるため、介護施設でも食事全体に視野を広げた栄養改善サービスを意識することが大切です。

栄養ケア・マネジメントの重要性と栄養評価
令和3年度の介護報酬改定より、介護保険施設や通所介護等における口腔衛生の管理や栄養マネジメントが強化されています。施設系サービスの栄養マネジメント加算は廃止され、状態に応じた栄養管理の計画的な実施が求められるとともに、栄養ケア・マネジメントが未実施の場合減算となることが決まりました。
栄養ケア・マネジメントでは、栄養スクリーニングや栄養アセスメントが必須で、低栄養状態の把握に役立ちます。スクリーニング(screening)には「ふるいにかける」、アセスメント(assessment)には「査定や評価」という意味があります。まず、栄養スクリーニングで低栄養や低栄養リスクがある人を抽出し、次に抽出された人に対して栄養アセスメントを行い栄養状態の詳細な評価をする流れです。以下は栄養ケア・マネジメントの主な手順です。
1.栄養スクリーニングを行う
2.栄養アセスメントを行う
3.栄養ケア計画を作成し実施する
4.モニタリングや評価を行い、計画の見直しにつなげる
低栄養の判断に役立つGLIM基準とは?
GLIM基準は「Global Leadership Initiative on Malnutrition」の頭文字を取った用語です。世界の主要な臨床栄養学会によって生まれた、新しい成人の低栄養診断基準で、世界の共通言語としての働きが期待されています。GLIM基準には、従来の食物摂取不足による低栄養だけでなく、医療施設における疾患関連性低栄養も考慮されているところが特徴です。国や地域によって発生する基準の差異を防ぎ、一貫した栄養状態の評価によって、効果的な栄養治療につなげることが求められています。
栄養スクリーニングの役割とシステム

栄養スクリーニングは、栄養ケア・マネジメントの最初のステップで、低栄養リスクの可視化に役立ちます。体重や体重減少率、食事摂取量、急性疾患の有無などの項目により低栄養状態を判断し、対象者を抽出します。栄養スクリーニングは、具体的なプランの前段階としてリスクの程度などを把握するため、短時間で評価できることも特徴です。栄養スクリーニングに役立つツールやシステムがさまざまにあるため、取り組みやすい方法も探してみてください。
栄養スクリーニングに役立つツールとは?
栄養スクリーニングに役立つツールは複数あり、個々に特徴や利用における向き不向きが異なるため、利用シーンに適したものを選びましょう。例えば、栄養スクリーニングツールには次のような種類があります。いずれも各項目の選択を数値化し、合計点で栄養状態を評価します。
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ツールの名称 |
特徴 |
適する利用シーン |
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MNA-SF (Mini Nutritional Assessment-Short Form) |
食事量の減少や体重の減少など6項目で評価する。 MNAの項目をさらに簡素化したもの。 |
高齢者向けのツールのため、高齢者の栄養状態の把握に適している。 |
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MUST (Malnutrition Universal Screening Tool) |
BMI・体重減少・急性疾患かつ栄養摂取不足の3項目で評価する。 |
在宅患者や入院患者、介護施設などで使用され、簡易的に評価したいときに適している。 |
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MST (Malnutrition Screening Tool) |
体重減少と食事摂取量の2項目のみで評価する。 |
項目数が少ないため詳細な評価は難しいものの、外来患者やリハビリ中の高齢者などへの使用に適している。 |
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NRS-2002 (Nutritional Risk Screening) |
BMIや体重減少などの初期スクリーニングと、年齢や疾患重症度などの次の段階のスクリーニングの2段階で評価する。 |
急性期病院などに適している。 |
また、SGA(Subjective Global Assessment)のように、栄養アセスメントに役立つツールもあります。適切なツールを使い分けることで、栄養評価は行いやすくなります。
システムの使用で栄養スクリーニングを効率化
栄養ケア・マネジメントを効率よく行えるように、専用のシステムも開発されています。栄養スクリーニングだけでなく、栄養アセスメントやモニタリングなども含めて、流れに沿った一連の管理ができるものが見られます。システムによって機能や操作性が異なるため、自施設と相性の良いものを選びましょう。こうしたシステムの導入によって、取り組みやすさや業務効率化につながることが期待できます。
GLIM診断基準を活用した低栄養評価の流れ

GLIM基準を活用して低栄養評価を行う場合は、主に以下のステップで進めていきます。
1:栄養スクリーニングを行う
先述したような検証済みのツールを使用して、まずは栄養スクリーニングを行います。全ての対象者に実施し、低栄養のリスクがある場合を特定し、次の評価に進みます。
2:表現型基準と病因基準で評価する
低栄養のリスクがある対象者に、次の2つの指標を基に低栄養診断を行います。
- 表現型基準(3項目):意図しない体重減少・低BMI・筋肉量減少
- 病因基準(2項目):食事摂取量減少/消化吸収能低下・疾患負荷/炎症
この2つの基準で、それぞれ1項目以上該当すると低栄養です。
3:重症度を評価する
低栄養の対象者について、さらに重症度の判定を行います。表現型基準と項目は同じですが、基準値がより高度になっており、中等度か重度かを判定します。重度の基準値に該当しない場合は中等度低栄養で、1つでも基準値を超えていれば重度低栄養です。
低栄養を防ぐための給食改革に向けて

低栄養を防ぐためには、主食・主菜・副菜を組み合わせて栄養バランスの良い食事をとることが基本です。高齢者は先述したようにさまざまな原因から食欲不振に陥りやすく、水分が足りない、盛り付けに魅力がないといった食事内容からも食欲不振につながることがあります。そのため、食べやすい形状の食事や彩りのある盛り付け、楽しい雰囲気の中での食事など、さらなる工夫が必要です。
しかし、近年、病院や介護施設の給食現場では人手不足が深刻化しており、食事の用意に十分な時間を割くことが難しくなっています。低栄養予防を心掛けた食事作りにより力を注ぐためには、根本的な給食改革も視野に入れてみましょう。
完全調理済み食品のメリット
施設での現地調理が難しい場合は、外部製造の完全調理済み食品を利用する方法があり、人手不足対策にも効果的です。例えばクックチル食品は、提供前に温めて盛り付けるだけで配膳できます。介護施設向けの完全調理済み食品は、既に栄養バランスが整った食事に調整されていることが多く、自施設と相性の良いサービスを選ぶだけで簡単に給食の栄養改善に役立てることができます。
ナリコマのクックチル食品は栄養管理済み!

ナリコマのクックチル食品は、栄養管理済みで、塩分も調整されています。とくに、入院期間が短い急性期や回復期病院向けの28日サイクル献立では、食事摂取基準に従って献立を作成し、栄養価差異を1日±5%以内に抑えることで、毎日の食事の栄養価の安定を図っています。また、塩分量は、28日サイクル献立は6g未満/日、365日サイクル献立では7g未満/日に抑えています。
さらに、ナリコマのクックチル食品は、嚥下力や咀嚼力に合わせた4形態のご用意があり、ミキサー食やゼリー食のように形が変わっても必要な栄養はそのまま摂れるように工夫しています。
低栄養予防に向けた給食改革をお考えの際は、ぜひお気軽にお問合せください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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◆健康管理:歯科健診による口腔ケアを行い、ウォーキングなどの軽い運動を取り入れる。
◆嚥下調整食(介護食)の活用:摂食機能のレベルにあわせた食形態に変更し、安全な食事環境を整える。
こうした日常的な取り組みによって栄養状態を改善し、自分らしくイキイキとした生活の基盤をつくりましょう。
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