2025年度の最低賃金改定により、最低賃金が大幅に引き上げられました。時間額の引き上げ額は全国加重平均で66円と過去最高額で、引き上げ率も6.3%と高水準です。
賃上げによって人材定着が期待される一方で、最低賃金と人材定着は必ずしも比例しません。転職や離職の原因は給与以外にもさまざまにあり、病院や介護施設の厨房業務は調理業務の負担が大きいことから離職につながりやすい特徴が複数あります。厨房の離職防止には、待遇改善や働きやすさを高める環境づくりも大切です。
この記事では、最低賃金改定が人材定着に与える影響を解説するとともに、ナリコマの厨房改革事例を紹介しながら、厨房の人材定着に向けた改革のヒントをご紹介します。
目次
最低賃金と人材定着が直接比例しない理由

最低賃金の引き上げにより、仕事に対するモチベーションの向上や生活の安定などのメリットが期待でき、離職率の低下や景気の向上などにつながる可能性もあります。しかし、最低賃金が上がれば人材が定着するとは一概には言えず、さまざまな要因が重なることで定着が進まない可能性もあるため注意が必要です。ここでは、最低賃金と人材定着が直接比例しない理由を解説します。
転職・離職の理由は給与だけではない
厚生労働省による令和6年の雇用動向調査結果によると、転職入職者が前職を辞めた理由には下記の内容が上位に挙げられていました。
【男性】
1.その他の個人的理由
2.定年・契約期間の満了
3.その他の理由(出向等を含む)
4.給料等収入が少なかった
5.職場の人間関係が好ましくなかった
【女性】
1.その他の個人的理由
2.労働時間、休日等の労働条件が悪かった
3.職場の人間関係が好ましくなかった
4.定年・契約期間の満了
5.給料等収入が少なかった
「給料等収入が少なかった」という理由は男女共に上位ではあるものの、男性が10.1%、女性が8.3%となっており、約1割程度であることがわかります。
また、始めたばかりのパート・アルバイトの退職理由の調査では、仕事内容や人間関係が合わない、といった理由が上位を占めている調査結果も挙げられています。
マイナビバイトTIMES 【100人に聞く】始めたばかりのパートを辞める理由ランキング!伝え方の例文や注意点 2025年
人材が定着しない一般的な原因
人材定着を妨げる原因には、職場環境の特徴も影響します。下記は原因の一例です。
- 給与が低い・業務内容に見合っていない
- 職場の雰囲気が悪い
- 入職後のフォローアップ体制が不十分
- 仕事の評価制度が不十分
- 福利厚生が整備されていない
人材定着を妨げる原因はさまざまにあり、給与の金額に限らず「働きづらさ」が大きな影響を与えていることがわかります。入職時は順調でも、仕事を続けるうえで評価が得られないことは、モチベーション低下につながる原因の一つです。そのため、単に最低賃金を引き上げただけでは、人材定着が難しいことがうかがえます。

最低賃金の改定でベースが引き上げられるリスク
最低賃金の改定により、ベースの賃金が一律で引き上げられることにより、採用における他社との時給差がつきにくくなります。賃上げを行っても周囲の企業も同様に上がるため、直接メリットにつながりにくく、採用競争力の低下を招く恐れがあります。
また、最低賃金だけを引き上げた場合、職場内の役職間の賃金差が縮小してしまう可能性もあります。役職が上位であるにもかかわらず給与差が小さいと、評価が十分に反映されていないといった不満が生じやすいため注意が必要です。
人手不足が加速する可能性
最低賃金の引き上げに伴い人件費が上がるため、予算によっては新たな採用が難しくなります。先述のとおり他社との時給差がつきにくくなるため、より魅力的に見せるには採用コストを追加でかける必要が生じるケースもあります。すでに人手不足の状況では、新たな採用による解決策のハードルがさらに高まる点が課題です。また、給与が上がることで、扶養内で働くために勤務時間を削減する従業員が出る可能性もあります。その結果、労働力が減少し、人手不足が加速することも懸念されます。
株式会社プレシャスパートナーズが2023年に実施した「最低賃金の引き上げに関する実態調査」では、約4割の企業が「人手不足になると思う」と回答しており、最低賃金の引き上げによる人手不足を懸念する企業は少なくありません。
参考:株式会社プレシャスパートナーズ 【最低賃金に関する調査】62.8%の企業がアルバイト・パートの最低賃金の引き上げに「賛成」2025年
厨房の離職の原因とは?

厨房の離職の原因には、調理業務の負担が大きいことも影響しています。調理業務は「きつい」といわれることも珍しくありません。主な理由としては、以下のような業務内容の特徴が挙げられます。
- 早朝勤務や長時間労働がある
- 立ちっぱなしでの作業が多い
- 覚えることが多い
- 重い食材や調理器具を運ぶ作業がある
- 衛生管理やアレルギー対応など、慎重な対応が求められる
病院や介護施設の厨房では、朝食の準備のために早朝4時頃から勤務が始まるケースもあります。調理補助の仕事は無資格・未経験でも就業可能な場合が多く、入職のハードルは低いものの、調理経験がないと覚えることが多く負担が大きくなる点が課題です。適切なサポートが得られない場合には離職につながる可能性があります。
厨房改革で離職防止!待遇改善や働きやすさもカギ

最低賃金改革によって賃金のベースは引き上げられますが、離職防止には、スキルや経験に応じて段階的に給与がアップする仕組みも求められます。厚生労働省の「令和7年版 労働経済の分析」では、飲食物調理従事者を含む社会インフラに関連する職業の人材確保を、持続的な経済成長に向けた重要な課題としています。さらに、人材確保には、賃金をはじめとしたスキルや経験に応じた処遇の改善が重要であることが示されています。
前述した転職・離職の理由からもわかるように、賃上げだけでは人材定着は難しいことがわかります。評価基準の策定やキャリアアップのサポートも含めて待遇改善を進め、働きがいのある職場づくりを目指すことが大切です。離職が目立つ場合は、離職理由を把握することも改善策の検討に役立ちます。
調理方式や運営方法の見直しで働きやすい厨房へ
厨房改革では、調理方式や運営方法の見直しが効果的です。以下のように、厨房改革方法はさまざまにあります。
- クックチルやニュークックチルなどの新調理方式の導入
- 自動調理できる機器やロボットの活用
- 完全調理済み食品など外部製品の導入
- 在庫管理などを効率化させるシステムの導入
離職原因には職場の人間関係や労働条件も影響するため、新人が相談しやすい雰囲気づくりや、個々のスタッフの業務負担の偏りを防ぐといった環境改善も大切です。業務内容がわかりやすく、トラブルが起きにくい環境を意識しながら厨房改革を進めていきましょう。
ナリコマの厨房改革事例集

ここでは、ナリコマの導入で厨房改革につながった事例をご紹介します。
事例1:ニュークックチルでシフト削減に成功
給食委託会社に厨房運営を任せていたもののさまざまな課題が生じ、食事を委託することに不安を感じるようになってしまったようです。ナリコマのニュークックチルを導入してからは、早朝・夜間の厨房の無人化に成功し、人件費の削減にもつながりました。
Before:
- 人手不足
- 厨房に栄養士が不在の日がある
- 料理の味にばらつきがある
- 提供時に料理が冷めている
After:
- 昼の時間帯に夕食・翌日の朝食の用意が可能
- 夜間・早朝の厨房業務が不要になった
- 温かい料理と冷たい料理をそれぞれ適温で提供できる
- 1日ごとの厨房スタッフ数とシフト時間の削減に成功
- 1シフト制に移行
- 人件費の削減に成功
- シフト管理がしやすくなった
- 利用者さまとの関わりや厨房の掃除のための時間を確保

事例2:調理工程の簡素化で人手が集まりやすい環境を実現
給食委託会社より年間1000万円の値上げを提示され負担が大きく、委託に依存することへの不安もあったようです。ナリコマのニュークックチルを導入してからは、調理工程や水道光熱費の削減ができ、求人への応募が集まりやすくなり、離職防止にも効果が見られています。
Before:
- 給食委託会社からの急な値上げや業者変更の必要が発生
- 委託給食の副食が明らかに減少
- 給食委託会社に要望を聞いてもらえない
- 利用者さまからの苦情が殺到
- 朝・夕のシフトの人手不足
- 給食委託会社の利用継続で年間1000万円のコスト増が判明
After:
- 調理工程の削減とともに水道光熱費の削減に成功
- 調理工程が簡素化
- 人手が集まりやすい
- 離職が見られなくなった
- ニュークックチルで作業効率が大幅に向上
- 早朝の業務削減に成功
- シフトが安定
- 求人への応募が増加
- 食事の味や量に対する苦情が明らかに減少
- ミキサー食も難しかった利用者さまが完食し、回復につながった
ナリコマには厨房業務を効率化させるオリジナルシステムがあります!

ナリコマのクックチル・ニュークックチルは、病院や介護施設向けに特化したサービスです。また、給食委託方式ではなく直営での厨房運営サポートです。病院食や介護食に対応しているため、スムーズに導入することができます。
また、ナリコマでは厨房業務に役立つ自社開発のオリジナルシステムをご用意しております。帳票管理アプリや教育コンテンツ配信、調理のコツの動画配信など、帳票管理や新人スタッフの教育まで幅広くご活用いただけます。厨房改革にお悩みの担当者さまはぜひ一度ナリコマまでご相談ください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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