介護職員のキャリア研修に取り組むことで、個々の職員のスキルアップを促し施設全体の質を高めることができます。この記事では、介護職の仕事を未経験からスタートした場合の一般的なキャリアアップの流れや、介護福祉士からのキャリアアップ、リーダー育成や管理職向け研修などに注目し、キャリア研修の設計や導入のコツを解説します。介護職員のキャリアアップや幹部研修を検討している施設の担当者さまはぜひご参考ください。
目次
介護職未経験からのキャリアアップの流れ
未経験や無資格の状態から介護業務をスタートする場合は、下記の流れでキャリアアップをしていくのが一般的です。
介護職員初任者研修の取得
↓
介護福祉士実務者研修の取得
↓
介護福祉士の資格取得
上記の流れ以外に、未経験の職員には入職後のサポートも必要です。まずは仕事に慣れるため、オリエンテーションやOJTを充実させ、そのうえでキャリアアップを目指した流れをサポートするといった計画的な支援が役立つでしょう。また、介護サービス事業所で直接介護に携わる職員で、医療・福祉関係の資格がなく、認知症介護実践者研修のような既定の研修等を修了していない場合は、入職後1年間に認知症介護基礎研修の受講が義務付けられています。

まずは介護職員初任者研修からスタート
介護職員初任者研修は、キャリアアップで取得したい最初の資格として捉えることができます。介護の基礎から学んでいくため、早い段階で取得すると役立つ資格です。介護施設に限らず、訪問介護サービスや介護サービスが関連する職種など、さまざまな職場で活かせる可能性もあります。また、介護職員初任者研修を修了すると、先述した認知症介護基礎研修の受講の義務は免除されます。
スクールでは通学講習と自宅学習を組み合わせた学習方法がよく見られ、職務自体の理解を深める内容から介護保険制度等の授業、食事や排泄の介護等の実技などを通して学びながら応用力も身に付けていきます。最後に修了試験を受けて、合格すると修了証明書が発行されます。初任者研修は、一般的に数ヶ月で取得可能です。
次のステップに向けた介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修を修了した後に目指しやすい資格です。実務者研修では、介護の技術や知識の専門性を高めるのに役立つ学習ができ、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアも学びます。専門性が高い内容ではありますが、受験資格はとくにないため初任者研修を修了していない場合でも取得可能です。
スクールでは、通学講習と自宅学習を組み合わせた学習方法がよく見られ、通学講習では主に「介護過程Ⅲ」や医療的ケアを学びます。初任者研修のように修了試験は必須ではなく、スクールによって資格取得までの流れは異なります。実務者研修の研修期間は原則6か月以上とされておりますが、初任者研修や訪問介護員養成研修などを修了しているとより早く修了できる場合があるでしょう。
実務者研修の修了は、実務経験からスタートするルートの介護福祉士国家試験の受験資格のため、未経験で働き始めて介護福祉士を目指す際にも必要な研修です。また、実務者研修を修了すると、サービス提供責任者として働くことができます。
介護福祉士の国家資格を取得
介護福祉士の国家資格を取得できれば、未経験からスタートした場合でも大きなキャリアアップとなります。給料アップにつながるなど、取得のメリットは多いでしょう。また、施設側にとっても、職員の介護福祉士資格の取得で任せられる仕事が増え、より活躍してもらえるメリットがあります。介護福祉士の資格取得をきっかけに、認定介護福祉士やケアマネジャーなどのさらなるキャリアアップにつながるため、担当できる仕事の幅も広がるでしょう。
また、実務経験からスタートして介護福祉士の資格を取得するには、先述した介護福祉士実務者研修のほかに、下記の研修を両方修了していても受験資格になります。
- 介護職員基礎研修(2012年度末で廃止)
- 喀痰吸引等研修
介護福祉士からのキャリアアップとは?
介護福祉士を取得した後も、さらに専門知識や技術を身に付けて資格を取得しキャリアアップすることができます。しかし、資格によって将来的な方向性に違いがあるため、事業所側としては職員の希望に沿った案内やサポートを心掛けてみましょう。例えば、介護福祉士の資格を取得した後は、下記のようなキャリアへの道が考えられます。
- 認定介護福祉士
- ケアマネジャー
- 医療介護福祉士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 生活相談員
さらに、例えばケアマネジャーの資格を取得した後も、認定ケアマネージャーや主任ケアマネージャーなどの資格を目指しステップアップできます。将来的な希望も見据えたキャリアアップモデルを把握すると、より計画を立てやすいでしょう。

介護福祉士資格取得後に役立つキャリア研修
介護福祉士の資格を取得した後は、下記の研修もよく勧められます。下記の研修は、研修の提供先により受講対象者等の内容は異なりますが、①〜③の順で受講する流れが一般的です。
①介護福祉士基本研修
介護福祉士資格取得後から実務経験2年未満程度が対象
②介護福祉士ファーストステップ研修
介護福祉士資格取得後から実務経験2年~3年程度が対象
③認定介護福祉士養成研修
介護福祉士資格取得後から実務経験5年以上が対象
これらの研修により、質の高い介護の実践力を身に付けられるほか、リーダーや指導係としてのスキル、チームや多職種、地域との連携を行いながらサービスの質を向上させるスキルが身に付くメリットがあります。また、認定介護福祉士養成研修は、認定介護福祉士になるためにも必要な研修です。
介護事業所が取り組みたいリーダー育成や管理職向け研修
介護福祉士として活躍する職員のキャリアアップでは、管理者や施設長などの役割を担ってもらう方法もあります。介護事業所としても、サポートすることで自社施設のメリットに直接つながりやすいでしょう。職員への周知として、チームリーダーや主任等のキャリアアップの道筋をわかりやすく提供すると、よりイメージを持たれやすくなります。

先述した介護福祉士ファーストステップ研修は、小規模のチームリーダーの養成が主な目的のため、リーダー育成に役立つ研修です。ほかにも、介護施設の管理職向け研修はさまざまにあり、外部のサービスを利用する方法もあります。管理職向け研修では、次期の管理職候補の職員に向けた研修だけでなく、すでに管理職として働いている職員向けの研修も悩みの解決やスキルアップに効果的です。また、管理職向けの研修内容は、コミュニケーションスキルやコーチングスキルなど、学びたい目的によって選ぶこともできます。
キャリアアップ研修の設計や導入のコツ
職員のキャリアアップ研修では、自社における設計や導入の工夫も必要です。資格取得に向けた経済面での支援制度などをはじめ、社内で積極的に研修や勉強会を行い、良好なコミュニケーションも意識しながら職員をサポートしていきましょう。
資格取得に向けた支援制度や教育体制を構築
未経験・無資格から介護業務をスタートするキャリアアップでは、介護福祉士を目指した流れでの資格取得を目標に、社内でのサポートを充実させると良いでしょう。資格手当の支給や受講料・受験料の助成、合格時のお祝い金などで経済面でのサポートを行うほか、試験対策講座を実施するなどの支援も役立ちます。また、通学講習や自宅学習に取り組む職員が働きやすいシフト環境を提供することもポイントです。

研修や勉強会を習慣付ける
介護職のキャリアアップは、国家資格取得なども踏まえるとある程度ハードルが高くなりますが、自社施設で普段から研修や勉強会を開催することで、キャリアアップの学習体制に慣れやすくなります。認知症にまつわる知識やチームワーク作りのコツ、介護食作りのノウハウなど、一つのテーマに絞ってさまざまな研修を行い、楽しみながらスキルアップしてもらえるきっかけを作りましょう。
個々の介護職員の希望に沿うキャリア研修をサポート
介護職のキャリアアップ方法は多岐に渡るため、職員一人ひとりと定期的な面談などでコミュニケーションを取りながら、将来的な希望を把握しておくことが大切です。キャリアアップの仕組みを明確に提示し、知識を共有しながら考えてもらうと良いでしょう。そのうえで施設内や施設外での研修を工夫し、効率的に学んでもらう環境を整えることもポイントです。研修内容については、事前に職員にアンケートを取るなどして需要を把握することも役立ちます。
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