近年の日本は高齢化が急速に進んでおり、医療や介護福祉サービスの需要も増加傾向にあります。病院や特別養護老人ホームなどにおいて欠かせないものといえば、毎日の食事です。ニュークックチルは厨房業務の業務効率化や負担軽減に有効であることから、人手不足や負担増加に悩む医療・介護福祉業界でも注目を集めています。今回の記事は、ニュークックチルの運用に欠かせない厨房機器とメンテナンスについて解説。ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。
目次
ニュークックチルで使われる主な厨房機器

はじめに、ニュークックチルの基本的な作業工程を確認しておきます。
①食材の下処理と加熱調理を行う
②加熱調理後90分以内に中心温度が3℃以下になるまで急速冷却を行う
③急速冷却後の完全調理済み食品はチルド状態のまま保存する
④チルド状態の完全調理済み食品を器に盛り付ける
⑤盛り付けした器ごと再加熱カートにセットする
⑥再加熱が完了した完全調理済み食品を配膳する
施設内厨房での自前調理なら、①〜⑥までの全工程を行います。セントラルキッチンを採用する場合は①〜③に配送が加わり、施設内厨房がメインで行うのは④〜⑥です。どちらのパターンも少人数で計画的に進めることができ、調理から配膳まで一気に行うクックサーブよりも人的・時間的な余裕が生まれます。
では、ニュークックチルの運用に必要な厨房機器をみていきましょう。
冷凍冷蔵機器
冷凍冷蔵機器はおそらくほとんどの厨房に設置されていますが、ニュークックチルの運用において重要なのは、食材管理が徹底できることです。まず、施設内厨房で全工程を行う場合、仕入れる食材の保存方法や量に適した冷凍冷蔵機器を設置しなくてはなりません。セントラルキッチンを採用する場合も、白飯やみそ汁といった一部のメニューを施設内厨房で調理するパターンがあります。機器の入れ替えが必要なケースも出てくるかもしれません。
スチームコンベクションオーブン
スチームコンベクションオーブンは、“スチコン”という略称で呼ばれることもあります。「焼く」「温める」「煮る」「ゆでる」「蒸す」「炒める」「炊く」「揚げる」といった幅広い調理方法に対応している万能型の厨房機器です。施設内厨房のみでニュークックチルを運用する場合は欠かせません。一台で何役もこなしてくれるため、調理方法ごとに厨房機器をそろえるよりも、導入コストや設置スペースが削減できます。
ブラストチラー
ブラストチラーは、加熱調理した食材を急速冷却する際に使います。スチームコンベクションオーブンと同様、施設内厨房のみでニュークックチルを運用する場合に必要です。食中毒の原因菌が発生しやすい温度帯(10℃〜45℃)を素早く通過させるため、衛生上のリスク低減対策においても重要な厨房機器といえるでしょう。

再加熱カート
再加熱カートは、ニュークックチルの運用方法にかかわらず必要な厨房機器です。加熱方式は機器によって大きく異なりますが、熱風加熱式・過熱蒸気式・IH式・マイクロ波式などが採用されています。各方式の主な特徴は以下の通りです。
熱風加熱式
カート内に熱風を循環させ、食材をムラなく加熱します。
過熱水蒸気式
過熱水蒸気を使い、食材をムラなく加熱します。乾燥を防ぐため、できたてのようなふっくらした仕上がりが特徴です。
IH式
熱源を使わず、電気によって加熱します。セットした器の数で消費電力が変わるため、省エネ効果が高いといわれています。
マイクロ波式
電子レンジと同じ原理を使い、短時間で加熱します。ほかの方式と比べて使用可能な食器が多く、味や食感が劣化しにくいことも特徴です。
再加熱カートの多くは冷蔵スペースを備えており、サラダやフルーツなどもまとめてセットすることができます。マイクロ波式は例外ですが、通常は耐熱性のあるメラミン樹脂などの素材でつくられた専用の食器やトレイも必要です。また、タイマー機能を使うと朝や夕方の厨房を無人化することができ、人員削減にも効果を発揮します。
機器メンテナンスを充実させるメリット
前述したように、ニュークックチルの運用ではさまざまな厨房機器を使用します。本項目では、厨房において機器メンテナンスを充実させることのメリットをまとめました。
①故障・不具合の予防と修理コストの削減
厨房機器に故障や不具合が起こると、業務の遅延や停滞につながります。修理費用が高額になったり、入れ替え・買い替えが必要になったりすることもあるため、機器メンテナンスの実施が結果的にコスト削減にもなります。
②機器の性能維持
冷凍冷蔵機器やブラストチラーの冷却機能、再加熱カートの温度管理機能などが低下すると、食事の品質にも多大な影響を与えてしまいます。定期的なメンテナンスを行うことで厨房機器の性能を維持し、寿命を延ばすことができます。

③業務における安全性の確保
電気や熱源などを利用する厨房機器は、大事故が起こる可能性も考えられます。従業員の安心にもつながるため、メンテナンスによって安全性が確保できることは大きなメリットといえるでしょう。
④衛生管理の強化
厨房機器の清掃はメンテナンスの一環です。汚れやカビ、チリ、ホコリなどが付着したままになっていると、食中毒などの発生リスクも高まります。清掃をしっかり行うことで、食の安全も守られます。
⑤食事提供体制の安定化
医療・介護福祉施設において食事が提供できなくなると、患者や利用者の健康を損ねる可能性があります。そのため、医療・介護福祉施設では継続的な提供体制が求められます。機器メンテナンスを丁寧に実施することで、食事提供体制の安定化につながるでしょう。
機器メンテナンスの観点からみた保守契約の必要性

厨房機器メーカーの多くは、ユーザーサポートの一環として保守契約を提示しています。もちろん、ニュークックチルで使う厨房機器に限ったことではありません。契約内容はメーカーによって異なり、サポートを受けるための追加費用もかかります。しかし、機器メンテナンスの観点では、保守契約の締結が推奨されています。では、その理由を詳しくみていきましょう。
専門技術者によるメンテナンスが受けられる
厨房機器の保守契約を結んだ場合、基本的にはメーカーの専門技術者が点検や修理を担当します。そのメーカーの製品を知り尽くした専門技術者であれば、迅速かつ的確な対応力が期待できるはずです。定期メンテナンスの実施だけでなく、突発的な故障や不具合についても、安心して任せられるでしょう。メンテナンスがスムーズに実施できることから、現場では機器管理における負担が軽減されるでしょう。
トラブル発生時、優先的に対応してもらえる
厨房機器に何らかのトラブルが発生した際、保守契約を締結していれば優先的に対応してもらえる可能性が高くなります。トラブルを早く解決できれば、業務への影響も最小限で済ませることができるでしょう。食事提供はもちろん、厨房運営全体の安定化につながります。
ニュークックチルに関するご相談はぜひナリコマへ

ナリコマでは、ニュークックチルによる献立サービスをご提案しております。セントラルキッチンから、独自のルートで完全調理済み食品を毎日配送。簡単な盛り付けや再加熱を行うだけで配膳することができ、最小限の人員でも対応可能です。
栄養バランスの整った献立は、365日または28日の日替わりでご提供。さまざまな施設様でご好評いただいている介護食は、ミキサー食・ゼリー食・ソフト食の3種類を展開しております。ニュークックチルの運用に関するお悩みは、ぜひ一度ナリコマにご相談ください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
クックチルに関する記事一覧
-
QOL向上の要!医療・介護福祉における食事の役割と品質・満足度向上につながる施策を詳しく解説
医療・介護福祉分野では、患者や利用者のQOL向上が非常に重要な目標の一つです。今回の記事は、そんなQOL向上の要となる食事をテーマにお届けします。はじめに、QOL向上の意味や食事の役割を詳しく解説。後半では、病院・介護福祉施設における食事の品質・満足度向上のポイントをまとめてお伝えします。
-
タスクシフトで医療スタッフの負担削減!厨房業務における実践ポイントとは
医療・介護福祉分野は年々ニーズが高まっていますが、人手不足の状況も深刻化しており、それに伴う業務負担の増加が問題視されています。今回の記事は、医療スタッフの働き方に焦点を当て、業務負担の軽減につながる「タスクシフト」をテーマにお届けします。後半では、厨房業務におけるタスクシフトの実践ポイントを解説。ぜひ最後までお読みいただき、労働環境改善にお役立てください。
-
地域包括ケアで重視される食事支援!在宅医療・介護でも利用可能なサービスはある?
地域包括ケアは、高齢化が進む日本の将来を地域連携によって支える取り組みの一つです。今回は、その中でも特に重視される食事支援について取り上げます。地域包括ケアにおける食生活の重要性、管理栄養士・栄養士の役割、食事支援のポイントなどを解説。在宅医療・介護向けの食事支援サービスに関してもまとめてお伝えします。
コストに関する記事一覧
-
介護事業におけるBCPの重要性や策定ポイントを解説
近年、あらゆる事業において重要視されているBCP(事業継続計画)。今回の記事は、2024(令和6)年4月に完全義務化された介護事業のBCPについて詳しくお届けします。介護施設・事業所におけるBCPの重要性や策定のポイントをお伝えするとともに、得られるメリットも解説。ぜひ最後までお読みください。
-
AIとQOL向上が導く新しい食事設計!食事満足度予測や嚥下食最適化ソリューション
満足できる食事をとることは、QOLを向上させるための重要な要素の一つです。この記事ではさらに、近年活躍の幅を広げるAIに注目し、AIとQOL向上の関係性を軸に、新しい食事設計の方法を掘り下げます。食事満足度予測や嚥下食最適化にAIを役立たせる方法や、今後の活躍が期待できる食欲増進AIなど、近年のAIの研究や開発状況も踏まえながら解説します。
-
病院給食は委託と直営どちらがおすすめ?
医療施設や介護施設などで絶対に必要なものといえば、毎日の食事。今回は、病院給食にスポットを当てた記事をお届けします。現在は調理師や管理栄養士などの人材不足、食材をはじめとするさまざまなコスト高騰に伴い、委託費の値上がりも懸念されています。そんな問題が浮上してきている中で、病院給食はどのように運営されているのでしょうか?
本記事では病院給食の現状について触れ、委託と直営それぞれのメリットやデメリットを解説。さらに、病院給食を効率よく運営するためのポイントやおすすめの調理・提供方法などをお伝えします。




