高齢者になると健康上の問題が目立つようになります。当然個人差はありますが、健康状態を左右する食事の困りごとはいち早く解決したいものでしょう。「若い頃と同じように食べられなくなった」「食欲がなくなってきた」といった声は、いつの時代も聞こえてきます。
本記事で取り上げるのは、しっかり食べているのに体重が減るという「やせ(低体重)」の問題。高齢者の体重減少を引き起こす理由や具体的な原因を解説し、フレイルにつながる「やせ」の危険性についてもお伝えします。
また、そんな高齢者の食生活をサポートする少量高栄養の介護食・給食についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください
目次
高齢者の体重が減少する理由
一般的に、体が必要とするカロリーを十分に摂取できない場合、体重は自然と減少していきます。カロリー不足から体重が減少してしまう原因の多くは、病気による食欲減退や消化器系の問題などが挙げられるそうです。
ところが、当事者が高齢者であれば「加齢により食が細くなった」ということも考えられます。これといった持病もなく健やかな毎日を過ごしていても、自身の若い頃と比べるとあまり食べなくなり体重も減った、と実感している高齢者の方々は少なくないかもしれません。
高齢者の食が細くなり体重が減少する理由は、大きく分けて「身体的な理由」「精神的な理由」「社会的・経済的な理由」「医学的な理由」の4つがあります。それぞれの理由について細かくみていきましょう。
①身体的な理由

唾液の分泌量が減ったり、味覚や嗅覚が衰えたりするほか、食べ物を飲み込むための嚥下機能がスムーズに働かなくなることもあります。また、消化管運動機能が低下する傾向も強くなります。その結果、食欲が抑えられてしまうのです。
②精神的な理由
加齢によって不安感や抑うつ、認知症など、精神的・神経的なストレスが生じやすくなることがあります。そのストレスの影響で、食欲が急激に落ちてしまいます。
③社会的・経済的な理由
一緒に食卓を囲む家族や同居人がいない一人暮らしをしていると、食欲減退を引き起こすことがあります。経済的な面では、極端な節約生活をしている場合もあります。どちらにしても、自然と食べる量が少なくなってしまいます。
④医学的な理由
持病がある場合、病気そのもののストレスだけでなく、投与された薬の作用が関係しているかもしれません。また、厳しい食事療法を実践している方であれば、それが体重減少につながることもあります。
食べているのになぜ体重が減るの?
前述したように、高齢者の体重減少はさまざまな理由によって食欲が落ち、食べる量が減ってしまうことからはじまります。ただ、高齢者といっても全員が同じような状態にあるわけではありません。
なかには、自分はたくさん食べている!と自信をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。しかしその一方、食べているのに体重が減るという話が高齢者によくみられる「やせ」の問題として浮上しています。本項目では、その詳しい原因について解説します。
筋肉量が減少している
筋肉量は、消費カロリーと深い関わりがあります。加齢による筋肉量の減少は、男女ともに起こること。近年では、サルコペニア(筋肉の衰え)という医学用語も使われるようになりました。

65歳以上になると、若い頃と比べて10パーセントほど筋肉量が少なくなるという研究結果があります。高齢者は自然と筋肉量が減ってしまうため、消費カロリーも少なくなるのです。
つまり、少し食べれば活動できるようになるということ。しっかり食べているつもりでも、実際の量は多くない……そんな状況から、体重減少につながってしまうのです。
何らかの病気にかかっている
持病がない高齢者は、わざわざ病院に通う必要がありません。体重減少の陰に病気が隠れている可能性もあります。例えば、体重減少と同時に食欲減退や下痢といった症状があれば、消化器系の病気にかかっているかもしれないのです。
また、糖尿病は食事に含まれる糖をエネルギーに変えるのが難しくなり、体内のたんぱく質や脂肪などをエネルギーとして使いはじめます。特徴として、急激な体重減少が多くみられるそうです。このほか、日本人に多い疾患のひとつである悪性腫瘍(がん)も筋肉量が減ってしまうため、体重減少を引き起こします。
無意識のうちにストレスを感じている
前の項目で挙げた社会的な理由(③)の繰り返しになりますが、一人暮らしの高齢者は社会的に孤立しがちです。知らず知らずのうちに感じる孤独感がストレスとなり、食べる量が減ってしまいます。
このように、高齢者は自覚症状があまりないまま、食べているのに体重が減るという「やせ」の状態に陥りやすくなるのです。
低体重の危険

「やせ」の状態は、高齢者にどのような影響を与えるのでしょうか。高齢者が今まで通りの日常生活を送れなくなり、要介護の状態に近づくことをフレイルといいます。厚生労働省では、高齢者が長く健康で過ごしていくためにはフレイルの予防が重要だと提言しています。
65歳以上の要支援・要介護認定者は増加傾向にあります。平成24(2012)年は545.7万人でしたが、令和4年度は681.4万人。約10年間で135.7万人も増えていますが、高齢化が進む近年の状況を考慮すると、要支援・要介護に認定される人はさらに増えると考えられるでしょう。
体重減少が進んで「やせ」になった高齢者の場合、まず懸念されるのが体力や免疫力の著しい低下です。筋肉量が減ってすぐに疲れるため寝たきりになりやすく、ウイルスや細菌に感染しやすくなります。加えて筋肉や骨も衰えるため、食べ物をかむ力や飲み込む力がなくなったり、転んで骨折しやすくなったりすることも。そしてうまく食事ができなくなれば十分な栄養をとることができず、むくみや腹水が起こるリスクもぐんと高まります。
つまり、「やせ」は高齢者にとって非常に危険なことなのです。フレイルを防ぐためにも、普段から体重減少を抑えられるような生活習慣を意識したほうが良いでしょう。具体的には、無理のない範囲でおこなう軽い運動、栄養バランスのとれた食事、食欲がわく生活環境などが挙げられます。
少量高栄養の食事をとるためには

「やせ」の状態もしくはそれに近い状態に陥った高齢者は、さまざまなリスクを抱えてしまいます。先ほど述べたように、体重減少を抑える基本的な対策は生活習慣を見直すこと。特に、食生活においては少量高栄養の食事を意識するのがおすすめです。古くからいわれてきたことですが、健康的な食事の基本は一汁三菜。その中でも少量高栄養を実現するには、いくつかのポイントがあります。
まずは、少量でも高カロリーの食材を選ぶこと。代表的なものとしてアーモンドやピスタチオなどのナッツ類、チーズやヨーグルトをはじめとする乳製品、大豆の加工食品などがあります。次のポイントは、一日あたりの食事回数を増やすこと。一度にたくさん食べられなくても、何回かに分けて十分な量を達成します。最後は、医薬部外品や栄養補助食品を活用すること。食物繊維やたんぱく質など、高齢者に不足しがちな栄養素を中心に取り入れます。
このほか、食材の栄養価を損なわない調理方法、口腔内や胃腸に負担が少なく食も進む形状といった点に配慮するのも効果的です。
食生活の改善ポイントについては、食事摂取基準(2020年版)に基づいた厚生労働省発行のパンフレット「食べて元気にフレイル予防」もぜひご覧ください。
少量高栄養の介護食はナリコマにおまかせ

高齢者の体重減少をテーマにお届けしましたが、いかがでしたか?ナリコマグループでは、病院や福祉施設向けの介護食・給食を提供中です。
近年では新製法を導入することで、食材比率や栄養価の向上、調味料使用量の削減、食品ロスの解消などを実現しました。
病院や福祉施設の現場に最適な少量高栄養の介護食・給食は、ぜひナリコマグループにおまかせください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
完調品に関する記事一覧
-
QOLと栄養のつながりとは?温かい食事や味の満足度が生活の質に与える影響
QOLと栄養には深いつながりがありますが、栄養状態が良ければQOLが向上するとは限りません。QOL(生活の質)には、精神的・身体的・社会的など複数の要素が影響するため、食事にもさまざま工夫が必要です。
この記事では、QOL向上の要素である食事や栄養状態に注目しながら、温かい食事や味の満足度、季節メニューがどう影響するのかを解説します。介護施設や病院など、食支援を通して利用者さまや患者さまのQOL向上を目指す際の参考にしてみてください。 -
災害時の食事提供はどうする?医療・介護福祉分野のBCPにおける食の課題とは
日本は世界有数の災害大国であり、万一に備える防災グッズや長期保管に適した備蓄品などが数多く製造・販売されています。近年は家庭や学校などに限らず、企業の防災対策も重視する傾向にあり、災害時にも業務を続けるためのBCP策定が推奨されています。
今回は、医療・介護福祉分野のBCPにおける食の課題に注目。患者や利用者の身を預かる病院・介護福祉施設にとって欠かせない食事提供体制の安定化につながるポイントを解説します。ぜひ最後までお読みください。 -
医療安全対策の視点から解説!病院給食における衛生管理の重要性
医療機関は、人々の健康を支えるという大事な役割を担っています。医療行為やそれに関連する業務では、患者の安全を守ることが最も重要といえるでしょう。今回お届けするテーマは「病院給食における衛生管理」です。医療安全対策の視点から、病院給食の安全性確保について詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
経営課題に関する記事一覧
-
法改正対応に向けた食事体制の見直しとは?ニュークックチルの活用と加算取得のポイントを解説
2024年度の診療報酬改定では、食事提供体制加算や施設基準の見直しなど、食事関連の制度が大きく変わりました。法改正対応を進めるには、最新の加算要件や届け出内容の確認、記録体制の整備が欠かせません。
今回は、改定内容の全体像と現場で必要な対応策をわかりやすく整理しました。さらに、食事体制の見直しを進める中で活用できる選択肢のひとつとして、業務効率化や適温提供に強みを持つニュークックチルもご紹介します。 -
年度末の赤字!予算不足の病院・介護施設の給食費を解決するクックチル
病院や介護施設の給食費・厨房管理費の予算オーバーの悩みは、近年さまざまなところで取り上げられています。物価高騰や人件費の上昇により、年度末の赤字が続くことも珍しくない状況で深刻な課題となっています。そこで注目されているのが、新調理システム「クックチル」です。
この記事では、近年の給食費の赤字について、原因やデメリットを詳しく掘り下げながら、課題解決に役立つクックチルの特徴やメリットを解説します。 -
2026年度から特別食加算に嚥下食(嚥下調整食)が追加|改定内容と算定条件をわかりやすく解説
2026年度診療報酬改定に伴い入院時の食事療養に係る見直しが行われ、2026年6月1日から入院時食事療養費に係る食事療養等の特別食加算の対象に嚥下食(嚥下調整食)が新設されます。
この記事では、2026年度診療報酬の改定内容全体の方針と、嚥下調整食が新設された背景や算定要件のポイントを解説します。算定条件を満たす嚥下調整食の特徴についてもわかりやすくまとめていますので、嚥下食作りや情報整理にお役立てください。




