食事は命を支える大切なケアのひとつ。だからこそ衛生管理の徹底は、病院や介護施設の厨房にとって欠かせないものです。特に近年では、HACCP制度化への対応や食中毒対策の強化など、厨房運営における基準がますます高まっています。
こうした中で注目されているのが、調理と提供のタイミングを分けて衛生リスクを抑えられる「ニュークックチル」という調理方式。再加熱によって安全な温度で食事を提供できるこの仕組みは、必要な衛生管理をスムーズに行える調理方式です。
今回は、ニュークックチルの基本的な仕組みから、温度管理やHACCP対応、大量調理施設衛生管理マニュアルへの対応ポイントも解説します。
目次
ニュークックチルとは?衛生管理との関係性
人手不足や衛生管理の高度化が求められる中で、調理現場の安全性を支える新しい仕組みとして注目されているのが、ニュークックチルです。

ニュークックチルの仕組みと特徴
ニュークックチルは、従来のクックチルのよさを活かしながら「再加熱後の盛り付けに時間がかかり、食事が冷めてしまう」といったクックチルの弱点をカバーできる点が大きな特徴です。
ニュークックチルでは、セントラルキッチンで製造されたチルド商品を納入します。セントラルキッチンでの調理後は30分以内に冷却を始め、90分以内に中心温度3℃以下になるよう管理されているため、衛生リスクを徹底的に抑えます。
また、ニュークックチルの場合は料理をチルド状態のまま、器ごと専用の再加熱機器で加熱して提供します。盛り付けを済ませた状態で再加熱するため、作業時間も短く、適温の食事を提供できる仕組みです。ニュークックチルは衛生管理体制の強化と同時に、厨房業務の負担軽減も叶えてくれる調理方式なのです。
HACCP対応に適した調理方式
HACCPとは、食の安全を守るために定められた衛生管理の考え方で、今ではすべての食品施設に対応が求められています。調理工程の中でどこにリスクがあるのかを明確にし、重要なポイントをしっかり管理することで、食中毒などのリスクを未然に防ぎます。
ニュークックチルは、HACCPのルールを取り入れやすい仕組みになっています。その理由は、工程があらかじめ明確に分かれていること。加熱・冷却・保存・再加熱といった流れが整理されているため、それぞれの工程で「どこをどう管理すべきか」がはっきりしやすくなります。
たとえば、加熱では中心温度の確認、冷却では急速冷却の時間と温度、保存ではチルド時の温度維持、再加熱では適切な加熱温度など、それぞれの工程でどのポイントを気をつけたら良いかがはっきりしているため、HACCPのルールに沿った管理がしやすくなります。
さらに、ニュークックチルは作業の流れがあらかじめ決まっていることで、チェックの抜けや漏れも起こりにくくなります。厨房業務に当たるスタッフの経験や感覚だけに頼らず、「誰がやっても同じように安全にできる仕組み」が作れることがニュークックチルの大きな強みなのです。
食中毒対策と温度管理|再加熱での安全確保
食事の提供において、もっとも避けなければならないのが食中毒のリスク。とくに病院や大量調理を行う現場では、温度管理の徹底が安全性のカギを握っています。ニュークックチルは、調理から提供まで、食中毒リスクをしっかり抑える工夫がされています。

温度帯管理で食中毒リスクを抑える
食中毒の原因となる、黄色ブドウ球菌やウェルシュ菌などの細菌は、10℃〜45℃の間で特に繁殖しやすいと言われており、調理した食品はこの温度帯に長く置かないことが、衛生管理の基本とされます。
ニュークックチルでは調理後、食品の中心温度が90分以内に3℃以下になるように急速冷却します。細菌が活発になる温度を短時間で済ませることにより、食中毒菌の増殖をしっかり抑えます。
さらに、ニュークックチルは盛り付け作業もチルド状態のままで行います。一時的に汚染が起きても、温度が低いため菌が繁殖しにくいといったメリットもあります。喫食前の再加熱によって食事をしっかりと加熱し、適温に戻すことで、衛生的にもおいしさの面でも安心して提供が可能です。
調理後から提供直前までのすべての工程で、徹底した温度管理が意識されていること。それが食中毒リスクを抑える秘訣です。
再加熱で食事の直前までしっかり安全
再加熱の工程は、ニュークックチルにおける最も重要なステップです。盛り付けした食事を再加熱機器にセットし、喫食直前にしっかり加熱。安全面も確保しつつ、食事のおいしさも引き出します。
ニュークックチルの再加熱には専用の再加熱機器を使用します。再加熱機器には再加熱カートやリヒートの2種類がありますが、再加熱機器は器ごと加熱が可能で、食事を適温に保ったまま配膳までスムーズにつなげられるほか、加熱直後にすぐ配膳できるのもメリットのひとつ。クックチルの場合は再加熱後に盛り付けを行う必要があり、盛り付け作業中に食事が冷めてしまうことも少なくありません。
しかし、ニュークックチルでは盛り付け済みの状態で再加熱するため、食べる直前まで温かい状態を保てます。安全面はもちろん、適温でおいしく食べていただくことにしっかりこだわっているのもニュークックチルの魅力なのです。
ニュークックチルなら大量調理施設衛生管理マニュアル準拠もかんたんクリア
施設給食の現場では、国が示す衛生基準「大量調理施設衛生管理マニュアル」への対応が求められています。
「大量調理施設衛生管理マニュアル」とは?施設給食の基本ルール
「大量調理施設衛生管理マニュアル」は、病院や高齢者施設、学校など、多くの食事を提供する施設向けに、厚生労働省により定められた、衛生管理の基本ルールをまとめたもの。食中毒の予防を目的に、調理工程ごとの管理事項が詳しく定められています。
中でも重要なのが、「調理後2時間以内に喫食すること」というルール。これは、調理済みの食品が長時間常温で置かれることで細菌が繁殖し、食中毒の原因になることを防ぐために設けられた基準です。
ニュークックチルは、この2時間以内の提供を無理なく実現できる仕組みが整っています。あらかじめ調理された料理を低温で保管し、提供直前に再加熱することで、温度と時間の管理がしやすくなっているからです。

ニュークックチルが大量調理施設衛生管理マニュアルに強い理由
ニュークックチルは「大量調理施設衛生管理マニュアル」に沿った運用がしやすいのもメリットのひとつ。ニュークックチルは調理工程があらかじめ明確に分かれているため、記録の管理やルールの徹底がしやすく、衛生点検や監査の際にもスムーズに対応できます。
また、ニュークックチルは厨房の動線整理にもつながります。動きやすく清潔な厨房は、衛生的な食事提供の基本。さらに、調理・盛り付け・提供の工程が分かれていることから、菌や汚れが別の食材や器具にうつってしまうようなリスクも防ぎやすくなります。
再加熱機器によって食事の提供直前にしっかりと加熱が行えるため、適温で安全な状態を保ちながら配膳ができます。ニュークックチルは温度管理と時間管理の両方を、より確実に行うことができるのです。衛生管理が重視されている施設給食の現場において、ニュークックチルは心強い味方となってくれるはずです。
ナリコマならニュークックチル導入へのサポート体制も万全
調理方式を変えることは、現場にとってはとても大きな決断。だからこそナリコマは、導入後の実際の現場運用までを見据え、施設に寄り添ったサポートを行っています。

導入前から衛生管理までしっかり支援
ニュークックチルを導入したいけれど、衛生管理のルールも厳しいし、機器の使い方や運用方法に不安がある…。といった現場の声に、ナリコマはしっかりとお応えします。ナリコマでは、導入前から衛生指導やスタッフ研修、施設ごとの運用に合わせたマニュアル整備などを丁寧にサポート。現場の実情に合わせて一緒に準備を進めていきます。
導入後も安心の伴走体制
実際の運用が始まってからも、ナリコマは現場を見守り続けます。再加熱機器の操作説明や保守対応はもちろん、「ちょっと困ったな…。」「今すぐ聞きたい!」に応えられるサポート体制を整備。導入初日にはナリコマスタッフが現場に入り、しっかりサポートを行います。運用開始時の疑問点や不安なことを直接確認できるため、今後の運用にもお役立ていただけます。また、365日対応のお客様相談窓口もあり、困ったときに電話でもチャットでも、迅速に対応できる体制を整えています。ナリコマは「導入して終わり」ではなく、「導入後こそ寄り添う」姿勢を大切にしています。
衛生管理の強化にはニュークックチルという選択を

厨房の衛生管理は、「わかっているつもり」「気をつけているはず」だけでは、どうしても限界があります。人によって作業のやり方や意識に差が出てしまえば、いつのまにかルールが形だけになり、見落としやミスが発生するリスクにもつながります。そんな現場の不安や悩みに対して、ニュークックチルはHACCP対応、温度管理、食中毒対策、どれも現場に任せきりにせず、調理工程を仕組みで支えていきます。
さらに、ニュークックチルは大量調理施設衛生管理マニュアルにもしっかり準拠できる構成となっており、マニュアル化や記録管理もしやすいです。厨房スタッフの負担を軽減しながらも、より確かな安心・安全の提供を叶えます。調理を誰が行っても安全で衛生的な体制をつくること。それを可能にするのが、ニュークックチルです。これは単なる調理方法の切り替えではなく、現場全体のあり方を変える一歩と言ってもいいでしょう。
ニュークックチルの導入をお考えの方は、ぜひ一度ナリコマへご相談ください。
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