「精神的ケアに関する研修」は、介護老人福祉施設では必須の法定研修ですが、その他の介護事業所やさまざまな職場で役立つ研修テーマです。この記事では、介護・厨房現場におけるストレスマネジメント研修の必要性や心理的安全の向上との関係に触れながら、ストレスマネジメント研修の構造や内容、メンタルヘルス研修との連携、介護現場での研修設計のコツなど、職員ケアに役立つポイントをまとめました。
目次
心理的安全の向上とは?ストレスマネジメント研修の必要性
「心理的安全性(psychological safety)」は、自分の考えや気持ちを安心して発言できる状態の度合いのことで、近年ビジネスにおいても注目される心理学の用語です。心理的安全性が高いと、仕事の効率が上がったり、コミュニケーションが活発になったりと、さまざまなメリットがあります。この心理的安全性を向上させるために、ストレスマネジメントは必要な要素の一つです。まずは、ストレスマネジメントの必要性と介護職や厨房業務がストレスを抱えやすい理由を解説します。
ストレス軽減に役立つストレスマネジメント
「ストレスマネジメント」とは、ストレッサーと呼ばれるストレスの要因を取り除いたり、ストレスによる負担を緩和させたりといった、ストレスに対して包括的に働きかける考え方や行動を表す言葉です。寒さや暑さ、騒音、人間関係の悩み、仕事の責任など、日常生活の中にはさまざまなストレスがあります。
ストレスにより受けるダメージは性格や体質等の違いで個々に異なりますが、適切に対処できないと、頭痛や不眠などの身体的な反応や、不安やイライラなどの心理的な反応、過度の飲酒や過食などの行動の変化等のストレス反応が起きます。これらは、さまざまな疾患につながることもあるため注意が必要です。
ストレスを抱えている人が多いといわれる現代社会では、仕事環境においてもストレスマネジメントの意識が高まっています。厚生労働省による「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、令和5年から令和6年にかけての1年間に、メンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は12.8%という結果が出ています。
また、個人に対する調査では、現在の仕事や職業生活に関することで「強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある」と回答した割合は68.3%という結果が出ています。その内容としてとくに多いのは「仕事の量」で、次に「仕事の失敗、責任の発生等」という結果となりました。これらの結果からも、事業所側がストレスマネジメント研修も含めて従業員をサポートする必要性がうかがえます。

介護職や厨房業務はストレスが溜まりやすい?
介護職にストレスマネジメントが重要になるポイントとしては、例えば下記の理由等によるストレスを受けやすい環境が挙げられます。
- 体力を使う介助により身体的に疲労しやすい
- 利用者さまの健康や生命に関わる業務ゆえの責任がプレッシャーになる
- 利用者さまとそのご家族との人間関係の構築が必要
- 多職種が集まることでチームワークを望まれる職場環境にある
- 明確なゴールが見えづらい業務である
こうした環境にさらに追い打ちをかけるのが人手不足の課題です。人手不足の環境では、一人当たりの業務の負担が増え、その分ストレスも抱えやすくなる可能性があります。
また、人手不足は給食現場でも深刻化しており、介護施設の厨房の課題でもあります。介護施設では、朝食・昼食・夕食の3食の用意が毎日必要となるため、とくに早朝のシフトが大きな負担になるでしょう。シフトに対応するうえで生活習慣も乱れやすく、ストレス反応も含めて体への負担がさらに増加する可能性も考えられます。
ストレスマネジメント研修の構造と内容
ストレスマネジメント研修でポイントとなるのは、ストレスとは何かを知ることと、ストレスの適切な対処法を学ぶことです。ストレスを知るうえでは、客観的にストレスが何かを理解するだけでなく、自分にとって何がストレスになっているのかを把握することも大切です。
ストレスマネジメント研修は、基本的要素や目的を押さえながら、対象者に合わせた効果的な内容や取り組みやすい実践方式も検討しながら設計しましょう。全従業員向けのセルフケア研修や管理職向けのラインケア研修のように、対象者に合わせた効果的な研修を使い分けるとよりスキルが身に付きやすくなります。例えば、下記のような内容の違いも参考にしてみてください。
セルフケア研修の内容例
セルフケア研修では、ストレスを知り対処するのに役立つさまざまな方法を提供しましょう。研修は一度に盛り込むのではなく、数回に分けるなどしてわかりやすい解説にするのもポイントです。下記は、セルフケア研修の内容例です。
- ストレッサーやストレス反応などのストレスの基礎知識
- 思考の変化で気分が変わるなど、思考と気分の関係性の解説
- ストレス対処法のバリエーション紹介
- リラクゼーション技法の紹介
- 自分に合ったストレス発散方法の見つけ方
上記の内容を、講義だけでなく、自己分析や自己表現などの実践を交えて行うとより効果的です。

ラインケア研修の内容例
ラインケア研修は、管理職として部下を見守る立場におけるストレスマネジメントを学ぶことが主な要素です。研修により、いち早く従業員の不調に気付ける、適切なサポートができるといった効果が期待できます。下記は、ラインケア研修の内容例です。
- ストレスやメンタルヘルスケアの基礎知識
- ストレスマネジメントにおける管理職としての役割や態度について
- 従業員に対する相談対応方法や支援方法
- 職場環境における問題点の把握方法と改善方法
- ストレスマネジメントやメンタルヘルスケアに対する事業所の方針
管理職が部下の抱えるストレス課題を全て解決しようとするのではなく、従業員の不調への気付きがポイントであることを伝えて、専門家への相談の仕方や橋渡し方法も踏まえた内容にするとなお効果的です。従業員のストレスによる不調のサインは「ミスが多くなった」「態度がだらしなくなった」などのように、具体例を交えて解説するとわかりやすいでしょう。また、管理職側ももちろんストレスを受けるため、セルフケア研修を踏まえたうえでの研修設計が役立ちます。
効果を高めるメンタルヘルス研修との連携
ストレスマネジメント研修の内容は、心の健康状態を意味する「メンタルヘルス」と関連が深いです。ストレスにより、気持ちが沈む、落ち込む、よく眠れないといった状態になることは珍しくありませんが、継続することで精神疾患につながることがあるため注意が必要です。
ストレスマネジメント研修は主にストレスに視点を当てて構成されますが、メンタルヘルスケアそのものに視点を当てた研修も行うと、よりストレスやストレス対策への理解も深まるでしょう。ストレスマネジメント研修に全てを盛り込むだけでなく、メンタルヘルスケアについては分けて研修を設計したり、関連するハラスメント研修も行ったりと、関連内容を含む全体を通して構成を考えるのもおすすめです。

介護現場のストレスマネジメント研修のコツ
介護職では、ストレスを受ける環境も介護に特化した面が見られます。そのため、介護現場でのストレスマネジメント研修は、こうした介護職ならではのストレスに視点を当てた構成にすると役立つでしょう。介護職におけるストレスはどういった状況で受けやすいか、ストレスが高齢者虐待の原因になってしまうケースなど、より具体的な内容を盛り込むことで意識されやすくなります。

取り組みやすい研修の実施形式を選ぶ
ストレスマネジメント研修やメンタルヘルス研修にも、さまざまな行い方があります。講義にグループワークやロールプレイ、ディスカッションを組み合わせたり、短い時間を利用してeラーニングを取り入れたりと、工夫して取り組んでみましょう。自社での研修設計が難しい場合は、外部講師を呼んだり、外部の研修サービスを利用したりするのも方法の一つです。人手不足の環境では研修の時間確保も難しいことがありますが、まずはストレスサインのチェック表に取り組んでもらうなど、できるところから始めてみましょう。
厨房業務のストレス削減にはナリコマのニュークックチルをご活用ください!
厨房業務のストレス削減には、厨房の業務自体を見直すことも役立ちます。例えば、調理方式を変更して、より負担の少ない方法で食事を用意できる厨房改革を行うこともその一つです。ナリコマのニュークックチルを導入すれば、早朝や遅番の無人化が可能となります。また、介護食に対応しているため、利用者さまに合わせた個別調理も不要です。難しい調理工程もなく簡単に食事を用意できるため、厨房業務自体のストレス軽減が期待できます。厨房業務の負担にお悩みの施設さまは、ぜひ一度無料相談や資料請求などからお問い合わせください。

クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
クックチルに関する記事一覧
-
厨房業務の負担軽減で毎日をもっとラクに|外注化・省スペース化・早朝勤務削減・配膳効率化で叶えよう
「人手が足りない」
「朝が早くて大変」
「厨房が狭くて作業がしづらい」
このような悩みを抱える現場は少なくないでしょう。今回は、厨房業務の負担軽減をテーマに、外注化による業務分担、省スペース化で動きやすい厨房づくり、早朝勤務削減につながる調理工程の工夫、そして配膳効率化による作業時間の短縮など、現場で無理なく実践できる改善のヒントを紹介します。 「人を増やさずに、今ある環境で少しでもラクにしたい」そんな現場に役立つ、厨房業務の負担軽減策をまとめました。 -
ニュークックチルの再加熱機器はどう選ぶ?再加熱ワゴンやスチコンなどの導入ポイント
病院や介護施設の厨房では、近年深刻な人手不足が目立ち、業務環境が圧迫されスタッフの負担が増加しやすくなっています。人手が足りなくても毎日の食事作りは欠かせないため、早急な対策が望まれています。ニュークックチルシステムは、人手不足の厨房課題を解決する手段の一つです。
ニュークックチルの導入では、再加熱機器等の専用機器が必要不可欠ですが、導入の際には自社施設に合う機器を選ぶことも大切です。そこでこの記事では、スチコン(スチームコンベクションオーブン)や再加熱ワゴンなどの専用機器の役割や特徴、メンテナンス費用も考慮した選び方や注意点などの導入ポイントを解説します。ニュークックチルシステムの基本から解説しますので、今までなじみのない方もぜひご覧ください。 -
ニュークックチルの導入事例から紐解く成功ポイント!再加熱機器の選び方や導入費用の考え方も解説
近年、介護施設や病院の厨房で深刻化する人手不足の課題解決に、ニュークックチルシステムが注目されています。この記事では、ニュークックチルが厨房の課題解決に役立つ理由と共に、ナリコマのニュークックチル導入事例と成功ポイントをご紹介します。ニュークックチルに必要な再加熱機器の選び方や、導入効果を踏まえた導入費用の検討方法も解説しますので、ニュークックチルの導入をお考えの担当者さまはぜひご参考ください。
人材不足に関する記事一覧
-
介護業界の人材不足をどう乗り越える?現場に役立つ3つの対策とは
介護の現場では、今も人手不足が大きな課題となっています。高齢者の増加とともに介護ニーズは拡大する一方で、必要な人材の確保が追いつかず、現場は常にギリギリの状態でまわっている…といった声も少なくありません。
厚生労働省の試算によると、2025年度末には約37万人もの介護人材が不足する見込みです。求人倍率が上がっても定着率は上がらず、離職につながる原因には、過酷な労働環境や賃金や働き方のアンバランスさの問題など、仕組みそのものに課題があるのが現実です。
こうした中、「環境を変えるだけでは人は集まらない」と感じている施設も増えて来ていますが、今できる現実的な対策には、一体どんなことがあるのでしょうか。
この記事では、介護現場で取り入れられ始めている3つの打開策「外国人採用」「スキマバイト」「ICT導入」について、事例や活用ポイントを交えながら、わかりやすくご紹介していきます。 -
法改正で改革が進む医療現場!課題多き厨房業務の負担軽減策とは
医療現場はこれまでも数多くの課題と向き合ってきましたが、今後はさらに過酷な状況となる可能性が指摘されています。本記事では近年における医療現場の状況を解説し、政府が推進する医療制度改革の一部をご紹介。また、病院の業務改善において注目される厨房にも焦点を当て、課題や負担軽減策などをまとめてお伝えします。ぜひ最後までお読みください。
-
転職・キャリアアップしたい社会人へ|今こそ始めるリスキリングのススメ
最近、「リスキリング」という言葉を耳にする機会が増えてきました。仕事の内容や求められるスキルがどんどん変わっていく今の時代。そんな中で注目されているのが、この「リスキリング(学び直し)」です。
「このままで大丈夫かな?」
「もっと自分にできることを増やしたい」
といった思いを持つ方も多いのではないでしょうか。
大手企業をはじめ、医療や介護の現場でも、リスキリングに取り組む動きが広がっており、それぞれの業界や職種に合ったやり方で、人材育成や働き方の見直しが進められているのです。
リスキリングが注目される背景や、注目のスキルに加えて、実際の進め方、企業や施設での成功事例を業界別にご紹介します。




