セントラルキッチンは、効率的な調理業務をサポートするシステム。食品を扱う飲食店やスーパーマーケットはもちろん、病院や福祉施設、学校などの給食現場でも導入が進んでいます。
今回の記事は、セントラルキッチンとは何か?というテーマでお届け。セントラルキッチンの基本的な仕組みだけでなく、システムを導入するメリットやデメリット、具体的な調理方法なども詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
目次
セントラルキッチンとは?
セントラルキッチンのメリット
- セントラルキッチンのメリット①業務の効率化が実現できる
- セントラルキッチンのメリット②品質維持がスムーズになる
- セントラルキッチンのメリット③衛生面が管理しやすくなる
- セントラルキッチンのメリット④ランニングコストが削減できる
- セントラルキッチンのメリット⑤事業拡大の余裕が生まれる
セントラルキッチンのデメリット
- セントラルキッチンのデメリット①初期投資が必要
- セントラルキッチンのデメリット②トラブルは広範囲に影響する
- セントラルキッチンのデメリット③店舗や施設のスタッフが育たない
- セントラルキッチンのデメリット④調理と提供の間にタイムラグが生じる
- セントラルキッチンのデメリット⑤利用者の声を反映しにくい
セントラルキッチンの調理方法
自社セントラルキッチンからお届けするナリコマのお食事
セントラルキッチンとは?

冒頭でお伝えしている通り、セントラルキッチンとは食品の調理や加工を効率よく行うために考案されたシステムです。調理業務が大量に発生する複数の店舗・施設での導入が多くみられ、集中調理施設、給食センターなどと呼ぶこともあります。「中心的」「中央」などを意味するセントラル(central)という言葉から少し想像できるかもしれませんが、提供する料理の調理・加工業務を一ヵ所に集約させ、提供先に配送するという流れが基本です。
日本においてセントラルキッチンが注目されたのは、大阪万博(日本万国博覧会)が開催された1970年(昭和45年)のこと。アメリカゾーンに当時の日本では珍しかったカフェテリア方式のレストランが出店し、そこでセントラルキッチンのシステムが活用されていました。セントラルキッチンは万博の前年、福岡県に建設。万博の会期中は専用トラックで調理・加工済みの食材を運び入れ、大量の料理提供をスムーズに行っていたそうです。
セントラルキッチンの主な作業工程
先ほどセントラルキッチンとは何か簡単にご説明しましたが、本項目ではもう少し詳しい仕組みについてお伝えしましょう。セントラルキッチンでは、主に以下のような業務を担います。
- ①原材料の仕入れ
- ②下処理
- ③調理・加工
- ④店舗や施設への配送準備(チルド・冷蔵・冷凍)
調理・加工の工程は、作業レベルが統一されるようにマニュアル化。セントラルキッチンから配送されたあとは、簡単な仕上げと盛り付けを行うだけで料理が提供できる流れをつくっています。
また、調理や加工をどこまで行うかは、最終的に料理を提供する店舗や施設によってさまざま。肉や野菜などをカットするだけというパターンもあれば、お弁当のようにほぼ完成の状態まで終わらせるパターンもあります。つまり、セントラルキッチンとは画一的な業務を担うのではなく、幅広い業種や環境に対応できる柔軟性を持ち合わせたシステムなのです。
セントラルキッチンのメリット

セントラルキッチンのシステムを導入すると、現場にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?本項目では五つのポイントを解説します。
セントラルキッチンのメリット①業務の効率化が実現できる
前述したように、セントラルキッチンとは調理・加工業務の効率化を図るために考案されたもの。やはりここが最大のメリットです。調理・加工を一ヵ所でまとめて行うと、各店舗や施設では細々とした手間や時間がかからなくなります。現場では、これまで負担になっていた早朝・深夜帯の勤務も時短にできるでしょう。
セントラルキッチンのメリット②品質維持がスムーズになる
先にお伝えしていますが、セントラルキッチンでは調理・加工のマニュアルを用意します。作業レベルが統一されるため、配送先の店舗や施設でも料理の品質が安定。味にこだわれば、利用者の満足度を上げることもできるでしょう。
セントラルキッチンのメリット③衛生面が管理しやすくなる
調理・加工を行う場所が限られるので、衛生面も管理しやすくなり、食中毒などのリスクが低減。たくさんの利用者に料理を提供できる環境を整えつつ、食の安全も保ちやすくなります。近年では、HACCPに沿った衛生管理が制度化されています。それに加え、病院や介護福祉施設などでは、万一の事故が起きた場合に被害が拡大しやすいため、衛生管理が徹底されることは非常に大きなメリットといえるでしょう。
セントラルキッチンのメリット④ランニングコストが削減できる
通常の現場では人件費や水道光熱費だけでなく、調理スペースのための家賃などが発生します。その点、セントラルキッチンのシステムで効率化を図れば、全体的なコスト削減が可能。原材料の仕入れも大量かつ計画的に行うため、原価を下げたり、食品ロスをおさえたりすることができます。
セントラルキッチンのメリット⑤事業拡大の余裕が生まれる
たとえば店舗数や施設数を増やした場合、セントラルキッチンを活用すれば上記四つのメリットはそのまま維持できます。つまり、リスクは最小限で、事業を拡大する余裕が生まれるのです。こうした面でも、セントラルキッチンのシステム導入は大きなメリットがあるといえるでしょう。
セントラルキッチンのデメリット

多くの店舗や施設で重宝されるセントラルキッチンとはいえ、やはりメリットだけでなくデメリットもあります。では、五つのポイントを見ていきましょう。
セントラルキッチンのデメリット①初期投資が必要
セントラルキッチンのシステムを導入するには、どうしても初期投資が必要です。拠点を構える土地はもちろん、建物や調理機器、スタッフも準備しなくてはなりません。そのための資金繰りや採用・育成業務が大きな負担になってしまう可能性もあるでしょう。
セントラルキッチンのデメリット②トラブルは広範囲に影響する
調理・加工業務を一ヵ所に集約できるのがセントラルキッチンの魅力。しかし、何らかのトラブルが起きた場合、その影響は広範囲に及びます。一ヵ所でまとめて調理する代わりに、すべての店舗や施設で料理の提供ができなくなったり、食材の回収が必要になったりも考えられます。
セントラルキッチンのデメリット③店舗や施設のスタッフが育たない
セントラルキッチンを活用すると、料理を提供する現場のオペレーションがシンプルになります。業務効率化の点では大きなメリットがありますが、現場のスタッフを育成したい場合には不向きといえるでしょう。
セントラルキッチンのデメリット④調理と提供の間にタイムラグが生じる
セントラルキッチンのシステムでは、最初の調理から提供までに時間が空いてしまいます。できる限りおいしさや鮮度を保つように配送されますが、食材の鮮度を最優先で考えるのなら、現場で調理して提供したほうが良いといえるでしょう。
セントラルキッチンのデメリット⑤利用者の声を反映しにくい
セントラルキッチンは現場から離れてしまうため、利用者の声があまり届きません。何らかの要望や意見があっても、すぐに反映できない可能性があります。「食事満足度を上げたい」「より細やかな個別対応がしたい」といった場合、最適な方法とはいえないでしょう。
セントラルキッチンの調理方法

セントラルキッチンでの主な調理方法はクックフリーズ、クックチル(ニュークックチル)、真空調理の三つ。どの方法でも、提供前には再加熱が必要です。では、詳しく見ていきましょう。
①クックフリーズ
クックフリーズは調理後に急速冷凍し、-18℃以下で保存する方法です。衛生管理がしやすく、保存期間が長いため、遠方への配送も可能。ただし、冷凍に向かない食材には使えません。
②クックチル、ニュークックチル
クックチルは調理後に急速冷却し、0℃〜3℃で保存する方法です。冷凍よりも衛生管理は厳しくなりますが、徹底すれば最大5日間の保存が可能。提供時は再加熱してから盛り付けます。現場のスペースに余裕がある場合は、先に盛り付けを行ってから保存し、提供直前に器ごと再加熱するニュークックチルを選択することもできます。
③真空調理
真空調理は食材と調味料をまとめて包んで真空状態にし、低温加熱で調理する方法です。調理後は冷凍や冷蔵で保存でき、衛生管理も簡単。調味料が少なくても味が染み込みやすいため、コスト削減にもなります。
ここまでの解説からお分かりいただけるように、セントラルキッチンは多種多様な店舗・施設で活用しやすいシステムです。導入をお考えの際には、ぜひ本記事の内容もご参考になさってください。
自社セントラルキッチンからお届けするナリコマのお食事
ナリコマでは、病院や介護福祉施設に最適なお食事を全国六ヵ所のセントラルキッチンで調理、お客さまのもとへお届けしています。「自社でセントラルキッチンをもつにはコストがかかる」「まずは話を聞いてみたい」などお気軽にお問い合わせください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
完調品に関する記事一覧
-
QOLと栄養のつながりとは?温かい食事や味の満足度が生活の質に与える影響
QOLと栄養には深いつながりがありますが、栄養状態が良ければQOLが向上するとは限りません。QOL(生活の質)には、精神的・身体的・社会的など複数の要素が影響するため、食事にもさまざま工夫が必要です。
この記事では、QOL向上の要素である食事や栄養状態に注目しながら、温かい食事や味の満足度、季節メニューがどう影響するのかを解説します。介護施設や病院など、食支援を通して利用者さまや患者さまのQOL向上を目指す際の参考にしてみてください。 -
災害時の食事提供はどうする?医療・介護福祉分野のBCPにおける食の課題とは
日本は世界有数の災害大国であり、万一に備える防災グッズや長期保管に適した備蓄品などが数多く製造・販売されています。近年は家庭や学校などに限らず、企業の防災対策も重視する傾向にあり、災害時にも業務を続けるためのBCP策定が推奨されています。
今回は、医療・介護福祉分野のBCPにおける食の課題に注目。患者や利用者の身を預かる病院・介護福祉施設にとって欠かせない食事提供体制の安定化につながるポイントを解説します。ぜひ最後までお読みください。 -
医療安全対策の視点から解説!病院給食における衛生管理の重要性
医療機関は、人々の健康を支えるという大事な役割を担っています。医療行為やそれに関連する業務では、患者の安全を守ることが最も重要といえるでしょう。今回お届けするテーマは「病院給食における衛生管理」です。医療安全対策の視点から、病院給食の安全性確保について詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
ナリコマのサービスに関する記事一覧
-
特別食加算の対応方法|厨房負担を減らす外注・体制づくりの考え方
令和8年度診療報酬改定では、嚥下調整食が特別食加算の対象へ追加され、現場ではこれまで以上に食形態管理や個別対応が求められるようになりました。従来の厨房体制では対応がむずかしいと感じている施設も少なくないでしょう。
最近では、メニュー設計の見直しや外注活用、クックチル導入など、無理なく厨房が運用できる体制づくりを進める施設も増えてきています。今回は、特別食加算の対応方法について厨房で起こりやすい課題を整理しながら、負担軽減につなげていく方法を解説します。 -
科学的介護研修(LIFE活用)で変わる介護のかたち|データ活用研修からPDCA定着・満足度モニタリングまで
介護の現場では、経験や勘に頼ったケアがまだ多く残っています。しかしこのままでは、職員ごとに対応の質がばらついたり、利用者の満足度や生活の質を十分に把握できなかったりするリスクがあります。
高齢化が進む中で、限られた人材でより良いケアを実現するには、データを活用した科学的な取り組みが欠かせません。そこで注目されているのが、科学的介護情報システム(LIFE)を取り入れた科学的介護研修(LIFE活用)です。
研修では、LIFEのフィードバックを読み解き現場改善につなげる方法をはじめ、データ活用研修による職員の気づきの促進、PDCA導入で改善を継続する仕組みづくり、満足度モニタリング研修による利用者の声の反映などを学べます。今回は、これらの研修が介護の質を高めるために果たす役割を解説します。 -
万一に備える非常食!高齢者施設で重視すべきポイントとは?
大規模地震や大型台風など、自然災害が起きたときに役立つ非常食。多くのメディアでは一般家庭向けの防災グッズなどを取り上げていますが、万一の備えが必要なのは高齢者施設においても変わりません。今回の記事は、高齢者施設における非常食をテーマにお届け。その重要性とともに、準備する際のポイントも解説します。ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。




