令和8年度診療報酬改定では、嚥下調整食が特別食加算の対象へ追加され、現場ではこれまで以上に食形態管理や個別対応が求められるようになりました。従来の厨房体制では対応がむずかしいと感じている施設も少なくないでしょう。
最近では、メニュー設計の見直しや外注活用、クックチル導入など、無理なく厨房が運用できる体制づくりを進める施設も増えてきています。今回は、特別食加算の対応方法について厨房で起こりやすい課題を整理しながら、負担軽減につなげていく方法を解説します。
目次
特別食加算の対応方法は「体制づくり」で決まる

令和8年度診療報酬改定では、嚥下調整食が新たに評価対象へ追加され、これまで以上に厨房・栄養・病棟の連携が重要になりました。実際には、加算算定できる食事をどう作るかだけでなく、どうやって提供体制を維持するかまで考えなければ現場は回りません。まずは制度の基本と、なぜ体制づくりが重要なのかを確認していきましょう。
まず押さえたい特別食加算の基本要件
特別食加算とは、治療や身体状態に応じた食事を提供した場合に評価される加算です。これまでは糖尿病食や腎臓病食などの治療食が中心でしたが、令和8年度診療報酬改定では「嚥下調整食」が新たに対象へ追加されることとなりました。
その背景には、高齢患者が増加していることに加えて、「安全に食べ続けられる環境」が重要視されるようになったことが挙げられます。食べる力が低下した患者に対し、適切な食形態で栄養を確保することは、低栄養予防やADL維持にもつながります。そのため今回の改定では、おいしく、安全に食べられる嚥下調整食を適切に提供することが評価対象になりました。

厨房現場で負担が増えやすい理由
特別食加算への対応が難しい理由は、単にメニュー数が増えるからではなく、患者個別対応と安定した運用を両立しなければならないためです。嚥下調整食においては、少しの硬さの違いや水分量の差が安全性に影響する場合もあります。安定した品質のものを提供するために、厨房での作業を手作業中心で維持していくのはなかなか簡単なことではありません。
患者ごとに食形態が異なったり、とろみを付ける増粘剤などの調整に時間がかかったり、盛りつけ後の見た目にも配慮が必要であるなど、人手不足に陥りがちな施設厨房にとっては負担が大きいのが現状です。
対応方法を整理する
特別食加算への対応は、食事設計・厨房運営・多職種連携を含めた体制づくりが欠かせません。学会分類をベースに院内基準の整理を行ったり、調理手順をマニュアル化するなど、誰が対応しても安定して同じ品質になるように整えていくことも大切です。栄養士やST、看護師や医師などとも連携し、どのレベルの嚥下調整食が必要かを共有します。
昨今、外部のサービスを利用する施設も増えて来ています。これまで厨房で行っていた調理工程を外注化することで、現場負担も押さえながら安定した食事を提供できるようになるためです。これからの特別食対応には、無理なく継続していく体制が重要になってくるでしょう。
厨房だけで対応できる?現場でよくある課題

嚥下調整食への対応や個別対応が増えたことにより、今までと同じやり方だけでは回りにくくなってきています。利用者や患者に合わせた食事提供は大切ですが、厨房スタッフの負担が増え続けていくと、品質維持や人員確保が難しくなる場合もあります。
ここでは、特別食対応で厨房が直面しやすい課題と、その背景を整理します。
個別対応食が増えると何が大変か
特別食加算へ対応しようとすると、まず増えていくのが「個別対応」です。たとえば、同じ献立でも、利用者や患者ごとに下記のような調整が必要になります。
- やわらかさの調整
- 塩分の調整
- アレルギー食材の除去
これら一つひとつは小さな作業と捉えられがちですが、人手不足に悩む厨房では特に大きな負担になりやすいものです。
また、嚥下調整食はただやわらかくすればいいというわけではありません。飲み込みやすさや安全性を考慮しつつ、それぞれの身体機能に合った硬さやまとまりを調整する必要があります。少しの水分量で状態が変わることもあり、担当者によって仕上がりが違うといったことも起こりやすくなるでしょう。

食形態やメニュー設計の管理はむずかしい
特別食対応がむずかしい理由は、安全性と管理を両立しなければならないためです。嚥下調整食は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類などを参考にしながら、一定の食形態を維持することが求められています。また、入院時食事療養の留意事項においては、医師の食事箋に基づき、患者の病状や摂食・嚥下機能に応じた適切な食事を提供することが示されています。
厨房内ですべての対応を行っていると、毎日同じ品質を保つのはなかなか簡単ではありません。さらに、疾患別対応も重なってくると、メニュー管理はより複雑になってしまいます。糖尿病食や腎臓病食と嚥下調整食を一緒に管理する場合、腎臓病対応のソフト食のように、複数の条件が重なるケースもあるでしょう。調理だけでなく、食札管理や盛りつけ確認など、あらゆることが複雑化してしまうのです。
そのため、特別食対応では、どこまで細かく対応を分けるかというメニュー設計の考え方も重要になります。通常食をベースに一部だけ調整を加える、食形態を一定基準に整理するといった工夫を行うことで、厨房内の混乱や作業負担も抑えやすくなるでしょう。食事提供に関わる負担を抑えながら、安定して供給できるしくみへシフトしていくことが大切です。
外注という選択肢|ナリコマのクックチルも紹介

特別食加算を取れる体制を作ることと同時に、厨房現場が無理なく回し続けられることも大切です。外注の活用によって、調理工程を一部外部化することで、特別食対応と厨房負担軽減の両方を叶えやすくなります。
外注・セントラルキッチンのしくみとは
セントラルキッチンとは、各施設で最初から大量調理を行うのではなく、専門工場でまとめて調理した食事を各施設へ配送するしくみです。ナリコマでは、加熱調理後に急速冷却した料理をチルド状態で届ける「クックチル」「ニュークックチル」を採用しています。施設の厨房では、盛付や再加熱を中心に行うため、厨房内の調理工程を大きく減らすことができます。
クックチルは加熱後に盛りつけを行いますが、ニュークックチルはチルド状態のまま器に盛り付けを行い、再加熱機器によって食事時間の前に再加熱を行います。従来の給食提供では、調理したらすぐに配膳しなければなりませんが、ニュークックチルなら提供時間に合わせてタイマー設定をしておけばよいため、ちょうどよい温度で提供がしやすくなります。
特に嚥下調整食では、毎回同じ状態で提供できるかが非常に重要ですが、セントラルキッチンであれば常に安定した品質で提供できます。また、厨房での作業負担も大きく減らせるため、早朝勤務を減らしたり、シフト調整のしやすさにもつながるでしょう。
特別食加算に対応できる範囲
食形態が増えるほど、厨房業務の負担は大きくなります。特に嚥下調整食では、単純に柔らかくするだけでなく、飲み込みやすさや安全性まで考慮する必要があります。
ナリコマでは、身体機能に合わせた4つの食形態に対応しています。
|
食形態 |
特徴 |
|
普通食 |
一般的な食事形態 |
|
ソフト食 |
歯茎や舌でつぶすことができるやわらかさ |
|
ミキサー食 |
ペースト状に調整、少ない量でも十分に栄養を摂取できる |
|
ゼリー食 |
ミキサー食をゼリー状にしたもの |
さらに、疾患別対応にも配慮されており、糖尿病食や腎臓病食、肝臓食など、院内基準に応じた治療食の提供も行っています。
ナリコマの特徴は、「効率化」と「食事の楽しみ」の両立を目指している点です。特別食対応では、安全性や作業効率を優先するあまり、見た目が単調になったり食欲が落ちやすくなったりすることがあります。ナリコマでは365日の日替わり献立や行事食にも対応しているため、食べる楽しみにも配慮しています。

ナリコマのクックチルでできること
厨房業務では、朝早くから仕込みが必要になったり、個別対応食の作り分けなど、スタッフへの負担が大きくなりやすいことが課題です。特別食対応は調理だけでなく確認作業も多いことも、現場の負担につながっています。
ナリコマのクックチルは、全国6か所にあるセントラルキッチンで調理を行うため、施設厨房での原材料の管理や仕込みや調理は不要になります。盛り付けと再加熱を中心とした業務に切り替えられるため、厨房スタッフへの負担軽減も叶えられます。ナリコマなら、ただ単に調理作業を減らすだけでなく、下記のような運用面まで含めたサポート体制を用意しています。
- 厨房運営サポート
- 業務改善提案
- シフト改善提案
- 収支の定期報告
- スタッフ・リーダー育成サポート
また、特別食対応では、災害時や緊急時に食事提供を続けることも重要です。嚥下調整食を利用している方の場合、非常時だけ急に別の食形態へ切り替えることが難しいケースも少なくありません。BCP対策の一環として、非常時にも特別食を提供できる体制づくりを重視している施設も増えています。
ナリコマでは、普通食だけでなくソフト食・ミキサー食・ゼリー食にも対応した非常食を用意しています。特別食対応が必要な方でも、できるだけ普段と近い食事を続けられるほか、普段食べなれたナリコマの味付けで非常食を提供できるのも大きなメリットです。長期保管しやすい仕様や、在庫管理を行いやすい工夫も取り入れられているため、日常運用だけでなく非常時対策まで含めて体制を整えやすくなっています。
特別食加算対応にナリコマという選択肢

令和8年度診療報酬改定では、嚥下調整食が新たに評価対象へ加わり、特別食対応に求められる内容も変わりつつあります。その一方で、現場では人手不足や個別対応の増加によって、厨房負担が大きいという課題を抱える施設も少なくありません。このような課題には、クックチルなどの調理システムを活用しながら、施設給食の運用全体を見直していく視点が大切です。
ナリコマでは、普通食からソフト食、ミキサー食、ゼリー食までをセントラルキッチンで調理し、加熱するだけで食べられるものをお届けします。また、調理工程の負担軽減や厨房運営支援まで含めたサポートも行っておりますので、より安定した運用体制を整えたい場合には、ナリコマのクックチルも選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
クックチル活用の
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