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満足できる食事をとることは、QOLを向上させるための重要な要素の一つです。この記事ではさらに、近年活躍の幅を広げるAIに注目し、AIとQOL向上の関係性を軸に、新しい食事設計の方法を掘り下げます。食事満足度予測や嚥下食最適化にAIを役立たせる方法や、今後の活躍が期待できる食欲増進AIなど、近年のAIの研究や開発状況も踏まえながら解説します。

食事とQOL向上のつながりとは?

QOL(Quality of life)は、生活の質を意味する言葉で、自分の生活や人生に充実感や満足感があるかどうかの認識の度合いを表しています。QOLは、下記との関係性に影響されることもポイントです。

  • 身体の健康
  • 心理的状況
  • 自立の程度
  • 社会的関係
  • 個人の信条
  • 環境

QOL向上によって幸福感を得られやすく、ストレスから離れてゆとりが生まれるといったように心の状態が安定するなどのメリットがあります。

食事は、QOLを高めるうえで欠かせない要素です。QOLを高めるためには、単に食べられる目的を果たすだけでなく、味・香り・盛り付けなどが総合的に工夫されたおいしい食事や、栄養の摂れる食事であることなどが必要です。病院での長い入院生活や介護施設での暮らしにおいても、食事とQOLの関係性が意識されています。治療中の患者さまや高齢の方はとくに、低栄養を予防するためにも食事の質が大切です。

 

医療の研究においては、摂食嚥下機能が低下した高齢者はQOLも低下するといった報告や、介護状態に関わらず、離床時間が長く外出をしておりQOLが高い場合は摂食嚥下機能が良い傾向にあるといった報告も挙げられています。QOL向上の要素を幅広く意識したうえで、適切な食事を提供することで高齢者の健康維持への効果が期待できるでしょう。

 

参考:公益社団法人 日本看護科学学会 生活の質 / クオリティ・オブ・ライフ

東京科学大学(Science Tokyo)「要介護高齢者の活動性、QOLおよび摂食嚥下機能の関連」【中川量晴 助教】 2021年  

AIとQOL向上の関係性

近年、AIの活躍はさまざまなところで見られ、日常生活や職場におけるQOL向上にも役立っています。例えば、メールの整理をAIに手伝ってもらうなど、自身が行う作業の一部をAIに任せることで効率よく作業でき、時間の節約によってより熱中したいことに取り組むことが可能です。また、職場環境では、AIを活用して業務効率化やより働きやすい環境の構築などにつなげることで、働く人々のQOLを向上させるのに役立ちます。

 

学習した情報を元に適切な答えを提供する従来のAIに加え、新しい考えを生み出すことのできる生成AIが登場したことで、人々のQOLはより向上しやすくなりました。例えば、食事に関しては、食事内容や身体的情報を入力するとAIが数値化して栄養管理をしてくれるアプリが登場したり、飲食店では生成AIにメニューを作成してもらったりと、AIの活躍場所はさまざまです。こうしたAIの力を借りることで、食事を通したQOL向上にも大いに役立つでしょう。

AIで食事満足度予測が可能に!

飲食業界では、顧客満足度向上のためにAIを使用したさまざまな工夫が見られます。その中の一つがAIの予測能力です。例えば、下記のように、AIの予測能力によって業務を最適化できます。

 

AIの予測

得られるメリット

来客数を予測

業務量に最適な人数のスタッフを配置できる。

メニューの需要数を予測

食材を過不足なく準備でき、品切れを防ぎ、廃棄率を減らせる。

個々の顧客に最適なメニューを予測

顧客がメニューを選びやすく、満足度につながる。

 

AIは、店舗側で集められた過去のデータだけでなく、天候や季節などのさまざまな側面からの情報を取り入れて予測することができます。顧客の注文履歴や嗜好などのデータを分析して、注文時に最適なメニューを予測して提案することも可能です。膨大なデータを短時間で分析できるAI機能の活用で、人の力だけでは難しい部分も可能とし、食事満足度の向上につなげることができます。

AIは人の食の好みを理解できる?

AI関連の研究では、AIを用いて個人の嗜好を高精度で予測する研究なども行われています。個々の食品に対して単に好きか嫌いかというだけでなく、心理的な特性も踏まえた分析を行うことで、医療分野への応用も期待されています。例えば、患者さまの嗜好に合わせて実践しやすい食事プランの提案などができるようになるでしょう。人の食の好みを定量化し詳細に分析できれば、個人単位で食べ物の好みの高度な予測が可能となるため、日常の献立作りにも役立てることができます。

 

参考:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター AIが”食の好み”を見抜く:個人の嗜好パターンを高精度予測 摂食障害の客観的評価や個別化栄養指導への応用に期待 2025年

病院や介護施設の給食に期待できるAI機能

病院や介護施設の厨房業務を含めて、給食業界は近年慢性的な人手不足に陥っています。解決策の一つとして、デジタル技術を活かした業務効率化が工夫されており、献立作成をAIがサポートするシステムも見られるようになりました。例えば、取り入れたい栄養素や季節にちなんだ内容など、需要に沿った条件を指定することで適切な献立を提案してくれるシステムです。AIの機能と過去のデータを用いれば、人気の高いメニューの予測もできるようになるため、食事満足度の向上が期待できるでしょう。

 

食事満足度の向上には、残食量の分析も手掛かりになります。残食量を記録できるシステムをはじめ、食前と食後の画像を元に残量を自動推定するAI技術も開発されています。こうした技術により、患者さまや利用者さまの栄養管理もより行いやすくなるでしょう。

 

参考:エクシオグループ株式会社 エクシオグループ、大和電設工業、セカンドサイトアナリティカが共同で、医療・介護現場向け「摂食量自動判定AI」の特許を取得 ~AIによる食事記録の自動化で、看護業務の負担軽減と栄養管理を高度化~ 2025年

AIが嚥下食最適化に貢献!

病院や介護施設での食事は、おいしいだけでなく食べやすいことも重要です。疾患や高齢によって、噛みづらい、飲み込みづらいというトラブルが起きることはよく見られます。こうした課題の解決にも、AIの機能が注目されています。

例えば、食べやすい味や形状などの情報と需要に対応できる献立をAIに学習させることで、指定した条件に合う献立を提案するシステムも開発されています。摂食に悩みを抱える人がそれぞれの悩みを入力するだけで、食べやすいレシピや献立がすぐにわかるシステムです。

 

また、デバイスを身に付けるだけでAIが嚥下活動を解析し、個人の嚥下機能を評価するツールも開発されています。こうした機能は、誤嚥のリスクに備えるうえでも役立ちます。AI機能を活かすことで、それぞれの人に合わせた嚥下食最適化がより行いやすくなるでしょう。

 

参考:第一三共株式会社 第一三共と味の素(株)が「思うように食べられない」という悩みを解決。家庭でも医療現場でも使える献立支援サイト「ReTabell」2024年

株式会社 明治 のみ込みにくさを抱える高齢者などへ「口から食べる」ことを支援する取り組み 「GOKURI®」を活用して栄養ゼリーの物性と摂取しやすさの関係を確認 ~「GOKURI®」を活用した高齢者向けの食育活動も実施中~ 2025年

近未来に期待される食欲増進AIの効果

食欲低下の原因には疾患や加齢が影響するため、病院の患者さまや介護施設の利用者さまにも起こりやすいです。そのため、根本的な原因の解決や先述したような嚥下食最適化に加えて、食欲増進に向けて食事の状態を整えることも役立つでしょう。下記は、食欲増進のポイント例です。

  • 好みに合う食事をとる
  • 盛り付けを工夫する
  • 香辛料や酸味などを効かせて胃液の分泌を促す
  • 食欲をそそる香りを加える
  • 個々の料理の温度を適温にする
  • のど越しの良い献立にする

近年では、AIの活躍が多岐にわたり、AI学習を活かしたロボットによる食事の盛り付けや、生成AIを使って香りを作り出す、AIに味を推定させて再現させる、といった開発も行われています。また、新調理システムのニュークックチルで使用する再加熱機器にも、AI機能で温度管理ができるものがあります。将来的には、AIを活かした多彩なシステムが食欲増進を支えてくれることが期待できるでしょう。

 

参考:Science Tokyo 生成系AIを用いた香りの自動創作 2025年

明治大学 AIに味を推定させ、産地の違いも再現する調味装置「TTTV3」を明治大学 総合数理学部 宮下芳明研究室が発表 2023年

ナリコマのAI戦略とおいしい介護食

ナリコマには、内部開発による独自システムがあり、厨房の課題をデジタル技術で解決に導くことが可能です。AIが人に提案する環境をベースに、生産計画や献立作成などに関する個々のデータをAI向けに整備し、将来的にはAIが生産計画や献立作成、発注予測ができる状態を目指しています。

また、ナリコマには、入院生活が長い患者さまや介護施設で暮らす利用者さまでも飽きずに楽しめる、365日サイクルのクックチル献立のご用意があります。季節を感じられる行事食を楽しむことができ、嚥下力や咀嚼力に合わせた介護食も選択できます。食物アレルギーや薬の服用により食事制限がある方にも、別献立での対応が可能です。食事設計の参考に、ナリコマのサービスもぜひご検討ください。

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