給食は、保育所や学校、病院、老人ホームといったさまざまな施設で提供されています。施設を利用する人々にとって、給食は健やかな生活を送るために欠かせないものでしょう。ところが、その一方で、現在の給食業界は大きな課題をいくつも抱えています。
今回の記事で取り上げるテーマは、給食業界の将来性。近年における業界の動向や解決すべき課題を挙げ、今後の展望について解説します。ぜひ、最後までお読みになってください。
目次
近年における給食業界の動向

まず、近年の給食業界がどのような状況にあるのか確認しておきましょう。株式会社矢野経済研究所が行った国内給食市場規模(末端売上高ベース)の調査によると、2020年度は前年度比89.4%の4兆3,307億円に減少。に減少。これは、世界中を混乱させた新型コロナウイルスの感染拡大が主な要因とみられています。
日本国内では一時、緊急事態宣言という名目で行動制限を実施。人と人との接触による感染を避けるため、保育所や学校が休みになったり、デスクワークが多い企業は在宅勤務やオンライン会議を推し進めたりする事態になりました。しばらくして緊急事態宣言が解除されても日常的な外出も自粛する傾向は強く、積極的に集客ができない飲食業界や観光業界などは特に深刻な状況に。新型コロナウイルスの影響は、給食業界だけに限ったものではありませんでした。
しかし、2021年度には人の流れが少しずつ戻り始め、給食市場規模は前年度比103.7%の4兆4,923億円まで回復。その後は需要と供給のバランスが安定してきたおかげか、2023年度にはほぼ2020年度以前の水準まで戻っています。こうした需要高の流れは今後も続くとみられ、2028年度には5兆1,254億円に増大すると予測されています。
また、同社は病院給食・高齢者施設給食・在宅配食サービスに限定した調査も行っており、2024年度の市場規模については前年度比102.4%の2兆4,096億円というデータが公表されました。2029年度には病院給食が減少して高齢者施設給食・在宅配食サービスの需要が高まり、市場規模は2兆5,122億円になると予測されています。
以上のようなデータをみる限りでは、学校や保育所、病院、高齢者施設など、給食を必要としている場所は非常に多いといえるでしょう。ただし、その需要に応えるためには、さまざまな課題をクリアしなくてはなりません。続いては、そんな給食業界の課題について詳しく解説します。
参考:【矢野経済研究所プレスリリース】メディカル給食・在宅配食サービス市場に関する調査を実施(2025年)~メディカル給食・在宅配食サービス市場は2兆4,000億円超えで成長を持続~
給食業界が抱えている課題
給食業界が抱えている課題は一つではありません。本項目では、特に早急な対応が求められている3つの課題についてお伝えします。

給食業界の課題①各種コストの高騰化
2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大、2021年に勃発したロシアのウクライナ侵攻、2022年ごろから強まった円安傾向など、近年では各種コストが高騰化する要因が多くみられます。日本でもガスや電気といったエネルギー資源、食料品や日用品などの値上げが続き、消費者も大きな影響を受けているといえるでしょう。
給食も原材料費や光熱費、人件費などが上がり、以前よりもコスト管理が厳しくなっています。栄養バランスが整わなくなったり、品質が下がったりする可能性もあることから、給食も値上げせざるを得ません。しかし、競走入札のため値上げが制限されるケースや取引先が値上げ交渉に応じないケースもあります。こうした状況から、給食業界ではコスト削減が大きな課題となっているのです。
給食業界の課題②慢性的な人手不足
給食業界は長らく人手不足が深刻だといわれていますが、朝昼夕の三食を提供する病院、介護・福祉施設などの現場は特にその傾向が強いようです。人手不足の主な原因は、早朝勤務や深夜残業が多いこと。通勤手段がなければ宿直になるケースもあり、従業員に負担がかかってしまいます。また、業務の電子化が進んでいなかったり、人員数と業務量のバランスがとれていなかったりすることも人が集まらない原因といえそうです。
給食業界の課題③改善しにくい労働環境
給食業界全体の傾向として、労働環境は決して良いとはいえないようです。前述したコスト高騰化と人手不足も影響しており、ほかの業界に比べて給与水準が低いにもかかわらず、従業員は膨大な業務をこなさなくてはなりません。労働環境が厳しくなれば、業務の質や従業員の意欲が下がってしまう可能性もあるでしょう。より良い環境を整えるためには、現状の勤務体制や業務フローなどを見直す必要があります。
給食業界に将来性はあるのか?
続いて、給食業界の将来性を見ていきましょう。内閣府が公表したデータによると、2024(令和6)年10月1日時点での高齢化率(総人口のうち65歳以上人口が占める割合)は29.3%です。総人口は減少傾向ですが、高齢化率は2020(令和2)年の28.6%を上回っており、少子高齢化が進んでいる現状がよくわかります。2040(令和22)年には34.8%に上昇すると予測されており、将来的に病院や介護・福祉施設の需要が高まることは必然です。つまり、これからの給食は医療業界、介護・福祉業界との関係性がより深くなると考えられます。
一方で、少子化が止まらないとしたら、保育所の給食需要は減少していくと考えていいでしょう。小学校や中学校の給食はしばらく安定しているかもしれませんが、ゆくゆくは需要が落ち込む可能性もあるといえます。つまり、給食業界は前述したコスト高騰化や人手不足といった課題をクリアした上で、こうした社会の流れに応えられるよう進化しなくてはならないのです。
今後、病院や介護・福祉施設の給食で求められること

前の項目でお伝えしたように、日本でこのまま少子化が進めば、相対的な高齢者の割合は増加します。そんな中、病院や介護・福祉施設で提供する給食には何が求められるのでしょうか?重要なポイントをいくつかまとめてみました。
ポイント①コストパフォーマンスの良さ
先に給食業界全体の課題としても挙げていますが、各種コストの高騰化が続く可能性を考慮すると、コストパフォーマンスの良さは大きなポイントだといえるでしょう。医療・介護・福祉関連で発生する報酬は公定価格です。そのため、コストが高くなったとしても、その分を利用者に負担してもらうわけにはいきません。
野菜や肉・魚などの原材料費はもちろん、水道光熱費も抑えられるような提供方法を模索しなければならないでしょう。また、人件費の削減も必須。人員を減らし、早朝出勤や深夜残業をなくしても提供できる給食であれば、全体的なコストパフォーマンスを上げることができます。
ポイント②安定的な提供体制
これは病院や介護・福祉施設だけに限ったことではありませんが、給食は多くの人たちの健康を左右するものです。品質が著しく低下したり、急に提供できなくなったりすれば、場合によっては深刻な事態になりかねません。災害などの緊急時も含め、安定的な提供体制を築くことも重要でしょう。
厨房運営が直営でも委託でも、まずは現場に無理が生じないような体制を整えることが最優先。現場の従業員に体力的・精神的な余裕があれば、給食を安定して提供できるだけでなく、入院患者や高齢者の方々に対するケアも十分に行き届くでしょう。
ポイント③食形態や味のバリエーション
今後、病院や介護・福祉施設の利用者が多くなるにつれ、給食も一律ではなく、個別で対応しなくてはならないケースが増えると考えられます。ソフト食やミキサー食といった嚥下機能に合わせた食形態、好みに合わせた味など、複数のバリエーションがあると安心でしょう。さらに幅広いニーズに応えるためには、医療チームと連携し、持病のある方に向けた治療食を提供できることも重要といえそうです。
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今回は、給食業界の課題と将来性についてお届けしました。ナリコマでは、病院や介護・福祉施設向けのバリエーション豊かな献立をご提案しています。嚥下機能に合わせた介護食はもちろん、治療食、行事食などにも対応可能。現場調理の負担を減らすクックチルやニュークックチルを活用することで、コスト削減、勤務体制の改善などにも貢献しています。
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