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学校や保育園、病院、介護福祉施設など、さまざまな場所で提供されている給食。そこに欠かせないものの一つが食材です。日本は豊かな食文化が楽しめる国ですが、近年では国産・輸入問わず、食材をスムーズに調達することが難しくなってきました。

今回の記事は、給食における食材について詳しくお届け。食材調達の現状、病院や介護福祉施設の給食用食材で配慮すべきポイントなどを解説します。

給食用食材の調達が難しい現状とは

冒頭でも少し触れましたが、近年は、給食に欠かせない食材の調達が難しくなってきたといわれています。本項目では、その現状について詳しくみていきましょう。

現状①不安定な供給体制

食材の調達に最も大きな影響を与えるのは、供給体制そのものが不安定になってしまうこと。高温や豪雨といった異常気象は、日本だけでなく世界中で多発しています。長期にわたり天候に恵まれなければ、農作物が不作になったり、海産物の漁獲量が減ったりするのは必然でしょう。特に、日本は令和5年時点の食料自給率が38%と低水準。国産の食材のみですべての需要を賄うことはできず、輸入に頼っている食材もたくさんあります。

 

しかし、前述したように、今は海外の原産地も異常気象の影響を受けているような状況です。さらに、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする複数の軍事衝突が起きていることで、小麦や油脂類などの価格が高騰しています。こうした背景から、国内では一部の輸入食材が品薄になり、調達しにくくなっているようです。

現状②急速に進む物価高騰

すでに社会問題化していることですが、この数年で急速に進んできた物価高騰も、食材の調達を難しくしている要因の一つです。物価高騰は、新型コロナウイルスが世界的に流行した2020年頃から顕著になりました。感染対策のために人流が抑制され、物流費や人件費が上昇。それに伴い、食材の価格も少しずつ上がっていきました。

 

さらに、2021〜2022年頃からはじまったエネルギー価格の高騰も、生産や製造におけるコストを大幅に増やす結果となりました。そして、これまで安価に調達できていた食材や加工食品は次々と値上げされていく事態に。総務省が発表した食料の消費者物価指数も、2020年を基準の100とすると、2024年は122.5まで上昇しています。

現状③簡単に値上げできない給食費用

学校や病院などにおいて外部業者が給食を提供する場合、主に競争入札が行われます。その際、競合する業者が多ければ、給食の価格が安くなってしまう傾向にあります。また、契約が決まっても、その後の値上げ回数が決まっていたり、そもそも値上げ交渉に応じてもらえなかったりということもあるようです。

 

先に説明した不安定な供給体制や物価高騰を踏まえると、給食を提供する業者は限られた予算内で、価格が高騰している食材を仕入れなくてはなりません。当然ながら給食の安全性や品質を下げるわけにもいかず、かなり厳しい状況であることがうかがえます。

給食用食材は委託や配食サービスでも調達できる?

給食の提供方法を大まかに分類すると、直営、委託、配食サービスの三つになります。それぞれにおける食材の調達事情をみてみましょう。

食材の調達事情【直営】

直営の場合、給食を必要とする施設や事業所ですべての業務を担うことになります。食材調達も業務の一つなので、仕入れ先を一から探したり、仕入れ価格を交渉したりする手間や時間がかかります。前述したように、食材調達が厳しくなってきた状況ですが、地元の生産者や製造者と信頼関係を築くことができれば、ほかよりも低価格で安定的な仕入れを実現できるかもしれません。

 

ただし、実際に使う食材の量を考えると、仕入れ先をいくつも確保するのは難しいでしょう。万一、何らかのトラブルが起きた際には、すぐに代わりの仕入れ先を見つけなくてはなりません。そういった不安要素を払拭できる体制が整えば、直営における食材調達は融通が利きやすいといえそうです。

食材の調達事情【委託】

委託は、給食業務のすべて、もしくは一部を外部の専門業者に託す形式です。全面的に委託する場合、基本的には食材の仕入れ等もサービスに含まれます。一方、業務の一部を委託するということであれば、献立付きの食材配達サービスを行っている業者もあります。いずれにせよ、綿密なコミュニケーションは必須。トラブル防止のためにも、要望などは事前に伝え、しっかりと相談することが重要です。

 

また、専門業者はさまざまな施設に給食を提供しているため、食材を大量に仕入れることで低価格を維持している場合があります。直営の食材費と比べて、委託のほうが安く収まることもあるでしょう。

食材の調達事情【配食サービス】

配食サービスは宅食サービスともいい、再加熱してすぐに食べられるお弁当やお惣菜を配達しています。施設や事業所だけでなく、個人に向けたサービスも展開。委託と同様、献立付きの食材配達サービスを行っている業者があるため、場合によっては食材費が安く収まるかもしれません。

病院や介護福祉施設の給食用食材で配慮すべきポイント

本項目では、病院や介護福祉施設の給食用食材に関して、配慮すべきポイントをまとめてみました。

ポイント①鮮度や安全性が高い食材

病院や介護福祉施設の給食は大量に提供することが多いため、食材の鮮度や安全性については特に配慮すべきでしょう。食中毒などが発生すれば、現場が混乱するだけでなく、立場の弱い患者や高齢者の命が危険にさらされる可能性も高いのです。また、アレルギーや禁食に該当する食材も要注意。個別の情報を確認し、丁寧に食材を選ぶ必要があるでしょう。

ポイント②安定的な調達先の確保

食材の調達が不安定だと、献立を作り直すことになるかもしれません。病院や介護福祉施設では疾患にあわせた治療食、嚥下能力にあわせた介護食なども提供しなくてはならないため、急な変更があると手間も時間もかかります。食材の仕入れができないときでも、給食の提供を止めるわけにはいきません。安定した調達先を確保しておくことはとても大切といえるでしょう。

ポイント③効率的に調理できる食材

病院や介護福祉施設では、基本的に食事のスケジュールが決まっています。調理に時間がかかりすぎると、予定通りに給食が提供できません。手間のかかる治療食や介護食も同じタイミングで提供することを考えると、効率的に調理できる食材を選んだほうがいいでしょう。具体的には、カット野菜や下処理済みの冷凍食材などが挙げられます。うまく組み合わせて使えば、時短になるのはもちろん、現場スタッフの負担も減らすことができます。

ナリコマの完全調理食品なら給食業務の負担を軽減!

食材の調達は、すべての給食にとって重要な業務です。しかし、いろいろな要因で調達が難しくなってきた昨今では、現場の負担が増えてしまうのも事実でしょう。ナリコマでは、幅広い給食業務を支える献立サービスをご提案しております。365日日替わりの「すこやか」は慢性期病院や介護福祉施設、28日日替わりの「やすらぎ」は急性期・回復期病院におすすめ。ソフト食・ミキサー食・ゼリー食などの食形態をご用意しており、病院の院内基準に沿った治療食も展開可能です。

 

また、自社セントラルキッチンから完全調理済み食品をお届けするクックチル方式なので、簡単な仕上げのみで提供することができます。効率化を図ることで食材の調達を含めた給食業務全体の負担を軽減でき、労働環境の改善にも貢献。給食業務に関するお悩みがありましたら、ぜひ一度ナリコマにご相談ください。

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