みなさんは、365日の献立をどのように考えているでしょうか?「衣食住」という言葉があるように、食事は人が生きていく上で絶対に欠かせない要素の一つです。今回の記事は、そんな食事の献立について詳しくお届けします。
人の暮らしに深く関わる献立の重要性をお伝えし、介護・福祉施設や病院における献立のポイントについても解説。献立作成を日常的な業務として行っている管理栄養士・栄養士の意見もピックアップしてご紹介します。ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。
目次
365日の献立は健やかな生活の要
人はなぜ、365日通して食事をしなくてはならないのでしょうか?
まずは、そのことについて考えてみましょう。本項目では、食事と献立が担っている重要な役割をまとめてみました。
食事と献立の役割①健やかな体をつくる
人は食べ物からエネルギーや栄養を摂取し、生命を維持しています。ただ、実際には“健やかな体をつくるために何を食べるか?”という部分も気にする必要があるのです。これがまさに、献立の重要な役割。理想的な献立の基本は、一日三食、主食・主菜・副菜がきちんとそろっていることです。その上で、栄養バランスが整うように内容を決めます。
炭水化物、たんぱく質、脂質は体内でエネルギーをつくる三大栄養素。農林水産省が掲げる「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人であれば炭水化物50〜65%、たんぱく質13〜20%、脂質20〜30%を目標としています。そして、このほかに複数のビタミンやミネラルもしっかりとらなくてはなりません。
栄養の過不足をなくすことは、生活習慣病の予防にも効果的。しかし、365日完璧な献立を用意するのはなかなか難しいでしょう。料理に入れる食材の種類を増やす、不足しがちな栄養素が豊富な食品を取り入れるなど、ちょっとした工夫をするだけでも栄養バランスが整いやすくなります。
食事と献立の役割②心の健康を保つ
近年は、心の健康と食事の関係性について研究が進んでいるようです。例えば、たんぱく質が不足すると心が不安定になったり、ビタミンやミネラルが不足すると脳にストレスがかかったりする傾向に。さらに、糖質や脂肪の過剰摂取は糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどを引き起こすだけでなく、うつ病の発症リスクも高めてしまうといわれています。
また、誰かと一緒に楽しく食事をしたり、おいしいものを食べたりすると、心理的に満たされやすい状態になります。加えて、一日三食きちんと食べることで生活リズムが整い、心も安定しやすくなるそうです。献立においては、栄養が偏らないように注意しながら、みんなでシェアして食べられる料理などを取り入れるといいかもしれません。
食事と献立の役割③コミュニケーションを深める
前述した役割②にも多少通じることですが、食事はコミュニケーションのきっかけづくりとして有効です。ミツカングループが実施したオンラインアンケート調査(日本女子大学家政学部食物学科・飯田文子教授監修、期間:2023年11月2日(木)〜11月6日(月) 、対象:全国20代~50代男女400名)では、食事中に雑談やプライベートな話をする人の割合が28.5%という結果が出ています。
学校給食や社員食堂は非常にわかりやすい例で、食べながらいろいろな話をすることで友人との仲が深まったり、同僚との信頼関係が築けたりします。冠婚葬祭における食事も、喜びや悲しみを周りの人と共有する意味があり、とても重要といえるでしょう。また、家庭内では夫婦や親子が一緒に献立を考えることで、一つのコミュニケーションが成立します。
365日欠かさず提供!介護・福祉施設や病院が求める献立のポイント
365日欠かさず提供!介護・福祉施設や病院が求める献立のポイント
介護・福祉施設における献立
介護・福祉施設を利用する人の多くは高齢者。当然個人差はありますが、嚥下機能や咀嚼機能が低下していたり、機能的な問題はなくても食べる量が減っていたりするケースがよくみられます。そのため、献立にはミキサー食やゼリー食といった食形態のバリエーションが必要です。また、低栄養になることを防ぐため、食べる量が少なくてもきちんと栄養がとれるような献立を考える必要があります。
このほか、イキイキとした毎日が過ごせるよう、食事を楽しんでもらうことも重要。お正月や節分、七夕、クリスマスなど、季節のイベントにあわせた行事食を取り入れている施設は多いようです。また、施設によっては、好みや気分にあわせて選べる献立を用意することもあります。
病院における献立
病院で提供される食事は、主に入院患者向けです。通常は医師の指示に従い、管理栄養士が献立を作成。治療の一環としての役割があることから、介護・福祉施設以上に、個別で細かく管理されています。一般食と特別治療食がありますが、大きな違いは栄養制限があるかどうかです。
一般食は栄養制限がない患者向けで、栄養バランスの整った献立をベースに、個別で量を調節したり、食形態を変えたりします。一方の特別治療食は、栄養のコントロールが必要な患者に提供されます。治療中の疾患にあわせて、たんぱく質や塩分、脂質などの量を調節した献立を作成。一般食も特別治療食も、患者の状態が変われば、随時変更が加えられます。
365日の献立作成は大変?管理栄養士・栄養士の意見まとめ
先に取り上げた介護・福祉施設や病院では、管理栄養士・栄養士が365日の献立作成を担当しています。本項目では、現場で働く管理栄養士たちの声をまとめてみました。
★高齢者向けの介護施設で働いており、入居者に「あなたが来てから食事がおいしくなった」と褒められた。緊張感はあるが、直接反応がもらえるので献立作成や料理が楽しく、やりがいを感じている。
★病院は若者から高齢者まで入院しているため、幅広い年代に対応した献立を考えなくてはならない。減塩や糖質制限が入ってくると、さらに献立作成に苦労する。特に減塩食は「まずい」というクレームも多いので、何かと工夫しなければならないのが大変。
★老人ホームで3年間働いているが、献立作成がうまくできなくて悩んでいる。いろいろな料理を知るために、本やレシピサイトを見たり、料理教室に通ったりする必要がある。
★病院で働いているが、献立作成を担当しているのは委託の栄養士。短期間で料理や食材が重複していたり、禁止している食品が入っていたりするので困る。信頼関係が築けず、自分でやったほうがいいのでは?と思ってしまう。
365日日替わりの献立サービスならナリコマにおまかせ
ナリコマでは、介護・福祉施設や病院におすすめの献立サービスをご提案しております。365日日替わりの献立をお届けする「すこやか」は、入居や入院が長い場合も飽きずにお召し上がりいただけるのが魅力。おいしさにこだわっているのはもちろん、食の楽しみを感じられるよう、行事食や郷土料理なども取り入れています。
セントラルキッチンでまとめて調理する完全調理済み食品なので、現場では再加熱や盛り付けなどの簡単な仕上げをするだけで配膳がスタート。業務が効率化され、スタッフが少なくても対応しやすいフローを組むことができます。
また、ミキサー食やソフト食といった食形態のバリエーションも、献立内容を変えずに対応できるため安心です。365日日替わりの献立サービスなら、ぜひナリコマにおまかせください。
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給食委託会社の利用によるデメリットでは、関係の構築に時間がかかることがしばしば挙げられます。これは単にやり取りに時間がかかるだけでなく、いくつかのトラブルが生じて、解決するまでの時間も含まれるでしょう。給食委託会社と依頼する側のトラブルは、残念ながらさまざまにあり、給食委託会社と良好な関係を構築することは難しく複雑であることもわかります。
今回は、給食委託会社を利用する際の関係構築の重要性と共に、どうすれば良好な付き合い方ができるのかを解説します。トラブルを防ぐためのポイントを押さえた関わり方や、トラブルが起きた際の早急な解決ができるように、給食委託会社の利用の際には改めて意識しておきましょう。