医療・介護福祉分野は年々ニーズが高まっていますが、人手不足の状況も深刻化しており、それに伴う業務負担の増加が問題視されています。今回の記事は、医療スタッフの働き方に焦点を当て、業務負担の軽減につながる「タスクシフト」をテーマにお届けします。後半では、厨房業務におけるタスクシフトの実践ポイントを解説。ぜひ最後までお読みいただき、労働環境改善にお役立てください。
目次
働き方改革で注目度上昇!タスクシフトとは
少子高齢化が急激に進む日本では、労働によって社会全体を支える生産年齢人口(15〜65歳の人口)が減少し続けています。令和6(2024)年10月1日時点の生産年齢人口は7,373万人となっていますが、今後も増加する見込みはなく、令和32(2050)年には5,540万人まで減少するといわれているのです。また、近年はワーク・ライフ・バランスを大切にし、自分らしく働こうとする人も多くみられます。働き方改革は、こうした背景を踏まえた施策のひとつで、長時間労働を是正し、働きやすい環境を整えることを主な目的としています。なお、厚生労働省による説明は以下の通りです。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
参考: 令和7年版 高齢社会白書

医療スタッフの労働環境改善につながるタスクシフト
働き方改革は医療・介護福祉分野でも推進されています。労働環境改善に向けた取り組みの一例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 時間外労働の上限規制
- タスクシフト、タスクシェアの実施
- ICT技術などを活用した業務効率化や省力化の実現
- 雇用形態や勤務時間などが選択可能な制度の導入
- 補助職(医師事務作業補助者、看護補助者など)の採用 など
本記事のテーマでもあるタスクシフトは、医療スタッフが行う業務の一部を他職種に移管することで、個人で抱えすぎている業務量を減らしたり、過酷な長時間労働を防いだりする効果が期待できます。
特に改善が必要とされているポイントは、患者対応や緊急対応などで時間外労働が発生しやすい医師の現状です。ただし、医療行為(法律用語では医行為)ついては医師のみに限られた業務。厚生労働省は医師の負担軽減と適切な医療の提供を両立できるよう、規定の研修を受けた看護師が対応可能な38の「特定行為」を定めています。
特定行為は、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為です。
参考:特定行為とは|厚生労働省
タスクシフトとタスクシェアの違い
タスクシェアはタスクシフトに似た言葉ですが、「医療スタッフと他職種とで業務を分担・共有しながら行うこと」を意味します。前述したように、タスクシフトは「医療スタッフが業務の一部を他職種に任せること」を意味するため、混同しないよう注意が必要です。
医療・介護福祉分野でタスクシフトを推進するメリット
タスクシフトは医師をはじめとする医療スタッフの負担軽減につながりますが、医療機関以外に医師や看護師が配置される特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などにおいても注目されています。本項目では、医療・介護福祉分野でタスクシフトを推進するメリットをまとめてみました。

①医療スタッフがそれぞれの専門業務に集中できる
タスクシフトの最も大きなメリットは、医療スタッフがそれぞれの専門性を発揮し、本来の業務に集中できることです。時間的・肉体的・精神的な余裕が生まれることで、より高度な医療が提供できるようになったり、患者や利用者と向き合う時間が増えたりします。
大阪府高槻市にある大阪医科薬科大学病院では、あらゆる領域の医療チームに薬剤師がスペシャリストとして参画し、医師や看護師の負担が軽減された事例があります。ほかにも、薬剤師が行う業務の一部を薬剤補助員に任せるため、医薬品SPDが導入されています。
また、広島県広島市にある県立広島病院では、医師事務作業補助者を採用。検査・注射・点滴オーダーなどの代行入力、診断書・院内紹介状といった各種書類の作成、電話対応などを担当することによって、医師や看護師が長期的に勤務しやすい環境を整えています。
②他職種のスキルが向上する
タスクシフトによって業務を任された他職種のスタッフは、スキル向上が期待できます。前述した38の「特定行為」については、この代表例といえるでしょう。特定行為を行うための研修を受けた看護師は、専門的な知識が身につくのはもちろん、判断力や理解力、対応力なども磨かれます。こうした個人のスキル向上は、安定した医療体制の構築につながるというメリットもあります。
③多職種連携が強化され、医療や介護の質が向上する
多職種連携は、医療・介護福祉分野において非常に重要なポイントです。連携体制に不備があると、業務に必要な情報が共有されなかったり、患者や利用者の命にかかわる重大なミスが起こったりする可能性が高まります。タスクシフトによって業務全体のバランスが改善され、職員同士の連携がスムーズになれば、医療や介護の質も上がりやすくなるでしょう。

④人手不足解消や業務効率化につながる
医療・介護福祉分野では人手不足の傾向が強く、大きな問題となっています。すでにお伝えしてきたことにも関連しますが、タスクシフトによって労働環境が改善されると、医療スタッフの長期的な活躍が期待できます。病院や介護福祉施設に必要な人材がしっかりと定着すれば、職員同士の連携体制も安定します。結果的には、業務効率化における効果も大きいといえるでしょう。
⑤患者や利用者の満足度が上がる
医療・介護福祉分野におけるタスクシフトは、患者や利用者にとってもメリットがあります。最も大きいのは、従来よりも質の高い医療や介護が受けられるようになること。例えば、患者本人が希望する病院(担当医)の予約が取りやすくなったり、個別事情に適した介護サービスが選べるようになったりする可能性が高まるのです。こうしたメリットは患者や利用者の満足度向上につながり、病院・介護福祉施設への信頼感も高まります。
厨房業務におけるタスクシフトの実践ポイント
給食を提供する病院や介護福祉施設では、厨房業務のタスクシフトも必要かもしれません。給食管理業務を行う管理栄養士・栄養士は人員が限られていますが、栄養管理業務を行う医療スタッフとしての重要な役割もあります。患者や利用者をより丁寧にケアするために、タスクシフトによって業務量や労働環境を調整するメリットは大きいといえるでしょう。

AIや自動調理器の導入によるタスクシフト
時間も労力もかかる献立作成をAIに任せると、管理栄養士・栄養士の負担が減り、そのほかの業務に使える時間が生まれます。さらに、AIは食材の在庫管理や発注、コスト管理などにも活用できます。現場に最適なシステムを導入すれば、タスクシフトがスムーズに進められるでしょう。また、人手不足の場合などは、管理栄養士・栄養士が調理補助として厨房に入ることもあります。この状況をなくすには、自動調理器などを導入し、調理業務を省力化する方法も有効です。
給食の外注化によるタスクシフト
直営給食を行っている場合、外注化によって現場は大きく変わります。企業によってサービス内容は異なりますが、給食管理業務の一部、もしくはすべてを委託にする方法があります。このほか、調理業務の省力化につながる完全調理済み食品(クックチルなど)の活用、そのまま配膳できる宅配弁当(配食)の利用なども一例として挙げられます。
ナリコマの直営支援型厨房運営をご検討ください
ナリコマの直営支援型厨房運営は、タスクシフトによる厨房業務の負担軽減を実現します。直営と委託、それぞれのメリットを残したまま、安全かつ高品質の給食を提供することが可能です。弊社セントラルキッチンより完全調理済み食品をお届けするため、厨房では再加熱と簡単な盛り付けを行うのみ。管理栄養士・栄養士の方々が本来の業務に専念する環境づくりにも貢献することができますので、ぜひご検討ください。

クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
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