今回の記事は、医療・介護福祉の分野で特に重視されるQOLをテーマにお届けします。QOLの定義を簡潔にまとめ、食事との関係性について詳しく解説。QOL向上につながる病院給食や介護給食の改善策などもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。
目次
食事とQOL向上の関係性
QOLとは
QOL(キュー・オー・エル)はQuality of Lifeの略称で、日本語訳にすると「生活の質」「生命の質」「人生の質」などの言葉で表現されます。「病気に罹っていない、心身が弱っていない=健康」という単純な考え方ではなく、「自分らしい生活を送り、肉体的・精神的・社会的に満たされた状態であること」を健康な状態としてとらえる概念です。日本では1980年代に医療界へ導入され、その後も介護、福祉、教育など、さまざまな分野で取り上げられるようになりました。QOLは、本人の状態や置かれている環境など、いろいろな要素によって変化します。QOL低下の主な要因は、次のようなことが挙げられます。
◆病気やけが
病気やけがによって身体機能が低下したり、治療のために制限が生じたりすると、今までと同じ生活ができなくなります。本人だけの問題にとどまらず、家庭や職場で不都合が出てくる可能性もあります。
◆生活習慣の乱れ
食事や睡眠のサイクルが不規則になったり、運動不足になったりすると、心身の不調が生じることもあります。
◆メンタルヘルス不調
精神的なストレスを受け続けると、うつ病などの精神疾患に発展するかもしれません。それによって意欲やコミュニケーション能力が下がると、日常生活に大きな支障が出てしまいます。
◆不安定な経済状況
経済的に安定しない状況が続くと、次第に不満や不安が大きくなり、幸福感が得られなくなってしまうでしょう。
◆被災や避難生活
地震などによって大きな被害を受けると、非日常的な避難生活が続きます。不自由を強いられるのはもちろん、精神的なストレスも蓄積されてしまいます。

上記で述べたようなQOLの低下を防ぐには、以下の3点を意識することが重要です。
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規則正しい生活を送る |
・一日三食、バランスのとれた食事をとる ・質の良い睡眠を十分に確保する ・定期的に適度な運動を取り入れる など |
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ストレスの原因をなくす |
・家具などを入れ替え、快適な居住空間を整える ・働き方を見直し、良好な職場環境や安定した収入につなげる など |
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精神的な充実感を得る |
・趣味や習い事を楽しむ ・自分なりに目標を設定する など |
QOLを大きく左右する食生活
食生活の乱れは身体機能の低下を招きやすく、結果的にQOLを大きく下げることになります。先にお伝えしたように、バランスのとれた食事は特に重要です。食事の量や回数が減ったり、食べる内容が偏ったりすることで低栄養状態に陥ると、さまざまな病気のリスクが高まります。
若い女性は極端なダイエット指向による「やせ」が問題視されており、月経異常や貧血などのトラブルも多いといわれています。また、高齢者は筋肉量が減少するサルコペニア、心身の衰弱が進むフレイルなどのリスクが高く、悪化すると要介護になってしまう可能性もあります。
つまり、食事とQOL向上は非常に深い関係にあるのです。QOLを維持・向上させるためには、まず心身の健康が保てるよう、食生活について細かく見直す必要があるといえるでしょう。
医療・介護福祉における食事提供への考え方
QOL向上のために欠かせない食事は、病院や介護福祉施設にとってどのような役割があるのでしょうか。本項目では、医療・介護福祉における食事提供への考え方をまとめてみました。
医療における食事は「治療の一環」
病院給食は主に入院患者に提供されており、治療の一環として重要な役割を担っています。最大の役割は、バランスのとれた食事によって患者の栄養状態を改善し、治療をよりスムーズに進めることです。基本的に栄養成分の調整が必要ない患者には一般食が提供され、高齢者・妊婦・幼児などは、例外としてそれぞれに適した食形態や献立に変更します。治療内容にあわせて塩分や脂質などの栄養成分を調整したり、食材や食形態を変えたりする必要がある患者には、特別治療食が提供されます。
大まかに分類すると一般食と特別治療食の2種類ですが、実際の現場では患者の状態にあわせてさらに細かな調整が行われています。こうした病院給食は、退院後に続ける食事療法の手本にもなっています。患者が自宅などに戻ってから食生活が大きく乱れると、再び病気が悪化する可能性も出てきます。つまり、治療の効果や結果が失われないよう、病院給食を参考にした食生活を送ってもらうことが重要なのです。
また、病院給食は入院患者にとって楽しみの一つでもあります。自宅とはまったく異なる環境に置かれ、病気やけがによる制限もある中で、毎日の食事を楽しみにしている人は多いのです。このように、治療がスムーズに進み、心も満たされるのであれば、結果として食事が患者のQOL向上に貢献しているということになります。

介護福祉における食事は「楽しみ・生きがい」
病院給食にも共通していますが、介護給食の目的は、健康維持のために十分な栄養をとることです。介護福祉施設を利用している高齢者や障がい者は、身体機能の低下が深刻な事態につながることもあります。入院患者と同様、QOL向上のためには、何よりもまず栄養状態を良好に保つ必要があるのです。
また、栄養摂取以外でいうと、毎日の楽しみや生きがいとしての役割が非常に大きいといわれています。施設利用の頻度が多かったり、長期間になったりすると、同じような食事に飽きてしまう人も出てくるのです。利用者の食欲が低下し、食事量が減っていくと、栄養状態にも大きな影響を与えます。だからこそ、介護福祉施設では楽しみや生きがいを感じてもらえるような食事を提供することが重要と考えられています。
QOL向上につながる病院給食・介護給食の改善策
病院給食や介護給食によって患者・利用者のQOLを向上させるには、次の2点を意識することが重要です。
五感で楽しめる食事
食事には、もともと人に備わっている味覚・嗅覚・触覚・聴覚・視覚が大きく関係しています。味はもちろんですが、温かい料理から漂う香り、シャキシャキとした野菜の食感、フライパンでお肉を焼いている音、彩り豊かな盛り付けなど、さまざまな要素によって五感を刺激することができます。患者・利用者が「おいしそう」「食べたい」と感じることで、QOLは向上します。また、誰かと一緒に食べる共食は、コミュニケーションによって五感が刺激されます。環境によっては難しいかもしれませんが、可能であれば、共食の機会を設けるといいでしょう。

季節感のある食事
病院や介護福祉施設では、生活が単調になりがちです。食事に旬の食材を使ったり、お正月やクリスマスなどにあわせた季節メニューを取り入れたりすると、マンネリ化を防ぎ、飽きずに楽しく食べてもらうことができます。また、認知障害がある高齢者や障がい者にとっては、季節を正しく認識するきっかけにもなります。
食事満足度調査の実施も効果的
食事満足度調査は、患者や利用者の声を直接聞くことができます。味付け、盛り付け、量、提供温度、献立内容の評価だけでなく、「◯◯が食べたい」といった具体的な要望も記入してもらうと、改善すべき点がより明確になるでしょう。
ナリコマのおいしい食事はQOL向上に貢献します
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