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地域包括ケアは、高齢化が進む日本の将来を地域連携によって支える取り組みの一つです。今回は、その中でも特に重視される食事支援について取り上げます。地域包括ケアにおける食生活の重要性、管理栄養士・栄養士の役割、食事支援のポイントなどを解説。在宅医療・介護向けの食事支援サービスに関してもまとめてお伝えします。

地域包括ケアにおける食生活の重要性

冒頭でも少し触れましたが、近年の日本は急激に高齢化が進んでおり、令和6(2024)年10月1日時点での高齢化率(総人口に対して65歳以上人口が占める割合)は29.3%に達しています。データを遡ってみると、平成17(2005)年は20.2%、昭和60(1985)年は10.3%、昭和40(1965)年は6.3%となっており、四半世紀余りで大きく変化したことがわかります。高齢化率上昇の主な要因は「第一次・第二次ベビーブームに生まれた団塊・団塊ジュニア世代が高齢になったこと」と「少子化が進んで総人口が減ってきていること」です。こうした傾向はさらに進行し、高齢化率は令和22(2040)年に34.8%、令和52(2070)年には38.7%になると推測されています。

 

参考:令和7年版 高齢社会白書|内閣府

 

地域包括ケアは、そんな高齢化の現状を踏まえ、国民の健やかな暮らしを守っていくために考案されたシステムです。厚生労働省では、その役割を以下のような文言で表しています。

 

「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケア」

参考:地域包括ケアシステム|厚生労働省

 

上記でも明記されているように、地域包括ケアは次の5つの要素から構成されます。これらはすべて、本人・家族が「要介護になった場合の在宅生活」についてしっかりと考えを持つことで成り立ちます。

 

①住まい

本人の希望や経済力にあわせて、生活の基盤となる住居を確保。プライバシーや尊厳が守られることも重要なポイントです。

②医療

日常的な診察から緊急時の対応まで、個別の状態・状況にあわせた医療サービスを提供。医療機関同士の連携も不可欠です。

③介護

個別の状態・状況にあわせて、在宅系介護サービスや施設・居住系介護サービスを提供します。医療機関との連携も欠かせません。

④予防

高齢者ができるだけ自立した生活を続けられるよう、心身を健康に保ち、要介護状態への移行を防ぎます。

⑤生活支援

要介護状態になった高齢者の生活を支援します。自治体や近隣住民などによる見守り活動なども含まれます。

続いて、地域包括ケアにおいて食事支援が重視される理由をみていきましょう。

高齢者の健康を大きく左右する食生活

地域包括ケアの主な対象者である高齢者の健康維持に欠かせないのが、バランスのとれた食生活です。主食・主菜・副菜(汁物)をそろえ、一日三食、規則正しい時間に食べることが理想的。高齢者にとってのメリットは大きく、食事支援が重視されるのは必然といえるでしょう。

 

病気などの原因となる低栄養を防ぐ

栄養をしっかりとることで低栄養を防止。自然と免疫力が高まり、生活習慣病の予防になります。また、フレイルや要介護状態への移行も防ぎます。

摂食・嚥下機能を維持する

食べ物をかんだり、飲み込んだりする機能が衰えにくくなり、誤嚥性肺炎のリスクも下がります。

生活リズムが安定する

食事の時間を決めることで生活リズムが安定し、睡眠の質も上がります。

毎日の楽しみが生まれる

食事のおいしさを感じることで、日常生活における楽しみや生きがいが生まれます。

認知機能を維持する

自分で食事を準備したり、誰かと一緒に食べたりする環境が、認知機能の低下を防ぎます。また、食事中の会話によって社会的なつながりを感じ、精神的に安定しやすくなります。

地域包括ケアで求められる管理栄養士・栄養士の役割

病院や介護福祉施設などで働く管理栄養士・栄養士は、ほかの職種と連携しながら、対象者の栄養ケアを行うエキスパートとして活躍しています。では、地域包括ケアの食事支援においては、どのような役割が求められているのでしょうか。本項目では、特に重要なポイントをまとめてみました。

在宅ケア(医療・介護)を支える訪問栄養食事指導

通院や通所が難しい在宅患者・要介護者・要支援者に対しては、訪問栄養食事指導が欠かせません。病院給食や介護給食とは異なり、在宅ケアでの食事は栄養バランスが偏りやすいといわれています。栄養状態のチェックはもちろん、献立についての具体的なアドバイス、摂食・嚥下機能にあわせた食形態の提案など、対象者に適した食生活をサポートする大切な役割があります。

地域住民に栄養指導を行う拠点の整備

地域包括ケアでは、医療・介護福祉サービスを定期的に受けていない地域住民にも、栄養状態や食生活に関する相談窓口が必要と考えられています。全国各地に設置された栄養ケア・ステーションは、その役割を担う代表格といえるでしょう。2025年4月1日時点で535拠点あり、4,771名の管理栄養士・栄養士が活躍しています。先に述べた訪問栄養食事指導と同様、基本的には病気の治療や介護予防、健康維持などに向けた食生活をサポートします。

 

また、栄養ケア・ステーションには、病院や健康保険組合などに管理栄養士・栄養士を紹介する役割もあります。このような連携体制を整えることで、地域包括ケアの機能性はさらに高まります。

栄養に関する講演会や料理教室の企画・運営

栄養について有益な情報を発信する講演会、栄養改善のための料理教室などを企画し、地域住民に参加してもらうことにも大きな意味があります。「家族が近くにおらず、一人暮らしをしている」「調理に不慣れで何を作ればいいかわからない」といった状況にある場合、栄養バランスが偏ったり、低栄養状態に陥ったりする可能性が高くなります。だからこそ、講演会や料理教室によって食生活改善のきっかけをつくることも大切な役割といえるでしょう。

ボランティアを含む人材育成

食生活改善推進員や介護サポーターなどのボランティアを含め、地域住民の栄養ケアに携わる人材の育成も重要です。自治体(都道府県や市町村)の方針に沿って活躍できる人材を増やすことで、地域包括ケアも充実します。

地域包括ケアの一環として行われる食事支援

地域包括ケアの構成要素である医療・介護分野の食事支援は、QOL(生活の質)向上も大きなポイントです。病院や介護福祉施設では、管理栄養士・栄養士だけでなく、医師、看護師、薬剤師、介護士なども含めた多職種連携を行いながら栄養ケアを実施。一時的にケアを行う入院患者などには、退院後の食生活でお手本となるような食事を提供しています。こうした日々の細やかな対応が食生活の乱れを防ぎ、患者や施設利用者のQOL向上につながっているのです。

在宅ケアで注目される配食・会食サービス

在宅ケアを支える訪問栄養食事指導については前述したとおりです。しかし、食事の準備や買い物に不安を感じる高齢者も少なくありません。つまり、指導内容を完璧に反映できる人ばかりではないのです。そうした背景があることから、地域包括ケアでは民間企業や自治体が提供する配食・会食サービスも食事支援の一つとして扱っています。在宅ケアでも利用しやすい点は大きな魅力であり、それぞれ次のようなメリットがあります。

配食サービス

栄養バランスのとれた食事が自宅まで届きます。一人暮らしの場合、調理や買い物などの負担がなくなるだけでなく、配達のたびに安否確認ができることも大きなメリットです。介護食や減塩食などに対応したサービスもあり、健康状態にあわせて選ぶことができます。

会食サービス

主に一人暮らしの高齢者を対象に、会食の機会を提供するサービスです。会話などで精神的な充実感を得ることができ、食欲低下の防止、食事量の維持、栄養状態の改善なども期待できます。

健やかな食生活を支えるナリコマの献立サービス

ナリコマでは、地域包括ケアに欠かせない病院・介護福祉施設の食事支援として最適な献立サービスを提供しております。少量高栄養にこだわったバリエーション豊かな介護食、医療機関と連携した治療食への展開も可能。献立に関するお悩みがありましたら、ぜひ一度ナリコマへご相談ください。

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