近年の超高齢社会において、管理栄養士はなくてはならない存在であり、その業務や今後の課題が日々注目されています。しかし、実際の管理栄養士の働く環境では、多量の業務や調理などを負担に感じる声も挙げられ、働き方の課題も同時に挙げられています。
そこで今回は、大量の食事調理を一ヵ所に集中させて行うセントラルキッチンに注目し、セントラルキッチンの導入が管理栄養士の働き方にどう影響するのかを解説します。管理栄養士の抱える負担にお悩みの施設さまもぜひご参考ください。
目次
セントラルキッチンとは?
セントラルキッチン(central kitchen)は、集中調理施設として、病院や介護福祉施設、学校など、大量の食事提供が必要な場合において食事の調理を行う施設です。「セントラル(central)」には、中心の・中央の、という意味がありますが、調理の工程を一ヵ所に集中させて中央化したのがセントラルキッチンです。
セントラルキッチンのメリット
例えば、病院や介護施設、学校などにセントラルキッチンを導入すると、調理のほとんどの工程がセントラルキッチンで行われるため、提供する施設での食事の準備が大幅に簡単になります。施設内では、ごく簡単な調理や盛り付けなどを行うだけで食事を用意できるため、調理に慣れていない担当者でも行うことができるでしょう。
レストランなどの飲食店でも、セントラルキッチンを導入することはよく見られます。セントラルキッチンに調理の大半を任せられるため、店舗に調理のプロがいなくても問題なく運営できるのがメリットです。
セントラルキッチンにおけるメリットでは、集中化した大量調理がポイントです。まとまった量の食材を仕入れ一括で調理するため、効率が上がり、原材料の仕入れから調理工程にかかるコスト削減に役立ちます。同時に、品質を一定化できるのも特長です。導入する施設では、調理を行う人材を能力を問わず最小限に抑えることができ、日によって食事の味にバラつきが生まれることも防げます。
セントラルキッチンのデメリット
メリットの多いセントラルキッチンですが、セントラルキッチンの導入にコストがかかる、食中毒が起きた場合にセントラルキッチンから提供する食事が全てストップしてしまう、などのデメリットもあります。導入する際にはコスト面でメリットになるように運営プランを検討し、セントラルキッチンでは徹底した衛生管理を行うことが大切です。また、施設の厨房で作った食事に負けないような、おいしい食事を提供することも求められるポイントです。
管理栄養士が抱える課題は?
管理栄養士は、健康な方だけでなく、病気を患っている方や、ご高齢の方で低栄養が心配な方、特別な配慮が必要な方などに栄養指導を行います。個々の人によって健康状態が異なるため、その都度最適な指導が必要になるでしょう。管理栄養士が医療や介護の現場に介入することで、役立つことはさまざまにあります。管理栄養士の仕事には、栄養指導や栄養管理だけでなく、食事提供なども含まれるため、業務の範囲も幅広いのが特徴です。
近年、病院などが報告する人員配置の医療従事者の職種に管理栄養士と栄養士も追加されるなど、社会の中で管理栄養士の役割がさらに認識されるようになってきました。このような背景には、超高齢社会の中で高齢の方々の栄養管理がより求められていることも関係しています。
こうした役割を担っていることもあり、管理栄養士の方々への調査では、やりがいを感じているという声も多く挙げられています。しかし、やりがいを感じながら働いているにも関わらず、仕事がつらいという声もあります。仕事がつらいと感じてしまう原因は、職場環境や仕事内容にもあるようです。
管理栄養士が負担を感じる理由と今後の課題
管理栄養士に負担を与えている原因はさまざまにありますが、業務が多過ぎる、調理が負担になる、というのも原因の一つです。一人で多量の仕事をこなさなければならない原因としては、人手不足も影響するでしょう。
管理栄養士の主な仕事は栄養指導や栄養管理ではあるものの、調理担当が不足している施設では、管理栄養士も調理を任される場合があります。たくさんの食事を準備することは労力のかかる作業のため、一日の仕事の中でも大きな負担になってしまうことがあるでしょう。
こうした中で、管理栄養士側は、働き方を工夫したり、転職をしたり、という変化で対応することが主になってしまいます。しかし、施設全体の環境を変えることも、管理栄養士にとって働きやすい職場を作る一つの方法です。
患者さまや利用者さまの食事場面を見て回ることを「ミールラウンド」と呼びますが、病院や介護福祉施設では、管理栄養士もミールラウンドを行います。管理栄養士が1名配置されている施設よりも、2名配置されている施設の方が、ミールラウンドが充実しており、入院のリスクが低いといった研究結果も挙げられているため、管理栄養士の人手不足の解消で得られる効果は大きいと考えられます。
セントラルキッチンで管理栄養士の課題は解決できるのか?
病院や介護福祉施設の調理環境にセントラルキッチンを導入すると、セントラルキッチンで主な調理が行われるため、施設内での食事の準備が簡素化されます。そのため、管理栄養士の抱える、業務が多過ぎる・調理が負担になる、という課題を同時に解決に導くことができるでしょう。
大量調理が苦手なため管理栄養士として働きづらい、といった方にとっても、セントラルキッチンの導入によって、より働きやすい環境に整えることができます。調理に携わる時間の短縮によって、そのほかの管理栄養士の業務に従事することができ、全体的な業務品質向上も期待できるでしょう。
ナリコマのセントラルキッチンの特長
ナリコマのセントラルキッチンは、全国に6ヵ所あり、大量の食材を仕入れて調理し、出荷しています。最新の調理器具や情報通信技術を取り入れた独自のシステムで、人手不足にも備えると共に、安心安全なお食事を作っています。自社システムは、製造工程のオートメーション化によって効率が上がるだけでなく、人の手に触れる機会が減るため、安全性の面でもメリットです。さらにデータを蓄積することで、お食事の安定性もキープしています。
食材の仕入れから配送までを全て自社で担っているため、出来上がったお食事をスピーディーにお客様にお届けすることができます。自社配送センターがあるため、365日休むことなくセントラルキッチンから直接お届けが可能です。また、配送中も温度管理やにおい移りなど、さまざまなことに注意しているため、配送中に劣化することもありません。
管理栄養士の課題解決に役立つナリコマの病院食・介護食
ナリコマのクックチルのお食事は、朝・昼・夜と全て献立化して提供しているため、献立を考える時間の短縮に役立ちます。さらに、ナリコマには、患者さまや利用者さまの身体機能によって選べる、普通食・介護食の4形態のお食事のご用意があります。介護食では、ソフト食・ミキサー食・ゼリー食と分かれており、嚥下力や咀嚼力に合わせてお選びいただけます。これらの介護食は、普通食と横並びのため、同一の献立内容でご用意できるのも特長です。
ナリコマには、介護食専門のセントラルキッチンがあります。介護食の製造に特化しているため、生産能力を上げると共に、お客様の要望にできるだけ応えられる環境が整っています。
ナリコマのアプリで栄養管理の時間短縮
ナリコマでは、管理栄養士の方々の業務をより短縮できるように、役立つアプリをご用意しております。給食管理に欠かせない帳票類を、アプリで簡単に準備できるのが特長です。「栄養分析表」や「食料構成表」など、十数種類の栄養関係書類をアプリで簡単にダウンロードでき、食種ごとの帳票出力や期間内の平均値を出すことなども可能です。これらのアプリの機能を使えば、日々の記録時間を短縮することができ、他の業務にエネルギーを注ぐことができるでしょう。
ナリコマにお気軽にご相談ください
セントラルキッチンの導入によって得られるメリットを上手に活かすことで、管理栄養士の業務負担の改善につながり、ミールラウンドなどのより丁寧に行いたい業務に集中することができます。
ナリコマでは、管理栄養士の負担軽減と共に、病院や介護福祉施設の食事提供に役立つさまざまなサービス・サポートをご用意しております。まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。
クックチル活用の
「直営支援型」は
ナリコマに相談を!
急な給食委託会社の撤退を受け、さまざまな選択肢に悩む施設が増えています。人材不足や人件費の高騰といった社会課題があるなかで、すべてを委託会社に丸投げするにはリスクがあります。今後、コストを抑えつつ理想の厨房を運営していくために、クックチルを活用した「直営支援型」への切り替えを選択する施設が増加していくことでしょう。
「直営支援型について詳しく知りたい」「給食委託会社の撤退で悩んでいる」「ナリコマのサービスについて知りたい」という方はぜひご相談ください。
こちらもおすすめ
人材不足に関する記事一覧
-
報告制度も伴う医療機関の機能分化!役割再編で求められる厨房業務の改革とは
近年の日本では、少子高齢化が異例のスピードで進行しています。少子高齢化によって生じる問題の一つが、医療・介護の需要増加に伴う混乱です。政府は、少子高齢化社会においても医療・介護の提供体制が整えられるよう、さまざまな施策を打ち出しています。
今回の記事は、政府主導の施策にとって重要な医療機関の機能分化をテーマにお届けします。機能分化を図るために整備された報告制度に関してもまとめて解説。後半では、医療機関の役割再編と同時に行うべき非医療部門の見直しについてもお伝えします。 -
地域医療構想の達成に欠かせない見直しポイント!地域包括ケアにおける食の課題とは
近年の日本は高齢者の数が急増していますが、その一方でこどもの数は減少している状況です。この少子高齢化は深刻な社会問題として取り上げられており、今後も進行し続けるといわれています。働き手となる若者が少なくなる中、社会をどのように構築していくべきかという点は非常に重要です。
本記事は、そんな少子高齢化社会を支える取り組みの一つ「地域医療構想」に焦点を当てます。地域医療構想の概要だけでなく、相互関係にある地域包括ケアシステムについても詳しく解説。高齢者のケアに欠かせない、食事における課題と見直しポイントもまとめてお伝えします。ぜひ最後までお読みください。 -
人手もコストも減らせる!厨房業務の負担軽減を叶える解決策とは
調理スタッフの確保が難しくなっている今、厨房の現場では「いかに負担を減らすか」が大きな課題になっています。人が集まりにくい理由のひとつは、作業の多さや大変さ。こうした働きにくさが、職員の離職や採用の難しさにもつながっています。だからこそ今、厨房業務を見直して、負担を減らす工夫が必要なのです。単に効率を上げるだけでなく、「人が働き続けやすい職場」をつくることがゴールです。
この記事では、業務の効率化やICT導入、外注の活用など、厨房省人化に向けた具体策をご紹介。ナリコマのクックチルを活用した、人手不足への対応例も合わせてお伝えします。
セントラルキッチンに関する記事一覧
-
値上げは必須!介護給食の重要性と現状を詳しく解説
介護給食は、全国各地の特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで提供されている食事のこと。近年はさまざまなコストが上昇している状況にあり、介護給食の値上げも強く求められています。
本記事では、そんな介護の現場における給食をクローズアップ。給食の重要性についてお伝えするほか、調理にコストがかかる理由や厳しい現状、コスト削減方法などを解説します。ぜひ最後までお読みいただき、参考になさってください。
-
クックチルがおいしくない理由を解説!おいしい食事の秘密とは?
医療施設や介護施設の給食現場で重宝されている調理システム、クックチル。さまざまなメニューや食形態に対応していますが、「まずい」「おいしくない」といったイメージをお持ちの方も多くいらっしゃるかもしれません。なぜ、そのようなマイナスイメージが先行してしまうのでしょうか?
本記事では、クックチルが「まずい」「おいしくない」と思われてしまう理由に注目。人が食事をしたときに「おいしい」と感じる仕組みを解説しながら、ナリコマグループの進化したクックチルの魅力についても詳しくお伝えします。クックチルに興味のある方はもちろん、システムの導入をご検討されている施設の方も、ぜひ最後までお読みください。 -
セントラルキッチンでのお仕事内容!どんな人に向いている?
近年、セントラルキッチンは病院や介護施設をはじめ、さまざまな施設や店舗で導入が進んでいます。では、セントラルキッチンとはどのようなシステムなのでしょうか?今回の記事は、幅広い業界で重宝されているセントラルキッチンについて詳しく取り上げます。
セントラルキッチンの基本的な仕組みはもちろん、仕事内容や向いている人のポイントなども解説。システムの導入を検討中の方だけでなく、セントラルキッチンで働いてみたいとお考えの方もぜひ最後までお読みください。