介護施設において、管理栄養士は次のような業務を行っています。
●利用者(高齢者)の状態にあわせた献立作成や食形態の調整
●給食の調理業務や利用者への提供
●食の楽しみをもたらす行事食の企画
●低栄養や過栄養などにも配慮した栄養マネジメント
●厨房におけるスタッフへの指示や衛生管理
●業務に必要な帳票類の作成(事務作業)
このような幅広い業務に対応する一方で、「職場の人間関係がうまくいかない」「忙しすぎて体調管理がしにくい」「業務が大変でも年収は低水準」などの課題もあります。一見すると病院の管理栄養士と同じような印象を受けるかもしれませんが、介護施設においては、次のような苦労もあるようです。
●利用者が高齢だからこそ、コミュニケーションがとりづらい
●病院よりも医療体制が弱く、食の安全を守る責任が重い
●認知症の高齢者は行動異常などもあり、栄養ケアが難しい
実際、介護施設の管理栄養士は「大変」「キツい」「つらい」などのイメージを持たれやすいため、働き方を根本的に変えていく必要性もあります。働き方を変える大きなポイントは、給食運営。負担軽減に向けた見直しを行い、管理栄養士が長く活躍できる環境を整えましょう。
目次
介護施設で働く管理栄養士の仕事内容

はじめに、介護施設における管理栄養士の仕事内容を簡単にまとめてみました。
①献立作成と食材の発注
若い頃と比べ、自然と食事量が減ってしまう高齢者は少なくありません。食事量の減少は低栄養に陥る可能性が高く、介護施設を利用する高齢者においてもそのリスクがあります。また、加齢や病気などにより咀嚼機能・嚥下機能が低下していると、通常の食事では食べづらさ、飲み込みにくさを感じてしまいます。
管理栄養士は、「食事量が少なくても栄養を十分にとれる」「咀嚼機能・嚥下機能が低下していても食べやすい」など、利用者の状態にあわせた献立を作成しなくてはなりません。咀嚼機能・嚥下機能が低下した方には、ソフト食やミキサー食など、最適な食形態での食事提供が求められます。そういった点でも、細やかな配慮が必要といえるでしょう。
また、栄養バランスや食形態のほか、コストも考慮した上で食材を発注します。介護施設では予算が限られているため、代替食品の使用や献立の見直しなどにより、コストを調整するケースもあります。
②給食の調理と提供
管理栄養士は、調理師と一緒に給食の調理・提供を担当することもあります。高齢者は誤嚥のリスクが非常に高いため、事故防止のための取り組みも非常に重要な業務です。提供時には、利用者の氏名と食形態(例:きざみ食、ソフト食、ミキサー食など)、アレルギーといった情報が書かれた食札をしっかりと確認しなくてはなりません。もし管理栄養士自身が厨房に入らなくても、調理担当の全スタッフに対して的確な指示・説明をする必要があります。
③衛生管理
現在、すべての食品等事業者を対象として、HACCPに沿った衛生管理が義務付けられています。前述した誤嚥防止の件と同様、集団食中毒や異物混入などを防ぐのも、管理栄養士の大事な役割です。調理師をはじめ、厨房で一緒に働くスタッフへの衛生指導を行います。
④行事食の企画と実施
介護施設で過ごす高齢者にとって、暦や季節に沿ったイベントは楽しみの一つ。管理栄養士には、イベントに合わせて提供する行事食を企画し、実施する業務があります。高齢者の中には行動範囲が限られることで、気分が沈みがちになってしまう人もいるのです。上手に気分転換をしてもらうためにも、大切な業務といえるでしょう。
⑤栄養マネジメント
介護施設で働く管理栄養士にとって、利用者の栄養状態を把握することは最も重要な業務です。いつも健やかに過ごしてもらえるように、個別で栄養ケア計画を立てます。計画の内容は利用者本人と家族に伝え、給食の献立にも反映し、経過も記録。利用者ごとの情報は介護士や看護師などと共有し、定期的なカンファレンスも行います。
⑥事務作業
ここまでお伝えしたように、管理栄養士の仕事は多岐にわたりますが、各業務に伴う帳票類(例:食材の発注書、献立表、食札、厨房の清掃・点検記録、検食簿、栄養ケア計画書など)の作成も必要です。
介護施設の管理栄養士が「大変」「キツい」「つらい」といわれる理由

介護施設で働く管理栄養士は、「大変」「キツい」「つらい」といったネガティブなイメージを持たれることが多い職業です。その理由について、まとめてみました。
①職場の人間関係がうまくいかない
介護施設では、管理栄養士の他にも介護士や看護師、ケアマネジャー、生活相談員など異なる職種のスタッフが多く在籍しています。高齢者を丁寧にケアするためには、施設スタッフとの連携が欠かせません。しかし、働き方も立場も違うスタッフとうまくコミュニケーションがとれないこともあります。そういった職場の人間関係における不安も、ネガティブなイメージにつながっているのでしょう。
②常に忙しく体調管理がしにくい
管理栄養士の仕事内容は多岐にわたるため、ほっと一息つけるような時間があまり取れません。また、定時制でも残業が多かったり、シフト制で早朝・深夜帯に働いたりする職場もあります。特に、シフト制は生活サイクルが乱れ、体調を崩しがちになることも。体力面に自信がない場合、勤務そのものがつらいと感じてしまうかもしれません。
③利用者とのコミュニケーションがとりづらい
個別の栄養ケアなどを行う管理栄養士は、利用者と直接話す機会もあります。しかし、利用者の多くを占める高齢者は、加齢によって耳が聞こえにくくなっていたり、会話の内容がすぐ理解できなかったりすることもあるのです。若年層・中年層の大人と同様のコミュニケーションがとれない状況を難しいと感じる人もいるでしょう。
④要資格で業務量も多いが年収は低水準
管理栄養士は国家資格が必要な職種です。現場では幅広い業務をこなさなくてはなりませんが、平均年収は低水準といわれています。栄養士全体の平均年収は約404万円(令和7年)です。管理栄養士は栄養士よりも年収が高い傾向にあるものの、民間企業の平均年収が478万円(令和6年)と比較すると、高収入とはいえないでしょう。管理栄養士としての資格や仕事内容、働き方に対して、年収のバランスが悪いと感じてしまう人は多いかもしれません。
高齢者が多い介護施設特有の苦労も

介護施設で働く管理栄養士だからこそ感じる苦労もあります。前述した「大変」「キツい」「つらい」というイメージにつながる点でもありますが、詳しくみていきましょう。
医療体制が弱く、管理栄養士としての責任が重い
介護施設にも医師や看護師は配置されますが、病院とまったく同じ体制とはいえません。つまり、食事中の誤嚥など、万一の事態にすぐ対処できる状況が常に整っているとは限らないのです。食の安全を守ったり、栄養状態を整えたりする管理栄養士の役割は、どこで勤務していても変わりません。しかし、介護施設の医療体制が弱く、いざというときの不安が少しでも残るのであれば、管理栄養士としての責任をより重く感じることが多いでしょう。
認知症の高齢者に対する栄養ケアが難しい
介護施設を利用する高齢者の中には、認知症を発症している方もいます。症状は個人差がありますが、食事を拒否したり、お箸などの使い方がわからなくなったりするケースもあります。このほか、食べ物ではない異物を口に入れてしまう「異食」や他人の食事を奪ってしまう「盗食」などがみられることも。このような症状によって食生活が乱れると、栄養ケアも臨機応変に行わなければなりません。低栄養はもちろん、過栄養のリスクもあるため、個別での細やかな対応が必要です。
介護施設の管理栄養士に向いている人

続いて、どのような人が介護施設の管理栄養士に向いているのかみておきましょう。
①食生活や健康管理への関心が高い
管理栄養士という職業柄、食生活に興味がある人は多いかもしれません。しかし、介護施設で働くのなら、健康管理にも関心が高い方が良いでしょう。高齢者の多くは健康上のいろいろな問題を抱えています。そういった面をサポートする話題や知識を提供できれば、介護施設のスタッフとしても重宝されるはずです。
②コミュニケーション能力が高い
介護施設ではさまざまな職種のスタッフと一緒に業務をこなし、たくさんの高齢者に接することになります。さらに、利用者の家族と話す機会もあるので、コミュニケーション能力はできるだけ高い方が良いかもしれません。周りの人と上手に関わることで、管理栄養士としての信頼度もアップするでしょう。
③細かいことも丁寧に対応する責任感がある
介護施設での業務は、利用者の生活と密接な関係にあるため、健康状態に大きな影響を与えます。だからこそ、どんな些細なことでも丁寧に対応できる責任感の強さも必要です。
介護施設で働く管理栄養士あるある

では、介護施設で働く管理栄養士によくある話をお伝えしておきましょう。
管理栄養士が自分しかいない
介護施設では、管理栄養士が一人だけという状況はよくあります。業務上の悩みがあったとしても、すべて自分自身で解決しなくてはなりません。そのため、孤独を感じてしまう人も多いようです。
板挟み状態になることがある
介護施設の管理栄養士は幅広い業務を担当するため、職種が異なるスタッフ同士の間に入ることも多いでしょう。介護系スタッフと厨房系スタッフの意見が合わないときなどは、板挟み状態で困ってしまうこともあります。
若手のうちは年上に囲まれがち
介護施設では中年以降のスタッフも多く働いています。そのため、若手のうちは周りが年上やベテランのスタッフばかりになることも。管理栄養士はスタッフを指導する機会もありますが、人によっては仕事がしづらく、窮屈に感じてしまうかもしれません。
介護施設における管理栄養士の働き方は「給食」で変わる

介護施設で働く管理栄養士は、利用者の食事や栄養状態に関する業務を行います。給食業務を施設内で完結させる場合、管理栄養士の負担はかなり大きいといえるでしょう。つまり、給食運営を見直すことで、負担軽減の可能性が広がります。
ナリコマでは365日日替わりの献立サービスを提供しています。和食から洋食までバリエーションが幅広く、ミキサー食・ゼリー食・ソフト食などの介護食、アレルギー対応の献立なども選択可能。低栄養の対策を含め、栄養価もきちんと計算されているため、食べる量が少ない高齢者の方々も安心してお召し上がりいただけます。
調理方式は、再加熱や盛り付けをするだけで提供できるクックチルやニュークックチルを採用。少ない人員で対応しやすくなるため、管理栄養士の負担軽減だけでなく、厨房の省人化にも効果的です。少しでもご興味がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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