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省人化×心理的安全性──神戸工場が挑む新しい働き方

車業界での板金塗装10年を経てナリコマへ。いったん離職しつつも復帰し、現在は神戸工場の工場長を務める松尾さん。過去の厳しい環境から直近の制度・品質改善までの変化、省人化×自動搬送を核にした神戸工場の設計と立ち上げの舞台裏、さらに適度な距離感」と「心理的安全性」を軸にしたマネジメント、「新卒がつくる工場」の構想まで、率直な言葉で語ります。

 

◆インタビューに答えてくれた社員

松尾 利哉:製造本部 神戸工場 工場長 /2006年中途入社
車業界で板金塗装を約10年、独立を目指して腕を磨く。体調を崩したのを機にパート入社でナリコマへ。現在は神戸工場の立ち上げを指揮し、省人化と自動搬送を推進。マネジメントの軸は「適度な距離感」と「心理的安全性」。

キャリアの転機——“青いビル”から始まった再スタート

――入社前はどのようなお仕事を?

元々は車業界で、事故車を修理する板金塗装の仕事を約10年、3社をまたいで続けていました。職人として将来的に起業したいという思いがあり、技術やノウハウの習得に必死でした。当時は組織に属するよりも、職人としての独立志向が強かったですね。

――そこからナリコマに転職したきっかけは?

体調を崩したのが大きな理由です。医師から強い注意喚起を受け、働き方の見直しを勧められました。有機溶剤を使う仕事で、当時は安全対策も不十分、マスクもせずに作業していたためダメージが蓄積し、過呼吸で倒れたこともありましたね。退職して仕事を離れていた時期に、通勤路でいつも見ていたナリコマの青いビルをふと思い出したんです。当時は「なんだこの青い壁の会社は!?」と思っていましたね(笑)たまたまパートの募集を見つけ、収入がなかったので家から近かったこともあり、とりあえず応募。食品工場だとも、どんな会社かも分からないまま来たのが最初のきっかけです。

――一度退職後、復帰されたとお聞きしましたがその経緯は?

ナリコマは次が決まるまでの“つなぎ”のつもりでしたが、いったん車業界に戻ったものの再び体調を崩し、退職しました。その時、当時の工場長が「どうせ松尾君は戻ってくるから」とロッカーを空けておいてくれていて、いいタイミングで電話もかかってきた。縁もあって戻ることに決め、以後は20年ナリコマに在籍しています。

 

会社の変化とナリコマらしさ

――長く働く中で、会社の変化をどう感じていますか?

入社当時はめちゃくちゃでした。衛生も労務も不十分で、残業代・休みの面でも厳しい時期もありました。その後、少しずつ改善が進み、特にこの5年ほどで人事制度や給与、評価制度が整い、働きやすさが比較にならないぐらい良くなりました。今のナリコマに入社する人は「ラッキー」だと、昔を知る我々は正直羨ましい!と感じるほどです(笑)。

――ナリコマを一言で表すなら?

「動物園」です。様々な分野のスペシャリストが集まる会社で、中途入社の多様な経験が知識の吸収や新たな発見を生んでいます。またナリコマは「ありえないこと」が起こる会社。大震災などでライフラインが止まって他社が機能しなくなる中でも、ナリコマは「どう届けるかを考える」を選ぶ。本社を含め全社員が寝ずに食料を運びました。会長自身も大阪の地震の際、「俺に何ができる?」と自ら動く。「食を届ける」という使命感が、この会社ならではの面白さであり、私が20年いられた理由かもしれません。

 

神戸工場の設計と立ち上げ——省人化×自動搬送

――2022年3月稼働の神戸工場。特徴や強みは?

神戸工場は「省人化」をコンセプトに作られました。いかに手間を減らし、人がやらなくても良いところを自動化していくか、という点が他の工場との最大の違いです。特にこだわったのは「搬送」です。他の工場では、製造したものをコンテナで1階から2階へ、あるいはその逆へと何度も手作業で運んでいましたが、これは非常に無駄な時間と労力でした。神戸工場では、4階で作ったものが自動で1階に降りてくる仕組みを導入し、この搬送作業を完全に自動化しました。これによって人員を大幅に削減でき、本当に大きな変化をもたらしましたね。この自動搬送システムは会社にとっても大きなインパクトがありますね。

――立ち上げのとき、大変だったことは?

これはもう「胃が痛くなる」ような経験でした。神戸工場は、これまでの工場とは異なり、実績のない「未知の機械」ばかりを導入したんです。他の工場は実績のある機械で立ち上げるので、ある程度の見込みは立てられますが、神戸は全く分からなかった。案の定、動かない機械も多く、最初の半年間、特に最初の2、3ヶ月は大変でした。会社が大きな金額を投じた工場だったので、腹をくくってのぞみ、とてつもないプレッシャーを感じていました。失敗は許されませんでしたね。 

工場長就任とスタンス、マネジメントの基軸

――その大役を任された背景は?

私にも分かりません(笑)。会長からの打診を3回断り、役職にこだわりがないので、「課長で十分です」と伝えました。それでも会長がどうしても任命したいと強く推してくださり、最終的に私から条件を提示して引き受けました。失礼なお願いも多かったかと思いますが、会長は全て受け入れてくれました。工場長は大変な仕事です。でも、それは「自分と一緒にやってくれる人がいるからやっているだけ」という、カッコつけの言葉でもあるのかもしれません。

――マネジメントで大事にしていることは?

一番意識しているのは「適度な距離感」です。パートさん、社員、各本部の皆さんに対して常にフェアでありたい。例えば飲み会には基本的に参加しません。特定の人とだけ行くと「なぜ自分とは行かないのか」という問題が過去にあったので、誰に対しても一定の距離感を保つようにしています。

あとは「引き出すトーク」。こちらから一方的に話すのではなく、相手が話しやすい雰囲気を作り、自分から意見を言ってもらう。20年間で「心理的安全性」が組織にとって非常に重要だと感じたからです。

神戸工場では方針として「心理的安全性」を掲げています。これは「優しい職場」という意味ではなく、「誰もが普通に会話・対話ができる職場」を目指すということです。誰かが我慢して何も言えない状況は望ましくありませんし、立場や役職に関わらず意見を伝えられる環境が必要です。管理職にはその環境づくりを常に求めています。特に中途採用者や新人が疑問を抱いたときに気兼ねなく質問できる雰囲気を整えることが何より大切だと考えています。私自身も現場で従業員を見つけたら定期的に声をかけるようにしています。「工場長なのに気軽に話しかけてくれる」と驚かれることもありますね。

――採用・受け入れの場面では?

面接では「イレギュラーが起きた時の対応」をよく聞きます。例えば「明日納品する車に傷をつけてしまったらどうするか」などの具体例を出し、謝罪の是非より、その後のアプローチを前向きに設計できるかを見ます。入社後のギャップをなくすために、仕事の厳しさや大変さは正直に伝え、実際の作業風景の動画も見せています。人間関係なども隠さず伝える。それでも覚悟を決めて入社してくれた人は、全力でフォローします。

 

成果とこれから——離職抑止、新卒がつくる工場へ

――その結果として神戸工場では直近1年間、退職者ゼロと聞きました。

嬉しいですね。やはり、管理職に対して心理的安全性への意識改革を強く求めてきた成果かもしれません。採用部門がどんなに努力して良い人材を入れても、受け入れ側に問題があれば離職に繋がってしまいますから。 役職者に対しても、「課長が偉いわけではない」「役割が違うだけ」と常に伝えています。会長や社長に直接意見を言うことも含め、現場のメンバーが声を上げやすい環境を作ることを重視しています。私も会長や社長に対しても、組織のため、現場のためになることなら、たとえ数億円の投資が必要なことでも臆することなく提言します。この3年間、ぶれずにこの方針を貫いてきた結果が、離職者の少なさに繋がっているのかもしれません。

――最後に、神戸工場を今後どのような工場にしていきたいか、目指す姿を教えてください。

大きな目標としては、「新卒で作り上げる工場」にしたいと考えています。ナリコマにはまだ、そういう工場がないんです。新卒の若者たちが目標にできるような、目指すべき場所になればと思っています。工場は不安や負担ばかりを感じる場所であってはいけません。もちろん仕事には一定の厳しさはありますが、安心して力を発揮できる体制を整えることが大切だと考えています。私は、その環境づくりを通じて、誰もが前向きに働ける工場を実現していきたいです。 品質安全の観点からも、巨大で利益が取れる総合的な工場を、新卒が中心となってプレッシャーを感じながらも作り上げていく。これが目標です。 経験がなくても、「やりたいという気持ち」を持って「頑張ってみたい」という素直な方を希望しています。神戸工場には、私を含め、もともと「ど素人」の人間もたくさんいます。それでも現状が成り立っていますから。そういった意欲のある方々にぜひ応募していただき、一緒に頑張っていきたいですね。

編集後記(エリア採用担当より)

この記事を読んで、「もう人間関係で悩みたくない」と思った方に、少しでも安心してもらえたら嬉しいです。神戸工場が大切にしているのは、効率化の仕組みだけではなく、誰もが声をあげやすい雰囲気=心理的安全性です。「上司に言いにくい」「周りに相談できない」、そんな状況は、ここでは作らないようにしています。工場長自身が現場で声をかけ、管理職にも“意見を受け止める姿勢”を常に求めています。人間関係で不安になったり孤独を感じたりした経験がある方にこそ、神戸工場はきっと良い選択肢になると思います。

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