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【前編:戦略とビジョン】「読みが外れた。想定の倍、社会は我々を待っていた」

ナリコマグループはいま、創業以来の最大の変革期を迎えています。
その中心にあるのが、主力商品である「ミキサー食(介護食)」の生産拠点を、現在の中部工場から最新鋭の神戸工場へ移管する巨大プロジェクト」です。

なぜ今、このタイミングで動かすのか。
「最初はこんな計画じゃなかった」と語るその真意とは?

元エンジニアという異色の経歴を持ち、ナリコマの製造部門を統括する高橋本部長に、その経営判断の裏側と、これから入社する仲間に期待することについて聞きました。

 爆発する「ミキサー食」需要と、神戸工場への戦略的集約

―― 今回、ミキサー食の生産を中部工場から神戸工場へ移管するプロジェクトが動いています。当初の構想から大きな変更があったそうですが、その背景にはどのような経営判断があったのでしょうか?

神戸工場は介護食専門の工場として竣工したので、最初は中部工場で生産しているミキサー食も、ゼリー食も全部ひっくるめて神戸工場に移すつもりだったんです。でも、ちょっと予定が狂ったのが、ミキサー食の伸び方が尋常じゃなかったことなんです。もちろんソフト食も伸びてるんですけど、ミキサー食はもう正直むちゃくちゃ伸びてるんですよね。

今年の春ぐらいですかね「これ、全部当初の予定のまま移管したら神戸工場のキャパが数年しか持たんぞ」っていうのが見えてきて。それならもう、神戸は「ミキサー食一本」でいきましょうと決断しました。ミキサー食にしぼって、徹底的に生産性とクオリティを引き上げる。そうしないと、この爆発的な需要には応えられないという判断ですね。


――
そこまで需要が急増しているというのは、社会的な背景も大きいのでしょうか。ナリコマの食事が果たす役割そのものが変わってきているように感じます。

いや、本当にその通りで、もう「インフラ」に近い存在になってきてるなと感じてます。今、ナリコマの全食事の中で、介護食が占める割合ってどれぐらいだと思いますか? 以前は1割にも満たなかったのがもう全体の3割を超えてるんですよ。提供数でいうと18万食を超えていて、これって僕の出身地の山口市とか、地方の中核都市の人口をまるごとカバーするぐらいの数なんです。

正直言うと、今の日本の高齢者施設現場では、もう施設内で人を雇ってイチから食事を作るのは限界がきています。一生懸命やりたくても、人が採用できない。そうなると、我々のような完全調理済み食、特に手間のかかる介護食を安定供給できる企業に頼るしかないんですよね。

団塊の世代が後期高齢者になる中で、この需要は確実に増え続けます。最終的に介護食の割合は4割、5割までいくんじゃないかと思ってます。そうなると、我々の責任はもう「食品メーカー」という枠を超えて、社会インフラを支える生命線になってくる。だからこそ、拠点戦略も物流も、止めるわけにはいかないんです。

「デジタル」が叶える品質と、人間にはできない優しさ

――神戸工場は「DXを体現した工場」とも言われています。従来の工場(中部など)と比較して、具体的にどのような思想で設計されているのでしょうか?

一言でいうなら「アナログからデジタルへ」の転換です。従来の中部工場は、どうしても人の手によるアナログな製造工程が中心だったんですが、神戸はもう、機械と人間をシステムで制御する仕組みになっており、高水準のクオリティを維持できるようになっています。

特にミキサー食やゼリー食のような介護食に関してこれは顕著ですね。召し上がる方の機能が衰えているわけですから、硬さや粘度といった物性が少しでもブレたら、それが誤嚥につながって、最悪の場合は命に関わる致命的な事故になりかねない。だからこそ、アナログなブレを排除して、よりデジタルに、機械的に制御することが、結果として一番の「優しさ」になるんです。


――
安全のためのデジタル化なんですね。神戸の生産能力は、将来の人口動態に対してどこまでカバーできる設計なのでしょうか?

今の試算上だと、神戸工場単独でミキサー食を日当たり3万7000食、最大で4万食ぐらいまで作れる能力を持っています。これで計算すると、だいたい2037年ぐらいまでは対応できるかな。さらに延長していけば、高齢者人口がピークを迎える2042年でも、ひょっとしたら神戸単独で乗り切れるかもしれない。それぐらい先を見据えて設計しています。

ただ、これで終わりじゃなくて、次は岡山や東北にも拠点を広げていきます。岡山では普通食4万食に加え、ゼリーなどのカップ商品は今の4倍の能力を持たせて、未来永劫対応できるぐらいの規模にするつもりです。人が集まりにくい時代だからこそ、自動化できるところは徹底的に自動化して、人間は人間にしかできない付加価値のある仕事にシフトしていく。それが僕の描く製造現場の未来図ですね。

 

非効率への挑戦──「365日日替わり」を捨てない理由

――自動化や効率を追求するなら、メニューを固定化したり、サイクルメニュー(一定期間で同じ献立を繰り返す)にした方が楽なのではないでしょうか?

いやぁ、それはもう、社内でもずっとある議論なんですよ。「サイクルにしたら?」って(笑)。製造サイドだけじゃなくて、営業サイドからも言われることがあります。毎日違うものを作るより、決まったものを作るほうが、ロボット化もしやすいですし、間違いなく効率はいいですからね。

でもね、そこは絶対に譲れないんです。「365日日替わり献立」こそがナリコマのアイデンティティであり、他社との最大の差別化ポイントなので。これを崩して効率に走ったら、もうナリコマじゃないなと。セントラルキッチンでありながら、毎日違う家庭の味を届ける。この「矛盾」に挑み続けるのが我々のプライドなんですよね。


――
そこまでこだわる原動力は何なのでしょうか?高橋さんご自身の中で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

一昨年前に亡くなった僕の祖母が、実はナリコマの食事を使っている施設に入ってたんです。自分の人生の中で、親族が自社の食事を食べる機会ってそうそうないじゃないですか。でも、おばあちゃんが毎日食べてくれてて。もう認知症になってたんで「おいしい」とか気の利いたことは言わず「ようわからん」とか言ってましたけど(笑)。

でも、その姿を見た時に、自分たちが作っているものが、家族や大切な人の生命をつないでいるんだなって実感したんです。単なる栄養補給ではなくて、最期まで「食事」を楽しんでもらいたい。ミキサー食の見た目は普通食とは少し変わるかもしれないけど、味は絶対に妥協しない。昔は「まだまだ改善が必要」と思うような時もありましたけど、今は技術開発も進んで、美味しくなってきています。だからこそ、効率が悪くても、手間がかかっても、食事としての「喜び」を届けることからは逃げたくないんです。

「未完成」を楽しむ──エンジニア出身本部長が求める人材像

――高橋さんご自身、エンジニアとして入社されながら製造本部の本部長になられたという異色の経歴をお持ちです。ご自身のキャリアを振り返って、ナリコマという会社の面白さはどこにあると思いますか?

元々はエンジニアで採用されたのに、入社してすぐに「現場を知らないとシステムは作れん」って言われて、工場の製造現場に放り込まれたんですよ。「話が違うじゃん」って思いましたけどね(笑)。でも結果的には、現場の苦労やボトルネックを肌で知ることができた。だからこそ「ここの工程はおかしい」「こうしたらもっと良くなる」っていうのが見えてきて、勝手にシステムの提案とかしてたら、入社1年経たずで数千万円規模の設備導入を任せてもらえたんです。

ナリコマって、そういう会社なんですよ。ベンチャー気質というか、良いと思ったら「やってみて」と任せてくれる。僕みたいに異業種から来て、わけもわからず意見言ってるやつの案を採用して、実際に工場の基盤にしちゃうんですから。未だに僕が入れたシステムが工場のメインで動いてますからね。自分のやった仕事が、会社の仕組みそのものになって残る。こんなダイナミックな経験は、完成された大企業ではなかなかできないと思います。


――
これからナリコマへ入社を考えている方、特に神戸工場のプロジェクトに参画される方へメッセージをお願いします。

ナリコマはまだまだ発展途上です。できていないことも多いし、泥臭いこともいっぱいあります。でも、それを「整っていない」と嘆くのではなく、「自分が作るチャンスだ」と捉えられる人には、最高の環境だと思います。「この工場の仕組み、実はお父さんが作ったんやで」って子供に言えたら、すごくないですか?

特に回のようなプロジェクトは、日本の高齢者食の歴史を変えるような大きな転換点です。
その礎になるのが自分だと思ったら、もうアドレナリンが出まくるはずなんですよ。

ただ作業をこなすんじゃなくて、会社と一緒に成長して、仕組みそのものを創り上げていく。上司と部下というよりは、同じ志を持つ「仲間」として、この変化の激しい、でも社会的意義の大きい仕事を一緒に楽しんでくれる人に来てほしいですね。

かしこまった言葉はナリコマらしくないんで、これぐらいにしときます(笑)。

◆インタビューに答えてくれた社員

高橋 和樹:製造本部 本部長 /2011年中途入社
異業種からエンジニアとして中途入社。「現場を知らないとシステムは作れない」という方針のもと、1年間の工場勤務を経て、数千万円規模のシステム導入を指揮。現在の工場運営の基盤となる仕組みを築き上げた。「よりアナログよりデジタルへ」を掲げ、急増する介護食需要に対応するための自動化・DXを推進している。大切にしているのは「未完成を楽しむこと」。「ナリコマはまだ発展途上だからこそ、『この仕組みは自分が作った』と誇れる仕事をしてほしい」と、次世代の挑戦を後押ししている。

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